fc2ブログ

平和な田舎暮らしに美容・健康など自由気ままに綴っています!
近年、東京で外来種の緑のインコ軍団の目撃相次いでいるのは何故か?
2021年12月12日 (日) | 編集 |
FC2トラックバックテーマ:「あなたが冬を感じる瞬間はいつですか?」
東京・渋谷の住宅街。 その一角に、意外な生きものが大群でやって来ます。
緑色の鳥の群れ、その数100羽近く。 ワカケホンセイインコという、外国の
インコです。 今、東京の各地で、大群の目撃が相次いでいます。

番組で情報を募集したところ… 六本木ヒルズで見た。 近所の神社に大群が
来る。 などのお便りが…。 そして、都会で一体、どんな生活をしているか?
調べてほしいとの要望を、多数頂きました。

そこで取材班は、寄せられ目撃情報をもとに、2月から、急きょ取材を開始。
本来の生息地スリランカも訪ね、野生での意外な暮らしに密着しました。

東京で目撃が相次ぐワカケホンセイインコ。その知られざる生態に迫ります!


第1章 目撃相次ぐ!緑のインコ軍団

今回、番組に情報をくれた小学生の女の子。 鳥が大好きだという女の子の
お部屋に案内してもらうと… 壁には自分で描いたという鳥の絵がいっぱい。
中でも、今、1番気になっているのが、ワカケホンセイインコ。

実は、女の子は、ワカケホンセイインコがよく見られる場所を調べて、番組に
送ってくれたのです。  “こっち側にあるフェンスに、いつもとまってて、ここが
うちの桜で、いつもとまってる”  早速、現場を案内してもらうと…。

“あ!インコ!インコ!すごいいる!”  いました!ワカケホンセイインコです。

全長40センチほど。 本来、インドやスリランカなどに暮らす鳥です。 頂いた
情報の中で、最も多かったのが、家の庭に、やって来るというもの。

小鳥のために置かれたエサ台に、姿を現すというのです。 こちら東村山市の
お宅では、3年ほど前から庭に来るようになったそうです。 あ、来ました。

クチバシで網をくわえながら下りて行きます。 ワカケホンセイインコの主食は
植物。 種や果物を好んで食べます。 それにしても庭に派手なインコが来る
なんて、不思議な光景ですね。

渋谷区のお宅からは、家に大群でやって来るという情報が寄せられました。
食べ物が少ない冬、屋上に小鳥のためにお米を用意したところインコが大群
で来るようになったといいます。

その大群を捉えるため、カメラを設置させてもらいました。 しばらくすると、
近くの木に、ワカケホンセイインコが集まって来ましたよ。 屋上にも来ました。
でも、まだ大群というほどではないですねぇ。

最初にエサ台に来たのはヒヨドリです。 あ、スズメの群れもやって来ました。
そして… インコも次々と飛んで来ます。 あっという間に、エサ台は緑一色!
こちらのお宅では、インコの大群が、冬の風物詩になっているのだそうです。

更に小金井市のお宅からは、夕方に無数のインコが飛んで来るという情報が。
現場に急行すると、上空に、ものすごい大群が現れました。 町の人も思わず
足を止めるほどの大群。 その向かう先には… 竹藪。 

実は、ここが、ねぐらになっているのです。 この場所に集まるインコの数は、
300羽にもなります。 2月頃から突如、大群で現れるようになったといいます。
地元では、インコは、もはや鳩よりもメジャーな鳥なのだそうです。

現在、日本に生息するワカケホンセイインコはおよそ1700羽。 その大部分が
東京で暮らしています。

しかし、なぜ、本来、日本にいないはずのインコが、東京にいるのでしょう?

