2021年12月16日 (木) | 編集 |
FC2トラックバックテーマ:「あなたが冬を感じる瞬間はいつですか?」
地球。 宇宙から見た、この青い姿は、多くの宇宙飛行士を虜にして来ました。
国際宇宙ステーションには、地球を眺めるために作られた、専用の部屋まで
あります。 青い色の正体は、そう、海です。
惑星表面の7割を占める事から、地球ではなく、水球の方がふさわしいという
人さえいます。 ところが、この海、一体、いつ、どのようにして地球に誕生した
のか? よく分かっていません。
“地球軌道には、もともと水が、ほとんど無かったと言われている”
“この地球の海の存在は、普遍的なものなのか?特殊的なものなのか?
それが大きな謎です”
その謎に、世界に先駆け果敢に挑んでいるのが、日本の研究者たちです。
世界を、うならせるシナリオを生み出しました。
海は、地球が出来る過程で生まれて行ったのか? それとも、地球が出来た
あと、大量の隕石落下によって、もたらされたのか?
“地球が出来る時に、マグマオーシャンと、水蒸気大気という状態があれば、
海の量は、それで決まる。 地球の水の起源は、隕石が運んで来たと思う
のが、量や組成を考えても無理がない”
海の起源をめぐるミステリー。 初めて明かされる壮大な物語です。
私たちは、当たり前のように、そこにあると思っている、海。 しかし、多くの
科学者は、地球に海があること自体、簡単には説明ができない事だと考えて
いるようです。
一体、なぜ、地球に海があること自体が、あり得ないのでしょうか?
今から、およそ46億年前。宇宙に漂うガスとチリの雲が集まり、私たちの太陽
は生まれました。 生まれたての原始太陽の周りには、まだガスとチリの円盤
が僅かに残っています。それらを材料にして、太陽系の惑星は誕生しました。
太陽に近い順に、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星。
太陽系にある8つの惑星のうち、表面に海があるのは地球だけです。 その
理由は、地球と太陽の距離にあります。
太陽に近すぎると、水は気体となって蒸発してしまいます。 遠すぎると、固体
である氷になってしまいます。 地球は水が表面に液体として存在できる絶妙
な距離にあるのです。 この距離は、ハビタブルゾーンと呼ばれています。
水が、液体として存在できる距離にあるため、地球には海があるとなるわけ
です。 ところが、この説明には、水が、いつ、どうやって地球に、もたらされた
のかが、入っていません。 海の起源。 これが大きなミステリーなのです。
惑星がガスとチリから、どのように誕生するのか?理論と計算で解く准教授も
“海がある事が、すごく不思議ですね” なぜ、不思議なのでしょうか?
惑星の材料となるチリには、氷を含むものと含まないものがあり、地球は氷を
含まない、チリが集まってつくられたと考えられています。 チリが氷を含むか
含まないかの境界は、スノーラインと呼ばれ、火星と木星の間にあります。
“スノーラインの場所は、この青い線で示しています。このスノーラインの内側
だと、氷は全て蒸発してしまって、固体の粒子は全部、岩石質の物質だと
思われています。その外側の場所は氷が固体として存在できて、固体物質の
中には、たくさんの氷が入っているという風に思われています”
地球は、スノーラインの内側で誕生したため、そこには氷を含まない、チリしか
ありませんでした。そのため理論上は地球に海が出来るはずはないのです。
では地球はスノーラインの外側で生まれ今の位置まで移動し来たと考えたら
どうでしょうか?
“もしスノーラインの外側で地球が出来たとすると、最悪の場合、惑星の半分
ぐらいの質量が水のような、水でビシャビシャな惑星になってしまう。それが、
今の地球の姿にまで進化したと考えるのは、ちょっと難しいのではないかなと
いう風に思います。水深で言うと1000キロぐいらですかね…”
現在の地球の海の平均水深は、およそ3キロ。 水深1000キロは、その300倍
以上。 地上400キロを飛ぶ、国際宇宙ステーションの倍以上の高さになって
しまいます。 理論では存在しないはずの地球の海。
では、どのようにして誕生したのでしょうか?
