2021年12月31日 (金) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「体の変化はありますか?」
私は、コペンハーゲンに、スキーができる、ゴミ処理発電所を造りました。
1歳になる私の息子は、発電所の上でスキーを滑れるのは、当然だと思って、
育つでしょう。 息子たちの世代にとっては、当たり前の風景になるのです。
ゴミを燃焼させても、クリーン。 壁面は、ボルダリングができる、クライミング
ウォール。 屋根の上にはスキー場。 ハイキングができて、鳥やキツネ等の
生き物が生息している。 それが、彼らのスタンダードになるわけです。
そして… 私が造った人工の山は、若い世代に多くのインスピレーションを
与えるでしょう。 コペンヒルが、次世代の型破りな着想を呼び込むのです。
‘ようこそウェルカム。見知らぬ、お方。お目にかかれて嬉しいわ。この選考の
場に、よく来てくれました。このゴミ処理施設は築40年。老朽化のため新たな
施設の建設が必要になりました。建築物について考え直す、またとない機会
の到来です。斬新なアイデアを集めるべく、このコンペを立ち上げました’
‘発電所用地は仕様が厳密に定められ、建物にも厳しい要件が課され全てが
規格に適合しなければならない。とはいえ我々は、建築の創造性が発揮され
るよう努めて来た。一定の枠組みに収まっていれば、自由な解釈が認められ
ます’ ‘結果発表です。建築コンペの優勝者は、満場一致で決定です!’
もし自分の住んでいる国が平たんで、誰もが、同じ高さの地表に立っていたら
広さを感じると思うでしょう? 視界を遮る山がないわけですから。 でも実際は
逆なのです。
全てが平たんで、みんなか同じくらいの背丈だと、隣の家との間にある普通の
生け垣だけでも、視界は遮られてしまいます。 映画館や劇場の床に傾斜が
ついているのは、よく見えるようにするためです。 山を造るのも発想は同じ。
ここから周囲が一望できます。 この山は、地平線を変えるだけでなく、コペン
ハーゲンに住む人の… 心象風景まで変化させる事になるでしょう。
皮肉だね。 60年代の豊かさが多くのゴミを生み出し、国じゅうがゴミの山に
なる前に、今度はゴミを焼いて電気に変えるなんて。
熱が先よ。 そう、まず熱。 ゴミを焼却した熱で発電する。 家庭のゴミ1袋で
2時間半だっけ? 4時間よ。 4時間分の電気と、5時間分の熱が供給できる。
斬新でしょ。 環境的・経済的・社会的に持続可能でなければならないと、よく
言われますが、このゴミ処理発電所は、まさにそれを実現している。 経済的で
環境に優しいインフラです。
ゴミをエネルギーと熱に変えて、しかも公園を兼ねている。 町のど真ん中に
ゴミ処理施設を造ろうとしたら、普通なら、脅迫状が届いたり、抗議デモが起き
たりするけど、僕たちの所には全く違う問い合わせが来ています。 オープンは
いつ?って。
ホントに? すごいわ! 愉快だね。 海外からの問い合わせも多いのです。
他の都市でも導入できるか?とか、海外にも持ち込めるのか?とか。 ゴミ
処理施設を、他のインフラと融合させ、住宅街の、すぐ側に建設するという、
このアイデアは… 新しい。
Q: 選考委員の方々は、斬新すぎるとは思わなかったのですか?
