2021年08月16日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「あなたが怒ったとき、何をしたら機嫌が良くなりますか?」
季節が変わると、木の葉は枯れ落ちます。 変化を避けられないのは、細胞も
星も同じ。 全ては、いつか死ぬのです。 そういうものです。
しかし、私たちの住む、この地球が生命を奪う場合もあります。
宇宙から見下ろす地球は、実に美しい青い球体です。 しかしその素顔は、
怒れる天体なのです。
地球は、私たちの生命を支えるために、存在しているわけではありません。
宇宙空間から見た地球は、荒々しく、美しく、すさまじく、猛烈でした。
合計1000日以上、宇宙空間に滞在した8人の宇宙飛行士たちなら、その経験
から、地球に本当は何が起こっているのかを、語れるでしょう。
私たちの地球には、恐ろしい秘密があります。 私たちが今、ここにいるのは
それ以前に、破滅的な出来事や大量絶滅があったからです。
恐竜の滅亡は、その一例に過ぎないのです。 地球は、宇宙で最も奇妙な
場所かも知れません。
全ての宇宙飛行士にとって宇宙へ行く事は命懸けの行為です。私はその事を
5カ月間の体験から実感しました。
ロシアの宇宙ステーション・ミールでは、毎日がサバイバルでした。ミールでの
ミッションは、私の人生で最も長く感じた5カ月でした。
今でも目を閉じると、その記憶の中に戻れます。 ミールの中は、古い家の
地下室のようでした。 中は、機器の残骸やゴミで、いっぱいでした。
ショックを受けました。 それらをよけるのに、かなりの時間をとられました。
宇宙で生き続けるために、精一杯働いてるうちに、私は、こう思いました。
人の生存本能というのは、なんて強いのだろうと…。
滞在1カ月を過ぎた、ある日、突然、アラームが鳴り響きました。警告パネルが
赤々と光り、火災や電圧低下、煙の危険を告げていました。
隅の方に置かれていた酸素発生装置を見ると、そこから大きな炎が上がって
いたのです。 猛烈なタイマツのように炎は数十センチの高さになり、火花が
激しく飛び散りました。 煙は瞬く間に、辺りに充満しました。
30秒も経たず、指さえも見えなくなりました。 手遅れになる前に酸素を確保
しようと思い、ぼやける視野の隅に、やっと酸素マスクを見つけました。
しかし酸素が出て来ない。 臨死体験というのか、過去の人生の記憶が次々
と頭に浮かびました。 最初に思ったのは、家族の事です。
2度と会えなくなる幼い息子に、呼び掛けました。 さよならジョン、ごめんねと。
私は、受け入れていました。 このまま死ぬのだと…。 しかし突然、私の中で
何かが変わりました。 何とかするぞ!と叫びました。
火を消して、息子に、もう1度会うのだと思いました。 生きなければ。
私は、行動を起こしました。 消火器を、3つは使ったでしょう。
どうにか、火を抑え込みました。 生き抜く本能です。 どんなに生き抜く努力
をしても、死は、寿命や病気や事故以外の理由からも、もたらされます。
この地球が、死を招く事も。 地球では過去に5回、生物の大量絶滅が起こり
ました。 かつて存在した生物の99.9%は、滅びています。
およそ2億5000万年前、地球は、死の星となりました。 恐竜の時代のはるか
以前、生物のおよそ95%が絶滅しました。 生命消滅の危機でした。
全ての生命が途絶えかけた、この時代、地球では火山の大規模な噴火が
繰り返し起きていました。 大地はカラカラに乾き、海の水は酸性化しました。
ほとんど全ての植物が死に絶え、地球上から森が消えました。 地球は史上
最悪の大量殺りくの現場と化したのです。今、地球に生きている生物は、全て
その大量絶滅の時代を、何とか生き延びた者たちの子孫なのです。
私たちは大昔の洪水の跡地で、哺乳類の先祖となった生き物の化石を探して
います。 この辺りにあった複数の横穴は、土砂で自然に塞がれて岩の塊に
なっています。
