2021年05月04日 (火) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「歴史上の人物と話せるとしたら誰がいい?」
光。 そして、近付くものは、星さえも、のみ込んでしまう、ブラックホール。
この宇宙で、最も不可思議な天体です。
その存在が語られたキッカケは、科学者の計算でした。
以来、実在すると考える人、机上の空論だと主張する人、100年にわたる
論争が続きました。 壁を打ち破ったのは、実は、日本人研究者たち。
そして2019年、ついに人類は、ブラックホールを画像として捉える事に成功
しました! (NHKのコズミックフロントを、ぜひ、4Kテレビで観て下さい!)
番組では10年にわたって、ブラックホールを取り上げ続けて来ました。
そして、これまでにも登場した、こちらの3人が2020年のノーベル物理学賞に
選ばれました。
銀河の中心に、巨大ブラックホールを発見した、アメリカチームのリーダー
アンドレア・ゲズさん。
“ブラックホールを証明するためには、高性能の望遠鏡を銀河の中心に向け、
ブラックホールの近くにある星を観察します”
同じく、ヨーロッパチームのリーダー、ラインハルト・ゲンツェルさん。
“ブラックホールを発見しました。 次のステップは、その役割を知る事です”
そして、もう1人。 ブラックホールの出来方を、理論的に証明した、イギリスの
ロジャー・ペンローズさん。 (理論物理学者)
“ブラックホールは形成されていくにつれ、周囲の物体をのみ込んでいきます”
“今のところ、宇宙の中で、最も不可思議な天体です”
見えない天体の正体は、どのように予言され、どこまで分かって来たので
しょうか?
ブラックホールの闇に魅せられた人々とともに驚異の天体の素顔に迫ります。
解像度の高い望遠鏡で、更に詳しい観測が行われました。
その結果、銀河の中心に、不思議なものが見つかりました。
回転する円盤です。
中心の強い重力に、ガスが吸い込まれて出来たものだと、考えられました。
8台の分光計が捉えた電波は、回転する円盤から飛んで来たものだった
のです。 円盤は、時速360万キロという、猛スピードで回転していました。
詳しい分析の結果、中心の質量は太陽の3900万倍である事が分かりました。
そんな大きな質量の天体は巨大なブラックホールしか考えられませんでした。
1995年。 こうして中井さんたちの発見は、世界的な科学雑誌(ネイチャー)の
表紙を飾りました。
論文が発表されて、すぐ、中井さんのもとに、1通の手紙がイギリスから届きま
した。 手紙には、26年間、待ちわびていました。発見おめでとうございます。
と書かれていました。
差出人は、ケンブリッジ大学のドナルド・リンデン-ベルさん。
1969年、銀河の中心に超巨大ブラックホールがあるという予言をしていました。
リンデン-ベルさんは当時、発見されたクエーサーと呼ばれる激しく活動する
銀河の観測から、中心に、巨大なブラックホールがあるに違いないと考えた
のです。
“発見の知らせは、とても嬉しかったです”
“それまで銀河の中心に巨大ブラックホールがあるという確証はなかったので
この発見は、最高に素晴らしいニュースでした”
観測によって明らかになったブラックホールの姿を、コンピューターグラフィックス
で再現しました。
銀河の中心に潜んでいた、太陽の3900万倍もの質量を持つ超巨大ブラック
ホール。 その強い重力で、周囲にある大量のガスを、のみ込んでいます。
そして、ブラックホールの強い磁場の影響で、中心から、ジェットが噴き出て
います。
こうして、ほとんどの銀河の中心に、超巨大ブラックホールが潜んでいると
考えられるようになりました。
では、私たちの天の川銀河の中心にも、ブラックホールはあるのでしょうか?
