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膨大な観測画像データから惑星を発見した人工知能とは?
2021年05月30日 (日) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「歴史上の人物と話せるとしたら誰がいい?」
今、私たちの住む地球での暮らしが、劇的に変わろうとしています。

その中心にあるのは、人工知能・A I 。

恐るべきスピードで進化を遂げ、人間を超える能力に達しつつあります。

特に、目覚ましい成果を上げているのは、宇宙開発の分野です。

2017年12月には、科学者たちが見つけられなかった未知の惑星を人工知能
が発見しました。   “惑星を2つ発見した時は、興奮しました”

壮大な銀河の進化の仕組みを解明したり…。

小惑星の危機から回避したりする研究も、行われています。

“人工知能は、人間の判断が難しい局面を、助ける事になるでしょう”

人工知能は、宇宙開発を、どのように変えようとしているのか?

その最前線に迫ります。

人工知能が、未知の惑星を発見しました。

一体、どうやって探し出したのでしょうか?

2017年12月、NASAが、特別に重大な発見をしたという発表を行いました。

太陽系の外にある未知の惑星2つを、人工知能が発見したというのです。

その1つが、はるかかなたにある、恒星ケプラー90の惑星でした。

発見のもとになったデータを収集したのは、2009年3月7日に打ち上げられた
ケプラー宇宙望遠鏡。 これまでも、太陽系の外にある惑星を探して来ました。

データは、恒星の明るさの変化を、捉えています。

恒星の明るさは、惑星が前を横切る時、落ち込みます。

その変化を捉えて、未知の惑星を見つけたのです。

実は、この見つけ方、人の手で惑星を探して来た従来の方法と、基本的には
同じです。 人工知能の活用によって、一体、何が変わったのでしょうか?

今回の発見の立て役者は27歳の、こちらの男性。

天文学者ではありません。 大手IT企業グーグルの上級研究員。

検索エンジンなどに使われる、画像を分類する、人工知能の開発者です。

“私は、ケプラー宇宙望遠鏡の事を知った時、画像を分類する人工知能が、
ケプラーのデータの分析にも役立つのではないか?と考えました。 今まで、
人間が見落としていた惑星を、人工知能なら探し出せると思ったのです”

上級研究員が手がける人工知能は、人間の脳が学習する仕組みと、よく似て
います。 例えば、犬を他のモノと区別する場合、人間は、幼い頃から、これが
犬だと教えられ、犬の特徴を学習して行きます。

そして経験を積み重ね、犬と他のモノとの違いを判断できる基準を自分なりに
作って行きます。その結果、多くの選択肢から犬を正しく選べる様になります。

人工知能も同じ道筋で、画像を区別できるようになって行きます。

まず、犬の画像を、大量に読み込ませます。

この時、犬の特徴について、人間が教える事は、ありません。

人工知能自身が、膨大な画像から、犬の特徴を学習して行きます。

こうして、犬の特徴を覚えた人工知能に、犬の画像を探せと、命令すると…。

人工知能は、おおまかな特徴から、犬と違うモノを、ふるい落とします。

これを繰り返し行う事で、犬の画像を正確に選び出すのです。

画像を正確に見分けられる能力は天文学にも役立つはずだと上級研究員は
すぐに行動しました。

“最初は、誰に連絡すればいいのか分からなくて、グーグルで検索してみま
した。 すると、ケプラー宇宙望遠鏡についてブログを書いていた博士に、
たどり着きました”

“そこでメールをして、一緒に研究しませんか?と、提案しました”

メールを受け取った天文学者は、上級研究員と同い年で、テキサス大学
オースティン校で研究員をしています。

“上級研究員から届いたメールには、アイデアがいろいろ書いてありました”

“とても熱意を感じました。私は、人工知能が他の分野で大きな成果を上げて
いる事も知っていました。 太陽系外の惑星の研究も、大きく前進させるかも
知れないと、彼の提案を受け入れる事にしました”

人工知能の専門家と、天文学者。 2人が分析したデータを詳しく見てみます。

恒星に、惑星がある場合の観測データが、右の図です。

惑星が恒星の前を横切る時、光を遮るため、一定の間隔で明るさが落ち込み
ます。 このグラフの形から、惑星を探して行きます。   しかし…   実際の
観測データは変化の形が千差万別で、惑星を見つけるのは至難の業です。

“恒星の明るさが変化する要因はさまざまで、私たちは、常に惑わされてい
ます。 惑星によるものか? そうではないのか?”

“一見しただけでは、見分けがつきません”

例えば、これらのデータは、全て、明るさが落ち込んでいますが、惑星が原因
ではありません。

このデータは、2つの恒星が互いに回り合う、連星を捉えたものでした。

2つが重なると奥の恒星が遮られて暗くなりますが、すぐ明るくなっています。

そしてこちらは、機械のノイズが原因でした。

微妙な違いを人間が見分けるのは難しく、どうしても見落としが出てしまい
ます。 そこで、画像を分類できる、人工知能を活用する事にしました。

まずは、既に惑星があると分かっているデータを大量に与え、学習させます。

次に、惑星がないデータの中に、何枚か惑星があるデータを混ぜて、それを
探す訓練を行います。

初め、人工知能は、この3つに惑星があると判断しました。  正解は…。

2つに惑星は、ありませんでした。

また、惑星がないと判断した中にも、惑星のものが1つありました。

こうした訓練を繰り返して精度を上げて行くと、人工知能は、96%の確率で、
惑星があるデータを選び出せるようになりました。

“人工知能の判断力の正確さには、驚かされました”

“私が与えたのは、限られた観測データにすぎません”

“その中で学習を繰り返し、惑星があるデータを判断できるようになったのです”

大手IT企業グーグルの上級研究員は、言う。

“明るさが、あまり落ち込まないものは、ほとんどが惑星ではありません”

“分析に時間がかかる上に、惑星を発見できる可能性が極めて低いため、
これまで研究の対象から外されていました。 しかし人工知能を使う事で、
落ち込みの小さいものも、好きなだけ分析できるようになったのです”

今回、2人が分析したのは、これまで詳しく調べられていなかった、明るさの
落ち込みが小さい670個のデータでした。 その中から人工知能が2つをピック
アップ! それを精密に検証したところ、未知の惑星と確認されたのです。

人工知能による、新発見でした。 (惑星ケプラ-90i / 惑星ケプラ-80g)

“惑星を2つ発見した時は興奮しました。 私は天文学の専門家ではないので
これから、どんな応用ができるか想像もつきませんが膨大なデータを扱う分野
なので、人工知能の力が役に立つのは間近いありません”

“これから、更に新しい発見に、貢献して行きたいですね”

メールを受け取った天文学者は、言う。

“私たちが人工知能に分析させた、ケプラー宇宙望遠鏡のデータは、700にも
満たないものです”

“まだ分析できていないデータが、20万個も残っているのですよ。 この方法で
分析を続けて行けば、もっともっと多くの惑星が発見できると思っています”

人工知能が、まだ分析していないデータは、20万個も残っています。

これからも、大いに期待できますね!  人工知能が、大きく変える天文学。

その波は世界各地に押し寄せています。 カリフォルニア大学サンタクルーズ校。

人工知能を積極的に取り入れている天文学者が、パリからやって来ました。

ここではアメリカとフランスの研究者が協力して、銀河の研究を進めています。

3年前、パリから来た天文学者が人工知能の活用を提案し、このプロジェクトが
スタートしました。