それは、今から60年ほど前のペットブームに遡ります。 手軽に飼うことが
できるインコの仲間は人気を集め、ワカケホンセイインコも、この時期にペット
として大量に持ち込まれました。

それがカゴから逃げたり、放されたりして、一部が野生化したというわけなの
です。 ワカケホンセイインコは、本来の生息地では平地だけでなく、標高の
高い所にも暮らしています。

だから、寒い東京の冬でも生き残って来られたのです。

実は、このワカケホンセイインコ、今、東京だけでなく、世界中の都会で数を
増やしています。 東京と同様、ペットが野生化し、世界30カ国以上で急激に
増えているのです。 なぜ、都会で増えるのか?

本来の暮らしぶりを見れば、その理由が分かるはず! そこで、もともとの
生息地の1つ、スリランカに向かいました。 ところが、ワカケホンセイインコが
好む草原や林を、いくら探しても姿が全く見当たりません。

必ず観察できる場所があると、地元の人に案内されたのは… なんと田んぼ。
ちょうど収穫の最盛期を迎えています。 あっ、鳥の群れが現れました。
野生のワカケホンセイインコです。 舞い降りたのは、倒れた稲の上。

群れで収穫間際のお米を食べています。 全部で100羽近く。 スリランカでは
70年ほど前から、こうして田んぼや畑で、よく姿が見られるようになったといい
ます。 林や草原が農地に変わり、人の営みを利用するようになったのです。

地元の人は言う。 “インコを追い払ったりはしません。同じ自然の中で生きて
いるのだから、それを許す事が、良い行いだと思っています”

更に近年、ワカケホンセイインコを取り巻く状況は、大きく変わりつつあると、
研究者は言います。 それは、スリランカの各地で進む、急激な都市化です。

開発によって、ワカケホンセイインコが好む自然環境が、どんどん減っている
のです。 現地で取材を進めると、ワカケホンセイインコが爆発的に数を増や
している場所がある事が分かりました。 それは、都会。

なんと、スリランカでも、都会で増えているのです。 ワカケホンセイインコは、
もともと開けた林や草原を好みます。 木々がまばらに生える都会は、本来の
生息環境と、比較的、似ていたのです。

しかもスリランカは、仏教の信仰があつく、生きものを大切にする風習がありま
す。 そのため、街なかの至る所にエサ台があり、インコが食べるのに困る
事もありません。 更に、子育ては建物の隙間。

本来は木のウロに巣を作りますが、隙間でも大丈夫。 驚くべき適応力で、
都会で数を増やすワカケホンセイインコ。

東京での暮らしぶりにも、その繁栄のヒントがあります。

再び、エサ台に大群が来る、渋谷区のお宅。 ここでの行動にワカケホンセイ
インコが、都会を生き抜く秘訣が見られるといいます。

手すりに止まったインコたち。 でも、なかなかエサに近付こうとしません。
スズメが、やって来ました。 しかしインコは、ジッと見ているだけ…。

研究者によると、こうして他の鳥の行動を観察する事で、エサ台が安全かどう
かを確認しているのではないか?といいます。

例えば真っ先にエサ台に行ってしまうと、物陰に隠れていたネコなどに襲われ
てしまう可能性があるからです。 他の鳥をじっくり見て安全を確認すると一斉
に舞い降りるインコたち。 そして数で圧倒してエサ台を独占してしまいます。

この慎重さと、ずうずうしさが、都会を生き抜く秘訣の1つなのです!

更に、慎重な暮らしぶりは夕方、ねぐらに入る時にも見られます。 よく見ると
すぐに竹やぶに入らず素通りしていますよね。 群れが向かった先は、竹藪の
側の電線。 ねぐらに入る前には、必ず電線に止まります。

こうして、ねぐらの中に天敵のカラス等がいないか、周囲の様子を観察してい
るのです。 そして異常がない事が確認できると一斉に、ねぐらに向かいます。

群れで行動し、常に安全に気を配る、この習性があるからこそ、都会という
新天地で生き延びる事ができたのです。

都会で生きる秘訣は、まだあります。その能力を捉えた貴重な映像がこちら。
庭にジュースの入ったビンを置いたところ、まず、ヒヨドリが飲み始めました。
その様子をジッと見る、ワカケホンセイインコ。

