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サバンナで種を超えた多くの生きものたちが同居するシェアハウス
2021年10月04日 (月) | 編集 |
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アフリカ。 木の上にそびえる巨大な巣。 見上げるほど高い、土の塔。 地下に
張り巡らされたトンネル。 全て、サバンナの生きものたちの、すみかです。

シャカイハタオリの巣は、補強と増築を重ね、重さ1トンにも達しています。
ツチブタは、地中深くまで穴を掘って、すみかにします。 小さなシロアリが、
ビルのようなアリ塚を築き上げます。

ですが、暮らすのは作り手だけではありません。 そこには種を超えた多くの
生物が同居しているのです。

では、それぞれの巣の住民たちは、一体、どのような関係を築いているので
しょうか? 生きものたちのシェアハウスに密着します。

巣を作る材料を探しているのは、スズメの仲間、シャカイハタオリです。
青々とした細い葉は、丈夫で、しなやか。 玄関に最適ですが… 簡単には
調達できません。 茶色く乾燥した葉なら、すぐに手に入ります。

茶色い葉は、家の壁の部分に使います。 巣作りにはテクニックが必要です。
大切な材料を落としてしまう事もありますが、その多くは再利用されます。
サバンナでは、どんな材料も無駄にはされないのです。

使うのは、シャカイハタオリだけではありません。 シュウカクシロアリにとって
乾いた植物は、この上ない恵みです。 シロアリは草や枝を食料として大量に
消費するからです。 地下の巣から食料源まで、近いほど助かります。

シャカイハタオリが、新たな材料を運びます。 ピッタリはまりました。 シャカイ
ハタオリは、まず木の枝に屋根を作り、下へ向かって巣を築いて行きます。

屋根が、巣全体の重量を支える構造です。侵入者が入りにくいよう、入り口は
巣の底にあります。 この巣は、もうじき完成です。 壁の外側に、あと数本、
とがった草を挿せば、敵の攻撃を防いでくれるでしょう。

鳥の巣作りが終わると、シロアリの食料源は減ってしまいます。 新たな恵みを
求めて、1匹が偵察に向かいます。

狙いは、出来上がったシャカイハタオリの巣です。 シロアリの総攻撃を受け
れば、いかに巨大な鳥の巣でも、食べ尽くされてしまいます。

シャカイハタオリには、なす術がありません。 ですがこの巣には、頼りになる
生きものが暮らしています。 カマキリです。

カマキリの主な仕事は、害虫の駆除。 獲物を待ち構えますが、シロアリよりも
もっと美味しそうなものに、目が移ってしまいました。

危機を逃れたシロアリは、助けを呼ぶために素早く巣を降ります。 すると、
もっと手ごわい用心棒が、鳥の巣の中から現れました。

カラハリツリートカゲです。 見事にシロアリを退治しました。 シャカイハタオリの
巣には大抵、カラハリツリートカゲが、すんでいます。無料で同居する代わりに
シェアハウスの警備を引き受けているのです。

近くの木に、シェアハウスへの入居希望者がいます。 ハヤブサの中で、最も
小柄なピグミーハヤブサです。 この鳥は、自分では巣を作りません。

ピグミーハヤブサは、他の鳥の巣を無断で占拠します。 シャカイハタオリの
抗議など、お構いなし! 自分の方が、ずっと強い事を、よく分かっています。

カラハリツリートカゲは、この新しい住民に、まだ気付いていないようです。
危険が迫っています。 ピグミーハヤブサは、狙った獲物を逃しません。

シャカイハタオリの巣を救った英雄は、あっという間に、食料となってしまいまし
た。果たして、こんな無法者がシェアハウスで共同生活を送れるのでしょうか?

夕方。 巣に戻って来たシャカイハタオリは、疲れを取るために眠ります。 他の
鳥とは違い、彼らは繁殖期だけでなく、1年を通して同じ巣で暮らすのです。

夜行性のツチブタが、巣穴から出て、動き始める時間です。 ツチブタは、夜の
ほとんどを食料探しと、巣を作るための穴掘りに費やします。

危険を避けるため、たくさんの穴を掘り、頻繁に、すみかを変えるのです。
強力な爪と、引き締まった筋肉質の体で、コンクリート並みに硬いサバンナの
地面を、難なく掘り進めて行きます。

その成果が明らかになるのは、夜が明けてからです。 サッカー場ほどの
草原に開いた無数の穴には、他の生きものも、すみ着きます。

こちらは、イボイノシシ。 ツチブタが、昼間、巣で寝ている間、イボイノシシは、
活発に活動します。 幼いイボイノシシは、格好の獲物です。

ハイエナが狙っています。 何とかツチブタの巣穴に逃げ込む事ができました。
巣穴がシェルターとなったのです。 ツチブタの穴は、鳥にもメリットがあります。

ヒメハチクイは、通常、川の土手などを掘って巣を作りますが、ツチブタの穴も
ちょうど良い具合です。 乾いた土の壁に、奥行き2メートルもの巣を掘ります。

ヒメハチクイの真っ暗な巣穴を、赤外線カメラで撮影しました。 卵からヒナが
かえります。 数日前に生まれた、きょうだいたちが、巣の奥から見つめてい
ます。 母親が戻って来ました。

