2021年12月11日 (土) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「〇〇1年分!もらえるとしたら何がいい?」
今回は、皆さん、ご存知のメダカ! 今、さまざまな色や形に品種改良もされて
いて、空前のメダカブームを迎えています。
江戸時代の浮世絵にも描かれ、古くから日本人にとって身近な存在だった
メダカ。 ところが、環境の悪化などが原因で数が減り、20年ほど前には絶滅
危惧種になってしまったのです。
そこで番組では、野生のメダカを求め、日本全国を徹底調査!
すると、意外な場所で、次々と発見!
住宅街のど真ん中から… なんと、海の魚ボラと一緒に泳ぐ姿まで! さらに、
氷漬けになっても、まさかの能力で、危機を回避できる事が判明。
そして、イルカ顔負けの大ジャンプ! 驚きのスゴ技、連発です!
日本全国、大調査! 知ってビックリのメダカの秘密に迫ります!
第1章 全国メダカ大調査!
番組では、野生で暮らすメダカの情報を募集。 すると以外にも、日本全国、
さまざまな場所から情報が寄せられました。 更に、なんと大都会・東京からも
多くの投稿が! 絶滅危惧種のメダカが、本当にいるのでしょうか?
まず情報が入ったのは、多摩川。 市街地を流れる大きな川です。 早速、
現場へと急行!
投稿者の少年は、多摩川で川遊びをしている時に、メダカらしき魚を見つけた
のだそうです。 “メダカみたいな魚が、向こう側にいました”
近年、水質が改善され、キレイになった多摩川。メダカまでいるのでしょうか?
小さい魚が、いっぱいいますね。 いきなり発見? 捕まえて確かめてみます。
小さくてカワイイ魚。 でも何か違うような…? メダカじゃない? メダカかも?
実はこちらメダカではなく、他の川魚の赤ちゃん。 ポイントは背びれの位置。
メダカは、体の真ん中よりも、かなり後ろにあるのです。 尾びれや尻びれの
形も違います。 メダカじゃなさそう。 う~ん、残念!
メダカって他の魚の赤ちゃんと間違えやすいのです。 更に見た目がソックリな
外来魚もいるので、メダカと思ったら、実は違ったって事がよくあるのです。
絶滅危惧種のメダカ。 やはり東京には、いないのでしょうか? ところが、
またもや東京の川で、メダカを見つけたと言う情報が! (東京・八王子)
こちらの男性は、少なくとも5年ほど前から、ずっと目にしているそうです。
Q: この大きな川に、メダカがいるのですか?
“そうなのです。 私もビックリしました。 川の流れが少なくて浅瀬なのですが
こちらになります”
Q: え?ここですか? え?ここにメダカが、たくさんいるのですか?
“はい。たくさんいます!” 案内されたのは川の本流ではなく、河川敷にある
よどみ。 町に降った雨水が、一時的に、たまっている場所です。
よく見てみると、小さい魚が、たくさん! 今度こそ、メダカでしょうか?
さっきの魚とは、姿が違います。 背びれは、体の真ん中より後ろ。 尾びれや
尻びれの形も、メダカそのものです。
これは、間違いなくメダカですね! 東京にもメダカが、すんでいました!
絶滅危惧種のメダカ。 東京のような都会の川にも、いるのですね!
愛媛県からは、更に驚きの情報が入りました! なんと、住宅街のど真ん中に
メダカがいるというのです! 情報をくれたのは、小学5年生の女の子。
女の子の夏休みの自由研究のテーマは、毎年、メダカ。 自宅のベランダで
メダカを増やし、育て続けている、メダカ大好き小学生です。
Q: メダカの、どんなところが好きなのですか?
“丸っこくて、ヒヨヒヨしているところがカワイイと思います”
見つけた場所に、案内してもらいます。
Q: こんな住宅街にメダカがいるのですか? “はい。ここら辺に、よくいます”
Q: え?ここ? え?この水路にいるのですか? “はい”
やって来たのは、住宅街を流れる水路。 Q: え?いるのかな?本当に…。
コンクリートに囲まれていて、魚がすめるような場所ではなさそうですが…?
“あ、ここにいます!” Q: え? あ~、ホントだ!泳いでる!
確かに、それらしい魚が泳いでいます。 水中にカメラを置いてみると…これは
間違いなくメダカ! でもどうして、こんな住宅街の真ん中にいるのでしょう?
