2021年04月21日 (水) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「子どもの頃に信じていたこと」
不思議な呪文で人を消し去り… 鬼を意のままに操る…。
その正体は… 平安時代のスーパーヒーロー、陰陽師 ・ 安倍晴明 。
映画やドラマでは、超能力者のように描かれて来ました。
しかしその実像は国の陰陽寮という天文や暦を担当する部署の役人でした。
“これは、格子月進図という、安倍家に伝わっている史料です”
安倍晴明は、詳細に星々の動きを観測する天文学者のような役割を果たして
いたのです。
“星の位置に対しては、かなり正確な図だなという風に、見て取れます”
でも、どんな目的のために、天体観測を行っていたのか?
それは、星の動きをもとにした占い… 占星術です。
“天の世界、星の世界が、どういう風に人間に影響を与えて行くのか?”
“それを、天文占星術は読み取って行くわけですよね”
安倍晴明は、優れた天文知識をよりどころに、占いや儀式を行う天皇や貴族
にとって欠かせない存在だったのです。
更に最近の研究から、有力貴族と手を組み政治を動かした様子さえ、浮かび
上がって来ました。
晴明は、いかに星の世界と関わり、超人的なイメージを築き上げたのか?
いにしえの天文学者、安倍晴明。 その知られざる実像に迫ります。
奈良県桜井市の安倍文殊院。
1300年以上の歴史を持つ、安倍(あべ)一族の氏寺(うじでら)です。
安倍文殊院の副住職は、言う。
“正面に、いらっしゃいますのが、弁財天さん”
“右側が、安倍仲麻呂(なかまろ)さん。 左側が、安倍晴明(せいめい)さん”
“ここは、安倍一族の本拠地”
“安倍晴明さんも、ここで生まれたと伝えられています”
ここには、晴明と星の世界との関わりを示す、言い伝えが残されています。
“こちらが、安倍晴明・天文観測の地と伝えられています”
“今でもここでは、星をキレイに見る事ができます”
“時を越えて、晴明さんと一緒になる。 同じ景色を見る事ができますね…”
幼い頃から、天体観測をしていたという、晴明。
とても賢い子供だったと、伝えられています。
(父) また星を見ておるのか?
(晴明) 真北の空に、ひときわ輝く星が北辰(北極星)。
あの、ひしゃくのような形をした7つの星は北斗(北斗七星)で、ございますね。
(父) おお… 晴明は、よう知っておるの。 じゃあ、これは知っておるかな?
唐の国では、北斗には人の命を司る神様が宿ると、いわれておる。
そしてのう、人は生まれた年の干支から、あの7つの星の、いずれかに属して
おるのだ。 (晴明) 私の命を司る星も?
(父) いかにも。お前の干支は巳、ヘビだから右から2番目の、あの武曲星だ。
長生きをしたくば、あの星に祈る事だ。 (晴明) はい。
当時、北斗七星は、信仰の対象になっていました。
人は、生まれ年の干支ごとに、7つの星のいずれかに属すると考えられて
いました。 北斗七信仰と呼ばれます。
干支(北斗七星) - 子/ねずみ(貧狼/とんろう)・午/うま(破軍/はぐん)
丑/うし・亥/いのしし(巨門/きょもん)・寅/とら・戌/いぬ(禄存/ろくそん)・
卯/うさぎ・酉/とり(文曲/ぶんきょく)・辰/りゅう・申/さる(廉貞/れんてい)・
巳/へび・未/ひつじ(武曲/ぶきょく)
星の力で、災いから免れる事ができると、信じられていのです。
実は記録に残る最初の晴明のエピソードも、北斗七星と深く関係しています。
天徳4年(960年)。 天皇が暮らす内裏が、火災に見舞われます。
この時、天皇家に代々伝わる、大切な剣も焼けてしまいます。
朝廷は、剣を作り直そうとしますが、大きな問題が持ち上がりました。
(朝廷) 焼けてしもうた剣は、帝を、病や災いからお守りする霊剣。
(朝廷) あれが無ければ、新たな災いが及ぶ恐れがあるぞ!
(朝廷) しかしその剣は帝の宝物蔵に安置されていたゆえ、何人もそのなりや
形を知らぬというではないか。 あの文様は誰が知っておるのじゃ…。
(晴明) ご安心くださりませ。 帝、直々の仰せつけにより、我らで、その修復を
承っております。
(朝廷) 何じゃ、そちは… いずれの者か? 名は、何という?
