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100年以上にわたって建設が進められている未完成のサクラダ・ファミリア
2021年12月08日 (水) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「〇〇1年分!もらえるとしたら何がいい?」
スペイン・バルセロナ。 ここで、世紀の大プロジェクトが進行しています。
未完成のサクラダ・ファミリア。 複雑な構造の、世界一高い教会です。

塔が完成すれば、風景が変わるでしょう。 ユニークな建築方式。 17万トンを
超える石材。 完成すれば、サクラダ・ファミリアは、170メートル以上の高さを
誇る、最も大胆に設計された教会となります。 前代未聞です。ゾクゾクします。

建設に立ちはだかるのは、強い風…。 強風でクレーンが倒されかねません。
塔の崩壊だけは避けないと。 そして、極限の高さ。 吊り上げられない。
不可能だ。 どうかしてる。 いかなる遅れも、事故も、間違いも許されません。

驚異の技術で完成へと向かうサクラダ・ファミリア。その建設の秘密に迫ります。

世界有数の歴史と美しさを誇る街バルセロナ。 建築家ガウディの作品として
知られるサクラダ・ファミリアは、100年以上にわたって建設が進められています。

他に類を見ない複雑な教会は、着工から130年以上経っても、まだ完成して
いません。 高さは、すでに100メートルを超え、年間450万人もの観光客を
ひきつけています。

中に入ると思わず息をのみます。 でも外ではクレーンを使って、まだ工事して
いますね。 完成したら、どうなるか楽しみです。

この驚異の建築に、ついに、完成のめどが立って来ました。 私たちの世代で
建設を終わらせます。 教会の建設が始まったのは、1882年でした。 最初に
つくられたのは、伝統的なゴシック様式の地下聖堂です。

高さ100メートルの塔、生誕のファサードは、1936年に完成。受難のファサードは
完成までに50年以上もかかりました。 続いて広大な身廊(しんろう)やアーチ
形の天井などが、つくられて行きました。

それらが後に建てられる、巨大な6つの塔の土台となります。 建設にかかる
資金の多くは、1日、1万2000人にのぼる観光客の寄付によるものです。

設計責任者の男性。 先人たちの足跡をたどりながら、サクラダ・ファミリアを
完成させるためのチームをつくり上げて来ました。

着任した時、事務所のスタッフは僅か6人。 しかし今では、40人が働いてい
ます。 これは、前代未聞のビッグプロジェクトですからね。

最大の難関は、詳細な設計図がない状態でバシリカ様式の教会を、完成させ
なくてはならない事です。 建築家ガウディのサクラダ・ファミリアの設計図は
ほとんど失われてしまったからです。 (アントニ・ガウディ/1852-1926)

古い模型の写真や、100年前のスケッチなどを基に、建設は手探り状態で
進められて来ました。

ガウディに忠実である事が大切です。 彼は、天才でしたから。

ガウディは、独自の幾何学的なモチーフを建築に取り入れました。彼の発想の
源は、自然の世界でした。 木々。動物。山々。 その建築様式は、あとにも
先にもない、ユニークなものです。

ガウディは自らを、神との共同制作者だと考えていました。 ガウディの建築は
生命の建築です。 自然のフォルムや色彩が表現されています。 他の、どの
建築とも違います。

彼のチームは、ガウディの構想を生かしながら、この巨大建築物を完成させ
なくてはなりません。 サクラダ・ファミリアでは、壮大な3つのファサードが、
イエス・キリストの生涯と教えを象徴します。

中央の6つの大きな塔の1つは、完成すれば、高さ170メートル以上!

