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謎を呼ぶ現代天文学の扉を開いたシリウスのミステリーとは?
2021年05月18日 (火) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「歴史上の人物と話せるとしたら誰がいい?」
澄んだ空に、星がきらめく、冬の夜空。

そこに、全天で最も明るい恒星があるのを、ご存知ですか?

その名は、シリウス (Sirius) 。   見つけ方は、とても簡単です。

オリオン座の3つ星を、左に延ばした先。 青白い光が特徴です。

欧米では、狩人・オリオンの猟犬、ドッグスターとして親しまれ、中国では、
オオカミの星、天狼星(てんろうせい)と呼ばれています。

実は、このシリウスには、天文学史に残る、多くの謎があります。

19世紀にはシリウスが蛇行する奇妙な動きが見つかり大論争が起きました。

そして今、世界中の研究者たちが挑む、とびっきりの謎が…
赤いシリウス (Red Sirius) 。

2000年前、なんとシリウスは、青ではなく、赤く輝いていたというのです。

“赤いシリウスは、現代の天文学でも説明できない、大きな謎です”

今回は、天体観測好きの人たちにも人気の高い、冬の夜空の主役シリウスの
ミステリーに迫ります。

シリウスは、時代を超えて、人々の注目を集めて来た。

そして、その注目こそが謎を呼ぶ、現代天文学の扉を開いたシリウスの
ミステリーとは?

今、最先端の望遠鏡が、次々に、シリウスへと向けられています。

2018年からの5年ほどが、50年ぶりに訪れた、シリウス観測に最適な時期
だからです。 シリウスとは、一体、どんな星なのでしょうか?

研究の第1人者の博士の観測に、同行させてもらいました。

やって来たのは、アメリカ・アリゾナ州の山の頂。

世界最大規模の天文台、キットピークです。

“全天で最も明るいシリウスは、実に魅力的な星です”

“私たちに、宇宙の秘密を、たくさん教えてくれました”

シリウスが注目される1番の理由は、地球からの距離の近さです。

全天の1等星21個で比較してみると… シリウスの位置は、ここ。

肉眼で見える恒星としては、ケンタウルス座アルファ星に次いで、2番目に
近い星です。 いよいよ、観測の時間が、やって来ました。

コントロール・ルームのモニターに、シリウスが映し出されました。

全天で最も明るいシリウス。

この光の中に、たくさんの謎が、秘められているのです。

“人類は、シリウスの謎を数多く解き明かして来ましたが、まだまだ未解決の
謎も残されています”

“こうして観測し続けていたら、再び、大きな発見があるかも知れませんよ!”

シリウスにまつわる謎は、19世紀半ばまで遡ります。

1844年、イギリス王立天文協会に、1通の手紙が届けられました。

差出人は、ドイツにある天文台の台長、フリードリッヒ・ベッセル(1784-1846)。

手紙は、こう切り出されていました。

‘天文学にとって、とても重要な案件を、お伝えしようと思います’
‘シリウスの動きが、一定ではない事が判明しました’

望遠鏡を使って、星の位置を精密に測定できるようになると、星の中には、
他とは違って、独自の動きをしているものがあると分かって来ました。

星の固有(こゆう)運動といいます。

ベッセルは、星の位置を繰り返し測る事で、星の固有運動を調べていました。

使ったのは、ヘリオメーターと呼ばれる、特別な望遠鏡。

1万分の1度という高い精度で、星の位置を測る事ができます。

観測を始めて30年。 ベッセルは、シリウスの動きが、説明のつかない奇妙な
ものである事に気付きました。

そこで、他の天文台での観測結果も取り寄せ、100年にわたるシリウスの
位置の変化を、調べ上げました。

1万分の1度刻みのグラフにプロットしてみると、シリウスは50年ほどの周期で
西に東にユラユラ揺れるという、不思議な動きを繰り返していました。

ベッセルは既に知られている別の星の重力で、この動きを説明できると考え、
計算を繰り返しました。 しかし、どうしても、うまく行きません。

そんな中、1つの仮説を思い付きます。

それは、シリウスを巡る、見えない天体が存在するという、大胆なもの。

2つが、もつれ合いながら動いたと考えれば、謎の動きを説明できます。

重力は及ぼすが、見えない星。

これは当時の天文学の常識では考えられない異端ともいえる考え方でした。

常識にとらわれないベッセルは、こんな言葉で、手紙を締めくくっています。

‘夜空には、無数の恒星が輝いている。 だからといって、重力は及ぼすが、
見えない星が、宇宙に存在しないとは、言い切れないはずだ’