(晴明) 陰陽寮の天文生、安倍晴明と申します。
(朝廷) 何だ、星を見上げて占いをしておる役人どもか。 しかも天文学生だと。
身分低き分際で、どうやって修復などいたそうというのだ。
(晴明) 唐国の道教の教えにもありますように、天のありさまを刻みたる剣を
持つ事で、もろもろの害、災いから身を守る事ができまする。
剣の文様、すなわち、それは、日輪と月、そして星々。
天界の神々を、かたどったもので、ございます。
(朝廷) 陰陽寮の安倍晴明。 覚えておこうではないか…。
完成を楽しみにしておるぞ。
晴明が復活させようとした、剣の文様。
その詳細が記された史料が、残されています。 (京都府立京都学・歴彩館)
大刀契事(だいとけいのこと)。 安倍家に代々伝わって来た、文書です。
剣の文様とは、北斗。 すなわち、北斗七星でした。
見事、剣を復活させ、大きな手柄を立てた、晴明。
しかし、なぜ、誰もが知らなかった文様を、知っていたのでしょうか?
それは、晴明が所属していた国の組織、陰陽寮の役割に関係しています。
陰陽寮は、占い・時刻・暦・天文の4つの部門を司っていました。
晴明は、この天文部門で、修業を積んでいたのです。
平安時代の天文とは、どのようなものだったのか?
安倍晴明を祭る神社に、その手掛かりが残されています。
(京都市上京区/晴明神社)
五芒星(ごぼうせい)と呼ばれる、(☆)印です。
五芒星が表すのは、天空の星ではありません。
陰陽寮の基本となる考え方、陰陽五行(いんようごぎょう)説を表しています。
陰陽五行説とは、万物が、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)という、
5つから成り立つという考え方が、基本にあります。
更にそれらが、男と女、太陽と月などのように対になり、影響を与え合うという
思想です。
その中で、地上の人間の対になるとされていたのが、天上の星々でした。
星の動きに異常があれば、災いが起こると考えられたのです。
不思議な呪文で人を消し去り… 鬼を意のままに操る…。
その正体は… 平安時代のスーパーヒーロー、陰陽師 ・ 安倍晴明 。
映画やドラマでは、超能力者のように描かれて来ました。
しかしその実像は国の陰陽寮という天文や暦を担当する部署の役人でした。
“これは、格子月進図という、安倍家に伝わっている史料です”
安倍晴明は、詳細に星々の動きを観測する天文学者のような役割を果たして
いたのです。
“星の位置に対しては、かなり正確な図だなという風に、見て取れます”
でも、どんな目的のために、天体観測を行っていたのか?
それは、星の動きをもとにした占い… 占星術です。
“天の世界、星の世界が、どういう風に人間に影響を与えて行くのか?”
“それを、天文占星術は読み取って行くわけですよね”
安倍晴明は、優れた天文知識をよりどころに、占いや儀式を行う天皇や貴族
にとって欠かせない存在だったのです。
更に最近の研究から、有力貴族と手を組み政治を動かした様子さえ、浮かび
上がって来ました。
晴明は、いかに星の世界と関わり、超人的なイメージを築き上げたのか?
いにしえの天文学者、安倍晴明。 その知られざる実像に迫ります。
奈良県桜井市の安倍文殊院。
1300年以上の歴史を持つ、安倍(あべ)一族の氏寺(うじでら)です。
安倍文殊院の副住職は、言う。
“正面に、いらっしゃいますのが、弁財天さん”
“右側が、安倍仲麻呂(なかまろ)さん。 左側が、安倍晴明(せいめい)さん”
“ここは、安倍一族の本拠地”
“安倍晴明さんも、ここで生まれたと伝えられています”
ここには、晴明と星の世界との関わりを示す、言い伝えが残されています。
“こちらが、安倍晴明・天文観測の地と伝えられています”
“今でもここでは、星をキレイに見る事ができます”
“時を越えて、晴明さんと一緒になる。 同じ景色を見る事ができますね…”
幼い頃から、天体観測をしていたという、晴明。
とても賢い子供だったと、伝えられています。
(父) また星を見ておるのか?