この問いに対する答えを探して、2つの研究チームが観測を始めました。
ノーベル物理学賞を受賞した、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の
アンドレア・ゲズ教授。 アメリカの観測チームのリーダーです。
“私たちの方法は、星の動きを観測する事です”
“それこそ、ブラックホールの存在を示す、鍵だからです”
“望遠鏡を、私たちの天の川銀河の中心に向け、ブラックホールの周囲にある
星々を観察します”
“そうすれば、ブラックホールを中心に回る星を、見つける事ができるでしょう”
星の動きを、数年間、追い続け、軌道を記録して、つなげて行きます。
もし、何も見えない場所を中心に星々が回っていたなら、ブラックホールの
証拠になると考えたのです。
しかし天の川銀河の中心までは、地球から2万6000光年の距離があります。
それほど遠くの星の動きを見極めるのは、簡単ではありません。
巨大な望遠鏡が立ち並ぶ、ハワイ島のマウナケア。
1995年、ゲズさんは、その山頂にあるケック天文台で、観測を開始しました。
ケックには、世界最大級の口径10メートルの望遠鏡があります。
ここであれば、証拠を見つけられると信じて、観測を続けました。
アメリカチームより一足早い、1992年。
ドイツを中心とするヨーロッパチームも、天の川銀河の観測を始めていました。
ノーベル物理学賞を受賞した、リーダーのゲンツェルさんです。
“地球と銀河の中心の間には、たくさんの星間物質があります”
“例えばチリです。 チリは、可視光線の放射を弱めてしまうので、可視光線で
銀河の中心は観測できません。 X線や赤外線なら見る事ができます”
“私たちは、赤外線を使いました”
ゲンツェルさんたちも、星の動きからブラックホールの存在を、明らかにしようと
考えました。 星の動きを追跡したのは、ギレッセンさんです。
“ケックが10メートルに対し、私たちの望遠鏡は8メートルです”
“大きさでは少し負けていますが、私たちの望遠鏡は南半球にあるので、
天の川銀河の中心が見える期間が、ケックより長いのです”
ヨーロッパチームの観測拠点は、南米チリにあるパラナル天文台です。
口径8.2メートルの望遠鏡が4台立ち並ぶ、VLTが使われました。
しかし、この4台の望遠鏡をもってしても、成果は上がりませんでした。
問題は、地球の大気です。
大気の揺らぎのせいで、星が、ぼやけてしまうのです。 2002年4月。
ヨーロッパチームは、これまでにない、画期的な観測装置を取り付けました。
VLTから夜空に向かってレーザー光線を放ち、大気の揺らぎを測ります。
特殊な装置を駆使して、揺らぎを取り除く事に成功しました。
補正する前と、補正した後の、星の画像です。
大気の揺らぎが取り除かれ、星がクッキリと見えます。
この時期、まだ、この技術を持っていなかったゲズさんは、不利な状況に追い
込まれました。
ゲズさんは、短い露光時間で星を撮影し、揺らぎを最小限に抑えるという
手法で観測を続けました。 丹念に星の動きを追い、記録して行きます。
どの星を追うかが、勝負の分かれ目です。
光。 そして、近付くものは、星さえも、のみ込んでしまう、ブラックホール。
この宇宙で、最も不可思議な天体です。
その存在が語られたキッカケは、科学者の計算でした。
以来、実在すると考える人、机上の空論だと主張する人、100年にわたる
論争が続きました。 壁を打ち破ったのは、実は、日本人研究者たち。
そして2019年、ついに人類は、ブラックホールを画像として捉える事に成功
しました! (NHKのコズミックフロントを、ぜひ、4Kテレビで観て下さい!)
番組では10年にわたって、ブラックホールを取り上げ続けて来ました。
そして、これまでにも登場した、こちらの3人が2020年のノーベル物理学賞に
選ばれました。
銀河の中心に、巨大ブラックホールを発見した、アメリカチームのリーダー
アンドレア・ゲズさん。
“ブラックホールを証明するためには、高性能の望遠鏡を銀河の中心に向け、
ブラックホールの近くにある星を観察します”
同じく、ヨーロッパチームのリーダー、ラインハルト・ゲンツェルさん。
“ブラックホールを発見しました。 次のステップは、その役割を知る事です”
そして、もう1人。 ブラックホールの出来方を、理論的に証明した、イギリスの
ロジャー・ペンローズさん。 (理論物理学者)
“ブラックホールは形成されていくにつれ、周囲の物体をのみ込んでいきます”
“今のところ、宇宙の中で、最も不可思議な天体です”
見えない天体の正体は、どのように予言され、どこまで分かって来たので
しょうか?