そこで骨のカケラを見つけ、ついには骨格全体を発掘しました。 トリナクソドン
という哺乳類型、は虫類です。
トリナクソドンは、ミーアキャットに似た小動物でした。 ただし、体毛はなく、
卵から生まれたと思われます。
ミーアキャットと共通するのは大きな爪で穴を掘り地中に住んでいた事です。
地中で暮らす事で日中の暑さと夜の寒さに耐えていたのです。 発掘した化石
の中に、幼い2匹のトリナクソドンが、身を寄せ合っているものがありました。
2匹は、地表で得た体の熱を互いに分け合う事で、体温調節をしていたと推測
されます。 は虫類から哺乳類へと進化する過程が見られます。
トリナクソドンのような生き物が生き延びたからこそ、哺乳類の進化、そして
人類の誕生があるのです。 私たちの祖先は、大きくも悪賢くもありませんで
したが、たまたま地中に住んだ事が幸運でした。 運命とは不思議です。
地球の生命の歴史は、さまざまな生物が登場しては消え去って行く、その
繰り返しです。今日、地球は、あらゆる場所で生命が、まばゆく輝いています。
地中を1キロ以上掘った先にも、小さな生き物がいます。 深海の真ん中の
熱湯が噴き出しているような場所でさえ、生物の群れがいるのです。
生物の多様性は、生命が続いて行く事を確実にします。 地球が攻撃を仕掛け
どんなパンチを打って来ても、受け止められます。
負ける生物がいても、別の生物が生き延びるのです。 生物がバラエティーに
富むのは、いい事です。 そして、生物が多様性を広げる鍵は何かといえば、
交わる事です。 もし、クローン技術が使えたら、子供を作るのは簡単。
自分を複製すればいい。 しかしクローンには弱点があります。
全ての個体が全く同じだと、1つの病気や、1つの災難で全滅してしまうかも。
ですから、少し混ぜないとね。
ここはメキシコのカンクンにある海底美術館です。 彫刻がサンゴの住みかに
なります。 サンゴは自分のクローンを増やす事ができますが、そればかりで
なく将来の環境の変化から子孫を守るために不思議な生殖行動を行います。
年に1回、満月の輝く夜。 サンゴは、一斉に卵と精子を放出します。
膨大な量です。 海中を漂う卵は、まるで銀河系の星々のようです。
卵は、他のサンゴが放出した精子と合体します。 交配は、こうして一斉に
行われます。 遺伝子が混じり合うチャンスを増やし、次の世代のサンゴの
多様性を生み出すためです。
こうしてサンゴは絶えず状況が変わる海で、2億5000万年の間、命をつないで
来ました。 2つの個体のDNAが混ざると、元のペアとは異なる生命体、異なる
生き物が作り出されます。
子供は、親とは異なる生き物となり、種としての生存の可能性を広げます。
私自身の子供たちを見ても、みんな私とは全く違った人間です。 私より優秀。
交配、それは快楽でもありますが、本質は間違いなく、種の存続のためにあり
ます。 異なる遺伝子を混ぜ合わせる為に生物はどんな苦労も惜しみません。
カゲロウの幼虫は、まるでエイリアンのようです。泥の中で1年間成長し、外へ
出て行くのに、よいタイミングを待ちます。成熟した幼虫は水面を目指します。
モタモタしていると魚に食べられてしまいます。 やがて始まるのは、不思議に
満ちた生命のサイクル。 まるで突然、、魚が鳥に変わるかのようです。
成虫は、食べる事ができません。 口も、消化器官もありません。
カゲロウの成虫は、子孫を残すためだけに生き、24時間以内に交尾を遂げて
死んで行きます。 カゲロウの交尾は、夏のある日、一斉に行われます。
オスは、激しく上下に飛び回ります。 近くに現れたメスを、より早く捕まえた
オスが、交尾に成功します。 交尾が終わると、オスは、それで終わりです。
メスは、すぐに、水場を見つけて卵を産みます。 そして、やはり死にます。
繁殖のためにだけ、全力を尽くすのです。 繁殖を成功させるには、ただ生き
抜くだけでは不十分です。 相手を引き付けなければ…。