その理由を教えてくれたのは偶然、通りかかった地元の方。 “メダカ珍しい?
私が子供の頃、55年くいら前かな、メダカなんて、たくさんいました”
Q: 昔しは、この辺りは、どういう土地だったのですか?
“田んぼですね。 田んぼの中に、集落が点々とある”
実は昔、この辺りは住宅地ではなく、メダカがすむ田んぼが広がっていたのだ
そうです。 住宅地が造られた後も水路は残り、そこでひっそりと命をつないで
来たというわけです。 でも、小学生の女の子には、更なる疑問が。
“ここら辺には、こういう水路がたくさんあるのですけど、なぜか、ここにしか
メダカがいないんです”
実は女の子は、他の水路にもメダカがいるのではないかと、町じゅうを探して
くれました。 ところが、見つけたのは1カ所だけ。 確かに不思議ですねぇ。
その理由を探るキーワードを、メダカ一筋40年以上、日本全国のメダカを調べ
尽くした、新潟大学の名誉教授に聞きました。
“メダカは、すみっこの魚なのです” え? すみっこの魚?
“すみっこというのは大きな川や湖のように他の魚がすむような場所じゃない
ところ…” メダカは、体長4センチほどの日本一、小さな淡水魚です。
そのため、大きな川や湖ではなく、細くて浅い水路や、小さなよどみの端っこ
など、他の魚がすめない、すみっこの暮らしが大好きなのです。
小学生の女の子が見つけたメダカのいる水路は… 水深4センチほど。
この浅さでは、体の大きな魚は暮らせません。 もう1つ重要なのが、水の流
れる速さ。 メダカがいる場所と、いない場所を比べると、ずいぶん違います。
そこで、メダカがいる場所で、水の流れる速さを測ってみます。 水面を流れる
葉っぱが目印です。 すると… 1秒間に、およそ9センチ。
これくらいの流れが、メダカのお気に入り! 体が小さいメダカは、泳ぐ力が
弱いので、勢いよく水が流れていると、その場に長くとどまる事ができずに、
流されてしまうのです。
水深が浅く、流れが緩やかな、すみっこ。 町なかにある水路の中で、ここ
だけが、メダカが好む条件を満たしていたのです。 更に…。
“水路の脇の藻の中に、卵がいっぱい、ついてます”
緩やかな流れの水路には、たくさんの水草が。 実は、これも重要なポイント。
メダカは、卵を水草に産み付け、子供は、そこを隠れ家にできます。 田んぼ
から住宅街になって水路がコンクリートに囲まれても、こうした場所が残って
いれば、生き残れるというわけですね。
すみっこの魚、メダカ。 その究極の生息場所があると聞いて、取材班は、
広島県へ! やって来たのは、50メートル四方の小さな池。
でも、普通の池じゃありません。 実は、この池、海と隣り合わせなのです!
1日に2回、満潮の時には海とつながり、海水が池に入って来ます。 なんと、
海の水が混ざっている池で、元気に泳いでいます!
塩分の濃度を測ってみると… 1.4%。 これは、水1リットルに対して、塩大さじ
1杯ほどを混ぜた濃さ。 一般的なカップ麺と同じくらいの、しょっぱさです。
ちょっと待った! メダカが塩水でもすめるのは驚きです! 何で平気なの?
実はメダカは、海で暮らすサンマやトビウオに近い仲間で、もともと塩水に
耐える能力が高いと考えられています。 だからほら、海の魚のボラと一緒に
泳いでいる場所まであるのですよ!
この能力、メダカが、たまたま持ち合わせているわけではなくて、むしろ、フル
活用して生き延びて来たようなのです。 大雨で川の水が増えると、メダカが
川から海へ流されてしまう事があります。 でも、河口近くならメダカは大丈夫。
更に、海を伝って行けば、他の川へ生息域を広げる事さえ出来るのです。
へえ~! メダカって、めだかな~い、かよわい魚だと思ったら、意外とたくま
しいんですね! じゃあ、何で、絶滅危惧種になってしまったの?
おっ、鋭いですねぇ。 それは、メダカ博士に聞いてみましょう!
“最近の激しい減り方は、恐らく、水の管理の厳しさによるものだと考えていま
す。 つまり、すみっこがないのです…” え?すみっこがない?
