2021年11月04日 (木) | 編集 |
FC2トラックバックテーマ:「トーストのトッピングといえば?」
深い海には、驚きの能力を秘めた生き物たちが、数多く生息しています。
中でも脊椎が無く、軟体動物の頭足類(とうそくるい)に分類されるイカとタコの
生態は、多くの謎に包まれています。
彼らの中には、体の色や形を、自由自在に変えられるものもいます。 そして、
頭から生えている吸盤の並んだ複数の腕を巧みに使い、俊敏な動きで狙った
獲物を、しとめます。 イカとタコは、海の優れたハンターなのです。
ここ数十年間で生息数を増やしていると言われる、イカとタコ。 彼らは地上の
どの動物とも似ていない特異な生き物です。
その驚異的で不思議な生態に迫ります!
軟体動物の頭足類に分類されるイカとタコ。 近年、彼らが生息数を増やして
いる背景には、どのような理由があるのでしょうか?
タコには腕が8本あり、それぞれの腕には、たくさんの吸盤が2列に並んでい
ます。 心臓は3つあり、青い血液を体中に巡らせています。 タコは、複数の
脳を持つと言われるほど、知能が高い生き物です。
8本の腕の神経は小さな脳にも例えられ、頭部の中枢にある脳と密接につな
がっています。 そのため、腕をクネクネと複雑に動かす事ができるのです。
一方、イカは、主に2つのグループに分かれます。 1つ目のグループ、コウイカ
の仲間には、8本の腕と獲物を捕らえる際に伸び縮みする、2本の触腕(しょく
わん)が、あります。
そして体の内部には、浮きの役割を担う、貝殻と呼ばれる組織があります。
更にイカは、皮膚にある色素胞(しきそほう)と呼ばれる細胞によって、体の
色を変える事ができます。 これらの細胞によってカムフラージュが可能となり
姿を消す事ができるのです。
2つ目のイカのグループ、ツツイカの仲間にも8本の腕と2本の触腕があります。
体の内部にある貝殻はコウイカの仲間のものと比べると細く、しなやかです。
ツツイカの仲間には大きな目を持つものもいて、暗闇が広がる深い海でも、
微かな光を捉える事ができます。 イカとタコは昼夜を問わず狩りが得意です。
彼らの中には、硬い甲羅を持つカニでさえ、獲物とするものがいます。 イカと
カニの攻防戦。 カニは抵抗しますが… あぁ~、捕まりました。
イカは、吸盤にある細かなカギ爪で獲物を拘束し、腕の付け根にある硬い
クチバシで、カニの甲羅でさえも、かみ砕きます。
イカとタコの多くは、極めて水圧が高い深海で捕獲されます。 彼らの生息数に
関する情報は、50年にわたる漁獲データから集められました。 研究者たちは
イカとタコが生息数を増やした背景として、その食べ物に注目しています。
特に世界で最も漁獲量の多いアメリカオオアカイカの食性についての研究が
進んでいます。 アメリカオオアカイカは、ツツイカの仲間です。
僅か2年間で、重さ50キロ、体長2メートルにまで成長します。 研究者たちは
アメリカオオアカイカの成長が速いのは、獲物をえり好みしない貪欲な捕食者
であるためと考えています。 旺盛な食欲と、幅広い種類の獲物。
これらが、誕生時には僅か1ミリ程度のアメリカオオアカイカが、1年で、およそ
1メートルにまで成長する理由かも知れません。
温暖なメキシコの沖合にいる事が多いアメリカオオアカイカは、ここ20年間で
北上し、アラスカにまで生息域を広げています。
アメリカオオアカイカは、時に、あるライバルと縄張り争いをします。 ツツイカの
仲間、テカギイカです。 体長およそ40センチの彼らは、主に水深300メートル
から800メートルの深海にいます。
多くの場合、テカギイカのように小さなイカは大きな魚などの獲物になります。
しかし近年、乱獲によって捕食者の数が減少した事で、テカギイカの生息数が
増えたのではないか?と、考えられています。
テカギイカは、自分より大きな魚を襲う事もあります。 彼らは、1日に、自分の
体重の、およそ3分の1もの量を食べます。 このテカギイカは、次の獲物が
見つかるまで、数日ほど、しのげそうです。
テカギイカは、生まれてから2年以内で繁殖できるまでに成熟します。 メスは
2000個以上の卵を産むと、それらをゼリー状の膜で覆い、腕の中で守ります。
テカギイカの母親は、卵を抱いたまま、敵の少ない水深1200メートルまで移動
します。 そして、卵がふ化するまでの9カ月間、一切、食事をとりません。
その後、母親は、生存率を上げるために、ふ化した子供を海流に乗せて放ち
ます。 この大仕事を終えるとテカギイカの母親の命は、僅か2年にして終わり
を迎えます。 亡骸は、深い海で、他の生き物たちの食料となります。
一方、カリフォルニアの海流に乗せられたテカギイカの子供たちには、数々の
試練が待っています。
辺りの海には、捕食者のアメリカオオアカイカが、たくさんいるからです。
およそ2000匹の子供たちの内、大人になれるテカギイカは、たったの1匹!
