2021年01月17日 (日) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「今年一番心に残ったいい出来事は?」
2015年10月。 探査チームは、最初の論文を発表。 (サイエンス)
冥王星の驚きの姿は、世界的な注目を集めました。
その翌年、2016年11月16日。
冥王星の内部海の存在を示唆する研究が、発表されました。
著者は、探査直後に戸惑いを語ってくれた、あの教授です。
研究の出発点は、探査機から送られて来た画像の詳細な解析でした。
異なる角度から撮影した画像を組み合わせる事で、冥王星表面の起伏が
分かりました。 見えて来たのは、青で示された巨大な盆地。
白いハートの左半分にあたります。
探査チームが、スプートニク平原と名付けた、この盆地が、冥王星の内部を
探るための大きな手掛かりになりました。
“スプートニク平原は、巨大な盆地です”
“そこに、窒素の氷が流れ込み、白い平原が作られたのです”
“ある時、探査チームの何人かが、奇妙な点に気付きました”
“この盆地は、衛星カロンの、ちょうど反対側にあったのです”
“これを偶然と考える事もできますが、この位置に深い意味があるのではと、
考えたのです”
教授によれば天体の一部が周囲より重い場合、自転のバランスが崩れます。
最終的に、重い場所が赤道になるように、自転するようになります。
冥王星の場合、衛星の重力が最も強い、この位置か、最も弱い反対側に重い
場所が来ると安定します。
冥王星では、その周囲より重いはずの場所に、ハートの左半分、すなわち、
巨大な盆地があったのです。
“周囲より重いものがあるべき場所に、巨大な盆地がある事は、とても奇妙
です。 余分な重さを持つべき場所が、へこんでいるのですからね”
本来は、山が、そびえているはずの衛星の反対側に、盆地がある。
一見、つじつまが合わない、この探査結果こそが、内部に海がある事を示して
いました。
天体の表面に、突如、盆地が出来ると、物質が少なくなった分だけ、内部を
押し付ける力が弱くなります。
その結果、盆地の下に海があれば、盛り上がるはずです。
すると、液体の水は氷より重いため、盆地は周囲より重くなるというのです。
衛星の反対側に、巨大な盆地があるという探査結果から、教授は、冥王星の
内部には、今も海があると結論づけました。
“冥王星の海は私達にとってお馴染みの地球の海とは大きく異なっています”
“水深は、50キロから100キロメートルに達するでしょう”
“これは地球の海より、10倍も深い事を意味しています”
教授が考える、冥王星の海。 それは、光の届かない闇の世界。
地球の海とは全く違う、もう1つの海なのです。
ミッションの責任者は、言う。
“ニューホライズンズは、冥王星の表面や大気の組成を調べるのが目的で、
内部を調べるミッションではありませんでした”
“海の存在についての情報が得られた事は、まさに予想外のボーナスのよう
なものです”
しかし、よく考えると不思議です。
極寒の世界で、海が凍らずに、存在し続けられるのでしょうか?
この謎は、日本の科学者たちが、解き明かして行く事になります。
☆宇宙博物記☆
かつての太陽系第9惑星、冥王星。 その名前の由来にまつわるお話しです。
やって来たのは、アメリカ・アリゾナ州にある、ローウェル天文台。
ここで、冥王星が発見されたのは、1930年の事でした。
発見者は、カンザス州の農家の息子、クライド・トンボーです。
トンボーは、10代の頃から、望遠鏡を自作するほどの星好きな青年でした。
ローウェル天文台で、未知の惑星を探す仕事を始めて、1年後。
トンボーは、時間とともに移動している、かすかな点に気付きます。
背景の星に対して、移動する速度から、距離を割り出したところ、海王星の
外側にある、未知の新惑星だと分かりました。
時、あたかも、世界恐慌の真っ只中。
アメリカ人が初めて惑星を発見したという久し振りの明るいニュースに全米が
沸きました。
そして新惑星は、ギリシャ神話の冥界の王の名前から、プルートと名付けられ
ました。
ミッキーマウスのペットとして登場した犬の名前も、新惑星プルートにちなんで
いるのですよ! もちろん、このニュースは、日本でも大きく報じられました。
当時の雑誌を見てみると…。 新惑星の名は、カタカナで、 プルート 。
冥王星の文字は、どこにも見当たりません。
国立天文台の前身、東京天文台が、毎年、編集していた理科年表は、どう
でしょう? こちらもカタカナで、 プルートー となっています。
長年、親しまれた、水(すい)・金(きん)・地(ち)・火(か)・木(もく)・土(どっ)・
天(てん)・海(かい)・冥(めい) 。
実は… 水(すい)・金(きん)・地(ち)・火(か)・木(もく)・土(どっ)・天(てん)・
海(かい)・プルート(ぷ~) と、なっていたかも知れないのです。
これは、ちょっと… と、思った皆さん!
星を愛する、1人の天文文筆家も、同じ思いだったようです。
冥王星誕生の物語は、また後ほど!
