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日本が世界に誇るすばる望遠鏡をつくった前代未聞の挑戦とは?
2021年08月09日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「あなたが怒ったとき、何をしたら機嫌が良くなりますか?」
世界でも有数の星空が見られる、ハワイ島にある、すばる望遠鏡。 本格的な
観測開始から、20年が過ぎました。

日本の技術を結集したすばる望遠鏡は、遠くの天体のディテールまで鮮明に
映し出して来ました。更に、すばるの桁違いの能力は、1度に広範囲の宇宙を
詳しく撮影することも可能にしました。

ハッブル宇宙望遠鏡が200年かかる領域を、すばるなら、僅か1年で観測する
事が出来るのです。

“現代の最先端の望遠鏡と言っていいでしょうね。もう20年経っていますけど
こういう広視野で観測できる望遠鏡が他に無いものですから、やっぱり使い
たいという方が、たくさんいらっしゃいます”

そしてもう1つ、日本が世界に誇る望遠鏡があります。 標高5000メートル。 南米
チリのアタカマ砂漠。66基のパラボラアンテナが立ち並ぶ、アルマ望遠鏡です。

アルマも10年を迎えました。 最高の立地にあるアルマ望遠鏡が捉えるのは
可視光線ではなく電波です。光では見えない天体の内部、そして星の誕生や
死にゆく姿を明らかにしました。

“アルマ以前の電波望遠鏡に比べると、段違いに凄かったですね。 実際に
その画像を見た時は、あぁ、やっぱりこれは世界が変わるな時代が変わるな
っていう印象がありました”

世界の天文学をリードして来た、すばるの20年、そしてアルマの10年。

今回は、2つの望遠鏡が解き明かして来た、驚きの宇宙の姿を、ご覧いただき
ましょう! (映像はNHKのコズミックフロントを、ぜひ4Kテレビで観て下さい!)

ハワイ島、マウナケアの山頂に立つ、日本の、すばる望遠鏡です。

光を集める鏡は、1枚鏡としては世界最大級の(主鏡の)直径8.2メートル。

しかも、広い視野を観測できる望遠鏡です。 マウナケアを望む町、ヒロ。

ここに、国立天文台のオフィスがあります。 すばる望遠鏡の観測を支える
いわば、前線基地です。 ハワイ観測所の所長です。

“もう20年経ってますけども、まだ、いわゆる、すばる望遠鏡クラス、これを
超える望遠鏡は、まだ、完成をしておりません”

“ですから、世界にライバルは色々といるんですけども、まぁ、そういう中で、
第1線として活躍しているっていう、そういう望遠鏡です”

では、世界一の威力を持つ、すばる望遠鏡が捉えた宇宙を、ご覧いただき
ましょう! 私たちの天の川銀河の隣人、アンドロメダ銀河です。

250万光年、離れていますが、まるで、すぐ近くにあるように見えます。

“アンドロメダ銀河の、ほんの一部なんですけど、撮りましたが、その時に、
アンドロメダの割と広い所が撮れたっていうだけじゃなくて、非常に解像度が
高く撮れて、銀河の中に映ってる星が1個1個、鮮明に、分解して見えるという
ようなデータが取れました。 これを見た時は驚きましたね”

すばるは、遠くの銀河も、鮮明に見る事が出来ます。

こちらは、アンドロメダの100倍以上も遠い距離にある、ステファンの5つ子。

銀河が密集している姿を捉えました。

“実際は、この画でいいますと左下かな。ちょっと青っぽい銀河があると思うん
ですけど、それだけは、実は、たまたま視線方向に重なってるだけで、実際は
すごい近い(5000万光年)んですよ”

“そいつだけが我々に、かなり近い所にいて、あとの4つは、本当に、ほとんど
同じ所(3億光年)にあって、今しも、ぶつかりかけているっていうようなやつ
なんですよね”

今にも、ぶつかりそうな2つの銀河を、すばるは精密に捉える事ができました。

遠くの天体を鮮明に捉える。 それには、今までにない大型の望遠鏡と特別な
場所が必要でした。 選ばれたのが、ハワイ島です。 標高4000メートルを
超える、マウナケアの山頂。 なぜ、ここは、観測に適しているのでしょうか?

国立天文台の副台帳に伺いますが… あれあれ? 立派な、おひげが…
以前とは、ずいぶん雰囲気が違いますね!