はい。 洪水を防いだり農業を効率的に行うため、日本では川をコンクリートで
覆い、水門を作って流れをコントロールするようになりました。 必要な時に
水を流し、要らない時には水を止める。
すると、メダカがすみやすい、すみっこ、つまり、緩やかな浅い流れの場所が
なくなってしまうのです。
なるほど~。 すみっこで暮らすメダカにとって、すみっごこちの良い場所を、
これからも残せるといいですなぁ~。
メダカに秘められた、知られざる能力。 実は、まだまだあるのですよ!
教えてくれたのは、またまた登場! 全国のメダカを調査している新潟大学の
名誉教授です。
メダカの小さな体には、驚きの超能力が秘められているといいます。
“あっという間に、体の色を変える事が出来ます” 体の色を変える?
実際に、その様子を見せてくれました。 用意したのは、白と黒の容器。
それぞれに、メダカを入れます。 そして… 待つこと5分。
黒い容器のメダカを白い容器に移してみると… あ!確かに色が違います!
“背地適応といいまして、背景の明るさに体の色を合わせる事ができる”
秘密は、ウロコにある色素胞という、黒い細胞。 これが… 小さくなった!
こんな風に黒い所が伸び縮みするする事で、体の色を背景に合わせカワセミ
などの天敵から身を隠しているのです。 まるで、忍法隠れ身の術ですねぇ。
続いての超能力を紹介してくれるのは、メダカ愛好家の男性。 4年前の冬、
庭で飼っていたメダカに、とんでもない事が起こったそうです。
“凍っちゃったんですよ。 メダカが、厚い氷の中に、生きたまんま…”
え~! メダカが… 氷漬け? その時の映像を、見せてくれました。
あ~、ホントだ! メダカが凍ってますねぇ~。
寒い冬の朝、凍ってしまったメダカを発見した男性。 何とか救い出そうと、
慎重に氷を砕き… 水で、ゆっくりと、とかす事にしたのです。
すると、20分後… 泳ぎ出しました! あ~、スゴイ! 生き返った!
浅瀬にすむメダカは、水が氷る真冬からカンカン照りになる真夏まで、幅広い
温度に耐えられます。 数々の驚きの能力が、すみっこでの暮らしを支えてい
るのですねぇ。
第2章 メダカの楽園で大ジャンプ!
新潟県の山あいに広がる棚田。ここに野生のメダカの楽園があるといいます。
情報を寄せてくれた、米作り歴30年の男性です。
Q: メダカが、たくさんいるという話しを聞いて来たのですが…。
“そこ(田んぼの中)に、いっぱい、いますよ” Q: ホントだ。いっぱいいる。
実はメダカは、英語で、ライスフィッシュ。 昔から、田んぼで繁栄して来た魚
なのです。 水を張った田んぼは、水深が浅く、流れも緩やか。
今まで見て来た、すみっこの条件にピッタリですねぇ。 更に、この田んぼでは
メダカらしからぬ、驚きの行動が見られるそうなのです。
“流れるところを、のぼる。 そういう習性はあるみたいですね…”
川を、のぼる? 案内されたのは、田んぼから流れ出る、細い水路。 なんと
海から川へ帰るサケのように、ここをのぼるというのです。
メダカのイメージとは、全く違う。 “水槽の中のメダカとは、違いますね…”
その行動が見られるのは、初夏の田植えのあと。冬の間、田んぼの側にある
ため池で過ごしていたメダカたちが、一斉に、田んぼへと向かいます。
ため池と、田んぼをつなぐ水路に集まって来ました。 でも、道のりは簡単では
ありません。 いくつもの段差が待ち受けているのです。
高さは10センチほどですが、メダカにとっては巨大な滝。 あ!見えましたか?
水の流れに逆らって、段差を、のぼって行きます。
これはまさに、メダカの滝のぼり! しかも、ただ、のぼるだけではありません。
おっと! 飛び上がりました。 なんと、ジャンプで段差を飛び越えています。
泳ぐ力の弱いメダカですが、瞬間的には、かなりのスピードを出す事ができま
す。でも、うまく行くとは限りません。
こちらは、高さは十分ですが… ジャンプする方向が違いました。 失敗しても
水面に落ちるなら、まだいいのですが…。 あらら、地面に落ちちっゃた。
万事休すかと思った、その時。 地面を、はたいて大ジャンプ! 着水も決まり
ました。 苦労して、田んぼまで、たどり着いたメダカたち。
ここには、思いかげない、ご馳走があります。 それは、イネに集まる虫!
