2021年07月31日 (土) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「あなたが怒ったとき、何をしたら機嫌が良くなりますか?」
私たちが暮らす地球。 その表面に広がっているのは、青い海、そして広大な
大地です。 地表では、目を見張るような絶景の数々に出会う事ができます。
それは、地球が長い年月をかけて作り上げて来た、大地の造形。
私たちが見慣れた風景も、実は、今も日々、変化し続けているのです。
その原動力となっているのは地球の表面を覆う硬い岩板、プレートの動きです。
“プレートの運動によって引き起こされる大地の激動は、太陽系の中で地球
だけが持つ、特別な仕組みにより引き起こされているのです”
太陽系の中で、地球だけにしかないというプレートの動き。 今、科学者たちは
実験室に地球内部の様子を再現する事で、そのメカニズムを解き明かそうと
しています。
“地球が他の惑星と違うところ、その1つの大きな要素が、水があるという事。
その水がある事で大地ができて、その上に我々は暮らしている”
水がある事で大地が生まれたとは、どういう事なのか?
今回は、地球を彩る絶景が、どのように生まれたのかを紐解き、水の惑星の
大地創造のヒミツに迫ります。
世界最高峰エベレストを擁するヒマラヤ山脈。 マッターホルンやモンブランで
有名なアルプス山脈。世界各地にある巨大山脈は、その多くが大地と大地が
ぶつかり合い、隆起して出来たものです。
とてつもなく長い時間をかけた、大地の動きが生み出した風景なのです。
そんな大地の激動の跡が感じられる場所が、日本にもあります。
岐阜県南部の飛水峡(ひすいきょう)。 飛騨川の流れが岩盤を削って出来た
渓谷です。日本で最古の石が発見される等、地質学的にも貴重な場所です。
この辺りの川辺の岩の表面には、特徴的な模様が刻まれています。
このしまの模様は、チャートと呼ばれる、極めて硬い岩石です。 この景観の
地質を調べている、岐阜大学の教授です。
“チャートは、深海で放散虫というプランクトンが、ゆっくりと降り積もってできた
地層なのです 。放散虫は、とても硬い殻を持っていたので、放散虫の死骸が
降り積もってできたチャートも、とても硬い石です。 なので、こんなに変わった
地形ができてしまった”
放散虫(ほうさんちゅう)の殻は、深い海の底へと降り積もり、地層を作ります。
実は、この飛水峡の地層のもとは、日本から遠く離れた深い海底からやって
来たものだというのです。
はるかかなたにあった地層が、どのようにして、日本へとやって来たのか?
そのヒントを教えてくれる場所があります。 絶海の孤島、南鳥島です。
差し渡し、僅か2キロ。 日本で最も東の端にある島です。
普段、一般の人が訪れる事のない、この島にやって来たのは、国土地理院の
調査員です。 島の西側には、タワーのような装置が立っています。
“こちら南鳥島の電子基準点になります” これは超高精度のGPS記録装置。
僅か1ミリの大地の動きも捉える事ができます。 そのデータを分析することで
分かって来た事があります。
なんとこの島は、毎年およそ8センチずつ本州の方向に近付いていたのです。
海の底は、どうなっているのか? 海水を抜いてみます。
すると、画面を左右に分けるように、深い溝が見えます。 実はこれ、海底に
ある、巨大なプレートの境目です。
プレートとは、地球の表面を覆う岩板。 全部で、十数枚に分かれています。
プレートは海嶺で生まれ、地球の表面を滑るように動き、海溝で沈み込みます。
南鳥島は日本の領土で唯一、太平洋プレートと呼ばれるプレート上にあります。
この島が本州に向かって動いているという事は、太平洋プレート全体が、
日本へ向かって動き続けている事を示しているのです。
移動して来たプレートは、その境目で海溝に沈み込みます。 この時、ある
仕組みが働く事で、新たな大地が生み出されるといいます。
その様子を実験で再現してみます。 色のついた砂を、何層も敷き詰めている
のは、海底に降り積もった堆積物を表しています。
こうして作った地層を、プレートごと動かしてみます。 水槽の左側の壁の所が
プレートが沈み込む場所、海溝です。 “それでは実験を始めます”
プレートの上の地層は境目で押しつけられ、波打つように折れ曲がって行き
ます。 水平だった地層は何層にも折り重なりながら盛り上がって行きました。
このように、プレートが沈み込む時に付け加えられた大地は、付加体と呼ば
れています。飛水峡の絶景は、プレートの動きによって海底にたまった地層が
付け加えられて出来たものだったのです。
プレートの動きが運んだのは、海底の泥や砂だけではありません。
海のプレートに載った島、そのものが運ばれて来た、という場所があります。
地質の調査をしている古生物学者です。 Q: 何か、ありますか?