世界で最も高い教会になる予定です。 建築費は推定で1300億円。 建築に
要する期間は145年。 サクラダ・ファミリアは、世界で最も並外れた建築物の
1つとなります。

今は6つの塔の建築に、重点的に取り組んでいます。 塔が完成すれば、
バルセロナの風景が変わるでしょう。

サクラダ・ファミリアの完成には、技術的な難問がいくつもあります。 計画では
塔は、階ごとに建てられ、各階は、あらかじめ組み立てられたパネルで構成
されます。 パネルは、16の石材からなります。

4つの塔では内側に、らせん階段をつくりながら、建てて行かなくてはなりま
せん。 大きな塔には、精巧な石の装飾と美しいステンドグラスが施されます。

チームは、ガウディ没後100年の、2026年までの完成を目指しています。

まず必要なのは、建築資材である石材の調達です。 ガウディの時代には、
近くにあるムンジュイック採石場から切り出した石を使っていました。

ムンジュイックでとれる石は、赤・灰色・黄色・オレンジがかった茶色や、濃い
灰色など、色彩豊かなのが特徴でした。

しかし、ムンジュイックの採石場は、既に閉鎖されています。 他の場所から
同じように、色彩豊かな石を調達して来なければなりません。 ガウディの
世界観を守らなければなりません。

塔はさまざまな種類、さまざまな色の石材を混ぜて、建築が始まった頃と同じ
壁面をつくる事を目指しています。 近くに寄ると、それぞれ違った色に見えま
すが、離れて眺めると、全体で統一された色に見えるようにするのです。
そんな塔を目指しています。

建築コーディネーターの彼は、世界の70の採石場から石を調達しています。
ブラジルから青い石。 イランから赤い石。 イギリスから茶色と黄色の中間の
ような色をした石。 といった具合です。

サクラダ・ファミリアに、石材を提供してほしいと最初に連絡を受けた時は、
まさか本当だとは思いませんでした。 この採石場から、毎週300トンを超える
石が、サクラダ・ファミリアに送られています。

サクラダ・ファミリアを完成させるには、私たちが提供する石の質がとても重要
になります。 石に強度と弾力性がなければ、しっかりとした塔を建てることは
できません。 崩壊してしまいます。 石を切り出すには高い技術が必要です。

内部に、ほんの僅かな亀裂が入っただけで悲惨な結果を、もたらす事になる
からです。 石には、自然に生じた細かい裂け目が走っています。 その裂け
目を、うまく利用して切り出すのがコツです。

採石場責任者が信頼を寄せているのは、発破技士の男性です。

プレッシャーをかけるつもりはないけど、全ては彼の肩にかかっています。

穴を掘って、それから火薬を詰めます。 ごく小規模な爆破ですから既に石に
入っている割れ目以上のダメージを与える事はありません。 大きな爆破とは
違います。 これをキレイにやってのけるのが、腕の見せどころです。

爆破によって、10トンの石が切り離されました。 この石を慎重に、岩肌から
離します。 彼らは、全部で、およそ12万トンもの完璧な石材をサクラダ・ファミ
リアに届けなくてはなりません。

急ピッチで進めていますが精密な作業ですから、そうは急げません。うちは家
族経営で行っている小さな採石場です。恐れ多いと同時にとても光栄な事だ
と思っています。世界有数の巨大建造物に石材を提供しているのですから。

石材は、バルセロナ郊外の資材置き場に運ばれます。 技術責任者の彼は、
石材1つ1つの強度をチェックします。

サクラダ・ファミリアは、永久に残る建物です。 これらの石材が、それに見合う
ものか確かめるのが私の仕事です。彼らは石材からサンプルを取り出します。
このテストでは、石のサンプルに荷重をかけます。

塔に用いるには、最低でも15トンの荷重に耐えられなくてはなりません。圧縮
試験機で、強い圧力をかけて行きます。

この小さな石が、30トンの力まで耐えました。 驚きです。 必要な強度の2倍
です。 これなら、塔が崩壊するなどあり得ません。

石はテストに合格しました。 中央の6つの塔の建設に使用する事ができます。
一方、塔に施す石細工を、どのようにデザインし形にするのか? その答えを
得るためには、3年以上の年月が必要でした。

塔の高さと寸法が全くの謎に包まれていたからです。 残されたヒントは僅か
でした。 例えば、ガウディが若い頃に描いたスケッチ。 物理の法則に逆らう
かのようなデザインです。

