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人類が挑む太陽系最大の惑星、恐ろしい巨大惑星・木星への挑戦!
2021年08月06日 (金) | 編集 |
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私達が暮らす太陽系。 その謎に迫るため1960年代以降、数多くの探査機が
宇宙に送り出されて来ました。

探査の実現に欠かせないのが、科学者や技術者の存在です。 彼らの情熱が
太陽系の謎を、少しずつ解き明かして来たのです。

証言や記録映像をもとに、シリーズでお送りする、太陽系探査の舞台裏。

今回は、太陽系最大の惑星、木星です。 直径は、地球の11倍もあります。

ガスで出来た超巨大な惑星です。

“でかい! 桁外れです! 北極から南極まで、至る所で渦巻いています”

“地球の大きさを、はるかに超える巨大な嵐が、吹き荒れているのです”

想像を絶する荒々しい現象は、科学者たちを魅了して来ました。 ところが、
木星の探査には、思わぬ壁が立ちはだかります。

危険な放射線帯が、惑星を取り巻いていたのです。

“木星は、とても凶悪で、命を脅かす惑星だったのです。 木星の放射線の
強さは想像を絶するものでした。 地球上の6000万倍だと分かったのです”

それでも科学者たちは、困難を乗り越え、木星に挑み続けます。 そして謎に
包まれた木星の正体が、少しずつ見えて来たのです。

“木星の全貌は、いまだ、つかめていません。その謎の解明には、人生を賭け
る価値があります”

更に科学者たちの興味を惹き付けたのが、木星の衛星です。 これまでの
常識を覆す事実が、次々と明らかになったのです。

“驚きました。 衛星の表面は氷で覆われ、ひび割れた筋が見えたのです”

“衛星には、氷だけではなく、火山もあったのです”

特に、研究者たちの注目を集めたのは、第2の衛星、エウロパ。 氷の下に、
海が広がっているというのです。

“エウロパの面白さは、やはり、エウロパ自体が生きている天体だという事。
エウロパは、生命の可能性が、非常に高い天体という風にいえます”

更に今、木星と、その衛星の謎に迫る、新たな計画も始まっています。

科学者たちを魅了して、やまない、巨大惑星、木星。

地球から7億キロのかなたへ、大冒険の始まりです。

夜空に浮かぶ木星。 表面には特徴的な縞模様が見えます。 惑星を取り巻く
雲の高さや、成分の違いによって、縞模様として見えているのです。

直径は、地球の11倍。 重さは、地球の320倍もあります。

太陽系の中で桁違いに大きく、巨大な重力を持っています。 古代ローマの
人々は、ひときわ明るく輝く木星に、最高神ジュピターの名前を付けました。

19世紀、フランスの画家が描いたジュピター。 天空を支配し、いかずちで人間
を焼き尽くす、恐ろしい力を持つ神として描かれています。
(ギュスターブ・モロー/ジュピターとセメレーより)

そして科学者も、木星が実際に不思議な力を放っている事に気付きました。

“1955年、木星からの電波が捉えられましたが、その原因は分かりませんで
した。 木星は、まるで巨大なエンジンのように大量のエネルギーを放出して
いたのです。 木星からの電波は、強力な磁場がある事を示していたのです”

1972年、木星の磁場を調べるため、最初の探査機が完成しました。

“初めて木星に向かう探査機には、どれほどの性能が必要なのかは、未知数
でした。 そこでまず、先駆的なチャレンジとしてパイオニア号を開発しました”

“必要最小限の観測を行い、データを地球に送信する事ができる観測機器や
通信装置を搭載しました。 とてもシンプルな探査機です”

“パイオニア10号が木星へ出発した段階では、磁場の大きさや形などは、全く
分かっていませんでした”

1973年12月3日。 パイオニア10号は、木星へ接近します。 巨大惑星の姿が
間近に迫って来ました。 最初に行われたのは、磁場の観測です。

その結果、強力な磁場が作る、巨大な磁気圏の姿が明らかになりました。

“パイオニアのおかげで木星の磁気圏が予想よりも大きい事が分かりました”

“もし、木星の磁気圏が地上から見えるとしたら、月の5倍ほどの大きさに見え
るはずです。 その巨大なさまが、一目で分かると思います”

“木星の磁場に太陽風が吹きつけると、彗星のような形になります。 尾は、
土星にまで届きそうです”

探査機パイオニアは木星の巨大な磁気圏だけでなく、恐ろしい事実も明らか
にしました。 木星を取り囲む、強力な放射線帯の存在です。

“放射線の測定器から送られて来るデータに、誰もが驚きました”

測定された放射線量は、最大で、人の致死量の1000倍にもなりました。

惑星の磁気圏と放射線帯には、どのような関係があるのでしょうか?

