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幸せの青い鳥?本来、磯にすむ鳥がなぜ内陸に進出して来たのか?
2022年01月10日 (月) | 編集 |
FC2トラックバックテーマ:「11月22日はペットたちに感謝する日!あなたの飼っているペットについて教えてください!」
青い鳥といえば、童話のチルチルとミチルが探し求めた幸せの象徴。 実は、
そんな青い鳥が、東京のある場所で、相次いで目撃されているのです。

‘青い鳥に会いたいなと思っていたら、ここに来てくれました’
‘会うと嬉しいよね。青い鳥は、幸せを呼ぶ鳥ですから…あぁ、あそこにいる’

街なかの電柱に現れた、この鳥、イソヒヨドリといいます。 確かに、幸せの
青い鳥そっくり。 でも、本来のすみかは…?

‘イソヒヨドリは名前の通り、磯をすみかにしている鳥です’

そう! 一昔前は、海辺でしか見られなかった鳥なのです。 それが、なぜか
海から40キロ以上内陸の八王子周辺エリアに、大集結しているといいます。

一体、なぜなのでしょう? その秘密を解くカギは、この美しい鳴き声だといい
ます。 故郷を離れ、街なかで暮らし始めた青い鳥。 その秘密に迫ります!

第1章 磯の鳥が、なぜ街なかに?

今、イソヒヨドリが見たければ、ここへ行け!と言われるほど目撃情報が多い
東京・八王子。この地で、イソヒヨドリを見続けている野鳥観察グループの男性。

“今、ちょうど、この時期ですと、イソヒヨドリが子育ての真っ最中なので、期待
しています。多分、見られると思います”  いざ、青い鳥を探しに!

歩き始めて、僅か3分。  “あ、この声。これ、イソヒヨドリの声です。近いね”
“あぁ、あそこにいる。 いたいた。 あれオスだ”  早速、見つけました!

全長23センチほど。鮮やかな青と、オレンジ色のお腹が目を引きます。そして
最大の特徴と言われるのが、美しい声です。

近年、八王子周辺エリアでは、イソヒヨドリが街のあちこちに出没。多くの人が
その魅力に、はまりつつあるといいます。 中には、イソヒヨドリが家に来ると
いう人も。 ‘こちらの白い壁の上に、結構よく来る’  その様子が、こちら。

‘青い鳥に会いたいなと思っていたら、ここに来てくれました。すごく幸せな
気持ちでした’

こちらの男性は、勤めている工場に、イソヒヨドリが巣を作ったといいます。

‘おととしは、あそこに4羽ぐらいのヒナが確認できた。ヒナの顔が、もう飛び
出すばかりに4つ、クッキリ見えた’

そして、今、まさに子育て中と情報をくれたのが、こちらのおすし屋さん。

‘巣の場所は、ここですね’  うん? あ… あ~ ありました! 生まれて
間もないヒナもいます。 そこへ、やって来たのは、母親のイソヒヨドリ。

メスは、茶褐色。 虫を、くわえていますね。 ヒナは4羽。 こうして親鳥から
食べ物をもらい、巣の中で半月ほど過ごします。

おや? 白いものを運び出しましたね。 今度はオス。 夫婦が協力して子育て
します。 そして、また、ご注目。 ほら!これ、実はヒナのフン。 巣を清潔に
保ち、ニオイで天敵に気付かれないよう、運び出すんですって!

Q: イソヒヨドリは、最近になって増えて来たのですか?

野鳥観察 “最初の内はボチボチだったのが、それが3年4年経ってだんだん
増えて来て、最近は急に増えている、そういう感じですね”

これまで八王子周辺のイソヒヨドリを見続けて来た地元の野鳥観察グループ。
10年ほど前から記録して来た巣の場所を、地図にしてもらいました。

結果は、こちら。 内陸にもかかわらず、50カ所近くでイソヒヨドリの巣が確認
されていました。 更によく見ると、意外な事に、山や川ではなく、人が多い
駅前に集中しています。 一体、どういう事でしょう?

本来、イソヒヨドリが暮らすのは、その名の通り、磯の近く。 人が近付けない
高い崖の上を好みます。 子育ても崖の上。 岩の小さな隙間に巣を作ります。
あっ、ヒナがいますね。 親鳥が、崖で虫を捕まえたようです。

豊かな自然が残る海辺こそ、イソヒヨドリが暮らしやすい場所のはず。 なぜ、
街なかに来たのか? 手がかりを求め、巣が特に集中する場所を調べます。

共通していたのは、高い建物があること。 調査を続けると… “あそこにいる”
現れた1羽のメス。 枯草をくわえています。 巣の材料のようです。 辺りを
しきりに警戒して… あ~! なんと、そのまま換気扇のフードの中へ!