もう1つのヒントは100年近く前につくられた模型にありました。 模型は聖具室
と呼ばれる低い塔のもので、教会の裏手に建てるためにガウディが設計しま
した。 聖具室には、6つの高い塔に関するヒントが隠されています。

建築家の彼は、その秘密の解明に取り組んで来ました。 灰色のパーツは、
オリジナルの模型のものです。 パーツが部分的に残っていれば、全体を復元
する事が可能です。

彼のチームは、模型を基に、高さ40メートルの聖具室を建てました。聖具室は
教会の西側に位置し、現在、建築チームの拠点として使われています。

ガウディが、サクラダ・ファミリアの建築に取り組んでいた時、主な弟子が4人
いました。 ガウディは、弟子たちに聖具室を中央の塔の原型とするように
伝えていたのです。

中央の塔の寸法に関するヒントは、小さな聖具室の構造に隠されていました。
そこで彼は、コンピューターの3Dモデルで、聖具室の構造を再現しました。

中央の塔は、聖具室の構造を拡大したものです。 つまり、拡大しただけで、
構造の比率は同じだといえます。 私たちはガウディのスケッチと、塔の設計
方法を示す聖具室の模型を参考に、中央の塔を設計しました。

研究によって、6つの塔の設計計画は固まりました。 しかし、それを実際に
つくるには、多くの技術的な課題が待ち受けていました。

スペインのカタルーニャ地方。 ここでも塔が、つくられています。 バルセロナ
の建築現場はスペースが少ないため、80キロほど離れたこの場所で、塔を
構成するパーツが、つくられているのです。

ここは、いわば、サクラダ・ファミリアをつくる部品工場のようなものです。 ベテ
ランの建築技師は、建築家たちの設計計画を実現する責任を負っています。
100年前と同じやり方をする必要は、ありません。 新しい技術も取り入れてい
ます。

もし石を1つ1つ吊り上げていたら完成までに、およそ50年かかり、クレーンで
吊り上げる作業も1万4000回ほど行わなければなりません。 彼のチームは、
塔をパネルと呼ばれるパーツに分けてつくります。

1枚のパネルは、16の石材で構成されていて、パネル8つで、1階層分になり
ます。 1つの階層が出来上がったら、トラックでバルセロナまで運びます。

建築現場では、クレーンを使ってパネルを吊り上げ、鋼鉄のフレームに、はめ
込みます。 この方法なら、石を1つ1つ積み上げるより、16倍も早く塔を完成
させる事ができます。

今後3年間で、856のパネルをつくる予定です。 かなりの作業量ですよ。

彼のチームは、最初のパネルをつくっています。緑のフレームに、それぞれの
パネルを組み立てる事で、1階層分、8つのパネル全てが完璧に組まれます。

1つのパネルに使われる石材は、16個。 石を正しく配置して、モルタルをつけ
れば、永久にズレません。

パネルは最後に4つのボルトで塔の鋼鉄のフレームに固定されます。ボルトの
全ての穴が、ミリ単位の正確さでなければなりません。 そうでないと上空での
作業中、パネルが宙ぶらりんになってしまいます。

全てのパネルで許される誤差は、僅か1ミリ。 もしボルトの穴が合わなければ
とんでもなく大きな問題になります。

測量士がレーザーを使って、パネルの寸法を確認します。 ボルトがピッタリと
はまり、パネルが固定されるようにするためです。

ボルトをはめる段階で問題が起きれば、とんでもない事になります。 このプロ
ジェクトにおいては、いかなる遅れも、事故も、間違いも許されません。

最初の階層の8つのパネルをつくるのに、3週間かかりました。 ピッタリはまる
でしょうか? パネルは山道を越えて、無事、バルセロナに到着しました。

この日、いよいよ吊り上げ作業が行われます。 1枚で7トンの重さがあるパネルを
およそ100メートル上まで吊り上げます。 そして、鋼鉄のフレームにはめ込み
ボルトで固定します。新しい建築方式が、うまく行くかどうかが試される時です。

今日は我々にとって、特別な日です。 初めて、このパネルを所定の位置に
設置するのですから。 結果が出る日です。