周りにあるものは、何でも食べて成長します。
今日の彼らの繁栄は、環境に適応した繁殖戦略と、捕食者である敵の大幅な
減少によるものと考えられています。 サメなどの捕食者の減少は、深い海に
生息する生き物に、大きな影響を与えています。
ヒゲダコの仲間です。 腕の間には膜が張られており、頭にはヒレのような
ものが、ついています。
このヒゲダコの仲間と、よく似ているのが、コウモリダコです。 コウモリダコは
タコとイカ両方の特徴を持ち合わせており、区別するのが難しい生き物です。
そのため研究者たちはコウモリダコだけが属する新たなグループを設けざるを
得ませんでした。 その祖先は恐竜が生きた時代より、はるか昔の石炭紀に
海で暮らしていたと言われています。
コウモリダコには、頭足類で唯一、フィラメントと呼ばれる触腕があります。
この触腕を伸ばして、プランクトンの死骸などを集めて食べるのです。
コウモリダコは、クラゲを食べる事もあります。 深い海に生きる巨大生物、
カンテンダコも、まだ、クラゲを獲物にします。
カンテンダコは、世界最大級のタコです。 カンテンダコは、最大で体重およそ
75キロ、体長3.5メートルにもなります。深い海に生息する、これらの頭足類は
豊富な食料源と他の生き物との競争が少ない環境を巧みに利用しています。
とはいえ彼らの生息域は、あまりにも広く海の奥深くであるため、その生態は
まだ、ほとんど分かっていません。
頭足類の中には、浅い海域に生息するものも、います。 研究者たちにとって
浅い海にいる頭足類は、研究しやすい対象です。 ブラジルの沖合に浮かぶ
火山島、フェルナンド・デ・ノローニャ。
ここはオオイワガニの仲間にとって楽園です。 オオイワガニたちは、食べ物を
得るため、打ち寄せる波に立ち向かいます。 彼らは、魚と同様にエラ呼吸を
しますが、大半の時間を陸で過ごします。
オオイワガニは、エラに海水をためられるので、岩の上を歩いたり潮が引いて
次に満ちるまでの間、波打ち際で過ごす事ができます。 オオイワガニは、
できるだけ海を避けるように移動します。
海には、天敵のタコが潜んでいるからです。 潮の引いた浅瀬では、タコが
オオイワガニの隙をついて襲いかかります。
オオイワガニの目的地は100メートルほど先のある大きな岩場です。そこでは
干潮時に食料となる海藻が、むき出しになります。
たどり着くには、岩場と水たまりを越えなければなりません。 タコが、オオイワ
ガニに狙いを定めます。 このオオイワガニは、逃げ切れませんでした。
タコは、1日に体重の3倍もの量を食べます。 大人のタコなら、カニ15匹分に
あたります。 難を逃れた他のオオイワガニたちは岩場に到着し、食事にあり
つきます。 しかし、のんびりしている暇はありません。
残された時間は30分ほど。 満潮になる前に戻らないといけません。 新たな
天敵も現れました。 ウツボの仲間です。ウツボは蛇のような姿をした魚です。
上下のアゴに2列ずつ並ぶ歯で、オオイワガニを捕らえ、甲羅を砕きます。
この島のオオイワガニたちは、潮が満ちて来るとウツボに狙われ、潮が引くと
タコに狙われます。ウツボやタコにとってオオイワガニは格好の獲物なのです。