太陽の表面からは、フレアなどの爆発現象によって多くの粒子が放出されて
います。 粒子は、地球にも届きます。

そして、地球の磁気圏に捉えられた粒子が加速すると、ヴァン・アレン帯と
呼ばれる(地球の)放射線帯が作られます。

巨大な磁気圏を持つ木星には、巨大な放射線帯が作られていたのです。

“探査の結果、木星には巨大かつ強力な放射線帯がある事が分かりました。
地球とは比べものにならない規模だったのです。強力な放射線は電子機器に
ダメージを与えるため、木星探査にとって大きな問題です”

探査機パイオニアが明らかにした、木星の強力な磁場と放射線帯。 1977年
木星の謎を探る新たなプロジェクトが始まりました。 ボイジャー計画です。

1977年9月5日。 ボイジャー1号を打ち上げ。

“ボイジャー計画に参加したのは私が大学院の時です。初めてのプロジェクトで
した。 ちょうど探査機が打ち上がるタイミングで、チームに入ったのです”

“僕は、まだ学生でしたが、チームに加わりました。 とても興奮しました”

打ち上げから1年半後、ボイジャー1号は木星に到達します。 まず挑んだのは
木星表面の撮影です。

その結果、明らかになったのは、大気の詳細な動きでした。

“まるで探査機から見ているようでした。 木星の大きな渦や、帯状の気流が
激しく流れる様子を、間近で捉える事ができました。 木星のダイナミックな
大気のメカニズムを、初めて実感できました”

ボイジャーによって明らかになった、詳細な木星大気の循環。 特に科学者
たちが注目したのが、南半球に存在する高気圧の渦、大赤斑です。

この巨大な渦、なんと、地球がスッポリ入るほどの大きさがあります。

なぜ、このような現象が起きているのでしょうか? 原因は木星の自転です。

木星は、巨大、かつ、高速で自転しているため、大きなエネルギーが生み出さ
れているのです。

“大赤斑は、200年以上前から観測されている、とても興味深い現象です。
この巨大な渦の仕組みを実験で説明してみます”

“木星表面にある雲の層を、この容器に再現しました。 深さは5センチほど。
直径は1メートルです。 絵の具で、大気の変化を分かるようにします”

“木星は、すごい速さで自転しています。 そのため乱気流が起こり、大赤斑が
生まれます。木星では乱気流は自然発生しますが、今回は手で、かき混ぜて
みましょう”

自転する惑星の表面で大気が動くと、その軌跡は曲がります。 これは、
コリオリ効果と呼ばれ、地球では、この力が台風の渦を生み出しています。

“乱気流にコリオリの力が加わって、大赤斑のような渦が生まれ、成長するの
です。 美しい渦が作られて行くのが見えますよね。 小さな渦は自転によって
無数に発生します。そして成長しながら集まり、大きな渦になって行くのです。
自転が続く限り、渦は消えません”

科学者たちを魅了する木星の渦。 そのメカニズムは、自転の力によるもの
だったのです。木星の自転速度は時速4万7000キロ。地球の20倍以上です。

巨大な大赤斑を生み出していたヒミツとは、木星が猛スピードで回転している
事だったのです。

“木星は、高速で回転する巨大なコマのようなものです。これがダイナミックな
現象を引き起こす原動力なのです”

木星の観測を終えたボイジャー1号。次に向かったのは巨大な4つの衛星です。

内側から、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。 最初に観測したのは、木星に
最も近いイオです。 ここでボイジャーは予想もしていなかった大発見をしました。

“紫外線の計測器が、大量のガスがある。気をつけろと警告して来たのです”

ボイジャーが捉えたのは、火山の噴火です。 地球以外で初めて、活火山が
確認されたのです。 観測の結果、いくつもの火口から、毎秒1トンもの火山
ガスが放出されている事が分かりました。

更に、この火山ガスの粒子が、木星の強力な放射線帯に大きく影響していま
した。 放出されたガスの粒子は木星の磁場に捉えられ、ドーナツ型の帯を
作り出します。

ガスの粒子は、加速しながらエネルギーを増幅させ、強い放射線を発します。

木星を取り巻く強力な放射線帯。 実は、太陽風だけでなく、衛星イオからの
大量の火山ガスが大きな原因となっていたのです。

“ガスの粒子は、加速しながらエネルギーを大きく増やし、危険な放射線帯を
作り出していました。 地球を取り巻く放射線帯に、よく似ていますが、何倍も
強力で恐ろしいものです。 比べ物になりません!”

“木星の放射線の強さは桁外れです。 地球上の6000万倍にもなるのです”

木星の強力な放射線帯の大きな原因となったいた、イオの活火山。

しかし、なぜ、イオでは火山活動が起きているのでしょうか?

“イオの軌道は、楕円です。 そのため、木星に接近する時は重力で潰され、
離れると戻ります。 こうしてイオの内部には、摩擦熱が生まれるのです”

イオの内部に摩擦熱を生み出していた、木星の巨大な重力。 それが、火山
活動を引き起こしていたのです。

“ボイジャーは、期待以上の活躍をしてくれました。 それまで、誰もイオに
火山があるとは思っていなかったのです”

更に、もう1つ、科学者たちを驚かせた衛星がありました。 エウロパです。

“驚きました。 衛星の表面は氷で覆われ、ひび割れた筋が見えたのです。
本当に、想定外だったのです”

更にエウロパの表面には、地球の月に見られるようなクレーターが、ほとんど
ありませんでした。 何らかの活動が起きている事が分かったのです。

“クレーターが少ないのは、エウロパの活動によって表面が常に新しくなって
いると考えられます”

“それまでの科学者たちは、木星の衛星はエネルギーもなく、退屈なものだと
考えていました。 ところが、想像以上の事が起きていたのです”

木星の詳細な観測を初めて行った探査機ボイジャー。 大きな成果を上げまし
たが、次の目的地である土星や天王星に向かわなければなりませんでした。

“ボイジャーは木星の大気の動きや衛星の驚くべき姿など、目覚ましい成果を
上げました。 でも、謎は、まだ、たくさん残っていたのです”