ふ化したばかりのヒナに、エサを与えようとしますが、暗くて、どの子が生まれ
たてなのか、見分けがつきません。 結局、自分で食べてしまいました。 再び
食料の調達に向かいます。

ヒメハチクイは、飛んでいるミツバチなどを捕まえる事ができます。この獲物は
愛の証しとして、パートナーに、ささげるようです。

今度は、ヒナたちの食料を確保しました。 獲物のお尻にある針を、慎重に
取り除きます。 生まれたばかりのヒナも、ようやく食料をもらえました。

ですが、まだ、口から食べる事に慣れていないため、時間がかかります。
子供たちに食事を与えて、だっこして、もうすぐふ化する卵に気を付けながら、
巣の中を掃除します。 ヒメハチクイの母親は、大忙しです。

巣穴の奥でツチブタが、ぐっすりと眠っています。 このメスは、疲れ切ってい
ます。 7カ月の妊娠期間を経て、赤ちゃんを1匹、産んだばかりです。

ツチブタの母親は、大抵、シングルマザーです。 これから半年間は、親子で
暮らします。 その間、子供は、母親だけが頼りです。 夜になると、母親は
食料を探しに出掛けます。 子供は独り、お留守番です。

アフリカタテガミヤマアラシも、このシェアハウスの住民。 日没後、同じように
食料探しに向かいます。

コウモリに続いて、アフリカタテガミヤマアラシが入り口から出て来ました。
少し遅れて、ツチブタが姿を見せます。 皆、同じ穴の住民です。

それぞれが自分に合わせてリフォームした部屋で生活し、サバンナの地下に
大きな団地を形成しています。

一見すると、シロアリの塚は巨大な岩に似て、シェアハウスに向いているよう
には見えません。 ところが中をのぞくと、多くの生きものが暮らせる仕組みが
整っている事が分かります。

塚の中には、シロアリが作り上げた換気システムが、張り巡らされているから
です。 普段、シロアリたちは地下で活動していますが、塚の修繕が必要に
なると、地上に出て来ます。

唾液や排せつ物、砂を使って頑丈な壁を作って行きます。 乾燥すると、岩の
ように硬く、雨が降っても崩れない塚が出来上がります。

働き者のシロアリたちは、この壁の内側で強い日ざしや敵から身を守りつつ、
女王シロアリに仕えているのです。 シロアリの塚で暮らす住民たち。

アフリカで最も小柄な肉食動物のコビトマングースは、早朝の日光浴が日課
です。 換気システムのおかげで、塚は、夜も快適な温度に保たれるため、
コビトマングースは、ほぼ、シロアリ塚のみに暮らしています。

ところが、住民としては最悪です。 容赦なく家に穴を開けても、修理は全く
行いません。 家主のシロアリが、修繕してくれるからです。

ましてや、おやつ代わりに、シロアリを食べてしまう事さえあります。 なんと、
恩知らずな住民なのでしょうか。

シロアリたちは壊れた穴を、すぐに修繕します。 さもないと、敵に襲われる
危険があるからです。 大型のマタベレアリが、作業中のシロアリたちを狙って
います。 コビトマングースは、知らぬ顔です。

つまり塚の住民は、シロアリを守ってくれないのです。 マタベレアリは、容赦
なくシロアリを攻撃します。 こうなると、時間との闘いです。

出来るだけ早く、穴を埋めなくてはなりません。 既にマタベレアリは、大量の
獲物がいる事を仲間に伝えています。 間もなく、マタベレアリの大群が押し
寄せます。 穴を完全に塞ぐまで、シロアリたちの危機は続きます。

ようやく穴が塞がれ、塚の安全が確保されました。女王シロアリが産卵すれば
すぐに働きアリの仲間は増えるでしょう。

ピグミーハヤブサのもとでは、3羽のヒナが、かえりました。 捕まえたばかりの
トカゲを、子供たちの元へ届けます。 シェアハウスの作り手であるシャカイハ
タオリも、子育ての真っ最中です。 ヒナが、巣から顔をのぞかせています。

ヒナは大きな声で、しきりに鳴いています。 ごはん、ちょうだい!と、言って
いるのでしょうか?

ピグミーハヤブサは、子供たちが大きくなり、このシェアハウスから引っ越す
時期を迎えています。 親は獲物を見せて、子供を外に誘い出しました。

獲物を口で受け渡すには親子が、うまくタイミングを合わせる必要があります。
親は、なかなか渡してくれません。 ようやく、子供は食事に、ありつけました。

満腹になると、今度は、飛ぶのに一苦労。 かといって、地上で休むのは危険
です。 周りには、敵が、たくさん潜んでいるからです。 早く巣へ戻る方が、
得策です。 しかし、巣も100%安全というわけでは、ありません。

腹を空かせたホソマングースが、シェアハウスに侵入しています。 シャカイハ
タオリの親鳥は、どうにもできません。 子供たちに、危険が迫ります。

シャカイハタオリのヒナの8割は、大人になるまで生き延びられません。
マングースの襲撃も、生存率を下げる大きな原因です。 シェアハウスの住民
が状況を見つめます。 ピグミーハヤブサも、ヒナを狙われる危険が…。

ただしシャカイハタオリと異なり、ハヤブサには鋭い爪と、くちばしがあります。
マングースをけん制し、ついに遠くへ追い払う事に成功しました。 嫌われ者の
ピグミーハヤブサが、シェアハウスを守ったのです。