これは、異なる生き物の間に起こる、競争の一例です。 頭足類と魚類は、
世界各地で同じ獲物を巡って争っています。 頭足類にとって、競争相手の
魚類が少なくなれば、多くの獲物を得る機会が増えるかも知れません。
フィリピン・アニラオの沖合に広がる砂州(さす)でも生存競争が起きています。
獲物を捕り合うライバルや捕食者が多くいる中、何種類かの頭足類が繁栄を
遂げています。
この辺りの海は地形が単調なため、身を守るための隠れ場所がほとんどあり
ません。そのため、ここで暮らす生き物には生き残るための戦略が必要です。
そこで、あるイカは、奇抜な戦略を身につけました。 ミナミハナイカです。
色鮮やかな見た目で、自分に毒がある事を、周囲に警告しています。
ミナミハナイカは、体内で、浮きの役割を担う貝殻がとても小さく、水中に浮く
のが得意ではありません。
そのため、しばしば海底を歩くように移動する事があります。 通常、捕食者は
このように風変わりな生き物を、獲物として狙いません。 ミナミハナイカは、
かなりの変わり者です。
コウイカの仲間では珍しい有毒なイカとされており、海底を移動する際は、2本
の腕と、腹部にある2つの突起を使います。 ミナミハナイカは、この見た目の
奇抜さのおかげで、日中でも捕食者を恐れずに狩りができます。
主食は、小さなエビです。 一般的に、頭足類の競争相手は魚類ですが、
イカやタコには大きな利点があります。
イカやタコの多くは獲物を捕獲してから、かみついてマヒさせる事ができるので
ライバルよりも効率よく狩りができるからです。
栄養満点の獲物によって、ミナミハナイカは、生まれてから6カ月で成熟し、
1年経つまでに、5個から25個の卵を産みます。 こうして毒を武器に身を守る
ミナミハナイカは、生息数を増やし続けています。
フィリピンの島々を囲む砂州には捕食者から逃れるため、工夫を凝らすタコも
います。 彼らは、カムフラージュをして周囲に溶け込み、砂に潜り、そして、
時には道具を使います。
ココナッツオクトパスは、ココナッツの殻を隠れ家にする利用する事から、その
名が付けられました。 ココナッツオクトパスは、海底にあるモノを狩りや防御
に役立てます。 このタコは、ココナツの殻のサイズを測っています。
殻選びは慎重に行います。 この殻は、体を全部隠すには不十分な大きさ
でした。 それでも、狩りのため身を潜めるには十分です。
深い海には、驚きの能力を秘めた生き物たちが、数多く生息しています。
中でも脊椎が無く、軟体動物の頭足類(とうそくるい)に分類されるイカとタコの
生態は、多くの謎に包まれています。
彼らの中には、体の色や形を、自由自在に変えられるものもいます。 そして、
頭から生えている吸盤の並んだ複数の腕を巧みに使い、俊敏な動きで狙った
獲物を、しとめます。 イカとタコは、海の優れたハンターなのです。
ここ数十年間で生息数を増やしていると言われる、イカとタコ。 彼らは地上の
どの動物とも似ていない特異な生き物です。
その驚異的で不思議な生態に迫ります!
軟体動物の頭足類に分類されるイカとタコ。 近年、彼らが生息数を増やして
いる背景には、どのような理由があるのでしょうか?