時折、水面に落ちてしまう虫がいるのです。 メダカは名前の通り、目が頭の
高い位置にあるため、水面に落ちた獲物を見逃しません。 集団で群がり、
我先にと食らいつくのです。
いや~、田んぼにいるメダカは、ずいぶんワイルドですなぁ~。 でも、ちょっと
待った! メダカは、絶滅危惧種なんですよね? じゃあ、田んぼにすんでる
なら、日本全国、メダカの楽園だらけじゃないですか?
いえいえ、普通の田んぼではダメなのです!一般的な田んぼの場合、お米を
作り終えると、水を用水路を伝って、大きな川へ流します。 これではメダカが
田んぼに戻る事は難しいですよね。
一方、米作り歴30年の男性の棚田の脇には、水をためておく池があります。
この、ため池が、メダカの非難場所になっているのです。
こちらの棚田では、用水路ではなく、ため池の水を使って米作りをします。
そのため田んぼから水を流してもメダカは池にとどまり、次の田植えの時には
田んぼに戻れるというわけなのです。
もう1つ重要なのが、ため池と田んぼの間の段差が低いこと。 ジャンプで
行き来できるからこそ、こちらの棚田はメダカの楽園になっているのです。
なるほど。 田んぼと、ため池を行き来できるから、メダカも生き生きしてると
いうわけですね!
ある日の朝。 メスの前を、オスが、くるくると泳ぎ回っています。 実は、これ
恋のお誘い。 こちらは、恋の季節を迎えたオス。 メスに比べ、背びれと尻
びれが大きく、黒いのが特徴です。
その大きなヒレを使って… あっ、メスを優しく包みました。 オスがヒレを振動
させて、メスに産卵を促します。 卵が、次々と出て来ました。
メダカたちが、田んぼに来る最大の目的は、天敵の少ない場所で、産卵する
ためだったのです。 イネの根元に産み付けられた卵は、10日ほどで、ふ化。
赤ちゃんは、3カ月ほどかけて大人になります。
そして、ため池で冬を越え、暖かくなると、また田んぼへと戻って来るのです。
現代の日本に僅かに残された、すみっこの浅瀬。 メダカたちは、その小さな
体に、他の魚がマネのできない底力を秘め、すみっこを懸命に生き抜いてい
るのです。
今回は、皆さん、ご存知のメダカ! 今、さまざまな色や形に品種改良もされて
いて、空前のメダカブームを迎えています。
江戸時代の浮世絵にも描かれ、古くから日本人にとって身近な存在だった
メダカ。 ところが、環境の悪化などが原因で数が減り、20年ほど前には絶滅
危惧種になってしまったのです。
そこで番組では、野生のメダカを求め、日本全国を徹底調査!
すると、意外な場所で、次々と発見!
住宅街のど真ん中から… なんと、海の魚ボラと一緒に泳ぐ姿まで! さらに、
氷漬けになっても、まさかの能力で、危機を回避できる事が判明。
そして、イルカ顔負けの大ジャンプ! 驚きのスゴ技、連発です!
日本全国、大調査! 知ってビックリのメダカの秘密に迫ります!
第1章 全国メダカ大調査!
番組では、野生で暮らすメダカの情報を募集。 すると以外にも、日本全国、
さまざまな場所から情報が寄せられました。 更に、なんと大都会・東京からも
多くの投稿が! 絶滅危惧種のメダカが、本当にいるのでしょうか?
まず情報が入ったのは、多摩川。 市街地を流れる大きな川です。 早速、
現場へと急行!
投稿者の少年は、多摩川で川遊びをしている時に、メダカらしき魚を見つけた
のだそうです。 “メダカみたいな魚が、向こう側にいました”
近年、水質が改善され、キレイになった多摩川。メダカまでいるのでしょうか?
小さい魚が、いっぱいいますね。 いきなり発見? 捕まえて確かめてみます。
小さくてカワイイ魚。 でも何か違うような…? メダカじゃない? メダカかも?
実はこちらメダカではなく、他の川魚の赤ちゃん。 ポイントは背びれの位置。
メダカは、体の真ん中よりも、かなり後ろにあるのです。 尾びれや尻びれの
形も違います。 メダカじゃなさそう。 う~ん、残念!
