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赤いシリウスは何をもたらすのか?幻の星シリウスCは見つかるのか?
2021年05月20日 (木) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「歴史上の人物と話せるとしたら誰がいい?」
天文学者が挑む、赤いシリウスの謎解き。

しかし、幻の星シリウスCは、まだ見つかっていない。

そんな中、全く別のアプローチから、謎に迫る研究がある。

ドイツ中部の町、ボーフム。

ここに、赤いシリウスの謎に挑み続けて来た、1人の物理学者がいます。

シリウスが赤かったのは、過去に、シリウスBが赤くなったためと考えている
ボーフム大学の教授です。

“私の専門は物理ですが、天文や宇宙に関する研究も、行って来ました”

“更に歴史も好きだったので赤いシリウスの謎にも自然に興味を持ちました”

“歴史と物理が融合した、面白い問題ですからね!”

教授が注目したのは、星の一生のうちに起きる、色の変化です。

星は、水素の核融合で青白く輝いていますが、水素がなくなると、何十倍にも
膨れて赤くなります。 ヘリウムの核融合で輝く、赤色巨星です。

更に、時間が経ってヘリウムがなくなると、エネルギー源を失い、星は収縮。

青白い、白色矮星になります。

つまり、青白い星として生まれたシリウスのような星は、晩年、一旦、赤くなり
その後、再び青白くなって、冷えて行くのです。

教授は、この星の色の変化が、赤いシリウスの原因だと考えました。

双子として生まれたシリウスAとBの場合、少し重い星Bが、先に赤色巨星を
経て、現在のような白色矮星になったはずです。

教授が注目したのは、シリウスBが赤色巨星だった、この段階です。

赤色巨星になったシリウスBの明るさは、理論から推定できます。

教授の計算によれば、明けの明星として知られる金星に匹敵したといいます。

教授が考える、かつてのシリウスの姿。

今と変わらず青白く輝くシリウスAと赤色巨星のシリウスBが、お互いを巡って
います。 これを、地球から見ると…。

赤い光が、はるかに強く、1つの赤い星のように見えるのです。

しかし、教授の説は、大きな批判に、さらされました。

当時の理論では、赤色巨星から白色矮星への変化は、数万年はかかると
されていたからです。 数万年と2000年では、大きな隔たりがあります。

赤いシリウスは、古代の人の見間違いではないかという説すら登場しました。

“私は理論通りではなく短期間で色が変化してもいいのではと考えたのです”

“新しい発見のためには、謙虚に宇宙に向き合い、既成の理論に、とらわれ
過ぎない事が、大切だと思います”

星の色は、1000年や2000年では変化しない。

そんな常識を覆す発見が、他ならぬ日本で、もたらされました。

舞台は、巨大望遠鏡を擁する、天文台ではありません。

お孫さんと遊ぶ、こちらの男性。 16歳で、新天体の探索を始めた、アマチュア
天文家です。

自宅の庭にそびえる観測塔は、子供が生まれた36年前に、自分で建てたと
いいます。 晴れた日は、毎晩のように、ここで写真を撮影し、星の変化を追い
続けて来ました。 そして、1996年2月。 大きな発見を成し遂げたのです。

“96年2月21日というのは私の誕生日で、本当にラッキーだったと思います”

“43歳の誕生日だったのですが、その日の朝、幸いカラッと晴れてくれました”

“2月だというのに、非常に天気の悪い日が続いていまして…”

“2月1日に、前の観測したあと、ず~っと天気が悪くて、まるまる20日ぶりの
観測だったのですが、カラッと晴れてくれて、いい写真が撮れました”

その写真が、こちら。 一見、地味ですが、どこがスゴイのでしょう?

男性は、プリントした写真の上に星図を重ね、ルーペで、しらみ潰しに調べる
という独特の方法で、新天体を追い求めて来ました。

探しているのは、星図の黒い点に、隠されない光です。

見つかった場所は、ここ。  赤い線の先なのですが… 分かりますか?

よ~く見ると、色の薄い染みのようなものが、かすかに見えますよね?

“すぐに、星図から位置を出して、それからパソコンの方でチェックをしたら、
詳しい星図を見ても、その位置には星はなかったので、おかしいなと思い…”

過去に遡って写真を調べたところ、最初に見え始めたのは、前の年の1月
でした。

右の写真には、かすかに写っていますが、左の写真には見当たりません。

この事は、謎の天体が、1年ほどの時間をかけながら、次第に明るくなって
行った事を意味しています。

これは、超新星爆発などとは異なる、前例のない現象でした。

いて座の一角にある、謎の天体に、世界中の望遠鏡が向けられました。

その結果、極めて珍しい現象が捉えられていた事が、分かって来ました。

アマチュア天文家が発見した新天体を、いち早く観測した天文学者が、
イギリスにいます。  ウォーリック大学の教授は、言う。

“通常、急に明るく見えるのは星の爆発現象です。 でも彼が見つけた天体は
それとは違い、普通の星のようなスペクトルを持っていました”

“これは奇妙だと思い、大きな望遠鏡で観測する事にしました”