“そうですね。結構、化石とかが、ちらほら見えますね。これはフズリナという
化石ですね” これは、およそ2億6000万年前のフズリナ(紡錘虫)の化石。
暖かい海に住んでいた生き物です。 こちらは、巻貝の化石です。 こうした
化石が、この辺りの岩には、たくさん含まれています。
“今ここに見えているのはフズリナの化石なのですが、ここの石を細かく見て
行くと、たくさんサンゴの化石が見つかっています”
なんと、ここは、かつて、南の海に浮かぶ、サンゴ礁で出来た島だったという
のです。プレートの活動によって島全体が運ばれて来た事で山になりました。
もとの南の島の様子は、発掘した化石からも、うかがい知る事ができると
いいます。 ここは、先ほどの山で採れた化石を展示している資料館です。
フズリナと同じく、2億6000万年前の地層から出て来た化石です。
“こちらの化石は巻貝の化石になります。 実は、この化石の巻貝、今も生きて
いる仲間がいます。 それが、こちら(オキナエビス/現在)になります”
この島にいた巻貝は、今の貝の何倍もある巨大なものでした。
細長い大型の巻貝も… 今のものと比べると、全然、大きさが違います。
これは、現在のオウムガイです。 そして、こちらが、この島の周りの海に生息
していたオウムガイの化石です。
理由はまだ解明されていませんが巨大な生物が生息する島だったようです。
南の海からプレートに載って運ばれて来た山があるのは、ここ(金生山)。
この山の大部分が、サンゴ礁からなる石灰岩で出来ています。 同じ時代の
石灰岩は、周辺の各地でも見つかっています。
サンゴ礁などのプレートが運んで来た大地は広範囲に広がっていたのです。
プレートの動きにより、海底の泥や砂だけでなく多くの島も運ばれ、付け加え
られた事で、日本列島の土台が出来て行ったのです。
このようにして、南の海から運ばれて来た石灰岩の痕跡は、日本の各地に
あります。 山口県の秋吉台。 その地下では雨水が石灰岩を溶かし、巨大な
空間を作りました。 サンゴ礁の島がもとになり生まれた、自然の造形美です。
こうしたプレート運動による付加体は、現在の日本列島の土台の8割にも及ぶ
と考えられています。
太陽系の中で現在、地球だけに見つかっているプレート運動。 なぜ地球に
だけ、この特別な現象が起きているのでしょうか? 実は太陽系の中で、
地球が持つ、あるものの存在がカギを握っている事が分かって来ました。
プレート運動の謎に迫っているのは、地質学者で静岡大学の准教授。
惑星内部の比較から、驚くべき仮説を導き出しました。
“これは地球の内部の様子を表している。地球の惑星表層にはプレートがあり
そのプレートは何枚にも分かれている”
“一方、金星や火星などの岩石からなる惑星ではプレートが分かれていない。
これらの岩石惑星は、プレート1枚から成り、惑星表層を全て覆っている”
確かに、地球と他の惑星では、プレートの状態が違っています。 この差が
生まれたのは、なぜでしょうか?
“地球にだけプレート運動が起きている理由は、地球が海で覆われている。
つまり、水が表層に存在する事が理由ではないかと考えている”
他の惑星にはない表層を覆う水の存在が、プレートを動かす原動力になった
というのです。 どういう事なのか?