どうやら、ここに巣を作っているようです。 場所は、駅前の高いマンションの
上でした。 一方、こちらは、ショッピングモールの立体駐車場。 てっぺんに
止まったのはオス。 何やら周囲を警戒しながら鳴いています。

すぐ下に、巣の材料をくわえたメスが。 おっと! 配管の隙間に入りました。
こうして、ビルの隙間などを、崖のくぼみの代わりに使って、巣を作っていたの
ですね~。しかし研究者は、高い建物に集まるのには、もう1つ重要な理由が
あるといいます。

名誉教授 “やっぱり重要なのは、さえずる場所としての高いところ。高層ビル
などが立ち並ぶようなところが都合がいい。それから、前が開けていて、声が
通りやすい”  名誉教授が指摘したのは… さえずる場所。

確かに、イソヒヨドリはビルの屋上など、高いところで、よく鳴いています。
これは、自分の縄張りを主張したり、メスに求愛したりする、さえずりです。

本来のすみかである磯でも、さえずりを行う高い崖が欠かせません。 ほら、
ここでも。 つまり、イソヒヨドリにとって、海辺の崖と同じ役割を、高いビルが
果たしていたのです。 だから駅前に集中するのですね! ちょっと待った!

いや、駅前のビルが崖に似ているといっても、騒音だらけじゃないですか。
イソヒヨドリのさえずりは、ちゃんと聞こえるのですか?

そう思いますよね。 実は、そこに、イソヒヨドリならではの秘密が隠れている
のですよ! そこで、街なか鳴き声チャレンジ!

鳴き声自慢の鳥たちの声を、スピーカーから順番に流し、どの鳥の鳴き声が
1番遠くまで聞こえるか?比べてみました。 参加者には、鳴き声が聞こえた
場所に目印を置いてもらいます。

トップバッターは、美しいさえずりでお馴染みのウグイス!さぁ、まだ聞こえない
聞こえない… あっ、止まりました! 聞こえた場所は、150メートル地点。

続いては、シマフクロウ。 特徴である低い鳴き声は、1キロ以上先まで届くと
言われますが… あれ?これは意外! まだまだ聞こえない。 ウグイスよりも
かなり近くまで聞こえず、結果は30メートル。  あらら…どうしちゃったの?

そして最後は、イソヒヨドリ。 音量は、みな同じ! さぁ、スタート! おっと、
いきなりストップ! 記録は190メートル。 イソヒヨドリの圧勝です!

一体、なぜなのか? 鳥の鳴き声の研究者によると、この結果は音域の広さ
に関係しているといいます。 こちらは、ある鳥の鳴き声の周波数をグラフに
したものです。 縦軸は、音の高さ。 横軸は、時間です。

グラフの下の方が低い音。 上の方が高い音を表しています。 この低い音と
高い音の幅を、音域といいます。

まずは、ウグイス。 低い音は、1500ヘルツ。 高い音は、5400ヘルツ。
次は、シマフクロウ。 150~350ヘルツ。 かなり低い声です。
そして、イソヒヨドリ。 なんと、2000~8000ヘルツ。
ご覧のように、他の鳥と比べて、ひときわ音域が広い事が分かりました。

研究者によると、街なかに多い音は、大体、100~2500ヘルツ。 この音域を
3つの鳴き声のグラフに重ねると… シマフクロウは、街なかの音域と重なって
いる事が分かります。

低い鳴き声は、単独なら遠くまで届きますが、街なかでは紛れてしまいます。
一方、広い音域を持つイソヒヨドリの鳴き声は、多少の雑音など、ものともしま
せん。 だから圧勝だったのです。

研究者によると、イソヒヨドリの音域の広さは、本来の生息地の影響が大きい
といいます。 思い出して下さい。 イソヒヨドリが暮らす磯といえば… すぐ側に
波が打ち寄せ、かなり、うるさいところです。

この波音に負けずに、縄張りを主張したり求愛したりするため、幅広い音域の
声を身につけたと考えられるのです。

研究者 “いかに遠くまで音を響かせるか、聞こえさせるかというのが、彼らの
生き様といいますか、今まで進化してきた究極のところにあると思う”

Q: でも、何でイソヒヨドリは、海を離れる必要があったのですか?

研究者によると、開発などによって、イソヒヨドリが暮らす崖が減った結果、
内陸へ分布を広げたと考えられるそうです。 やっぱり、人間の影響なのね。

困難の中でも、この鳴き声があったからこそ、新天地を見つける事ができた
のですね! 涙ぐましい苦労も波音で鍛えた声で切り抜けたという訳ですね。

第2章は、知られざる子育てに密着。 街ならではのヒナの行動を目撃です!

イソヒヨドリの名前の由来。 それは、この鳥が磯に暮らし、ヒヨドリに似ている
こと。 特に体が茶色いメスは、確かにヒヨドリそっくりです。 でも、この両者、
実は他人の空似。 分類上、全く別のグループなのですよ!

イソヒヨドリの所属するヒタキ科は、鳥類きっての鳴き声名人ぞろい。 この
オオルリも、キビタキも、複雑な声で、さえずります。 どうりで、イソヒヨドリも
鳴き声がキレイなわけです。

印象的な姿と声で、昔から人々の関心を集めて来た、イソヒヨドリ。 古くは、
安土桃山時代の文献にも登場します。 この先、人間と、どんな関係を築いて
行くのでしょうね!

