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ワシは食物連鎖の頂点にいても自然界で力を振るうには難題がある
2021年07月15日 (木) | 編集 |
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天高く舞い、視覚は鋭く、どう猛。 山の頂から渓谷まで、ワシは、大空を支配
しています。 粘り強さと力強さを兼ね備えた、まさに、究極の猛きん類です。

野生のハクトウワシの子育てに、カメラが密着します。

ワシの卓越した能力を証明するため、特別に訓練された1羽が、多くの実験に
挑みます。 空の王者、ワシの秘密に迫ります。

アメリカ中西部・アイオワ州。 間もなく、冬が終わろとしています。

ハクトウワシのメスが、雪に埋もれた巣の中で、大切な宝物を守っています。

2つの卵です。ふ化するまで37度ほどの温度で温め続けなくてはなりません。

夜になると、気温は氷点下25度にまで下がります。 昼でさえ、羽毛が凍る
ほどの寒さの中、メスは一心に、卵を守ります。

これから数カ月間、子育ての様子を固定カメラで日夜、観察し、子供が成長
する姿に密着します。 ワシは、地球上に、およそ70種、生息しています。

外見はさまざまですが、どのワシにも、目を見張るほどの力強さと美しさがあり
ます。 生息地は、世界全域に及びます。

南米のジャングルに住むオウギワシ。 凍てつく北太平洋で生きるオオワシ。

アフリカの湿地帯に生息するサンショクウミワシ。

ワシは、食物連鎖の頂点にいますが、自然界で力を振るうには、さまざまな
課題を乗り越えなければなりません。

何百キロもの範囲を飛び回り、はるか遠くの大きな獲物も、しとめます。

ワシは、どのようにして、狩りを行うのでしょうか? 秘密を解き明かすため、
特別に訓練された、1羽のワシを訪ねます。

ティリーという名の、メスのイヌワシです。 翼を広げた幅は、およそ2メートル。

ティリーは生まれた時からずっと、鳥類トレーナーの彼と絆を深めて来ました。

“最高のパートナーだよ。 君みたいな相棒は、初めてだ”

彼は子供の頃から、鳥に夢中でした。 長年、さまざまな種類の鳥を飼育し、
訓練を重ねて来ました。 中でもイヌワシのティリーは、特別な存在です。

20年もの時間を共に過ごし、掛けがえのない結び付きが生まれました。

ティリーにとっても、彼は、生涯の相棒です。 “ほら、大空を飛んでおいで!”

ティリーは、彼のおかげで野生の特徴を保ちながら、実験装置を着けられても
抵抗しません。 ワシの多様な能力を調べるのに、ティリーほど、ふさわしい
存在はいないでしょう。

“特別な存在感を放つ、この鳥については、分かっていない事が、たくさんあり
ます。 ティリーを通して、ワシの世界の一端を解明したいと思います”

アイオワの森では、ハクトウワシのメスが、落ち着かない様子です。

卵の1つが、ふ化し始めています。 生まれる瞬間から、ヒナは、全力を発揮
します。 くちばしにある、小さな卵歯(らんし)を使って、殻を割るのです。

最初のヒナの誕生から3日後、2羽目も生まれました。 この時期のヒナは、
毎日、自分の体重の、およそ半分もの肉を食べる必要があります。

父親が、新鮮な獲物を運んで来ます。 オスのハクトウワシは、メスよりも
2割ほど小柄です。

メスは、卵を産んで温めやすいように、体が大きくなると考えられています。

ハクトウワシは、通常、同じ相手と生涯を共にしますが、このメスは、前の
パートナーを失い、新しい相手と、つがいになりました。

これから子育てを通して、オスとメスの絆が試される事になります。 ヒナは、
最初の1週間で、体重が5倍にも増えます。

親たちは、ほとんどの時間を、狩りに費やします。 ハクトウワシは、魚を取る
技術に、たけています。 摂取する栄養のおよそ90%は魚類から得ています。

見事な正確さで、水面の魚を、つかみ取ります。 ヒナのもとには、ウサギや
リスなども、運ばれて来ます。

親は、幼い我が子のために、出来る限り多くの獲物を、しとめているのです。

さまざまな獲物を捕るワシには、幅広い狩りのテクニックがあります。

中東・オマーンの山あいに生息するコシジロイヌワシが狙うのは、小さな哺乳
動物ロックハイラックスです。 ロックハイラックスは特殊な視覚の持ち主です。

目の内部に、光を遮る覆いがあり、強い日ざしでも、捕食者の姿を捉えます。

一方、コシジロイヌワシには、巧みな戦略があります。 2羽でチームを組み、
狩りをするのです。 1羽が上空を飛んで獲物の注意を引き、もう1羽が、身を
隠しながら低空を飛行します。 そして、最期の瞬間… ゲット!

チームワークによって、大きな成果を上げます。 しかし、岩場の獲物を狙って
もし失敗すれば、命に関わります。

獲物が空にいる場合は、狩りに失敗しても、体勢を立て直せるだけの空間と
時間があります。 水中の獲物の場合も、水面への衝撃は避けられます。

しかし、獲物が地上にいる場合は、事情が異なります。 急降下して、固い
地面に激突すれば、死を招きかねないのです。

とりわけ、大きくて重い動物を狙う際には、かなりの危険を伴います。 1つの
小さなミスも、決して許されません。

ではワシは、どのようにして、地上にいる獲物を、しとめるのでしょうか?

