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巨大な構造物ピラミッドの内部を見る傷つけずに見られるのか?
2020年11月06日 (金) | 編集 |
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理論倒れに終わったかに見えた、ミューオン透視。

だが、その可能性を追求していた国があった。

それが我が国、日本。 どのように再挑戦は、始まったのか?

2015年10月エジプト・カイロで、あるプロジェクトの始まりを告げる記者会見が
開かれました。  国際共同プロジェクト… スキャンピラミッド計画。

カイロ大学とフランスのNPOが始めたこの計画には、ピラミッド透視を行う
チームが参加しました。 そのチームの中心は、2人の日本人研究者。

“名古屋大学とKEK(高エネルギー加速器研究機構)とNHKの代表としてお話し
します”

名古屋大学の特任助教が、日本の計画を会場で発表しました。

“ミューオンラジオグラフィは、大きな巨大な構造物の内部を見る事が出来る
唯一の技術です”

アルヴァレスさんから50年ぶりの再挑戦が、日本人の手によって始まろうと
いうのです。

“もし、ピラミッドの中に空間があれば、我々は見つける事ができます”

“ミューオン透視によってピラミッドのつくり方についての手掛かりが得られます”

それにしても、なぜ、日本なのか?

その背景には、切実な問題が関係していました。

2011年、東日本大震災の津波で引き起こされた、福島第1原発事故。

3つの原子炉が制御不能に陥り、メルトダウンしました。

今も現場では、溶け出した核燃料を回収する廃炉作業が続けられています。

その作業での大きな問題は、溶け出した核燃料が、今、どこにあるのか?

詳しく分からないという事です。

そこで使われたのが、ミューオン透視技術でした。

高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)と名古屋大学が、それぞれの方法で
核燃料の在りかを探ったのです。 原子炉建屋の脇に、装置を設置。

人が近付けない、原子炉内部の透視を試みました。

これは、名古屋大学の透視画像。

左が、メルトダウンを起こした2号機。 右は、起こしていない5号機です。

5号機の炉心部にある赤い表示は、核燃料です。

核燃料は特に密度が高い為、ミューオンはほとんど遮られ赤く表示されます。

一方で、2号機の炉心は、ミューオンが遮られていません。

核燃料が、ほとんどないという表示でした。

宇宙からの粒子、ミューオンが、鋼鉄に覆われた原子炉内部を、あぶり出した
のです。 名古屋大学がミューオンを測定するのは、特殊な技術です。

“これは、宇宙線を写す事ができる、特殊な写真フィルムになります”

“宇宙線が通ると、その宇宙線が通った跡が、フィルムの中に写ります”

これは原子核乾板と呼ばれるミューオンを観測するための特殊フィルムです。

厚さ、僅か0.3ミリ。 狭い通路が多いピラミッド内部でも、設置が容易です。

その一方、原子核乾板のフィルムは、高温に弱いという性質があります。

急速に劣化し、黒く変色してしまうのです。

名古屋大学の特任助教は、言う。

“密閉空間での使用においては、温度が高くなると加速的に黒くなってしまう”

“なので、僕らの今の使い方では、フィルムが温度が高いところに長期間置か
れると、真っ黒になって使えなくなってしまう”

エジプトの砂漠地帯は、夏には40度を超えます。

ピラミッド内部も、時に30度前後まで、温度が上がります。

この問題を解決するため、特任助教たちは、フィルムに塗る乳剤の組成を、
さまざまに変え、改良を試みました。

そして、ピラミッド透視用の特別なフィルムを開発しました。

そのフィルムを持って、2015年11月、名古屋大学のチームは、エジプトに乗り
込みました。

特任助教が率いるのは、名古屋大学・基本粒子研究室の若手メンバーたち。

灼熱のエジプトの地で、ミューオンを捉える事が出来るのか?

プロジェクトは、予備実験を行う事にしました。

その舞台として選ばれたのが… 屈折ピラミッド。

稜線(りょうせん)が途中で折れ曲がっている事からその名が付けられました。

このピラミッドを選んだのは、内部構造に透視に便利な特徴があるためです。

屈折ピラミッドには、地下にある第1玄室と、20メートル上にある第2玄室、この
2つの部屋があります。

第1玄室にフィルムを置けば、上の大2玄室が、透視できるはずです。

アルヴァレスさんが行なった、カフラー王のピラミッド調査では、あるかどうか
明らかではない、未知の空間を探しました。

そのため、透視できたのか? できなかったのか?

曖昧に終わってしまったのです。

今回は、その二の舞を避けようという戦略です。

この日のために用意した、ミューオン透視フィルム。

保護用のアルミプレートに挟んで、設置します。

メンバーは全員、防護服を着用します。

屈折ピラミッドの中には大量のコウモリが住み着いており、危険なウイルスを
持っているおそれがあるためです。

“よし! じゃあ、行きますか…”

フィルムを置く地下の第1玄室に向かいます。急角度の狭い通路を進みます。

突然、激しい風が吹いて来ました。

屈折ピラミッドでは、なぜか、強風が吹く事が、度々、報告されています。

これも、ピラミッドの不思議の1つ。

更に進むと、聞こえてきました。 コウモリの鳴き声。

やはり、天井に、びっしりと張り付いています。

第1玄室で、透視フィルムの設置作業が始まりました。

“あ~、これ、けっこう大変だな…”

フィルムを完全な水平に設置しなければ、正確な観測結果は得られません。

水平をとるために、木材を挟み込みながら、慎重に設置して行きます。

“どれくらいズレてる?”   ‘中心から2ミリくらい…’

レーザーを使い、ミリ単位で調整。 設置作業は3日間、20時間に及びました。

50年ぶりの再挑戦。

では、ここに設置されたフィルムが、どんな画像を捉えたら透視成功といえる
のでしょうか?

フィルムが写し出すのはピラミッド内部を見上げる、このアングルになります。

画面の、ほぼ中央がピラミッドの頂点。そこから4本の稜線が、のびています。