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現代社会はワシにとって命取りとなる脅威が無数に存在している
2021年07月16日 (金) | 編集 |
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天高く舞い、視覚は鋭く、どう猛。 山の頂から渓谷まで、ワシは、大空を支配
しています。 粘り強さと力強さを兼ね備えた、まさに、究極の猛きん類です。

野生のハクトウワシの子育てに、カメラが密着します。

ワシの卓越した能力を証明するため、特別に訓練された1羽が、多くの実験に
挑みます。 空の王者、ワシの秘密に迫ります。

空は雲り。 高性能の望遠レンズでも、ティリーを見分ける事は困難です。

“ではティリーを空に放ちます。 飛んだ! 目を凝らしてる。あなたを捜してる”

初めての実験にもかかわらず、ティリーは、すぐにパートナーを見つけ、谷の
向こう側を目指します。

興味深い事に、ティリーは直線ルートではなく、上空の風に乗りながら、より
速く、より効率的に、目標地点に向かいました。   ‘君は賢い!いい子だ!’

ティリーは広大な風景の中で、2.5キロ先にいるパートナーを、素早く見つけま
した。 ワシの視覚は、一体、どのような仕組になっているのでしょうか?

目が捉えた画像は、眼球の奥にある、網膜に投影されます。

網膜は、錐体細胞という光に反応する細胞で覆われ、錐体(すいたい)の数が
多いほど、視覚は鋭敏になります。

錐体細胞の数は人間の場合、1平方ミリメートルあたり、およそ20万個ですが
ワシは、その2倍以上もあります。膨大な錐体細胞が、ワシに動物の中で最も
優れた視力と、素早く獲物を見つけ出す能力を、もたらしているのです。

しかしワシの視覚には、思いがけない弱点が存在します。

“弱点は太陽の光に弱い事です。太陽の強い光で、視力が損なわれないよう
ワシには、帽子のツバのように張り出した眉があります”

“決して太陽の方は見ません”  ワシの表情に、威厳すら与える弓なりの眉。

ですが、その眉には重大な難点があります。

“日光を避けるには、上を向かない事が必要です。 ワシは太陽を直視しない
ように、常に頭の先端を下に曲げて飛びます”

“しかし張り出した眉のせいで、自分より上にいるものには、気が付きません。
つまり、死角が生じるのです”

自然界では、木々の、はるか上空を飛ぶワシにとって死角は深刻な問題とは
なりません。 ところが現代社会には、ワシに対する脅威が多く存在します。

各地でワシが、建築物に衝突する事故が起きています。 とりわけ風力発電用
のタービンは、大きな障害です。

この発電所では監視塔を設け、ワシが見つかると、タービンを停止します。

日中の光の下でワシを見分けるのは容易ではありません。そこで人工知能を
使って、ワシを発見する確率を高めています。

10台のカメラが飛行物を捉え、追跡します。 僅か1秒以内に、ワシであるか
どうかを判断し、進路上の全てのタービンを、一時停止する事が可能です。

人工知能には人間が監視するよりも5倍の効果があり、ワシが安全に飛べる
環境が回復しています。

今、なお、人間が、ワシの最大の脅威となっている地域があります。 熱帯の
ジャングルでは、森林伐採が生物を脅かしています。

フィリピンワシや、オウギワシも、その1例です。 巣を作るための樹木や、
しとめられる獲物が激減しています。

猟銃の弾が残る死骸を食べて、鉛中毒で死ぬワシもいます。 現在、世界の
ワシの種の3分の1以上に、絶滅の危機が迫っています。

しかし、ワシを危機から救う方法がある事は、過去に証明されています。

1940年代、殺虫剤のDDTは、害虫問題への解決策とされました。 DDTは、
無味無臭なため、その影響に誰も気付きませんでした。

ところが散布されると動物の体内に成分が蓄積され、食物連鎖の頂点にいる
ワシに、深刻な被害をもたらしました。 代表的な例が、ハクトウワシです。

DDTの影響で、卵の殻が薄くなり、ふ化する前に、割れるようになりました。

ハクトウワシは絶滅寸前へと追い込まれたのです。 最終的にDDTは禁止され
自然保護の活動家が立ち上がりました。

野生の巣から、ハクトウワシの卵を採取。 安全に管理して、ふ化させたあと、
ヒナを元の巣へ運び、野生に戻すのです。 活動の成果は着実に現れました。

現在アメリカでは、ハクトウワシの数が14万羽以上まで回復したと推測されて
います。 アイオワの森では、ハクトウワシの子育てが、順調に進んでいます。

生後8週間を過ぎたヒナたちは親と同じほどの大きさになり、濃い茶色の羽に
全身を覆われています。

しかし、まさにこれから生き残りをかけた試練が始まります。 湿気の多い春は
ブヨが大発生する季節です。 ブヨの大群が、ワシの子供を容赦なく襲います。

これ以上、じっとしていられません。 大量のブヨ(虫)に血を吸われて、体力も
弱り気味です。とうとう1羽が、ブヨから逃れるため、巣の上の枝に上りました。

地上22メートルの枝は、まだ上手に飛べない子供には危険すぎる高さです。

子供は行き場をなくして飛び出し、落下してしまいました。

どこに落ちたのでしょうか? 親鳥にも分かりません。 家族の未来は、残る
1羽の子供に、かかってます。

しかし、この子供もも、また、ブヨに攻めたてられ、巣の端の方に追いやられて
行きます。 親は、何も出来ません。

子供は、まだ自分の体を、うまくコントロールする事ができません。 この高さ
から飛び出せば、命を落とす危険があります。

果たして、落下したワシの子供たちは、生き延びる事ができるでしょうか?