2015年10月。 探査チームは、最初の論文を発表。 (サイエンス)
冥王星の驚きの姿は、世界的な注目を集めました。
その翌年、2016年11月16日。
冥王星の内部海の存在を示唆する研究が、発表されました。
著者は、探査直後に戸惑いを語ってくれた、あの教授です。
研究の出発点は、探査機から送られて来た画像の詳細な解析でした。
異なる角度から撮影した画像を組み合わせる事で、冥王星表面の起伏が
分かりました。 見えて来たのは、青で示された巨大な盆地。
白いハートの左半分にあたります。
探査チームが、スプートニク平原と名付けた、この盆地が、冥王星の内部を
探るための大きな手掛かりになりました。
“スプートニク平原は、巨大な盆地です”
“そこに、窒素の氷が流れ込み、白い平原が作られたのです”
“ある時、探査チームの何人かが、奇妙な点に気付きました”
“この盆地は、衛星カロンの、ちょうど反対側にあったのです”
“これを偶然と考える事もできますが、この位置に深い意味があるのではと、
考えたのです”
教授によれば天体の一部が周囲より重い場合、自転のバランスが崩れます。
最終的に、重い場所が赤道になるように、自転するようになります。
冥王星の場合、衛星の重力が最も強い、この位置か、最も弱い反対側に重い
場所が来ると安定します。
冥王星では、その周囲より重いはずの場所に、ハートの左半分、すなわち、
巨大な盆地があったのです。
“周囲より重いものがあるべき場所に、巨大な盆地がある事は、とても奇妙
です。 余分な重さを持つべき場所が、へこんでいるのですからね”
本来は、山が、そびえているはずの衛星の反対側に、盆地がある。
一見、つじつまが合わない、この探査結果こそが、内部に海がある事を示して
いました。
天体の表面に、突如、盆地が出来ると、物質が少なくなった分だけ、内部を
押し付ける力が弱くなります。
その結果、盆地の下に海があれば、盛り上がるはずです。
すると、液体の水は氷より重いため、盆地は周囲より重くなるというのです。
衛星の反対側に、巨大な盆地があるという探査結果から、教授は、冥王星の
内部には、今も海があると結論づけました。
“冥王星の海は私達にとってお馴染みの地球の海とは大きく異なっています”
“水深は、50キロから100キロメートルに達するでしょう”
“これは地球の海より、10倍も深い事を意味しています”
教授が考える、冥王星の海。 それは、光の届かない闇の世界。
地球の海とは全く違う、もう1つの海なのです。
ミッションの責任者は、言う。
“ニューホライズンズは、冥王星の表面や大気の組成を調べるのが目的で、
内部を調べるミッションではありませんでした”
“海の存在についての情報が得られた事は、まさに予想外のボーナスのよう
なものです”
しかし、よく考えると不思議です。
極寒の世界で、海が凍らずに、存在し続けられるのでしょうか?
この謎は、日本の科学者たちが、解き明かして行く事になります。
☆宇宙博物記☆
かつての太陽系第9惑星、冥王星。 その名前の由来にまつわるお話しです。
やって来たのは、アメリカ・アリゾナ州にある、ローウェル天文台。
ここで、冥王星が発見されたのは、1930年の事でした。
発見者は、カンザス州の農家の息子、クライド・トンボーです。
トンボーは、10代の頃から、望遠鏡を自作するほどの星好きな青年でした。
ローウェル天文台で、未知の惑星を探す仕事を始めて、1年後。
トンボーは、時間とともに移動している、かすかな点に気付きます。
背景の星に対して、移動する速度から、距離を割り出したところ、海王星の
外側にある、未知の新惑星だと分かりました。
時、あたかも、世界恐慌の真っ只中。
アメリカ人が初めて惑星を発見したという久し振りの明るいニュースに全米が
沸きました。
そして新惑星は、ギリシャ神話の冥界の王の名前から、プルートと名付けられ
ました。
ミッキーマウスのペットとして登場した犬の名前も、新惑星プルートにちなんで
いるのですよ! もちろん、このニュースは、日本でも大きく報じられました。
当時の雑誌を見てみると…。 新惑星の名は、カタカナで、 プルート 。
冥王星の文字は、どこにも見当たりません。
国立天文台の前身、東京天文台が、毎年、編集していた理科年表は、どう
でしょう? こちらもカタカナで、 プルートー となっています。
長年、親しまれた、水(すい)・金(きん)・地(ち)・火(か)・木(もく)・土(どっ)・
天(てん)・海(かい)・冥(めい) 。
実は… 水(すい)・金(きん)・地(ち)・火(か)・木(もく)・土(どっ)・天(てん)・
海(かい)・プルート(ぷ~) と、なっていたかも知れないのです。
これは、ちょっと… と、思った皆さん!
星を愛する、1人の天文文筆家も、同じ思いだったようです。
冥王星誕生の物語は、また後ほど!
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