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なぜチュウルイ湾のマリモは丸くなり、ここだけで群生しているのか?
2021年01月23日 (土) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「今年一番心に残ったいい出来事は?」
緑の、ま~るい、マリモ。  皆さん、何で丸いか、知っていますか?

大自然が広がる、北海道の阿寒湖。

世界で、ここにしかない、マリモの大群生地があります。

水深2メートルの浅瀬に見えて来たのは、なんと、20万個ものマリモ!

うわ~、でかい! 大きいものは、直径30センチにもなります。

えっ? マリモを真っ二つ?

実は、この細い糸状の1本1本が、マリモと呼ばれる藻(も)なのです。 (毬藻)

丸いマリモは、数え切れない藻が集まって出来た、集合体です。

これまで確認された丸いマリモの生息地は、ヨーロッパや日本を中心におよそ
40カ所。 しかし、次々と姿を消しています。

そして今年、とうとう阿寒湖が確認される最後の群生地となってしまいました。

しかも大型のものは、湖の北側、サッカーグラウンド半分ほどの浅瀬にしか
住んでいません。

なぜ、世界で、ここにだけ、丸いマリモの群生地が残っているのでしょうか?

その謎を解くため特別な許可を得て、初めて1年間の長期撮影に臨みました。

分かって来たのは、マリモを育くむ、自然の絶妙なバランスです。

湖を吹き抜ける、特徴的な風。 手つかずの森から注がれる、澄んだ水。

いくつもの自然条件が積み重なって、ま~るいマリモが育っていました。

そして、世界で初めて撮影された不思議なマリモの生態。

あれ? 回転してる!   まるで、1つの生き物みたいだ!

更にマリモは、意外な方法で、命をつないでいました。

冬、氷に閉じ込められたマリモ。

なんと、雪解けとともに、生まれ変わっていました。

マリモの研究者は、言う。

“えー! こんな事が起きるのですか? という事がありますから…”

“実は、ここにいるべき理由が、ちゃんとある”

世界で、阿寒湖だけに群生する、ま~るいマリモ。

その神秘の姿を、じっくり、ご覧いただきましょう。

北海道の東部、火山の噴火で出来た、阿寒湖。

国立公園に指定されています。 湖の南側は、戦前に開かれた温泉街。

1年中、観光客で賑わいます。

一方、北側は、立ち入りが厳しく制限されています。

マリモをはじめ、貴重な自然を守るため、国の特別保護地区になっています。

丸いマリモが生息するのは、チュウルイ湾。

アイヌの人々が、波の荒い場所と呼んだ、小さな入り江です。

ここで、20年以上にわたって、マリモの研究に取り組んでいる人がいます。

釧路市マリモ研究室で、マリモ博士と呼ばれています。

“抜群に、良い天気ですね。 阿寒湖の初夏という感じが”

“これくらい晴れてくれないと、農作物と一緒で、実入りが良くないですね”

“秋に、ポンッと、たたいた時にフニャフニャとなるか、ミシミシというか、かたく
なるかの違いはハッキリします”

マリモ博士に、マリモの群生地を、案内してもらいましょう。

国の特別天然記念物、マリモ。  たくさん、いるな~。

深さ2メートルの浅瀬に、3層ほどに重なって生息しています。

表面をよく見ると… 酸素の気泡が付いています。

光合成で成長しているのです。  こちらは、30センチほどに成長したマリモ。

この大きさになるのに、7年ほど、かかるそうです。

実は、湖の別の場所をのぞくと、丸くないマリモもいます。

ゆらゆらと浮かんだ、浮遊型マリモ。  岩に付いた、着生型マリモ。

本来マリモは、丸くならないものが、ほとんどで、世界各地に生息しています。

一体、なぜ、チュウルイ湾のマリモは丸くなり、ここだけで群生しているのか?
ずっと、謎でした。

そこで、マリモ博士や地元の大学と一緒に、風や波など、自然環境を調べる
事にしました。

更に、特別な許可を得て、水中に、遠隔操作ができるカメラを設置。

マリモの群生地で、初めてとなる、長期間の撮影に挑む事にしました。

一体、何が、見えるのかなぁ~?   マリモは、なぜ、丸くなるのか?

この謎は、世界の学者を、とりこにして来ました。 イギリス・ロンドン博物館。

分厚いドアで、厳重に管理された一室。

250年前に、世界で初めて発見された、マリモが保存されています。

発見以来、さまざまな学説が、飛び交いました。

18世紀、イギリスの植物学者が主張した説は、
‘藻が、川で流され、回転するうちに丸くなる’

20世紀、オーストリアの学者は、
‘小石の表面にマリモが付き、湖の底を転がりながら丸くなる’

戦前、日本の学者は、
‘マリモは、浮いたり沈んだりしている間に、光合成する表面をかえ、丸くなる’
と、唱えました。

しかし、湖の底で観察を続けるのは難しく、謎は、謎のままでした。

阿寒湖で撮影を始めて3日目。 興味深い映像を捉える事ができました。

光合成で酸素を作るマリモの周りには、たくさんの生き物が集まっていました。

マリモの隙間から顔を出したのは、トミヨ(トゲウオの仲間)。

小枝や水草を運んで、なんと、巣を作っています。

ここなら、外敵に狙われない。  賢いなぁ~!

マリモの絨毯は、ミジンコなどの小さな生き物にとっても、格好の住みか。

それを食べに来るのが、体長3センチほどのスジエビ。

でも、油断していると… アメマス(魚)が、ひとのみ!

小さな生き物から、大きな生き物まで、マリモは、みんなの揺りかごになって
いたのです。

そして10日目。 ついにマリモが、ここで丸く成長する秘密が見えて来ました。

この日、チュウルイ湾には、風速7メートルの強い南風が吹いていました。

すると、じっとしていたマリモに、変化が…。

波に揺られ、マリモが、ゆらゆらと動き始めました。

このマリモの動き、4時間の映像を、30秒に縮めてみると…。

なんと、マリモは、ぐるぐると回転していました。

世界で初めて捉えた、マリモの回転映像です!

しかし、マリモ博士が何よりも驚いたのは、マリモの回転の仕方でした。

マリモは波に流されずに、その場にとどまりながら、回っていたのです。

“今までにない知見なので…   へぇ…   これは、へぇ~ですね”

“これも、全部、そうでしょう。 回ってるでしょう。 くるくるくるくる…”

この映像から、マリモ博士が推測した、マリモが丸くなる仕組みです。

1本1本の細い藻が光に向かって枝分かれを繰り返しながら伸びて行きます。

その場で回転する事で、全体に、満遍なく光を浴びる事ができ、均等に丸く
成長して行きます。何年もかけ、ゆっくりと、真ん丸に育って行くというのです。

更に、この回転は、阿寒の特徴的な風によって、起きる事が分かりました。

観測の結果、6月になるとチュウルイ湾には、6メートルから10メートルの強い
風が、吹き込んでいました。 山あいを抜けて強くなり、湾に吹き込む南風。

この風は、水面から湖底に向かって円を描くような水の流れを作り出します。

この流れによって、マリモは、その場にとどまりながら、回転していました。

“マリモを、定位置で回転させる波というのは、ものすごく微妙なのだと思う”

“だから強すぎず弱すぎずというこの風が、夏、最も日射が強い時期に起こる
事が、球状マリモが大きく育つ基盤になっている”

風が弱すぎると、回転できない。 強すぎると、岸に打ち上げられる。

地形が生み出す絶妙な風によって、マリモは丸くなっていたのです。