その数日後、インコがジュースを飲み始めました。 ヒヨドリを観察して、初めて
見るジュースを、新たな食べ物と学習したのです。

この高い学習能力で、新たな環境の中でも柔軟に食べ物のバリエーションを
増やす事ができた。 この事も、また、都会で生きられる理由の1つです。

そして何よりも、鮮やかで愛らしい見た目のおかげで、追い払われる事なく、
都会で数を増やして来たのです。

ちょっと待った!いや、確かにキレイな鳥ですけど、もともといなかった東京で
増えるのは問題じゃないのですか?

確かに、日本では外来種。 心配は、ごもっともです。 最も影響が考えられる
のは、同じような場所に巣を作る、ムクドリやシジュウカラなどの小鳥。

研究者によると、巣穴を奪い合う様子が観察されていますが、生息を脅かすと
いうところまでは、いっていないといいます。

あぁ、そうなんだ。 でも、さっきスリランカで稲を食べてたでしょ? 農家さん
には、大迷惑なんじゃないでしょうか?

確かに、みかんやビワなどの果物が食べられたという報告があるそうなので
すが、ほとんどが家の庭で、農業被害という所までは至っていないそうです。

しかし、これから更に数が増え、新たな食べ物を学び、農業に被害を与える
可能性も否定できません。

今後の影響については、注意深く見て行く要があると研究者も言っています。

なるほど! このまま数が増えて、インコたち、インコげんにしなさい!なんて
言われなければいいのですけどね…。


皆さんの疑問を、番組が徹底取材!  今回のご依頼は、埼玉から。
お便りをくれた男性です。 毎年、庭で不思議な事件が起きるといいます。

被害に遭うのは、庭の池にいる、ヒキガエルのオタマジャクシたち。

“ある日、突然、数千ものオタマジャクシが、消えてしまうのです”

なんと、大量のオタマジャクシが、ある日、こつ然と姿を消してしまうのです!

その犯人を突き止めてほしいというのが、今回の依頼。 取材班は、カメラを
設置して、真相を確かめる事に。 それから3週間。

依頼主から、オタマジャクシが一斉に消えてしまったとの連絡が…。 しかし、
写っていたのは、通りかかったネコだけ。 他に、生きものの姿は写っていま
せんでした。 どういう事なのか? 専門家に話を聞きました。

“失踪したわけではなくて、ヒキガエルは前足が出て来ると一気にカエル化が
進み、2~3日で上陸してしまうのです”

こつ然と消える理由は、カエルになって池から出ていたから、だったのです。

ヒキガエルのオタマジャクシは、生まれて10日ほどで後ろ足が生え始め、生後
2カ月で前足も生えます。 そして、たった2日余りでカエルに姿を変えるのです。

同時に産み落とされた卵は、カエルになるタイミングも同じ。 だから、一斉に
池から上陸し、突然、いなくなったように見えたのです。納得、頂けましたか?


第2章 追跡!驚きの子育て術

3月。 桜満開の東京で奇妙な事件が起き始めます。 桜の木の下、何者かに
枝ごと折られた花が、ちらほら…。 その犯人こそ、あのワカケホンセイインコ。

あっ、枝を折って花を、ちぎっています。 じつはこれ、花の根元の蜜を吸って
いるのです。 桜の蜜を食べる鳥は、ヒヨドリやメジロなど、他にもいます。

桜が、ご馳走だというのも、他の鳥を見て学んだのかも知れません。 春は、
ワカケホンセイインコの恋の季節。 都内のお寺の木に止まった、この2羽。
左がメス。 右の、首に黒い模様があるのがオスです。

オスがメスを毛繕い。 仲のいい夫婦のようです。 夫婦は、巣穴を探してい
ます。 東京では、よく子育てに、木のウロ(穴)を利用するそうです。

穴の大きさを、じっくり吟味。 こっちは、どうかな? 別のオスが攻撃して来ま
した。 一体、何事でしょう? あっ、中からメス。 既に、別の夫婦が利用して
いたのです。