だから生命は、装い、印象付けようとするのです。 そこに美が生まれました。
地球で生命が複雑に進化した大きな要因です。 交配による繁殖がなければ
生命は、多様にはならなかったでしょう。
多様性は、過酷な地球で生き抜くために、絶対に必要なものです。 生命体は
子孫の多様性を獲得しましたが、その代償として死が宿命づけられます。
人生で確実なのは、いつか死ぬという事。 小惑星の衝突や、大きな災難が
起こらなくても人間のように複雑な生命体を維持して行くのは大変な事です。
人体は驚異的です。 細胞の数は、37兆個。 銀河系の星より多いのです。
今、ここにいる私は、宇宙にいた私ではありません。 日々、何千億個もの
細胞が、入れ代わっているからです。
私が見ている、この手は、もう宇宙にいた時の手ではない。 今も体の中では
大量の細胞が死んで行きます。 そこで細胞を置き換えなければなりません。
生物として生きて行くために必要な事です。 細胞の破壊は、体の内部ばかり
でなく、外側の皮膚でも起こります。
地球にいる時は気になりませんが、宇宙では、そうはいきません。
重力がほとんどない空間では、剥がれた皮膚は空中を漂います。 掃除は、
毎週土曜日に行います。掃除機で私たちの死んで剥がれた皮膚を吸います。
宇宙船内の、あちこち全てのフィルターに、たまっているのです。靴下を脱ぐと
皮膚の粉が飛びます。 剥がれた皮膚は、靴下の中に、とどまりません。
雲のように浮かび、宙を漂います。 ですから、排気口の側で靴下を脱ぐように
していました。
顔を背けながら、掃除機を取って来て、たまった皮膚の粉を吸い取るのです。
細胞には寿命があります。 細胞が複製されるたびに、小さなエラーが生じ、
外部からの損傷も加わって、ダメージは蓄積して行きます。
ダメージは、やがて、ある限界を超えます。 その時、私たちは…死ぬのです。
新しく作る方が、古いものを修繕するより簡単… 遺伝子の観点からは、そう
です。 それが分かっても、死ぬのが楽にはなりませんが…。
季節が変わると、木の葉は枯れ落ちます。 変化を避けられないのは、細胞も
星も同じ。 全ては、いつか死ぬのです。 そういうものです。
しかし、私たちの住む、この地球が生命を奪う場合もあります。
宇宙から見下ろす地球は、実に美しい青い球体です。 しかしその素顔は、
怒れる天体なのです。
地球は、私たちの生命を支えるために、存在しているわけではありません。
宇宙空間から見た地球は、荒々しく、美しく、すさまじく、猛烈でした。
合計1000日以上、宇宙空間に滞在した8人の宇宙飛行士たちなら、その経験
から、地球に本当は何が起こっているのかを、語れるでしょう。
私たちの地球には、恐ろしい秘密があります。 私たちが今、ここにいるのは
それ以前に、破滅的な出来事や大量絶滅があったからです。
恐竜の滅亡は、その一例に過ぎないのです。 地球は、宇宙で最も奇妙な
場所かも知れません。
全ての宇宙飛行士にとって宇宙へ行く事は命懸けの行為です。私はその事を
5カ月間の体験から実感しました。
ロシアの宇宙ステーション・ミールでは、毎日がサバイバルでした。ミールでの
ミッションは、私の人生で最も長く感じた5カ月でした。
今でも目を閉じると、その記憶の中に戻れます。 ミールの中は、古い家の
地下室のようでした。 中は、機器の残骸やゴミで、いっぱいでした。
ショックを受けました。 それらをよけるのに、かなりの時間をとられました。
宇宙で生き続けるために、精一杯働いてるうちに、私は、こう思いました。
人の生存本能というのは、なんて強いのだろうと…。
滞在1カ月を過ぎた、ある日、突然、アラームが鳴り響きました。警告パネルが
赤々と光り、火災や電圧低下、煙の危険を告げていました。
隅の方に置かれていた酸素発生装置を見ると、そこから大きな炎が上がって
いたのです。 猛烈なタイマツのように炎は数十センチの高さになり、火花が
激しく飛び散りました。 煙は瞬く間に、辺りに充満しました。