批判的な見方をする人は、いなかったよ。 満場一致で決定したんだ。 本当に
何というか… 素晴らしかった。 私たちが部屋に入った時、中には選考委員
だけがいて、厳粛な雰囲気が漂っていたの。 そこで目にしたのが、まさかの
スキースロープ。 自分に言い聞かせたわ。 落ち着いて興奮しないで冷静に
この案を通すには、一体、どうすればいいのかしら?って。
まだ形を持たないものに、何らかの形を与えること。 それこそが建築の力、
造形の力です。 今は、まだ実在していないけど、思い付きやアイデアで実現
できそうなものもあります。 可能性は無限大です。
例えば、クリーン・テクノロジーの技術が進めば、煙突から有害物質が一切、
排出されなくなるかも知れません。 そうなればゴミ処理施設は、公害をまき
散らす、巨大な醜い箱ではなくなります。
汚くて煩わしい存在から、都市のカルチャー・ライフの基盤へと様変わりする
のです。 もし達成できたら、世界は変わるでしょう。 型破りなアイデアで、
そんな夢のような話しが、現実になるかも知れないのです。
本物の山は内部で火山活動や地殻変動が起きています。 この人工の山でも
熱を発生させる活動が行われていて、その過程で蒸気が排出口から噴き出し
ます。 天然の岩の形成みたいにね。
また、内部の構造がデコボコになっているため、山の傾斜は均一ではなく、
不規則な起伏があって、まるで本物の山にいるような感覚を味わえます。
更に外観ですが、この発電所を、ぐるりと囲むのは、超軽量アルミニウム。
幅3.3メートル、高さ1.2メートルのパネルにして、市松模様で組み立てました。
パネル同士の間はガラス張りで、中に日光が、さし込むようになっています。
普通の発電所は内部の圧力が高まり過ぎた場合、大惨事が起こる前に屋根
をぶち抜いて、施設全体の爆発を回避します。 でも、この発電所の上には、
スキーヤーがいる。 だから、外壁が開くのです、 パカッとね。
ここにはハイキングコースやジョギングコース、マウンテンバイク用のコースも
備わっています。これまでデンマークになかった、あらゆるアウトドアスポーツを
楽しめる山が、コペンハーゲンのど真ん中に現れるわけです。
最後のポイントは、外壁。 ここは、鳥や虫たちの、すみかであると同時に、
クライミングウォールにもなっています。 その高さは、85メートル。 人工の
クライミングウォールとしては、世界一です。
アルミニウム製パネルの一部を引っ張り出して山の岩肌のような凹凸を作り、
更にアルミの部分とガラスの部分との両方に、登る時につかむホールドを取り
付けます。 エレベーターからは、発電所の内部も外の景色も見られるように
なっています。
スキーヤーがエレベーターで上がる時、中ものぞき込めるし、外に目をやれば
コペンハーゲンの町並みが一望できる。 歯を食いしばって、必死に壁をよじ
登る、クライマーの姿も見えるという造りになっているのです。
このプロジェクトがどういうものなのか、よく分かって来た。 法律にのっとった
工業用建築物の上に、基準の全く異なる娯楽施設を造ろうとしているのよね。
2つを融合させるのは、経理面だけでも厳しい。 スキー場の類には、お金が
出ないのだから。 クールなプロジェクトだけど、何しろ未知の領域だから。
レクリエーション部分の責任者は… スウェーデンの彼ね。 彼なら、きっと
やり遂げてくれる。 じゃなきゃ雇わない。
まず、私が彼に会って、それからプロジェクト・メンバーに紹介します。チームに
合流すれば、我々のコンセプトが正しく伝わるはずです。 もし、プラスチックの
スロープは嫌だ。 2カ月だけ、人工の雪を降らせばいい。なんて言われたら、
収拾がつかなくなる。 冬だけの限定オープン?
ええ。 スキー場は、冬だけにしよう。なんて話しになりかねない。 彼は、
私に、こう言ったのよ。 屋根の上にスキー場を造ろうなんて誰が言ったの?
それは、この廃棄物発電所の存在意義や、今後の展望に本当にマッチして
いるのかな?って。 今すぐミーティングだ! でも、的を射た質問でしょ。
ええ、確かに。 私は、このプロジェクトに賭けている。 だから全然、不安は
ないの。 早く、あなたと彼を会わせたいわ。 もし彼が、スキー場じゃなきゃ
駄目なの?なんて言い出したら、ギャー!助けて!ってなるわね。
このコペンヒルが、世界のゴミ問題に一石を投じるものになればと思っていま
す。 ゴミの処理については、より良い方法を模索し続けなければなりません。
第1に、ゴミの量を減らすこと。 次に、ゴミを再利用すること。 それでも残った
ゴミは、燃料にして環境に優しいエネルギーを生成すること。 ここでは、ゴミ
処理と同時に人々がスキーをしたり壁を登ったりしながら、風景を楽しむ事が
できるのです。
アメリカの人工芝 ‘よし、行こう!’ ‘行くぞ!’ ‘こりゃ、ひどい!’
‘どう?’ ‘変な感触だな’ ‘カーペットみたいだ。何回か滑れば慣れるかも’
‘そう?’ ‘あ~、転んでみるとメチャクチャ痛いぞ!紙やすりみたいだ’
中国の人工芝… イタリアの人工芝…
‘この芝ではターンは少なめにだけど、滑り出しは、もっと…スピードをつけて’
実験したビデオを見せてもらったのだが、防炎剤を使っているにもかかわらず
燃えてしまったんだ。 他の人工芝ほどではなかったけど。
大枠を設計し、調整したのは我々ですが、内部の構造は、全てエンジニアが
手がけました。 その結果… 我々の構想をはるかに超えたものが出来上がり
つつあります。
スロープの脇に設置する非常階段だけど、コンクリート製を想定してたよな?