世界に先駆け、その謎を解いたのが、惑星理論の第1人者の学長です。
1980年代、世界で注目されていた理論がありました。 原始地球に落ちて来た
隕石は、衝突によって物質がガス化するという、衝突脱ガス理論です。
学長は、その理論を発展させ、水は、原始地球に落ちた大量の隕石の中に
含まれていたと考えました。
“衝突脱ガス過程と、惑星の形成過程と、熱史を全部カップルさせて解いたら
どうなるのかと数値計算をやってみたわけです。その時に頭の中では水蒸気
大気が出来るだろうと…”
1986年。 学長は当時、東京大学の教え子だった彼と共同で、海の起源に
ついて研究を行いました。 そして地球の海は地球形成時に、原始の水蒸気
大気から誕生したというメカニズムを発表しました。
学長と教え子が考えた地球の海、誕生のシナリオです。
今から、およそ46億年前、原始の地球は、まだ5分の1ほどの大きさでした。
表面はマグマの海、マグマオーシャンに覆われています。 そこに水を含んだ
小惑星が、雨のように降り注ぎます。
衝突の衝撃でガス化した水蒸気や二酸化炭素により、上空には原始大気が
形成されます。 原始大気は上空300キロ以上の高さまであり、そこでは雨が
降り続いていますが、地上にまでは落ちて来ません。
マグマの海の熱により、蒸発してしまうからです。 やがて、隕石の落下が
収まると、地球の温度は下がり始めます。 すると、上空の雨が地表にまで
落ちて来るようになります。
こうして地球には、隕石落下から、およそ100万年で海が誕生したと、学長と
教え子は考えました。
“地表から加熱されなくなると、冷えてくると、水蒸気大気は安定じゃないから
雨になって降るわけです。ものすごい雨が降って、それによって海が出来る”
海は、地球が今の大きさになって行く過程で生まれたという、学長と教え子の
モデル。 しかし、根強い反論がありました。 カギを握るのは、月です。
1969年、アメリカはアポロ計画で、人類初の月探査に挑みました。 挑戦は、
見事、成功!人類は初めて地球以外の天体に降り立ちました。そしてアポロは
月の石を持ち帰りました。 そこから、驚くべき事実が明らかになりました。
それは、人類が初めて、月誕生の秘密に迫るものでした。 月の石の成分
分析から誕生間際の月は全面マグマの海マグマオーシャンで覆われていた
事が分かりました。
その事から、月がどのようにして生まれたのかが解き明かされて行きました。
小さなチリから始まった地球は衝突と合体を繰り返し、今の大きさにまで成長
して行きます。 そして、およそ1億年後。
原始地球の10分の1ほどの質量の微惑星が、地球をかすめるように衝突しま
した。 ジャイアント・インパクトと呼ばれています。
衝突した微惑星の大半と、原始地球の表面の一部が、宇宙空間に飛び散り
ます。 飛び散った天体のカケラが集まって誕生したのが、月です。 月は、
まさに地球と兄弟ともいえる天体。
実際、アポロが持ち帰った月の石の成分は、地球とほとんど同じでした。
もし、地球に海があったとしても、ジャイアント・インパクトによって、海も大気も
全て宇宙に吹き飛んでしまったはずだと、多くの研究者たちは考えました。
地球の海の起源のミステリーは、深まるばかりです。
地球。 宇宙から見た、この青い姿は、多くの宇宙飛行士を虜にして来ました。
国際宇宙ステーションには、地球を眺めるために作られた、専用の部屋まで
あります。 青い色の正体は、そう、海です。
惑星表面の7割を占める事から、地球ではなく、水球の方がふさわしいという
人さえいます。 ところが、この海、一体、いつ、どのようにして地球に誕生した
のか? よく分かっていません。
“地球軌道には、もともと水が、ほとんど無かったと言われている”
“この地球の海の存在は、普遍的なものなのか?特殊的なものなのか?
それが大きな謎です”
その謎に、世界に先駆け果敢に挑んでいるのが、日本の研究者たちです。
世界を、うならせるシナリオを生み出しました。
海は、地球が出来る過程で生まれて行ったのか? それとも、地球が出来た
あと、大量の隕石落下によって、もたらされたのか?
“地球が出来る時に、マグマオーシャンと、水蒸気大気という状態があれば、
海の量は、それで決まる。 地球の水の起源は、隕石が運んで来たと思う
のが、量や組成を考えても無理がない”
海の起源をめぐるミステリー。 初めて明かされる壮大な物語です。
私たちは、当たり前のように、そこにあると思っている、海。 しかし、多くの
科学者は、地球に海があること自体、簡単には説明ができない事だと考えて
いるようです。
一体、なぜ、地球に海があること自体が、あり得ないのでしょうか?
今から、およそ46億年前。宇宙に漂うガスとチリの雲が集まり、私たちの太陽
は生まれました。 生まれたての原始太陽の周りには、まだガスとチリの円盤
が僅かに残っています。それらを材料にして、太陽系の惑星は誕生しました。
太陽に近い順に、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星。
太陽系にある8つの惑星のうち、表面に海があるのは地球だけです。 その
理由は、地球と太陽の距離にあります。
太陽に近すぎると、水は気体となって蒸発してしまいます。 遠すぎると、固体
である氷になってしまいます。 地球は水が表面に液体として存在できる絶妙
な距離にあるのです。 この距離は、ハビタブルゾーンと呼ばれています。
水が、液体として存在できる距離にあるため、地球には海があるとなるわけ
です。 ところが、この説明には、水が、いつ、どうやって地球に、もたらされた
のかが、入っていません。 海の起源。 これが大きなミステリーなのです。
惑星がガスとチリから、どのように誕生するのか?理論と計算で解く准教授も
“海がある事が、すごく不思議ですね” なぜ、不思議なのでしょうか?