30秒も経たず、指さえも見えなくなりました。 手遅れになる前に酸素を確保
しようと思い、ぼやける視野の隅に、やっと酸素マスクを見つけました。
しかし酸素が出て来ない。 臨死体験というのか、過去の人生の記憶が次々
と頭に浮かびました。 最初に思ったのは、家族の事です。
2度と会えなくなる幼い息子に、呼び掛けました。 さよならジョン、ごめんねと。
私は、受け入れていました。 このまま死ぬのだと…。 しかし突然、私の中で
何かが変わりました。 何とかするぞ!と叫びました。
火を消して、息子に、もう1度会うのだと思いました。 生きなければ。
私は、行動を起こしました。 消火器を、3つは使ったでしょう。
どうにか、火を抑え込みました。 生き抜く本能です。 どんなに生き抜く努力
をしても、死は、寿命や病気や事故以外の理由からも、もたらされます。
この地球が、死を招く事も。 地球では過去に5回、生物の大量絶滅が起こり
ました。 かつて存在した生物の99.9%は、滅びています。
およそ2億5000万年前、地球は、死の星となりました。 恐竜の時代のはるか
以前、生物のおよそ95%が絶滅しました。 生命消滅の危機でした。
全ての生命が途絶えかけた、この時代、地球では火山の大規模な噴火が
繰り返し起きていました。 大地はカラカラに乾き、海の水は酸性化しました。
ほとんど全ての植物が死に絶え、地球上から森が消えました。 地球は史上
最悪の大量殺りくの現場と化したのです。今、地球に生きている生物は、全て
その大量絶滅の時代を、何とか生き延びた者たちの子孫なのです。
私たちは大昔の洪水の跡地で、哺乳類の先祖となった生き物の化石を探して
います。 この辺りにあった複数の横穴は、土砂で自然に塞がれて岩の塊に
なっています。
そこで骨のカケラを見つけ、ついには骨格全体を発掘しました。 トリナクソドン
という哺乳類型、は虫類です。
トリナクソドンは、ミーアキャットに似た小動物でした。 ただし、体毛はなく、
卵から生まれたと思われます。
ミーアキャットと共通するのは大きな爪で穴を掘り地中に住んでいた事です。
地中で暮らす事で日中の暑さと夜の寒さに耐えていたのです。 発掘した化石
の中に、幼い2匹のトリナクソドンが、身を寄せ合っているものがありました。
2匹は、地表で得た体の熱を互いに分け合う事で、体温調節をしていたと推測
されます。 は虫類から哺乳類へと進化する過程が見られます。
トリナクソドンのような生き物が生き延びたからこそ、哺乳類の進化、そして
人類の誕生があるのです。 私たちの祖先は、大きくも悪賢くもありませんで
したが、たまたま地中に住んだ事が幸運でした。 運命とは不思議です。
地球の生命の歴史は、さまざまな生物が登場しては消え去って行く、その
繰り返しです。今日、地球は、あらゆる場所で生命が、まばゆく輝いています。
地中を1キロ以上掘った先にも、小さな生き物がいます。 深海の真ん中の
熱湯が噴き出しているような場所でさえ、生物の群れがいるのです。
生物の多様性は、生命が続いて行く事を確実にします。 地球が攻撃を仕掛け
どんなパンチを打って来ても、受け止められます。
負ける生物がいても、別の生物が生き延びるのです。 生物がバラエティーに
富むのは、いい事です。 そして、生物が多様性を広げる鍵は何かといえば、
交わる事です。 もし、クローン技術が使えたら、子供を作るのは簡単。
自分を複製すればいい。 しかしクローンには弱点があります。
全ての個体が全く同じだと、1つの病気や、1つの災難で全滅してしまうかも。
ですから、少し混ぜないとね。
ここはメキシコのカンクンにある海底美術館です。 彫刻がサンゴの住みかに
なります。 サンゴは自分のクローンを増やす事ができますが、そればかりで
なく将来の環境の変化から子孫を守るために不思議な生殖行動を行います。
年に1回、満月の輝く夜。 サンゴは、一斉に卵と精子を放出します。