あぁ。 でも、コンクリートじゃ、金がかかりすぎるって声が上がってる。
だったら、ホームセンターで踏み板を買ってくればいい。 長さが1メートルしか
ないなら、2枚つなげればいいだろって。 そんな調子なんだ。
私は、コペンハーゲンに、スキーができる、ゴミ処理発電所を造りました。
1歳になる私の息子は、発電所の上でスキーを滑れるのは、当然だと思って、
育つでしょう。 息子たちの世代にとっては、当たり前の風景になるのです。
ゴミを燃焼させても、クリーン。 壁面は、ボルダリングができる、クライミング
ウォール。 屋根の上にはスキー場。 ハイキングができて、鳥やキツネ等の
生き物が生息している。 それが、彼らのスタンダードになるわけです。
そして… 私が造った人工の山は、若い世代に多くのインスピレーションを
与えるでしょう。 コペンヒルが、次世代の型破りな着想を呼び込むのです。
‘ようこそウェルカム。見知らぬ、お方。お目にかかれて嬉しいわ。この選考の
場に、よく来てくれました。このゴミ処理施設は築40年。老朽化のため新たな
施設の建設が必要になりました。建築物について考え直す、またとない機会
の到来です。斬新なアイデアを集めるべく、このコンペを立ち上げました’
‘発電所用地は仕様が厳密に定められ、建物にも厳しい要件が課され全てが
規格に適合しなければならない。とはいえ我々は、建築の創造性が発揮され
るよう努めて来た。一定の枠組みに収まっていれば、自由な解釈が認められ
ます’ ‘結果発表です。建築コンペの優勝者は、満場一致で決定です!’
もし自分の住んでいる国が平たんで、誰もが、同じ高さの地表に立っていたら
広さを感じると思うでしょう? 視界を遮る山がないわけですから。 でも実際は
逆なのです。
全てが平たんで、みんなか同じくらいの背丈だと、隣の家との間にある普通の
生け垣だけでも、視界は遮られてしまいます。 映画館や劇場の床に傾斜が
ついているのは、よく見えるようにするためです。 山を造るのも発想は同じ。
ここから周囲が一望できます。 この山は、地平線を変えるだけでなく、コペン
ハーゲンに住む人の… 心象風景まで変化させる事になるでしょう。
皮肉だね。 60年代の豊かさが多くのゴミを生み出し、国じゅうがゴミの山に
なる前に、今度はゴミを焼いて電気に変えるなんて。
熱が先よ。 そう、まず熱。 ゴミを焼却した熱で発電する。 家庭のゴミ1袋で
2時間半だっけ? 4時間よ。 4時間分の電気と、5時間分の熱が供給できる。
斬新でしょ。 環境的・経済的・社会的に持続可能でなければならないと、よく
言われますが、このゴミ処理発電所は、まさにそれを実現している。 経済的で
環境に優しいインフラです。
ゴミをエネルギーと熱に変えて、しかも公園を兼ねている。 町のど真ん中に
ゴミ処理施設を造ろうとしたら、普通なら、脅迫状が届いたり、抗議デモが起き
たりするけど、僕たちの所には全く違う問い合わせが来ています。 オープンは
いつ?って。
ホントに? すごいわ! 愉快だね。 海外からの問い合わせも多いのです。
他の都市でも導入できるか?とか、海外にも持ち込めるのか?とか。 ゴミ
処理施設を、他のインフラと融合させ、住宅街の、すぐ側に建設するという、
このアイデアは… 新しい。
Q: 選考委員の方々は、斬新すぎるとは思わなかったのですか?