教授が、特別なフィルターを付けた望遠鏡で観測したところ、かつて、ここに、
暗い白色矮星があった事が分かりました。

“燃えカスの星、白色矮星は、極めて特殊な条件下で、一時的に赤くなり、
赤色巨星として復活する事があります”

“彼が発見した星は、まさに、この現象を捉えたものでした”

アマチュア天文家が発見したのは、燃え尽きたはずの青白い星、白色矮星の
中で、ヘリウムが一時的に核融合を再開し、星が急激に赤く膨れ上がるという
珍しい現象でした。

この現象は、 ファイナル・ヘリウム・フラッシュ と、呼ばれています。

燃え尽きる寸前の星が、とても短い時間で色を変えうる事を、天文学者は、
初めて目の当たりにしたのです。

“星の変化には、とても長い時間が必要だというのが、天文学の常識でした”

“僅か数カ月で、星の色が変わるのを見て、本当に驚きました”

発見から2週間後、この天体は櫻井天体と名付けられ、一生に一度の珍しい
天文現象が見つかったというニュースが世界を駆け巡りました。

アマチュア天文家による、地道な夜空のパトロールのおかげで、宇宙の謎が
また1つ、解き明かされようとしています。

アマチュア天文家は、言う。

“普通の天体は、見つかって、長くても数年で、もう観測が終わって、研究
論文が出たら、それで終わりというケースが多いのですが、今回の天体に
ついては、20年経った今でも観測が続いていて、毎年のように新しい論文が
出ているという事で、本当に、もう、嬉しいです”

“本当に、役に立てたなという感じで、嬉しいです”

赤いシリウスの謎に挑んで来たドイツのボーフム大学の教授も、櫻井天体が
見せた、短期間での色の変化に注目しています。

“私の研究が発表されたのは、櫻井天体が発見される10年も前の事です”

“当時、人間の時間スケールで星が変化すると考える人は、ごく僅かでした”

“そのため私たちの説は、ほとんど受け入れられる事がなかったのです”

“でも、櫻井天体が、その流れを変えてくれました”

“星は、思っていたより、早く変化する事が、あり得るのです”

赤いシリウスの原因。 それは、シリウスBが、櫻井天体で見られたような
短期間での色の変化を起こしたからだと、教授は考えています。

NASAは、2019年に打ち上げる予定の、新たな宇宙望遠鏡の準備を進めて
います。 (ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡/口径6.5メートル)

18枚の鏡を宇宙空間で展開し、口径6.5メートルの望遠鏡を実現する計画です。

この望遠鏡による観測を目指しているのが、シリウスCを探していた、あの
フランス宇宙基礎科学研究所の博士です。

搭載される観測装置の開発にも、協力して来ました。

“赤外線観測が可能な、この史上最大の宇宙望遠鏡で、シリウスCを見つけ
出したいのです”

“ベッセルが予言したシリウスBを、100年以上前に見つけたのも、当時、世界
最大だったアメリカの望遠鏡でした。 私たちも、そんな発見を夢見ています”

望遠鏡が進化する度に、人類に発見をもたらしてくれた、シリウス。

青白い輝きの中に、まだ何かが隠れているはずだと、多くの科学者が考えて
います。 次は、私たちに、何を教えてくれるのか?

シリウスを巡る謎解きは、続きます!



☆宇宙博物記☆

今回は、シリウスと私たちの意外な関係を、ご紹介します!

舞台は、5000年前に、統一王朝が成立した、エジプト。

古代エジプトでは、シリウスが、日々の暮らしに欠かせない存在でした。

当時、暦を司る神官は、シリウスの動きを、常に監視していました。

シリウスが見える方角は、季節によって、徐々に変化して行きます。

5月から6月。 シリウスは、一旦、姿を消します。

そして、7月の半ば過ぎ、東の空に再び姿を現します。

実は、この日が、1年の始まりとされたのです。

でも、どうしてシリウスが、特別な星となったのでしょう?

古代エジプトの天文学に詳しい方に、聞いてみました。

“古代エジプトでは、シリウスが東の空に現れる現象は、7月の半ば過ぎに
起きていました”

“そしてこれが、ナイル川の氾濫の時期と、偶然、一致していたのです”

“シリウスは、ナイルの氾濫を知らせてくれる、特別な星とされたため、
シリウスが復活する日を、暦の最初の日にしたのです”

ナイルの氾濫は、乾燥したエジプトの大地を潤してくれる、農民にとって
大切な現象でした。

そこで古代エジプトの人々は、シリウスを基準に、正確な1年の長さを割り出し
農作業を行って来たのです。

古代エジプトのシリウス信仰は、ピラミッドからも分かるといいます。

死後、ファラオを永遠不滅の宇宙と一体化させる事が、この巨大な建築物の
役目といわれます。

その内部を調べてみると… 南北に2本ずつ作られた、細い通路があります。

真南に向けられた、その1本を延ばしてみると…  4500年前のシリウスが
通過する位置を、正確に指し示していました。

シリウスは、ファラオの魂が向かうべき場所でもあったのです。

エジプトの暦は、現在の暦のルーツになっています。

日々の暮らしは、意外なところで、シリウスと、つながっていたのですね!