惑星の材料となるチリには、氷を含むものと含まないものがあり、地球は氷を
含まない、チリが集まってつくられたと考えられています。 チリが氷を含むか
含まないかの境界は、スノーラインと呼ばれ、火星と木星の間にあります。
“スノーラインの場所は、この青い線で示しています。このスノーラインの内側
だと、氷は全て蒸発してしまって、固体の粒子は全部、岩石質の物質だと
思われています。その外側の場所は氷が固体として存在できて、固体物質の
中には、たくさんの氷が入っているという風に思われています”
地球は、スノーラインの内側で誕生したため、そこには氷を含まない、チリしか
ありませんでした。そのため理論上は地球に海が出来るはずはないのです。
では地球はスノーラインの外側で生まれ今の位置まで移動し来たと考えたら
どうでしょうか?
“もしスノーラインの外側で地球が出来たとすると、最悪の場合、惑星の半分
ぐらいの質量が水のような、水でビシャビシャな惑星になってしまう。それが、
今の地球の姿にまで進化したと考えるのは、ちょっと難しいのではないかなと
いう風に思います。水深で言うと1000キロぐいらですかね…”
現在の地球の海の平均水深は、およそ3キロ。 水深1000キロは、その300倍
以上。 地上400キロを飛ぶ、国際宇宙ステーションの倍以上の高さになって
しまいます。 理論では存在しないはずの地球の海。
では、どのようにして誕生したのでしょうか?
世界に先駆け、その謎を解いたのが、惑星理論の第1人者の学長です。
1980年代、世界で注目されていた理論がありました。 原始地球に落ちて来た
隕石は、衝突によって物質がガス化するという、衝突脱ガス理論です。
学長は、その理論を発展させ、水は、原始地球に落ちた大量の隕石の中に
含まれていたと考えました。
“衝突脱ガス過程と、惑星の形成過程と、熱史を全部カップルさせて解いたら
どうなるのかと数値計算をやってみたわけです。その時に頭の中では水蒸気
大気が出来るだろうと…”
1986年。 学長は当時、東京大学の教え子だった彼と共同で、海の起源に
ついて研究を行いました。 そして地球の海は地球形成時に、原始の水蒸気
大気から誕生したというメカニズムを発表しました。
学長と教え子が考えた地球の海、誕生のシナリオです。
今から、およそ46億年前、原始の地球は、まだ5分の1ほどの大きさでした。
表面はマグマの海、マグマオーシャンに覆われています。 そこに水を含んだ
小惑星が、雨のように降り注ぎます。
衝突の衝撃でガス化した水蒸気や二酸化炭素により、上空には原始大気が
形成されます。 原始大気は上空300キロ以上の高さまであり、そこでは雨が
降り続いていますが、地上にまでは落ちて来ません。
マグマの海の熱により、蒸発してしまうからです。 やがて、隕石の落下が
収まると、地球の温度は下がり始めます。 すると、上空の雨が地表にまで
落ちて来るようになります。
こうして地球には、隕石落下から、およそ100万年で海が誕生したと、学長と
教え子は考えました。
“地表から加熱されなくなると、冷えてくると、水蒸気大気は安定じゃないから
雨になって降るわけです。ものすごい雨が降って、それによって海が出来る”
海は、地球が今の大きさになって行く過程で生まれたという、学長と教え子の
モデル。 しかし、根強い反論がありました。 カギを握るのは、月です。
1969年、アメリカはアポロ計画で、人類初の月探査に挑みました。 挑戦は、
見事、成功!人類は初めて地球以外の天体に降り立ちました。そしてアポロは
月の石を持ち帰りました。 そこから、驚くべき事実が明らかになりました。
それは、人類が初めて、月誕生の秘密に迫るものでした。 月の石の成分
分析から誕生間際の月は全面マグマの海マグマオーシャンで覆われていた
事が分かりました。
その事から、月がどのようにして生まれたのかが解き明かされて行きました。
小さなチリから始まった地球は衝突と合体を繰り返し、今の大きさにまで成長
して行きます。 そして、およそ1億年後。
原始地球の10分の1ほどの質量の微惑星が、地球をかすめるように衝突しま
した。 ジャイアント・インパクトと呼ばれています。
衝突した微惑星の大半と、原始地球の表面の一部が、宇宙空間に飛び散り
ます。 飛び散った天体のカケラが集まって誕生したのが、月です。 月は、
まさに地球と兄弟ともいえる天体。
実際、アポロが持ち帰った月の石の成分は、地球とほとんど同じでした。
もし、地球に海があったとしても、ジャイアント・インパクトによって、海も大気も
全て宇宙に吹き飛んでしまったはずだと、多くの研究者たちは考えました。
地球の海の起源のミステリーは、深まるばかりです。
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