この予言を切欠に、シリウスの近くにある見えない星の探索が始まりました。

世界中の天文学者を巻き込んだ、大捜索。  見つかったのは、18年後。

舞台は、大西洋を挟んだ新興国、アメリカでした。

シカゴ近郊のディアボーン天文台。 ここに口径47センチの望遠鏡があります。

アメリカで作られた、当時、世界一の望遠鏡です。

巨大なレンズを持つ、この望遠鏡が、ベッセルが予言した、見えない星を、
見つけたのです。

発見者は、アメリカの望遠鏡製作者アルバン・クラークと、その息子です。

巨大な望遠鏡を作り続け、世界最大の記録を、5回も塗り替えた職人でした。

1862年1月31日。 望遠鏡の性能を確認するためのテスト観測が行われました。

望遠鏡が向けられたのは、冬の夜空の主役、シリウス。   すると…。

‘父さん! シリウスの近くに何かあるよ!’   ‘本当か?’

‘とても暗いけど、何か見えるよ!’   ‘見せてくれ!’

半信半疑の父親が、望遠鏡をのぞくと… まぶしいほど青白く輝くシリウスの
すぐ近くに、暗い点が、かすかに見えました。

ベッセルが予言した、見えない星は、実在していたのです。

ハーバード大学天文台に、発見の記録が残されていました。

当時の天文台長の観測ノートです。

‘クラークの47センチ望遠鏡が、シリウスの近くで暗い星を見つけた’
と、書かれています。

こうして、シリウスは双子星、いわゆる、連星である事が分かり、長年の謎が
解明されました。 暗い方の星は、シリウスBと、呼ばれるようになります。

しかし、この発見が、新たな謎を、もたらします。

当時、知られていた双子星は、明るさが似通っているものばかりだったのに
対し、シリウスは、明るさが大きく異なっていたのです。

その差は、なんと、1万倍に及びました。

なぜ、これほど暗いのか?  シリウスBの正体は、一体、何なのか?

この謎に迫ったのは、アメリカ西海岸のウィルソン山に建設された、
口径1.5メートルの望遠鏡でした。 (ヘール望遠鏡)

1915年、この世界最大の望遠鏡が、双子星シリウスに向けられると、驚きの
事実が分かりました。 当時の天文学者は、その結果にとまどったといいます。

研究の第1人者の博士のは、言う。

“観測によれば、シリウスBの温度は、最低でも1万度”

“シリウスAと同じか更に高温でした。 この結果が意味するのは、シリウスBは
あり得ないほど小さく、そのため暗いという事です”

これは、誰も理解できない天体でした“

シリウスBの大きさは、地球並み。

でも、重さは、なんと、太陽に匹敵するといいます。

シリウスBは、想像を絶する天体でした。

“大きさと重さから、密度を割り出すと、1立方センチメートル当たり、1トンを
超えています。 地球上で、最も密度の高い金属でも、1立方センチメートル
当たり、20グラムほどです”

“シリウスBは、当時の物理学では、説明不可能な物質で出来ていました”

本当に、そんな星が存在するのか?

謎の天体シリウスBの正体を巡って、当時の物理学界で大論争が巻き起こり
ました。

この謎に迫る手がかりをもたらしたのが、当時、一般相対性理論を発表した
ばかりの、アルバート・アインシュタイン (1879-1955) です。

普通の星と比べると、シリウスBのような小さくて重い星は、周りの時空を強く
ゆがめます。

すると、星の光は少し波長が伸びて、僅かに赤くなると、アインシュタインは
予言しました。

1925年、ウィルソン山の最新望遠鏡が、再び、シリウスBへと向けられました。

すると波長の僅かなズレは、一般相対性理論の予言と、ピタリと一致していた
のです。

その頃、急速に発展していた物理学を応用する事で、この謎の星の正体が
分かって来ました。

シリウスBは、白色矮星と呼ばれる特殊な星で、太陽のような星が燃え尽き、
収縮した、燃えカスでした。

夜空に輝く星も、永遠に輝き続けるのではなく、いつかは燃え尽き、最後は
暗い星になってしまう。シリウスBは私たちに星の一生を教えてくれたのです。

それだけではありません。

“宇宙には、太陽のような星とは全く異なる、奇妙な天体が、無数に存在して
います。 こうした宇宙観に到達する最初の一歩が、シリウスBの発見でした”

“シリウスが現代天文学の扉を開けてくれたといっても過言ではないでしょう”

私たちの宇宙観を変える発見をもたらした、シリウス。

その謎は、まだまだ尽きる事はありません。

この後、今も解き明かされていない、とっておきの謎に迫ります!