プレートに起きた変化を再現するため、准教授は、仙台に向かいました。
高温高圧実験の専門家と共同で、ある実験を行うためです。
“この試験機は、地球の内部で現在、起こっている事を実験室で調べる事が
できる試験機です”
“こちらの装置を使って、水がある場合、水がない場合で、岩石の動きに、
どのような違いがあるかというのを、知る事ができます”
実験には、地球深部を構成している岩石、かんらん岩を使います。
(かんらん岩 → マントルの主成分)
この石の成分に高温高圧を加える事で、プレート同士の衝突がどんな変化を
起こすのかを、見てみようというのです。
まずは水がない場合で実験してみます。筒の上下には斜めに押すピストンが
あり、かんらん岩は、その間に挟まれています。
まず、全体に1万気圧もの高い圧力を加え、温度を500度にする事で、地球
内部と同じ環境を作り出します。
更に上下からピストンを押して圧力を加える事で、プレート同士が、ぶつかる
様子を再現。 その時、筒の中のかんらん岩に、何が起こるのかを調べます。
岩石にかかる圧力を示すグラフは、時間とともに上がって行きます。 岩石が
硬くなっている事を示しています。
しかし、24時間以上、観察してもグラフに大きな変化は起こりません。 岩石は
押し潰されて硬くなっただけでした。
“実際のプレート同士がぶつかった際の力を、もうはるかに超えており、これ
だとプレート同士は動かず、何も起こらないという事になる”
今度は地球表面にある水の影響を調べる為、試料に水を加えて確かめます。
先ほどと同じように圧力をかけ、実験します。強い圧力を加え始めて20時間後
変化がありました。圧力が一気に下がったのです。 一体、何が起きたのか?
筒を取り出して調べてみます。 中央で、斜めに大きくズレています。
岩石が滑り始めていた事が分かります。この時、筒の中の岩石を電子顕微鏡
で詳しく見ると、水を入れた事で驚くべき変化が起きていました。
“明るいグレー色のした所、全部、試料なのですが、水を入れた実験だけ、
まず、こういう試料を横切る、すべり面が出来ている事が分かりました”
“更に面白いのが、このすべり面に沿って何か新しい鉱物が出来ているような
様子を観察する事ができます”
“この新しい鉱物は、滑石(かっせき)という鉱物からなる事が分かりました”
水を加えた事で石の組成が変化し、滑石と呼ばれる別の鉱物が生まれて
いました。 滑石は、極めて滑りやすい事から名付けられた鉱物。
それがプレート同士の境界に生成した事で、プレートが滑りだしたというのです。
“この事は、他の岩石惑星に比べて、地球にだけ、太古から現在まで水が、
つまり海が存在し続ける事が、絶え間なく大地の変動が起き続けて来た原因
ではないかと考えている”
滑石ができる事で、1度、潜り始めるとプレートの先端は、どんどん沈み続け、
プレートを動かし続けます。
次々と新たな大地を生み続けて来たプレートの大移動。 それを引き起こした
カギは、地球の表面を覆う水の存在だったのです。
私たちが暮らす地球。 その表面に広がっているのは、青い海、そして広大な
大地です。 地表では、目を見張るような絶景の数々に出会う事ができます。
それは、地球が長い年月をかけて作り上げて来た、大地の造形。
私たちが見慣れた風景も、実は、今も日々、変化し続けているのです。
その原動力となっているのは地球の表面を覆う硬い岩板、プレートの動きです。
“プレートの運動によって引き起こされる大地の激動は、太陽系の中で地球
だけが持つ、特別な仕組みにより引き起こされているのです”
太陽系の中で、地球だけにしかないというプレートの動き。 今、科学者たちは
実験室に地球内部の様子を再現する事で、そのメカニズムを解き明かそうと
しています。
“地球が他の惑星と違うところ、その1つの大きな要素が、水があるという事。
その水がある事で大地ができて、その上に我々は暮らしている”
水がある事で大地が生まれたとは、どういう事なのか?
今回は、地球を彩る絶景が、どのように生まれたのかを紐解き、水の惑星の
大地創造のヒミツに迫ります。
世界最高峰エベレストを擁するヒマラヤ山脈。 マッターホルンやモンブランで
有名なアルプス山脈。世界各地にある巨大山脈は、その多くが大地と大地が
ぶつかり合い、隆起して出来たものです。
とてつもなく長い時間をかけた、大地の動きが生み出した風景なのです。
そんな大地の激動の跡が感じられる場所が、日本にもあります。
岐阜県南部の飛水峡(ひすいきょう)。 飛騨川の流れが岩盤を削って出来た
渓谷です。日本で最古の石が発見される等、地質学的にも貴重な場所です。
この辺りの川辺の岩の表面には、特徴的な模様が刻まれています。
このしまの模様は、チャートと呼ばれる、極めて硬い岩石です。 この景観の
地質を調べている、岐阜大学の教授です。
“チャートは、深海で放散虫というプランクトンが、ゆっくりと降り積もってできた
地層なのです 。放散虫は、とても硬い殻を持っていたので、放散虫の死骸が
降り積もってできたチャートも、とても硬い石です。 なので、こんなに変わった
地形ができてしまった”
放散虫(ほうさんちゅう)の殻は、深い海の底へと降り積もり、地層を作ります。
実は、この飛水峡の地層のもとは、日本から遠く離れた深い海底からやって
来たものだというのです。
はるかかなたにあった地層が、どのようにして、日本へとやって来たのか?