若いワシが、翼の使い方を身に付けるには、何週間もかかります。

飛ぶ事は最も高度に洗練された能力なのです。 ワシは空を支配しています。

時速240キロ以上での急降下や、ライバルとの空中戦、そして、目を引く求愛
行動まで。 中でも、大空で展開する最高の技の1つが、上昇気流を利用した
飛行です。

イヌワシは5000平方キロにも及ぶ行動範囲を飛び回るため、気流を利用して
空高く舞い上がり、翼を羽ばたかせる事なく飛行します。

そうして、貴重なエネルギーを節約しているのです。 イヌワシの飛行能力を
解明する実験を行います。 挑戦するのは、もちろん、ティリーと彼です。

GPS装置をティリーに取り付け、上空に達するスピードを測ります。

360度カメラで、飛行中の翼の動きも捉えます。 すぐに上昇気流を見つけ、
空高く昇り始めます。

背中に装着したカメラが、ワシの視点から見た世界を映し出します。 GPSと
加速度計で、データを記録します。

実験で得た飛行中のデータを、生体力学の専門家が分析します。

“これを見れば、飛行中に起きた、全ての事が分かりますね。 ティリーは上昇
する際、円を7回、描きながら一気に高度を上げています”

“1秒で3メートル~5メートル上がっています。つまり、時速10キロ~18キロで
ハシゴを上るようなものです。 かなりのスピードだと言えるでしょう”

ティリーは、翼を羽ばたかせずに上昇し、相当な量のエネルギーを節約して
います。 ワシは翼の面積が大きいため、効果的に気流に乗る事ができます。

しかし翼の形は、気流に乗って飛ぶ、多くの鳥とは異なります。

“翼が細長い鳥は、滑空するのは得意でも、羽ばたくのが苦手です”

“でも、ワシは羽ばたきますよね。 飛び立つ時や、獲物をしとめる時です”

“そういう場合、翼が長すぎると、かえって不便なのです”

翼に求められる要素は、複雑です。 空高く上昇するには、体が軽く長い翼を
持つ事が最適です。一方、大きな獲物を狙うには、重い体でも羽ばたけるよう
より短くて、幅の広い翼が求められます。

ではワシの翼は、どのようにして、2つの要求を満たしているのでしょうか?

答えは、翼の先端にあります。 飛行中のティリーの映像を見ると、翼の先に
1枚ずつ分かれた羽が、ついています。

この羽は初列風切羽(しょれつかざきりばね)と呼ばれ、空気が翼の上の面に
沿って流れるのを助けます。

飛び立つ際、ワシは翼を傾けて勾配をつけ、体を持ち上げるための力を生み
出します。 上空では、翼の先端の風切羽を開きます。

羽の隙間によって、空気抵抗が弱まり、空高く飛ぶ事ができます。 力強い
羽ばたきと、効率よく、高く飛べる飛行。

両方を可能にする翼のおかげで、ワシは、大空を支配しているのです。

アイオワでは、ハクトウワシの巣が、空っぽのままです。 親鳥は2羽のヒナを
懸命に育てましたが、今、出来る事は何もありません。

しかし家族の物語は続いていました。子供たちは、どちらも人間に保護されて
いたのです。

先に生まれた子供は、巣から落下して5日後、川岸で発見されました。

疲れ切った状態で、片方の足が折れていました。 もう1羽は、地元の住民に
保護されました。 体じゅうに、ブヨに、かまれた痕が残っていました。

2羽は、猛きん類のリハビリテーションセンターで手当てを受けました。 栄養を
十分にとり、体重も回復しました。

足が折れた子供は、森に帰る事は難しいでしょう。

これからはワシの保護活動のシンボルとして、人々に勇気を与えて行きます。

もう1羽の子供は順調に回復し、翼の力も強くなっています。 間もなく、森に
帰され、再び、野生の世界で生きて行きます。

それぞれの危機を乗り越えた、ハクトウワシの子供たち。 もうすぐ、新たな
一生が始まろうとしています。

カメラは卵からヒナが、かえる瞬間に密着し、ワシが最初の1年を、どのように
生き抜くのかを記録しました。

親鳥の懸命な子育てと、巧みな狩りの姿も捉えました。 イヌワシのティリーの
おかげで、ワシの特別な能力を科学的に分析する事ができました。

“ティリーは私の誇りです。 なぜなら彼女は、ワシの生態や、類いまれな能力
について、多くの事を教えてくれるからです”

“気流を利用して空高く舞い上がる能力。 狩りの戦略。 カギ爪の力”

“全てが合わさって、ワシは空の支配者となったのです。 素晴らしい!”

ワシは、私たちを魅了します。 力強く、気高く、巧みな技。

まさに、唯一無二の鳥です。