膨大な量です。 海中を漂う卵は、まるで銀河系の星々のようです。
卵は、他のサンゴが放出した精子と合体します。 交配は、こうして一斉に
行われます。 遺伝子が混じり合うチャンスを増やし、次の世代のサンゴの
多様性を生み出すためです。
こうしてサンゴは絶えず状況が変わる海で、2億5000万年の間、命をつないで
来ました。 2つの個体のDNAが混ざると、元のペアとは異なる生命体、異なる
生き物が作り出されます。
子供は、親とは異なる生き物となり、種としての生存の可能性を広げます。
私自身の子供たちを見ても、みんな私とは全く違った人間です。 私より優秀。
交配、それは快楽でもありますが、本質は間違いなく、種の存続のためにあり
ます。 異なる遺伝子を混ぜ合わせる為に生物はどんな苦労も惜しみません。
カゲロウの幼虫は、まるでエイリアンのようです。泥の中で1年間成長し、外へ
出て行くのに、よいタイミングを待ちます。成熟した幼虫は水面を目指します。
モタモタしていると魚に食べられてしまいます。 やがて始まるのは、不思議に
満ちた生命のサイクル。 まるで突然、、魚が鳥に変わるかのようです。
成虫は、食べる事ができません。 口も、消化器官もありません。
カゲロウの成虫は、子孫を残すためだけに生き、24時間以内に交尾を遂げて
死んで行きます。 カゲロウの交尾は、夏のある日、一斉に行われます。
オスは、激しく上下に飛び回ります。 近くに現れたメスを、より早く捕まえた
オスが、交尾に成功します。 交尾が終わると、オスは、それで終わりです。
メスは、すぐに、水場を見つけて卵を産みます。 そして、やはり死にます。
繁殖のためにだけ、全力を尽くすのです。 繁殖を成功させるには、ただ生き
抜くだけでは不十分です。 相手を引き付けなければ…。
だから生命は、装い、印象付けようとするのです。 そこに美が生まれました。
地球で生命が複雑に進化した大きな要因です。 交配による繁殖がなければ
生命は、多様にはならなかったでしょう。
多様性は、過酷な地球で生き抜くために、絶対に必要なものです。 生命体は
子孫の多様性を獲得しましたが、その代償として死が宿命づけられます。
人生で確実なのは、いつか死ぬという事。 小惑星の衝突や、大きな災難が
起こらなくても人間のように複雑な生命体を維持して行くのは大変な事です。
人体は驚異的です。 細胞の数は、37兆個。 銀河系の星より多いのです。
今、ここにいる私は、宇宙にいた私ではありません。 日々、何千億個もの
細胞が、入れ代わっているからです。
私が見ている、この手は、もう宇宙にいた時の手ではない。 今も体の中では
大量の細胞が死んで行きます。 そこで細胞を置き換えなければなりません。
生物として生きて行くために必要な事です。 細胞の破壊は、体の内部ばかり
でなく、外側の皮膚でも起こります。
地球にいる時は気になりませんが、宇宙では、そうはいきません。
重力がほとんどない空間では、剥がれた皮膚は空中を漂います。 掃除は、
毎週土曜日に行います。掃除機で私たちの死んで剥がれた皮膚を吸います。
宇宙船内の、あちこち全てのフィルターに、たまっているのです。靴下を脱ぐと
皮膚の粉が飛びます。 剥がれた皮膚は、靴下の中に、とどまりません。
雲のように浮かび、宙を漂います。 ですから、排気口の側で靴下を脱ぐように
していました。
顔を背けながら、掃除機を取って来て、たまった皮膚の粉を吸い取るのです。
細胞には寿命があります。 細胞が複製されるたびに、小さなエラーが生じ、
外部からの損傷も加わって、ダメージは蓄積して行きます。
ダメージは、やがて、ある限界を超えます。 その時、私たちは…死ぬのです。
新しく作る方が、古いものを修繕するより簡単… 遺伝子の観点からは、そう
です。 それが分かっても、死ぬのが楽にはなりませんが…。
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