巣穴は、天敵のカラスが入れない、自分が通れるギリギリの大きさのものが
人気。 都会のマイホームにも、こだわりがあるのですね。 5月になりました。
あっ、ヒナです。 親から食べ物を、もらっています。

ヒナが巣立つまで、およそ50日かかります。 こちらのお寺では3つの夫婦が
間近で子育てしています。 ワカケホンセイインコは、安全のために、子育ても
集団で行うといいます。 オスとメスには、役割分担があります。

オスは、もっぱら食べ物探しに専念。 メスは巣に残り、ヒナの世話をします。
観察を続けると、オスの謎の行動が見えて来ました。

なぜか夜になると、姿を消してしまうのです。 一体、オスは、どこへ行くので
しょう? ワカケホンセイインコの生態を調べている方と、オスに発信機をつけ
あとを追いました。 あっ、インコ発見! たくさん、います。

ここは、ねぐら。 子育て中のオスは、巣にメスとヒナを残し、元居た群れの
ねぐらに、毎晩、帰っていたのです。

調査したオスは、ねぐらから7キロも離れた巣に、毎日、わざわざ通っている
事が分かりました。 どうして、そんな事をするのでしょう?

“ねぐらに戻って、食べ物の情報交換をしていると考えられます。 それで、
ねぐらに戻るというメリットもあるかと考えられます”

生態を調べている方が言う情報交換は、朝、ねぐらから出る時の行動に、
あらわれているそう。 まさに、この時です!

真っ先に出て行くインコは、食べ物がある場所を知っている可能性が高いと
考えられます。 このインコについて行く事で、食べ物の在りかを、効率よく
知れるというわけです。 こちらが、発信機で分かった、オスの行動範囲。

渋谷駅に程近い住宅地など、頻繁に立ち寄る場所が、数カ所ある事が分かり
ました。 そのうちの1つの住宅地を訪ねると…。

いました! 電線に何羽も止まっています。 お目当てはエサ台。 誰かが
見つけて集まって来たのです。 その近くの街路樹にも訪れていました。
ここで食べているのは桜の実。 色の濃い熟したものを選んで食べています。

そして、渋谷駅から徒歩10分。 なんと、NHKにも通っていました。 発信機が
示すのは、建物の横につくられた小さな緑地です。 その場所には、インコの
好きなヤマモモが。 季節ごとに変わる果実や、庭先の小さなエサ台。

都会の中に点在する食べ物の情報を共有する事で子育てに必要な食べ物を
効率的に探す事ができるのです。

5月下旬。 ヒナは、間もなく巣立ちを迎えます。 すっかり成長し、穴から顔を
出す回数が増えて来ました。 でも、この時期が、ヒナにとっては最も危険!

穴から顔を出すようになったヒナを、カラスが襲う事があるのです。 カラスが
様子をうかがっています。 次の瞬間、一斉に親たちが飛び立ちます。

近くで子育てをする親同士が力を合わせてカラスに挑みます。 あっ、カラスが
逃げ出した! 仲間との結束で、強敵を追い払いました。

それから数日後の事。 親が巣にやって来ました。 あれ?食べ物を与えずに
去って行きます。 また来ました。 ヒナに巣立ちを促しているのです。

巣立ちです! 別の巣でも! 次々と、ヒナが巣立って行きます。

夕暮れ時。 集団ねぐらに、インコたちが帰って来ました。 奥にいるのは、
巣立ったばかりの子供。 2カ月ほど、親と一緒に過ごします。

皆さんの情報をもとに密着し、明らかになった、ワカケホンセイインコの暮らし
ぶり。 今後、日本の自然や私たちの生活に、どんな影響を及ぼすのか?
番組(NHK)では、引き続き見守って行きたいと思います。