タコには腕が8本あり、それぞれの腕には、たくさんの吸盤が2列に並んでい
ます。 心臓は3つあり、青い血液を体中に巡らせています。 タコは、複数の
脳を持つと言われるほど、知能が高い生き物です。
8本の腕の神経は小さな脳にも例えられ、頭部の中枢にある脳と密接につな
がっています。 そのため、腕をクネクネと複雑に動かす事ができるのです。
一方、イカは、主に2つのグループに分かれます。 1つ目のグループ、コウイカ
の仲間には、8本の腕と獲物を捕らえる際に伸び縮みする、2本の触腕(しょく
わん)が、あります。
そして体の内部には、浮きの役割を担う、貝殻と呼ばれる組織があります。
更にイカは、皮膚にある色素胞(しきそほう)と呼ばれる細胞によって、体の
色を変える事ができます。 これらの細胞によってカムフラージュが可能となり
姿を消す事ができるのです。
2つ目のイカのグループ、ツツイカの仲間にも8本の腕と2本の触腕があります。
体の内部にある貝殻はコウイカの仲間のものと比べると細く、しなやかです。
ツツイカの仲間には大きな目を持つものもいて、暗闇が広がる深い海でも、
微かな光を捉える事ができます。 イカとタコは昼夜を問わず狩りが得意です。
彼らの中には、硬い甲羅を持つカニでさえ、獲物とするものがいます。 イカと
カニの攻防戦。 カニは抵抗しますが… あぁ~、捕まりました。
イカは、吸盤にある細かなカギ爪で獲物を拘束し、腕の付け根にある硬い
クチバシで、カニの甲羅でさえも、かみ砕きます。
イカとタコの多くは、極めて水圧が高い深海で捕獲されます。 彼らの生息数に
関する情報は、50年にわたる漁獲データから集められました。 研究者たちは
イカとタコが生息数を増やした背景として、その食べ物に注目しています。
特に世界で最も漁獲量の多いアメリカオオアカイカの食性についての研究が
進んでいます。 アメリカオオアカイカは、ツツイカの仲間です。
僅か2年間で、重さ50キロ、体長2メートルにまで成長します。 研究者たちは
アメリカオオアカイカの成長が速いのは、獲物をえり好みしない貪欲な捕食者
であるためと考えています。 旺盛な食欲と、幅広い種類の獲物。
これらが、誕生時には僅か1ミリ程度のアメリカオオアカイカが、1年で、およそ
1メートルにまで成長する理由かも知れません。
温暖なメキシコの沖合にいる事が多いアメリカオオアカイカは、ここ20年間で
北上し、アラスカにまで生息域を広げています。
アメリカオオアカイカは、時に、あるライバルと縄張り争いをします。 ツツイカの
仲間、テカギイカです。 体長およそ40センチの彼らは、主に水深300メートル
から800メートルの深海にいます。
多くの場合、テカギイカのように小さなイカは大きな魚などの獲物になります。
しかし近年、乱獲によって捕食者の数が減少した事で、テカギイカの生息数が
増えたのではないか?と、考えられています。
テカギイカは、自分より大きな魚を襲う事もあります。 彼らは、1日に、自分の
体重の、およそ3分の1もの量を食べます。 このテカギイカは、次の獲物が
見つかるまで、数日ほど、しのげそうです。
テカギイカは、生まれてから2年以内で繁殖できるまでに成熟します。 メスは
2000個以上の卵を産むと、それらをゼリー状の膜で覆い、腕の中で守ります。
テカギイカの母親は、卵を抱いたまま、敵の少ない水深1200メートルまで移動
します。 そして、卵がふ化するまでの9カ月間、一切、食事をとりません。
その後、母親は、生存率を上げるために、ふ化した子供を海流に乗せて放ち
ます。 この大仕事を終えるとテカギイカの母親の命は、僅か2年にして終わり
を迎えます。 亡骸は、深い海で、他の生き物たちの食料となります。
一方、カリフォルニアの海流に乗せられたテカギイカの子供たちには、数々の
試練が待っています。
辺りの海には、捕食者のアメリカオオアカイカが、たくさんいるからです。
およそ2000匹の子供たちの内、大人になれるテカギイカは、たったの1匹!
周りにあるものは、何でも食べて成長します。
今日の彼らの繁栄は、環境に適応した繁殖戦略と、捕食者である敵の大幅な
減少によるものと考えられています。 サメなどの捕食者の減少は、深い海に
生息する生き物に、大きな影響を与えています。
ヒゲダコの仲間です。 腕の間には膜が張られており、頭にはヒレのような
ものが、ついています。
このヒゲダコの仲間と、よく似ているのが、コウモリダコです。 コウモリダコは
タコとイカ両方の特徴を持ち合わせており、区別するのが難しい生き物です。
そのため研究者たちはコウモリダコだけが属する新たなグループを設けざるを
得ませんでした。 その祖先は恐竜が生きた時代より、はるか昔の石炭紀に
海で暮らしていたと言われています。
コウモリダコには、頭足類で唯一、フィラメントと呼ばれる触腕があります。