メダカって他の魚の赤ちゃんと間違えやすいのです。 更に見た目がソックリな
外来魚もいるので、メダカと思ったら、実は違ったって事がよくあるのです。
絶滅危惧種のメダカ。 やはり東京には、いないのでしょうか? ところが、
またもや東京の川で、メダカを見つけたと言う情報が! (東京・八王子)
こちらの男性は、少なくとも5年ほど前から、ずっと目にしているそうです。
Q: この大きな川に、メダカがいるのですか?
“そうなのです。 私もビックリしました。 川の流れが少なくて浅瀬なのですが
こちらになります”
Q: え?ここですか? え?ここにメダカが、たくさんいるのですか?
“はい。たくさんいます!” 案内されたのは川の本流ではなく、河川敷にある
よどみ。 町に降った雨水が、一時的に、たまっている場所です。
よく見てみると、小さい魚が、たくさん! 今度こそ、メダカでしょうか?
さっきの魚とは、姿が違います。 背びれは、体の真ん中より後ろ。 尾びれや
尻びれの形も、メダカそのものです。
これは、間違いなくメダカですね! 東京にもメダカが、すんでいました!
絶滅危惧種のメダカ。 東京のような都会の川にも、いるのですね!
愛媛県からは、更に驚きの情報が入りました! なんと、住宅街のど真ん中に
メダカがいるというのです! 情報をくれたのは、小学5年生の女の子。
女の子の夏休みの自由研究のテーマは、毎年、メダカ。 自宅のベランダで
メダカを増やし、育て続けている、メダカ大好き小学生です。
Q: メダカの、どんなところが好きなのですか?
“丸っこくて、ヒヨヒヨしているところがカワイイと思います”
見つけた場所に、案内してもらいます。
Q: こんな住宅街にメダカがいるのですか? “はい。ここら辺に、よくいます”
Q: え?ここ? え?この水路にいるのですか? “はい”
やって来たのは、住宅街を流れる水路。 Q: え?いるのかな?本当に…。
コンクリートに囲まれていて、魚がすめるような場所ではなさそうですが…?
“あ、ここにいます!” Q: え? あ~、ホントだ!泳いでる!
確かに、それらしい魚が泳いでいます。 水中にカメラを置いてみると…これは
間違いなくメダカ! でもどうして、こんな住宅街の真ん中にいるのでしょう?
その理由を教えてくれたのは偶然、通りかかった地元の方。 “メダカ珍しい?
私が子供の頃、55年くいら前かな、メダカなんて、たくさんいました”
Q: 昔しは、この辺りは、どういう土地だったのですか?
“田んぼですね。 田んぼの中に、集落が点々とある”
実は昔、この辺りは住宅地ではなく、メダカがすむ田んぼが広がっていたのだ
そうです。 住宅地が造られた後も水路は残り、そこでひっそりと命をつないで
来たというわけです。 でも、小学生の女の子には、更なる疑問が。
“ここら辺には、こういう水路がたくさんあるのですけど、なぜか、ここにしか
メダカがいないんです”
実は女の子は、他の水路にもメダカがいるのではないかと、町じゅうを探して
くれました。 ところが、見つけたのは1カ所だけ。 確かに不思議ですねぇ。
その理由を探るキーワードを、メダカ一筋40年以上、日本全国のメダカを調べ
尽くした、新潟大学の名誉教授に聞きました。
“メダカは、すみっこの魚なのです” え? すみっこの魚?
“すみっこというのは大きな川や湖のように他の魚がすむような場所じゃない
ところ…” メダカは、体長4センチほどの日本一、小さな淡水魚です。
そのため、大きな川や湖ではなく、細くて浅い水路や、小さなよどみの端っこ
など、他の魚がすめない、すみっこの暮らしが大好きなのです。
小学生の女の子が見つけたメダカのいる水路は… 水深4センチほど。
この浅さでは、体の大きな魚は暮らせません。 もう1つ重要なのが、水の流
れる速さ。 メダカがいる場所と、いない場所を比べると、ずいぶん違います。
そこで、メダカがいる場所で、水の流れる速さを測ってみます。 水面を流れる
葉っぱが目印です。 すると… 1秒間に、およそ9センチ。
これくらいの流れが、メダカのお気に入り! 体が小さいメダカは、泳ぐ力が
弱いので、勢いよく水が流れていると、その場に長くとどまる事ができずに、
流されてしまうのです。
水深が浅く、流れが緩やかな、すみっこ。 町なかにある水路の中で、ここ
だけが、メダカが好む条件を満たしていたのです。 更に…。
“水路の脇の藻の中に、卵がいっぱい、ついてます”
緩やかな流れの水路には、たくさんの水草が。 実は、これも重要なポイント。
メダカは、卵を水草に産み付け、子供は、そこを隠れ家にできます。 田んぼ
から住宅街になって水路がコンクリートに囲まれても、こうした場所が残って
いれば、生き残れるというわけですね。
すみっこの魚、メダカ。 その究極の生息場所があると聞いて、取材班は、
広島県へ! やって来たのは、50メートル四方の小さな池。
でも、普通の池じゃありません。 実は、この池、海と隣り合わせなのです!