ブラックホールの闇に魅せられた人々とともに驚異の天体の素顔に迫ります。
解像度の高い望遠鏡で、更に詳しい観測が行われました。
その結果、銀河の中心に、不思議なものが見つかりました。
回転する円盤です。
中心の強い重力に、ガスが吸い込まれて出来たものだと、考えられました。
8台の分光計が捉えた電波は、回転する円盤から飛んで来たものだった
のです。 円盤は、時速360万キロという、猛スピードで回転していました。
詳しい分析の結果、中心の質量は太陽の3900万倍である事が分かりました。
そんな大きな質量の天体は巨大なブラックホールしか考えられませんでした。
1995年。 こうして中井さんたちの発見は、世界的な科学雑誌(ネイチャー)の
表紙を飾りました。
論文が発表されて、すぐ、中井さんのもとに、1通の手紙がイギリスから届きま
した。 手紙には、26年間、待ちわびていました。発見おめでとうございます。
と書かれていました。
差出人は、ケンブリッジ大学のドナルド・リンデン-ベルさん。
1969年、銀河の中心に超巨大ブラックホールがあるという予言をしていました。
リンデン-ベルさんは当時、発見されたクエーサーと呼ばれる激しく活動する
銀河の観測から、中心に、巨大なブラックホールがあるに違いないと考えた
のです。
“発見の知らせは、とても嬉しかったです”
“それまで銀河の中心に巨大ブラックホールがあるという確証はなかったので
この発見は、最高に素晴らしいニュースでした”
観測によって明らかになったブラックホールの姿を、コンピューターグラフィックス
で再現しました。
銀河の中心に潜んでいた、太陽の3900万倍もの質量を持つ超巨大ブラック
ホール。 その強い重力で、周囲にある大量のガスを、のみ込んでいます。
そして、ブラックホールの強い磁場の影響で、中心から、ジェットが噴き出て
います。
こうして、ほとんどの銀河の中心に、超巨大ブラックホールが潜んでいると
考えられるようになりました。
では、私たちの天の川銀河の中心にも、ブラックホールはあるのでしょうか?
この問いに対する答えを探して、2つの研究チームが観測を始めました。
ノーベル物理学賞を受賞した、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の
アンドレア・ゲズ教授。 アメリカの観測チームのリーダーです。
“私たちの方法は、星の動きを観測する事です”
“それこそ、ブラックホールの存在を示す、鍵だからです”
“望遠鏡を、私たちの天の川銀河の中心に向け、ブラックホールの周囲にある
星々を観察します”
“そうすれば、ブラックホールを中心に回る星を、見つける事ができるでしょう”
星の動きを、数年間、追い続け、軌道を記録して、つなげて行きます。
もし、何も見えない場所を中心に星々が回っていたなら、ブラックホールの
証拠になると考えたのです。
しかし天の川銀河の中心までは、地球から2万6000光年の距離があります。
それほど遠くの星の動きを見極めるのは、簡単ではありません。
巨大な望遠鏡が立ち並ぶ、ハワイ島のマウナケア。
1995年、ゲズさんは、その山頂にあるケック天文台で、観測を開始しました。
ケックには、世界最大級の口径10メートルの望遠鏡があります。
ここであれば、証拠を見つけられると信じて、観測を続けました。
アメリカチームより一足早い、1992年。
ドイツを中心とするヨーロッパチームも、天の川銀河の観測を始めていました。
ノーベル物理学賞を受賞した、リーダーのゲンツェルさんです。
“地球と銀河の中心の間には、たくさんの星間物質があります”
“例えばチリです。 チリは、可視光線の放射を弱めてしまうので、可視光線で
銀河の中心は観測できません。 X線や赤外線なら見る事ができます”
“私たちは、赤外線を使いました”
ゲンツェルさんたちも、星の動きからブラックホールの存在を、明らかにしようと
考えました。 星の動きを追跡したのは、ギレッセンさんです。
“ケックが10メートルに対し、私たちの望遠鏡は8メートルです”
“大きさでは少し負けていますが、私たちの望遠鏡は南半球にあるので、
天の川銀河の中心が見える期間が、ケックより長いのです”
ヨーロッパチームの観測拠点は、南米チリにあるパラナル天文台です。
口径8.2メートルの望遠鏡が4台立ち並ぶ、VLTが使われました。
しかし、この4台の望遠鏡をもってしても、成果は上がりませんでした。
問題は、地球の大気です。
大気の揺らぎのせいで、星が、ぼやけてしまうのです。 2002年4月。
ヨーロッパチームは、これまでにない、画期的な観測装置を取り付けました。
VLTから夜空に向かってレーザー光線を放ち、大気の揺らぎを測ります。
特殊な装置を駆使して、揺らぎを取り除く事に成功しました。
補正する前と、補正した後の、星の画像です。
大気の揺らぎが取り除かれ、星がクッキリと見えます。
この時期、まだ、この技術を持っていなかったゲズさんは、不利な状況に追い
込まれました。
ゲズさんは、短い露光時間で星を撮影し、揺らぎを最小限に抑えるという
手法で観測を続けました。 丹念に星の動きを追い、記録して行きます。
どの星を追うかが、勝負の分かれ目です。
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