“ハハ… やはり、コロナの状況で、まぁ、何か、こう… ストレスを発散すると
いうか… 少し変わった事をやろうかなと思いましてヒゲを伸ばしてみました”

“ハワイ島という島が、常に穏やかな同じ風が吹き続けていて、晴天率が高い
事。 それから4000メートル以上ありますので、空気が少ないってう事もあって
星の光が、そのまま届く。 特に、我々が見たいと思っていた赤外線の光が、
水蒸気に、あまり邪魔されずに届く高さにあるっていう事も、1つ原因ですね”

地上から観測する場合、問題になるのが大気の影響です。 可視光線以外の
多くが、厚い大気に吸収されてしまいます。 (X線・紫外線・赤外線・電波)

ところが標高の高いマウナケアの山頂ならば、大気は薄く赤外線まで捉える
事ができます。 可視光線に赤外線を加えて観測すると、天体の、より詳細な
情報を得る事ができるのです。

しかし、ここに、直径8.2メートルもある巨大な鏡の望遠鏡をつくるのは、前代
未聞の挑戦でした。 1992年6月。 山頂での建設が始まりました。

望遠鏡の名前は、公募により、 すばる に決定。

当時の貴重な映像がありました。 8.2メートルのつなぎ目のない1枚のガラスは
アメリカで製作。 そして、仕上げはペンシルベニア州のピッツバーグにある、
鉱山の跡で行われました。

地下は温度が一定なので、ガラスが膨張したり、変形したりする事を防ぐ事が
できます。 巨大なガラスの表面を、1万分の1ミリの精度で磨き上げるために
実に、4年もの歳月が費やされました。

完成した鏡は、ピッツバーグを出発し、ミシシッピ川を下り、パナマ運河を通り、
太平洋を進んで、2カ月かけてハワイ島に運ばれます。

1998年11月4日。 ハワイ島に到着。 山頂に向かいます。 一般の車両は
通行止め。 大きな鏡は、対向車線まで、はみ出してしまうからです。

山頂に近付くにつれ、道路の傾斜も急になります。 傾く車体の上でも荷台は
水平を保ち、鏡を守っています。 次第に、道幅も狭くなります。

幅が10メートルもある車両を通すため、道路標識を曲げたり、引き抜いたり
しなければなりません。 港を、深夜2時に出発してから、14時間。

山頂の、すばるドームに無事、到着しました。 こうして構想から20年、すばる
望遠鏡は完成しました! そして、1998年12月24日。

初めて、星の光を捉える日が来ました!  ‘きたー! きた! きた! きた!’

ハワイ島に大型望遠鏡を持つという、日本の天文学者たちの悲願達成です。

2019年に亡くなった、初代の所長。 完成当時の映像がありました。

“まぁ、やっぱり、今まで建設に8年、その前の準備もたくさんあって、望遠鏡
として宇宙を観測する、いよいよ、そのスタートラインに立ったわけですね”

“まぁ、本当に私たちも、これから、武者震いっていうとこですね!”

広い視野、巨大な鏡、そして赤外線観測。こうして、すばるは世界一の望遠鏡
としてスタートを切りました。 すばるの登場により、天文学が大きく進展しました。

その1つが、それまでは見る事が難しかった、星が誕生する現場の観測です。

天文学者の埼玉大学の准教授は、すばるが完成した時から観測に参加して
来ました。  “ファーストライトの時は三鷹でリモートの観測… 中継というか
リモートで一緒に見てました”  それが、こちら!

完成直後、ファーストライトで撮られた、オリオン星雲(1500光年)です。

白く見える点は、そのほとんどが、生まれて間もない赤ちゃん星です。

その数は1000個以上に上ります。星はガスの塊、分子雲の中で生まれます。

分子雲の中に隠れて見えなかった星の誕生が、すばるの性能によって、捉え
られました。

“3つの波長を使って、それぞれを青・緑・赤と割り当てて、1つのカラー画像を
作っているのです。非常にキレイに見事に捉えたなっていう風に思いました”

オリオン星雲の右上に、ご注目! オレンジ色の不思議な形が、映し出されて
います。 オリオンKLと、名付けられた領域です。

“ここには、太陽のおよそ30倍ぐらいの大きい… 質量の大きい星が、まさに
今、生まれていて、そこが、バーッと、こう、風を回りに… 星風と呼ばれる風を
ワーッと吹き出しているところが、指のように見えていて、フィンガー構造と
呼ばれています”  ファーストライトから4カ月後。

まだ、大学院生だった准教授が観測した天体は、今も、すばるを代表する
美しい画像の1つです。 それが、こちら!

およそ2000光年の距離にある星形成領域 S106。 まるでチョウが羽を広げた
ように、星の材料となるガスとチリの雲が広がっています。

“太陽のおよそ20倍ぐらい重たい星が、この真ん中の白い所で生まれていて
そこが、こうガスをウワーッと、この画像でいうと、上下に吹き出している様子
が捉えられています”

この星雲では、600を超える、生まれたての星が見つかりました。

そして准教授が、すばるの性能を最も実感したのは、たくさんの小さな天体が
見つかった事です。

“小さな褐色矮星とか惑星質量天体が、数百個、初めて発見されたという事”

褐色矮星とは、質量が太陽の8%以下の小さな天体です。 水素の核融合が
起こらないため、光り輝く事なく、次第に冷えて観測できなくなります。

一方、惑星質量天体は、惑星ほどの大きさしかありません。 今も多くの謎が
ある天体です。宇宙には、こうした小さな天体の方が多い可能性があります。