1日に2回、満潮の時には海とつながり、海水が池に入って来ます。 なんと、
海の水が混ざっている池で、元気に泳いでいます!
塩分の濃度を測ってみると… 1.4%。 これは、水1リットルに対して、塩大さじ
1杯ほどを混ぜた濃さ。 一般的なカップ麺と同じくらいの、しょっぱさです。
ちょっと待った! メダカが塩水でもすめるのは驚きです! 何で平気なの?
実はメダカは、海で暮らすサンマやトビウオに近い仲間で、もともと塩水に
耐える能力が高いと考えられています。 だからほら、海の魚のボラと一緒に
泳いでいる場所まであるのですよ!
この能力、メダカが、たまたま持ち合わせているわけではなくて、むしろ、フル
活用して生き延びて来たようなのです。 大雨で川の水が増えると、メダカが
川から海へ流されてしまう事があります。 でも、河口近くならメダカは大丈夫。
更に、海を伝って行けば、他の川へ生息域を広げる事さえ出来るのです。
へえ~! メダカって、めだかな~い、かよわい魚だと思ったら、意外とたくま
しいんですね! じゃあ、何で、絶滅危惧種になってしまったの?
おっ、鋭いですねぇ。 それは、メダカ博士に聞いてみましょう!
“最近の激しい減り方は、恐らく、水の管理の厳しさによるものだと考えていま
す。 つまり、すみっこがないのです…” え?すみっこがない?
はい。 洪水を防いだり農業を効率的に行うため、日本では川をコンクリートで
覆い、水門を作って流れをコントロールするようになりました。 必要な時に
水を流し、要らない時には水を止める。
すると、メダカがすみやすい、すみっこ、つまり、緩やかな浅い流れの場所が
なくなってしまうのです。
なるほど~。 すみっこで暮らすメダカにとって、すみっごこちの良い場所を、
これからも残せるといいですなぁ~。
メダカに秘められた、知られざる能力。 実は、まだまだあるのですよ!
教えてくれたのは、またまた登場! 全国のメダカを調査している新潟大学の
名誉教授です。
メダカの小さな体には、驚きの超能力が秘められているといいます。
“あっという間に、体の色を変える事が出来ます” 体の色を変える?
実際に、その様子を見せてくれました。 用意したのは、白と黒の容器。
それぞれに、メダカを入れます。 そして… 待つこと5分。
黒い容器のメダカを白い容器に移してみると… あ!確かに色が違います!
“背地適応といいまして、背景の明るさに体の色を合わせる事ができる”
秘密は、ウロコにある色素胞という、黒い細胞。 これが… 小さくなった!
こんな風に黒い所が伸び縮みするする事で、体の色を背景に合わせカワセミ
などの天敵から身を隠しているのです。 まるで、忍法隠れ身の術ですねぇ。
続いての超能力を紹介してくれるのは、メダカ愛好家の男性。 4年前の冬、
庭で飼っていたメダカに、とんでもない事が起こったそうです。
“凍っちゃったんですよ。 メダカが、厚い氷の中に、生きたまんま…”
え~! メダカが… 氷漬け? その時の映像を、見せてくれました。
あ~、ホントだ! メダカが凍ってますねぇ~。
寒い冬の朝、凍ってしまったメダカを発見した男性。 何とか救い出そうと、
慎重に氷を砕き… 水で、ゆっくりと、とかす事にしたのです。
すると、20分後… 泳ぎ出しました! あ~、スゴイ! 生き返った!
浅瀬にすむメダカは、水が氷る真冬からカンカン照りになる真夏まで、幅広い
温度に耐えられます。 数々の驚きの能力が、すみっこでの暮らしを支えてい
るのですねぇ。
第2章 メダカの楽園で大ジャンプ!