(晴明) 真北の空に、ひときわ輝く星が北辰(北極星)。
あの、ひしゃくのような形をした7つの星は北斗(北斗七星)で、ございますね。
(父) おお… 晴明は、よう知っておるの。 じゃあ、これは知っておるかな?
唐の国では、北斗には人の命を司る神様が宿ると、いわれておる。
そしてのう、人は生まれた年の干支から、あの7つの星の、いずれかに属して
おるのだ。 (晴明) 私の命を司る星も?
(父) いかにも。お前の干支は巳、ヘビだから右から2番目の、あの武曲星だ。
長生きをしたくば、あの星に祈る事だ。 (晴明) はい。
当時、北斗七星は、信仰の対象になっていました。
人は、生まれ年の干支ごとに、7つの星のいずれかに属すると考えられて
いました。 北斗七信仰と呼ばれます。
干支(北斗七星) - 子/ねずみ(貧狼/とんろう)・午/うま(破軍/はぐん)
丑/うし・亥/いのしし(巨門/きょもん)・寅/とら・戌/いぬ(禄存/ろくそん)・
卯/うさぎ・酉/とり(文曲/ぶんきょく)・辰/りゅう・申/さる(廉貞/れんてい)・
巳/へび・未/ひつじ(武曲/ぶきょく)
星の力で、災いから免れる事ができると、信じられていのです。
実は記録に残る最初の晴明のエピソードも、北斗七星と深く関係しています。
天徳4年(960年)。 天皇が暮らす内裏が、火災に見舞われます。
この時、天皇家に代々伝わる、大切な剣も焼けてしまいます。
朝廷は、剣を作り直そうとしますが、大きな問題が持ち上がりました。
(朝廷) 焼けてしもうた剣は、帝を、病や災いからお守りする霊剣。
(朝廷) あれが無ければ、新たな災いが及ぶ恐れがあるぞ!
(朝廷) しかしその剣は帝の宝物蔵に安置されていたゆえ、何人もそのなりや
形を知らぬというではないか。 あの文様は誰が知っておるのじゃ…。
(晴明) ご安心くださりませ。 帝、直々の仰せつけにより、我らで、その修復を
承っております。
(朝廷) 何じゃ、そちは… いずれの者か? 名は、何という?
(晴明) 陰陽寮の天文生、安倍晴明と申します。
(朝廷) 何だ、星を見上げて占いをしておる役人どもか。 しかも天文学生だと。
身分低き分際で、どうやって修復などいたそうというのだ。
(晴明) 唐国の道教の教えにもありますように、天のありさまを刻みたる剣を
持つ事で、もろもろの害、災いから身を守る事ができまする。
剣の文様、すなわち、それは、日輪と月、そして星々。
天界の神々を、かたどったもので、ございます。
(朝廷) 陰陽寮の安倍晴明。 覚えておこうではないか…。
完成を楽しみにしておるぞ。
晴明が復活させようとした、剣の文様。
その詳細が記された史料が、残されています。 (京都府立京都学・歴彩館)
大刀契事(だいとけいのこと)。 安倍家に代々伝わって来た、文書です。
剣の文様とは、北斗。 すなわち、北斗七星でした。
見事、剣を復活させ、大きな手柄を立てた、晴明。
しかし、なぜ、誰もが知らなかった文様を、知っていたのでしょうか?
それは、晴明が所属していた国の組織、陰陽寮の役割に関係しています。
陰陽寮は、占い・時刻・暦・天文の4つの部門を司っていました。
晴明は、この天文部門で、修業を積んでいたのです。
平安時代の天文とは、どのようなものだったのか?
安倍晴明を祭る神社に、その手掛かりが残されています。
(京都市上京区/晴明神社)
五芒星(ごぼうせい)と呼ばれる、(☆)印です。
五芒星が表すのは、天空の星ではありません。
陰陽寮の基本となる考え方、陰陽五行(いんようごぎょう)説を表しています。
陰陽五行説とは、万物が、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)という、
5つから成り立つという考え方が、基本にあります。
更にそれらが、男と女、太陽と月などのように対になり、影響を与え合うという
思想です。
その中で、地上の人間の対になるとされていたのが、天上の星々でした。
星の動きに異常があれば、災いが起こると考えられたのです。
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