そのヒントを教えてくれる場所があります。 絶海の孤島、南鳥島です。
差し渡し、僅か2キロ。 日本で最も東の端にある島です。
普段、一般の人が訪れる事のない、この島にやって来たのは、国土地理院の
調査員です。 島の西側には、タワーのような装置が立っています。
“こちら南鳥島の電子基準点になります” これは超高精度のGPS記録装置。
僅か1ミリの大地の動きも捉える事ができます。 そのデータを分析することで
分かって来た事があります。
なんとこの島は、毎年およそ8センチずつ本州の方向に近付いていたのです。
海の底は、どうなっているのか? 海水を抜いてみます。
すると、画面を左右に分けるように、深い溝が見えます。 実はこれ、海底に
ある、巨大なプレートの境目です。
プレートとは、地球の表面を覆う岩板。 全部で、十数枚に分かれています。
プレートは海嶺で生まれ、地球の表面を滑るように動き、海溝で沈み込みます。
南鳥島は日本の領土で唯一、太平洋プレートと呼ばれるプレート上にあります。
この島が本州に向かって動いているという事は、太平洋プレート全体が、
日本へ向かって動き続けている事を示しているのです。
移動して来たプレートは、その境目で海溝に沈み込みます。 この時、ある
仕組みが働く事で、新たな大地が生み出されるといいます。
その様子を実験で再現してみます。 色のついた砂を、何層も敷き詰めている
のは、海底に降り積もった堆積物を表しています。
こうして作った地層を、プレートごと動かしてみます。 水槽の左側の壁の所が
プレートが沈み込む場所、海溝です。 “それでは実験を始めます”
プレートの上の地層は境目で押しつけられ、波打つように折れ曲がって行き
ます。 水平だった地層は何層にも折り重なりながら盛り上がって行きました。
このように、プレートが沈み込む時に付け加えられた大地は、付加体と呼ば
れています。飛水峡の絶景は、プレートの動きによって海底にたまった地層が
付け加えられて出来たものだったのです。
プレートの動きが運んだのは、海底の泥や砂だけではありません。
海のプレートに載った島、そのものが運ばれて来た、という場所があります。
地質の調査をしている古生物学者です。 Q: 何か、ありますか?
“そうですね。結構、化石とかが、ちらほら見えますね。これはフズリナという
化石ですね” これは、およそ2億6000万年前のフズリナ(紡錘虫)の化石。
暖かい海に住んでいた生き物です。 こちらは、巻貝の化石です。 こうした
化石が、この辺りの岩には、たくさん含まれています。
“今ここに見えているのはフズリナの化石なのですが、ここの石を細かく見て
行くと、たくさんサンゴの化石が見つかっています”
なんと、ここは、かつて、南の海に浮かぶ、サンゴ礁で出来た島だったという
のです。プレートの活動によって島全体が運ばれて来た事で山になりました。
もとの南の島の様子は、発掘した化石からも、うかがい知る事ができると
いいます。 ここは、先ほどの山で採れた化石を展示している資料館です。
フズリナと同じく、2億6000万年前の地層から出て来た化石です。
“こちらの化石は巻貝の化石になります。 実は、この化石の巻貝、今も生きて
いる仲間がいます。 それが、こちら(オキナエビス/現在)になります”
この島にいた巻貝は、今の貝の何倍もある巨大なものでした。
細長い大型の巻貝も… 今のものと比べると、全然、大きさが違います。
これは、現在のオウムガイです。 そして、こちらが、この島の周りの海に生息
していたオウムガイの化石です。
理由はまだ解明されていませんが巨大な生物が生息する島だったようです。
南の海からプレートに載って運ばれて来た山があるのは、ここ(金生山)。
この山の大部分が、サンゴ礁からなる石灰岩で出来ています。 同じ時代の
石灰岩は、周辺の各地でも見つかっています。
サンゴ礁などのプレートが運んで来た大地は広範囲に広がっていたのです。
プレートの動きにより、海底の泥や砂だけでなく多くの島も運ばれ、付け加え
られた事で、日本列島の土台が出来て行ったのです。
このようにして、南の海から運ばれて来た石灰岩の痕跡は、日本の各地に
あります。 山口県の秋吉台。 その地下では雨水が石灰岩を溶かし、巨大な
空間を作りました。 サンゴ礁の島がもとになり生まれた、自然の造形美です。
こうしたプレート運動による付加体は、現在の日本列島の土台の8割にも及ぶ
と考えられています。
太陽系の中で現在、地球だけに見つかっているプレート運動。 なぜ地球に
だけ、この特別な現象が起きているのでしょうか? 実は太陽系の中で、
地球が持つ、あるものの存在がカギを握っている事が分かって来ました。
プレート運動の謎に迫っているのは、地質学者で静岡大学の准教授。
惑星内部の比較から、驚くべき仮説を導き出しました。
“これは地球の内部の様子を表している。地球の惑星表層にはプレートがあり
そのプレートは何枚にも分かれている”
“一方、金星や火星などの岩石からなる惑星ではプレートが分かれていない。
これらの岩石惑星は、プレート1枚から成り、惑星表層を全て覆っている”
確かに、地球と他の惑星では、プレートの状態が違っています。 この差が
生まれたのは、なぜでしょうか?