イヌワシのティリーと、パートナーが、スコットランドの荒野で実験を行います。

まず用意するのは、ティリーが、しとめる獲物です。 標的となるロボ・ウサギ。

ハイテク技術の専門家が開発しました。人工の毛皮をまとい、高速のモーター
によって草原を動き回ります。 360度カメラを搭載し、撮影も可能です。

僅か数秒で、ティリーは標的のウサギに追いつきます。 異なる条件で実験を
繰り返します。 強風の時や曇り空、更に、太陽がぎらつく中。

結果は、常に同じでした。 ティリーの成功の秘密を、撮影された映像から
分析します。 初め、ティリーは、獲物のあとを、真っ直ぐに追います。

次に翼を使い、風の変化や標的の動きに合うよう、軌道を調整します。

空気抵抗を避ける為に畳んでいた両足を、獲物にぶつかる僅か4分の1秒前
前方に突き出します。

するとワシの目は、獲物とカギ爪の両方を捉え、完璧な状態で、標的に襲い
かかる事が出来るのです。

ティリーの狩りのスキルは、実験前の予想を、はるかに超えていました。

ウサギの重量は、5.8キロ。 ティリーの体重の1.5倍です。 ティリーは標的を
捕まえるだけではなく、高々と持ち上げました。

片足で、つかんで運ぶ力さえ持っています。 自分の1.5倍も重い獲物を、
卓越した技術で、しとめているのです。

抜きん出たスキルを発揮できる理由は、高度に発達した攻撃兵器ワシ特有の
カギ爪にあります。

ワシのカギ爪は、狩りで、とどめを刺し、重い獲物を運ぶ際、絶大な力を発揮
します。 一方、くちばしは、食べ物を切り裂く時に役立ちます。

オウギワシは、ワシの中で最大級のカギ爪を持ち、爪の長さは、12センチにも
なります。 獲物を窒息させ、致命傷を与える、カギ爪。

ただし有効に機能させるには、極めて強い握力と長い時間にわたって獲物を
つかみ続ける持久力が必要です。

そのためワシの足には特別な仕組みが備わっています。指の先に、つかんだ
獲物をロックできる仕掛けがあるのです。

ワシの指の腱には突起があり、爪を畳むと、施錠装置の役目を果たします。

ロックが掛かると、筋肉を使わずに獲物を、しっかりと、つかむ事ができます。

このような仕組みは多くの鳥類に見られますが、ワシの突起は極めて大きい
ため、相当の負荷にも耐えられます。

強い握力を長時間保てるワシのカギ爪は、狩りの成功に決定的な役割を果た
しています。 特に、大きな獲物を倒す時には重要です。

更に、カギ爪には、もう1つの用途があります。 ライバルとの決闘です。 冬の
アルプスは、荒涼たる世界です。 イヌワシが獲物を探しています。

食料の乏しい時には、死肉を、あさる事もあります。 死んだキツネです。

このメスのワシには、数日分の食料となります。 カラスたちも貴重な食べ物に
群がり、何とかして盗み取ろうとします。

ワシのカギ爪が見えた途端、カラスたちは逃げ出します。 食物連鎖の序列が
明らかになる瞬間です。 ところが、最大の脅威は、この直後に訪れました。

別のイヌワシです。 これほどの食べ物を、諦めるわけには、いきません。

共に、カギ爪を武器に戦います。 長い足を使って、頭部を守り、大切な目を、
敵のカギ爪から遠ざけます。

カギ爪を、いかに使うかが、どちらが生き残れるかの分かれ目となるのです。

アイオワでは、ハクトウワシのヒナたちが、生後1週間を迎えました。

まだ、ほんのささない事が、命取りになるほど、無防備な状態です。

片方のヒナが、メスの親鳥の羽に、絡まってしまいました。 窒息する恐れが
あります。 どうして、こうなったのか分かりません。

メスは、混乱しているようです。 メスが動き回るほど、ヒナは苦しくなります。

ようやく、ほどけましたがメスが飛び立った勢いでヒナの背中が巣のくぼみに
はまって起き上がれません。 オスは、もう片方のヒナに気を取られています。

ハクトウワシのヒナが、1歳まで生き残れる確率は5割以下です。 厳しい現実
ですが、親たちは全力でヒナを育てます。

これから数週間、親鳥は、毎日、およそ5匹の魚を巣に運び、ヒナたちに与え
ます。 生後1カ月を過ぎると、ヒナの体に、明らかな変化が現れます。

フワフワの毛に交じり、飛ぶための羽が生えてくるのです。最も重要な変化は
視覚です。 ワシのヒナは、ふ化して数時間経つと目を開きますが、視力は、
ほとんどありません。

大人のワシのように、ひときわ優れた視覚を備えるまでには、長い時間が
かかります。 並外れて目のよい事を、イーグルアイ。 ワシの目と言います。

実際には、ワシの視覚は、どのように優れているのでしょうか?

イヌワシのティリーとパートナーが、新たな実験に臨みます。 共に実験を行う
のは、鳥類の視覚の専門家です。

“では、この場所で、かくれんぼを、してみましょう”  ワシのティリーは谷間の
どこかに隠れている、パートナーを捜します。 今は、何も見えない状態です。

パートナーは、谷を挟んで2.5キロ離れた地点に立ちます。