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理論でしか存在しなかったブラックホールは本当に見つけられるのか?
2021年05月03日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「歴史上の人物と話せるとしたら誰がいい?」
光。 そして、近付くものは、星さえも、のみ込んでしまう、ブラックホール。

この宇宙で、最も不可思議な天体です。

その存在が語られたキッカケは、科学者の計算でした。

以来、実在すると考える人、机上の空論だと主張する人、100年にわたる
論争が続きました。 壁を打ち破ったのは、実は、日本人研究者たち。

そして2019年、ついに人類は、ブラックホールを画像として捉える事に成功
しました! (NHKのコズミックフロントを、ぜひ、4Kテレビで観て下さい!)

番組では10年にわたって、ブラックホールを取り上げ続けて来ました。

そして、これまでにも登場した、こちらの3人が2020年のノーベル物理学賞に
選ばれました。

銀河の中心に、巨大ブラックホールを発見した、アメリカチームのリーダー
アンドレア・ゲズさん。

“ブラックホールを証明するためには、高性能の望遠鏡を銀河の中心に向け、
ブラックホールの近くにある星を観察します”

同じく、ヨーロッパチームのリーダー、ラインハルト・ゲンツェルさん。

“ブラックホールを発見しました。 次のステップは、その役割を知る事です”

そして、もう1人。 ブラックホールの出来方を、理論的に証明した、イギリスの
ロジャー・ペンローズさん。 (理論物理学者)

“ブラックホールは形成されていくにつれ、周囲の物体をのみ込んでいきます”

“今のところ、宇宙の中で、最も不可思議な天体です”

見えない天体の正体は、どのように予言され、どこまで分かって来たので
しょうか?

ブラックホールの闇に魅せられた人々とともに驚異の天体の素顔に迫ります。

理論でしか存在しなかった、ブラックホール。

この後、研究者たちが、観測によって正体に迫って行きます。

1963年、アメリカ・ボストン。

この町のペットショップに、たびたび立ち寄る、1人の日本人がいました。

マサチューセッツ工科大学に、客員教授として招かれていた宇宙物理学者の
小田稔(1923-2001)さんです。

小田さんは、当時、最先端の研究であった、宇宙から飛んで来るX線を調べる
チームに参加していました。

X線は、太陽から放出されている事は、分かっていました。

しかしX線は、地球の大気に吸収されてしまう性質があるので、地上からでは
観測できません。

そこで研究チームは、ロケットを宇宙に飛ばして、X線の観測を行いました。

その結果、思いもよらぬほど、強いX線を捉えます。

発生源は、太陽ではなく、この四角いエリア。 白鳥座の方向でした。

しかし、このままでは、特定の星から出ているのか?

それとも、広い領域から放出されているのかさえも、分かりません。

一体、どうすればいいのか?

小田さんは、通っていたペットショップで、そのヒントを見つけました。

回し車(ハムスターなどの小動物の運動具)の向こう側が、見えたり隠れたり
する様子を見た小田さんは、帰国後、この原理を応用した装置を開発します。

小田さんたちが作った、装置の模型です。

細い金属と金属の隙間が、すだれのように見える事から、すだれコリメーター
と名付けられました。

検出器の前に、2枚以上のすだれを置くと、X線が飛んで来る方向が、僅かに
違うだけで、X線が通ったり、通らなかったりします。

こうして、X線の飛んで来る方向を、絞り込もうというアイデアです。

しかし当時の日本には、この、すだれコリメーターを搭載できるロケットは
ありませんでした。

1966年、小田さんは福島県の原町(現:南相馬市)で、気球を使ってX線を
観測する事にしました。

‘気球は、いろいろな観測機を積んで、高度30キロの成層圏まで上昇します’

‘高度30キロあたりでは気圧も地上のおよそ100分の1になり、宇宙のかなた
から飛んで来るX線・ガンマ線などの放射線や、赤外線・陽子・電子などを
空気に邪魔される事なく、ほとんど、そのままの姿で観測する事ができます’

すだれコリメーターを使った気球観測は、4年にわたって行われました。

観測は成功し、X線の源が絞り込まれました。

黄色い楕円は、すだれコリメーターが突き止めたエリアです。

1970年、世界初のX線観測衛星ウフルが打ち上げられました。

小田さんもプロジェクトに加わり、絞り込まれたエリアを詳しく観測しました。

1971年4月。 ついに、その場所が突き止められました。

そこには、太陽の30倍の質量を持つ、巨大な星がありました。

星の色の変化から、その星は、動いている事が分かりました。

巨大な星は、5.6日という短い周期で公転する連星の特徴を示していました。

連星には、相手が必要です。 あるとすれば、太陽質量の10倍の星。

しかし、あるはずの星は、見つかりません。

相手は、ブラックホールとしか考えられません。

場所は、白鳥座の首の真ん中あたり。

謎のX線の発生源は、世界初のブラックホールとして、白鳥座X-1(7500光年)
と名付けられました。

こうして、存在が裏付けられたブラックホール。

そして、更に驚くべきブラックホールが、日本人によって発見されます。

中井さんが発見したのは、太陽質量の何千万倍もある化け物のような超巨大
ブラックホールです。

1990年。 当時、ここ野辺山電波観測所に勤務していた中井さんは、銀河の
中心のガスを調べていました。

その銀河は、北斗七星の近く、2100万光年かなたの M106銀河 です。

この銀河の中心からは、規則正しい電波が出ていると報告されていました。

“銀河の中で、そういう規則正しく電波…”

“光もそうですけど、変わるというのは、そういう現象は、ほとんどないのです”

“だから、非常に驚いてですね… 本当に、そういう…”

“電波の強さが、規則正しく変わっているのかどうかというのを、調べようと
したのです”

野辺山電波観測所には、世界に誇る観測装置があります。

電波の強さを細かく調べる事が出来る、8台の電波分光計です。

実は、銀河の中心の電波を観測するには、分光計は1台あれば十分でした。

“1台でよかったのですが、せっかく8台ありますので、あるものは使わないと
もったいないといいますか…”

“それで、速度方向に全部並べて、全部使って観測したのです”

分光計を8台使った事が、世紀の大発見をもたらします。

もったいないと思って並べた分光計のグラフを見て、中井さんは驚きました。

真ん中には、銀河の中心の電波が捉えられています。

そしてグラフの両端に、周波数の違う、奇妙な電波がありました。

中井さんは、左の電波に驚きました。

“今まで銀河で、そういう大きな速度が見つかった事は、全くないわけです”

“これに気が付いた時には、もう、体中が熱くなり…”

“これは、とんでもない事だという風に思いました…”