“地球にだけプレート運動が起きている理由は、地球が海で覆われている。
つまり、水が表層に存在する事が理由ではないかと考えている”
他の惑星にはない表層を覆う水の存在が、プレートを動かす原動力になった
というのです。 どういう事なのか?
プレートに起きた変化を再現するため、准教授は、仙台に向かいました。
高温高圧実験の専門家と共同で、ある実験を行うためです。
“この試験機は、地球の内部で現在、起こっている事を実験室で調べる事が
できる試験機です”
“こちらの装置を使って、水がある場合、水がない場合で、岩石の動きに、
どのような違いがあるかというのを、知る事ができます”
実験には、地球深部を構成している岩石、かんらん岩を使います。
(かんらん岩 → マントルの主成分)
この石の成分に高温高圧を加える事で、プレート同士の衝突がどんな変化を
起こすのかを、見てみようというのです。
まずは水がない場合で実験してみます。筒の上下には斜めに押すピストンが
あり、かんらん岩は、その間に挟まれています。
まず、全体に1万気圧もの高い圧力を加え、温度を500度にする事で、地球
内部と同じ環境を作り出します。
更に上下からピストンを押して圧力を加える事で、プレート同士が、ぶつかる
様子を再現。 その時、筒の中のかんらん岩に、何が起こるのかを調べます。
岩石にかかる圧力を示すグラフは、時間とともに上がって行きます。 岩石が
硬くなっている事を示しています。
しかし、24時間以上、観察してもグラフに大きな変化は起こりません。 岩石は
押し潰されて硬くなっただけでした。
“実際のプレート同士がぶつかった際の力を、もうはるかに超えており、これ
だとプレート同士は動かず、何も起こらないという事になる”
今度は地球表面にある水の影響を調べる為、試料に水を加えて確かめます。
先ほどと同じように圧力をかけ、実験します。強い圧力を加え始めて20時間後
変化がありました。圧力が一気に下がったのです。 一体、何が起きたのか?
筒を取り出して調べてみます。 中央で、斜めに大きくズレています。
岩石が滑り始めていた事が分かります。この時、筒の中の岩石を電子顕微鏡
で詳しく見ると、水を入れた事で驚くべき変化が起きていました。
“明るいグレー色のした所、全部、試料なのですが、水を入れた実験だけ、
まず、こういう試料を横切る、すべり面が出来ている事が分かりました”
“更に面白いのが、このすべり面に沿って何か新しい鉱物が出来ているような
様子を観察する事ができます”
“この新しい鉱物は、滑石(かっせき)という鉱物からなる事が分かりました”
水を加えた事で石の組成が変化し、滑石と呼ばれる別の鉱物が生まれて
いました。 滑石は、極めて滑りやすい事から名付けられた鉱物。
それがプレート同士の境界に生成した事で、プレートが滑りだしたというのです。
“この事は、他の岩石惑星に比べて、地球にだけ、太古から現在まで水が、
つまり海が存在し続ける事が、絶え間なく大地の変動が起き続けて来た原因
ではないかと考えている”
滑石ができる事で、1度、潜り始めるとプレートの先端は、どんどん沈み続け、
プレートを動かし続けます。
次々と新たな大地を生み続けて来たプレートの大移動。 それを引き起こした
カギは、地球の表面を覆う水の存在だったのです。
| ホーム |