新潟県の山あいに広がる棚田。ここに野生のメダカの楽園があるといいます。
情報を寄せてくれた、米作り歴30年の男性です。
Q: メダカが、たくさんいるという話しを聞いて来たのですが…。
“そこ(田んぼの中)に、いっぱい、いますよ” Q: ホントだ。いっぱいいる。
実はメダカは、英語で、ライスフィッシュ。 昔から、田んぼで繁栄して来た魚
なのです。 水を張った田んぼは、水深が浅く、流れも緩やか。
今まで見て来た、すみっこの条件にピッタリですねぇ。 更に、この田んぼでは
メダカらしからぬ、驚きの行動が見られるそうなのです。
“流れるところを、のぼる。 そういう習性はあるみたいですね…”
川を、のぼる? 案内されたのは、田んぼから流れ出る、細い水路。 なんと
海から川へ帰るサケのように、ここをのぼるというのです。
メダカのイメージとは、全く違う。 “水槽の中のメダカとは、違いますね…”
その行動が見られるのは、初夏の田植えのあと。冬の間、田んぼの側にある
ため池で過ごしていたメダカたちが、一斉に、田んぼへと向かいます。
ため池と、田んぼをつなぐ水路に集まって来ました。 でも、道のりは簡単では
ありません。 いくつもの段差が待ち受けているのです。
高さは10センチほどですが、メダカにとっては巨大な滝。 あ!見えましたか?
水の流れに逆らって、段差を、のぼって行きます。
これはまさに、メダカの滝のぼり! しかも、ただ、のぼるだけではありません。
おっと! 飛び上がりました。 なんと、ジャンプで段差を飛び越えています。
泳ぐ力の弱いメダカですが、瞬間的には、かなりのスピードを出す事ができま
す。でも、うまく行くとは限りません。
こちらは、高さは十分ですが… ジャンプする方向が違いました。 失敗しても
水面に落ちるなら、まだいいのですが…。 あらら、地面に落ちちっゃた。
万事休すかと思った、その時。 地面を、はたいて大ジャンプ! 着水も決まり
ました。 苦労して、田んぼまで、たどり着いたメダカたち。
ここには、思いかげない、ご馳走があります。 それは、イネに集まる虫!
時折、水面に落ちてしまう虫がいるのです。 メダカは名前の通り、目が頭の
高い位置にあるため、水面に落ちた獲物を見逃しません。 集団で群がり、
我先にと食らいつくのです。
いや~、田んぼにいるメダカは、ずいぶんワイルドですなぁ~。 でも、ちょっと
待った! メダカは、絶滅危惧種なんですよね? じゃあ、田んぼにすんでる
なら、日本全国、メダカの楽園だらけじゃないですか?
いえいえ、普通の田んぼではダメなのです!一般的な田んぼの場合、お米を
作り終えると、水を用水路を伝って、大きな川へ流します。 これではメダカが
田んぼに戻る事は難しいですよね。
一方、米作り歴30年の男性の棚田の脇には、水をためておく池があります。
この、ため池が、メダカの非難場所になっているのです。
こちらの棚田では、用水路ではなく、ため池の水を使って米作りをします。
そのため田んぼから水を流してもメダカは池にとどまり、次の田植えの時には
田んぼに戻れるというわけなのです。
もう1つ重要なのが、ため池と田んぼの間の段差が低いこと。 ジャンプで
行き来できるからこそ、こちらの棚田はメダカの楽園になっているのです。
なるほど。 田んぼと、ため池を行き来できるから、メダカも生き生きしてると
いうわけですね!
ある日の朝。 メスの前を、オスが、くるくると泳ぎ回っています。 実は、これ
恋のお誘い。 こちらは、恋の季節を迎えたオス。 メスに比べ、背びれと尻
びれが大きく、黒いのが特徴です。
その大きなヒレを使って… あっ、メスを優しく包みました。 オスがヒレを振動
させて、メスに産卵を促します。 卵が、次々と出て来ました。
メダカたちが、田んぼに来る最大の目的は、天敵の少ない場所で、産卵する
ためだったのです。 イネの根元に産み付けられた卵は、10日ほどで、ふ化。
赤ちゃんは、3カ月ほどかけて大人になります。
そして、ため池で冬を越え、暖かくなると、また田んぼへと戻って来るのです。
現代の日本に僅かに残された、すみっこの浅瀬。 メダカたちは、その小さな
体に、他の魚がマネのできない底力を秘め、すみっこを懸命に生き抜いてい
るのです。
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