批判的な見方をする人は、いなかったよ。 満場一致で決定したんだ。 本当に
何というか… 素晴らしかった。 私たちが部屋に入った時、中には選考委員
だけがいて、厳粛な雰囲気が漂っていたの。 そこで目にしたのが、まさかの
スキースロープ。 自分に言い聞かせたわ。 落ち着いて興奮しないで冷静に
この案を通すには、一体、どうすればいいのかしら?って。
まだ形を持たないものに、何らかの形を与えること。 それこそが建築の力、
造形の力です。 今は、まだ実在していないけど、思い付きやアイデアで実現
できそうなものもあります。 可能性は無限大です。
例えば、クリーン・テクノロジーの技術が進めば、煙突から有害物質が一切、
排出されなくなるかも知れません。 そうなればゴミ処理施設は、公害をまき
散らす、巨大な醜い箱ではなくなります。
汚くて煩わしい存在から、都市のカルチャー・ライフの基盤へと様変わりする
のです。 もし達成できたら、世界は変わるでしょう。 型破りなアイデアで、
そんな夢のような話しが、現実になるかも知れないのです。
本物の山は内部で火山活動や地殻変動が起きています。 この人工の山でも
熱を発生させる活動が行われていて、その過程で蒸気が排出口から噴き出し
ます。 天然の岩の形成みたいにね。
また、内部の構造がデコボコになっているため、山の傾斜は均一ではなく、
不規則な起伏があって、まるで本物の山にいるような感覚を味わえます。
更に外観ですが、この発電所を、ぐるりと囲むのは、超軽量アルミニウム。
幅3.3メートル、高さ1.2メートルのパネルにして、市松模様で組み立てました。
パネル同士の間はガラス張りで、中に日光が、さし込むようになっています。
普通の発電所は内部の圧力が高まり過ぎた場合、大惨事が起こる前に屋根
をぶち抜いて、施設全体の爆発を回避します。 でも、この発電所の上には、
スキーヤーがいる。 だから、外壁が開くのです、 パカッとね。
ここにはハイキングコースやジョギングコース、マウンテンバイク用のコースも
備わっています。これまでデンマークになかった、あらゆるアウトドアスポーツを
楽しめる山が、コペンハーゲンのど真ん中に現れるわけです。
最後のポイントは、外壁。 ここは、鳥や虫たちの、すみかであると同時に、
クライミングウォールにもなっています。 その高さは、85メートル。 人工の
クライミングウォールとしては、世界一です。
アルミニウム製パネルの一部を引っ張り出して山の岩肌のような凹凸を作り、
更にアルミの部分とガラスの部分との両方に、登る時につかむホールドを取り
付けます。 エレベーターからは、発電所の内部も外の景色も見られるように
なっています。
スキーヤーがエレベーターで上がる時、中ものぞき込めるし、外に目をやれば
コペンハーゲンの町並みが一望できる。 歯を食いしばって、必死に壁をよじ
登る、クライマーの姿も見えるという造りになっているのです。
このプロジェクトがどういうものなのか、よく分かって来た。 法律にのっとった
工業用建築物の上に、基準の全く異なる娯楽施設を造ろうとしているのよね。
2つを融合させるのは、経理面だけでも厳しい。 スキー場の類には、お金が
出ないのだから。 クールなプロジェクトだけど、何しろ未知の領域だから。
レクリエーション部分の責任者は… スウェーデンの彼ね。 彼なら、きっと
やり遂げてくれる。 じゃなきゃ雇わない。
まず、私が彼に会って、それからプロジェクト・メンバーに紹介します。チームに
合流すれば、我々のコンセプトが正しく伝わるはずです。 もし、プラスチックの
スロープは嫌だ。 2カ月だけ、人工の雪を降らせばいい。なんて言われたら、
収拾がつかなくなる。 冬だけの限定オープン?
ええ。 スキー場は、冬だけにしよう。なんて話しになりかねない。 彼は、
私に、こう言ったのよ。 屋根の上にスキー場を造ろうなんて誰が言ったの?
それは、この廃棄物発電所の存在意義や、今後の展望に本当にマッチして
いるのかな?って。 今すぐミーティングだ! でも、的を射た質問でしょ。
ええ、確かに。 私は、このプロジェクトに賭けている。 だから全然、不安は
ないの。 早く、あなたと彼を会わせたいわ。 もし彼が、スキー場じゃなきゃ
駄目なの?なんて言い出したら、ギャー!助けて!ってなるわね。
このコペンヒルが、世界のゴミ問題に一石を投じるものになればと思っていま
す。 ゴミの処理については、より良い方法を模索し続けなければなりません。
第1に、ゴミの量を減らすこと。 次に、ゴミを再利用すること。 それでも残った
ゴミは、燃料にして環境に優しいエネルギーを生成すること。 ここでは、ゴミ
処理と同時に人々がスキーをしたり壁を登ったりしながら、風景を楽しむ事が
できるのです。
アメリカの人工芝 ‘よし、行こう!’ ‘行くぞ!’ ‘こりゃ、ひどい!’
‘どう?’ ‘変な感触だな’ ‘カーペットみたいだ。何回か滑れば慣れるかも’
‘そう?’ ‘あ~、転んでみるとメチャクチャ痛いぞ!紙やすりみたいだ’
中国の人工芝… イタリアの人工芝…
‘この芝ではターンは少なめにだけど、滑り出しは、もっと…スピードをつけて’
実験したビデオを見せてもらったのだが、防炎剤を使っているにもかかわらず
燃えてしまったんだ。 他の人工芝ほどではなかったけど。
大枠を設計し、調整したのは我々ですが、内部の構造は、全てエンジニアが
手がけました。 その結果… 我々の構想をはるかに超えたものが出来上がり
つつあります。
スロープの脇に設置する非常階段だけど、コンクリート製を想定してたよな?
あぁ。 でも、コンクリートじゃ、金がかかりすぎるって声が上がってる。
だったら、ホームセンターで踏み板を買ってくればいい。 長さが1メートルしか
ないなら、2枚つなげればいいだろって。 そんな調子なんだ。
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