第2章 密着!イソヒヨドリの街なか子育て

今回、見つけた、おすし屋さんと、立体駐車場の巣。 私たちは、ヒナの成長を
見守る事にしました。 5月、駐車場の巣では親鳥の様子が、にわかに慌ただ
しくなりました。 食べ物をくわえています。 ヒナが卵から、かえったようです。

親鳥が向かったのは街なかの、ちょっとした緑。 虫を捕まえました。 こうした
公園などの緑地がイソヒヨドリの狩りの場です。 よ~く観察すると都会の中で
実にさまざまな獲物を捕らえている事が見えて来ました。

今度は、街によくあるサクラの木。 何か食べました。 サクラの実です。
イソヒヨドリは、もともと雑食性。 都会は、思いのほか、たくさんの食料に恵ま
れているようです。 しかし街なかの暮らしも、良い事ばかりではありません。

おっと、車! 交通事故の危険とは、常に隣り合わせです。 更に危険は続き
ます。 親鳥が慌てた様子で、鳴き始めました。 カラスが来たのです!
都会での最大の天敵。 頭を下げて鳴くのは、威嚇の行動です。

カラスに向かいます。 見事撃退! 親鳥の必死の威嚇とカラスが入りにくい
絶妙な巣の場所。 文字通り、鉄壁のディフェンスですね!

6月。 おすし屋さんの巣です。 ヒナは、生まれて2週間。 もう親鳥と変わら
ないくらいの大きさです。 再び親鳥が、食べ物をくわえて、やって来ました。

しかし今度は、巣の中に入ろうとしません。 その後も、巣から離れた場所で
鳴く事が目立つようになりました。 巣立ちを促しているのです。

巣の中では、ヒナが翼を動かし始めました。 羽ばたきの練習です。 巣立ち
まで、あと一息です。 一方の駐車場の巣。 こちらでも、親鳥が巣立ちを促し
ています。 おっ! 巣からヒナが顔を出しました。 あっ、飛び出しました!

巣立ちの瞬間です。 これを見た親鳥は… あれ? 飛んだ? ヒナを建物の
外へ連れ出そうとしているようです。 ヒナは、親鳥のいる場所を目指します。

ヒナが建物のへりまで来ると、親鳥は、導くように先に飛んで行きます。
取り残されてしまったヒナ。 怖いのか、なかなか飛び立てません。 あぁ!
飛びましたが… 力不足で、どんどん落ちてしまいます。 かろうじて着地。

親鳥がヒナのもとに、やって来ました。 ヒナは巣立った後も、こうして親鳥から
食べ物をもらい、20日間ほど一緒に暮らすのです。

そんなある日、突然、親鳥が何かに警戒し始めました。 姿を現したのは、
カラス。 近くには、巣立ったばかりのヒナがいます! カラスは、ヒナを狙って
いるようです。 障害物に隠れ、何とか追跡をかわそうとするヒナ。

まだ翼の力が弱いため、飛んで逃げる事ができません。 あっ、危ない!
周りでは、親鳥たちが必死に鳴いて威嚇しています。 しかしカラスは執拗に
追いかけて来ます。 今度は、柵の上から狙い始めました。 あ~っ!

ついに捕まってしまいました。 巣立ち直後は、都会のイソヒヨドリにとって
最大の試練の時。 研究者によると、巣立ちしたヒナの半数ほどが、カラスや
ネコに襲われ、命を落とすといいます。

一見、住み心地が良さそうな街なかの環境。 しかし、生き抜く事は簡単では
ないのです。 本来のすみか磯では、危険な巣立ち直後、入念に天敵対策を
行います。 親鳥が向かったのは、崖に開いた洞窟。 ヒナが待っていました。

飛べるまで、ここに身を隠し、トビなどの天敵を避けるのです。街のヒナたちは
どうするのでしょうか?

ヒナが巣立った、おすし屋の巣。 近くの車の下を見ると… ヒナがいました。
車を洞窟代わりに、身を守っているようです。 きょうだいも一緒です。

車の下から出て来たヒナ、突然、腹ばいになりました。 これは日光浴。
寄生虫を落とす効果があると、考えられといます。 でも、ちょっと無防備。
あ~、早く車の下に隠れて、隠れて! あぁ、戻りました。

一方の駐車場から巣立ったヒナは、こんな場所で発見。ゴミ置き場の入れ物を
洞窟代わりのシェルターにしていました。

イソヒヨドリが八王子周辺に進出し始めて25年ほど。人間の作り出した環境に
巧みに適応しています。 巣立ちから間もなく20日。 親子で共に過ごすのも
あと僅かです。 飛ぶ力も、だいぶ、ついて来ました。 そして、狩りの練習。

壁についたガの繭に飛びかかります。自分の力で食べ物を探せる様になって
来ました。 すみかを変えても、その場所の良さを見つけて、たくましく生きる
イソヒヨドリ。 今度は、皆さんの前に幸せの青い鳥が現れるかも知れません。