この触腕を伸ばして、プランクトンの死骸などを集めて食べるのです。
コウモリダコは、クラゲを食べる事もあります。 深い海に生きる巨大生物、
カンテンダコも、まだ、クラゲを獲物にします。
カンテンダコは、世界最大級のタコです。 カンテンダコは、最大で体重およそ
75キロ、体長3.5メートルにもなります。深い海に生息する、これらの頭足類は
豊富な食料源と他の生き物との競争が少ない環境を巧みに利用しています。
とはいえ彼らの生息域は、あまりにも広く海の奥深くであるため、その生態は
まだ、ほとんど分かっていません。
頭足類の中には、浅い海域に生息するものも、います。 研究者たちにとって
浅い海にいる頭足類は、研究しやすい対象です。 ブラジルの沖合に浮かぶ
火山島、フェルナンド・デ・ノローニャ。
ここはオオイワガニの仲間にとって楽園です。 オオイワガニたちは、食べ物を
得るため、打ち寄せる波に立ち向かいます。 彼らは、魚と同様にエラ呼吸を
しますが、大半の時間を陸で過ごします。
オオイワガニは、エラに海水をためられるので、岩の上を歩いたり潮が引いて
次に満ちるまでの間、波打ち際で過ごす事ができます。 オオイワガニは、
できるだけ海を避けるように移動します。
海には、天敵のタコが潜んでいるからです。 潮の引いた浅瀬では、タコが
オオイワガニの隙をついて襲いかかります。
オオイワガニの目的地は100メートルほど先のある大きな岩場です。そこでは
干潮時に食料となる海藻が、むき出しになります。
たどり着くには、岩場と水たまりを越えなければなりません。 タコが、オオイワ
ガニに狙いを定めます。 このオオイワガニは、逃げ切れませんでした。
タコは、1日に体重の3倍もの量を食べます。 大人のタコなら、カニ15匹分に
あたります。 難を逃れた他のオオイワガニたちは岩場に到着し、食事にあり
つきます。 しかし、のんびりしている暇はありません。
残された時間は30分ほど。 満潮になる前に戻らないといけません。 新たな
天敵も現れました。 ウツボの仲間です。ウツボは蛇のような姿をした魚です。
上下のアゴに2列ずつ並ぶ歯で、オオイワガニを捕らえ、甲羅を砕きます。
この島のオオイワガニたちは、潮が満ちて来るとウツボに狙われ、潮が引くと
タコに狙われます。ウツボやタコにとってオオイワガニは格好の獲物なのです。
これは、異なる生き物の間に起こる、競争の一例です。 頭足類と魚類は、
世界各地で同じ獲物を巡って争っています。 頭足類にとって、競争相手の
魚類が少なくなれば、多くの獲物を得る機会が増えるかも知れません。
フィリピン・アニラオの沖合に広がる砂州(さす)でも生存競争が起きています。
獲物を捕り合うライバルや捕食者が多くいる中、何種類かの頭足類が繁栄を
遂げています。
この辺りの海は地形が単調なため、身を守るための隠れ場所がほとんどあり
ません。そのため、ここで暮らす生き物には生き残るための戦略が必要です。
そこで、あるイカは、奇抜な戦略を身につけました。 ミナミハナイカです。
色鮮やかな見た目で、自分に毒がある事を、周囲に警告しています。
ミナミハナイカは、体内で、浮きの役割を担う貝殻がとても小さく、水中に浮く
のが得意ではありません。
そのため、しばしば海底を歩くように移動する事があります。 通常、捕食者は
このように風変わりな生き物を、獲物として狙いません。 ミナミハナイカは、
かなりの変わり者です。
コウイカの仲間では珍しい有毒なイカとされており、海底を移動する際は、2本
の腕と、腹部にある2つの突起を使います。 ミナミハナイカは、この見た目の
奇抜さのおかげで、日中でも捕食者を恐れずに狩りができます。
主食は、小さなエビです。 一般的に、頭足類の競争相手は魚類ですが、
イカやタコには大きな利点があります。
イカやタコの多くは獲物を捕獲してから、かみついてマヒさせる事ができるので
ライバルよりも効率よく狩りができるからです。
栄養満点の獲物によって、ミナミハナイカは、生まれてから6カ月で成熟し、
1年経つまでに、5個から25個の卵を産みます。 こうして毒を武器に身を守る
ミナミハナイカは、生息数を増やし続けています。
フィリピンの島々を囲む砂州には捕食者から逃れるため、工夫を凝らすタコも
います。 彼らは、カムフラージュをして周囲に溶け込み、砂に潜り、そして、
時には道具を使います。
ココナッツオクトパスは、ココナッツの殻を隠れ家にする利用する事から、その
名が付けられました。 ココナッツオクトパスは、海底にあるモノを狩りや防御
に役立てます。 このタコは、ココナツの殻のサイズを測っています。
殻選びは慎重に行います。 この殻は、体を全部隠すには不十分な大きさ
でした。 それでも、狩りのため身を潜めるには十分です。
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