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私たちの周りに無数に存在しながら見えない宇宙線とは?
2020年11月04日 (水) | 編集 |
第2121回「去年の今頃は何をしていましたか?」
私たちの頭上に広がる、広大な宇宙。

そこからは、目には見えない宇宙線が、絶えず降り注いでいます。

私たちは、いわば、その宇宙線を浴びながら暮らしているのです。

この宇宙線、正体は、高エネルギーで飛び交う、極めて小さな粒子です。

そして、宇宙での事件を教えてくれる、メッセージでもあります。

そのつ1が、超新星爆発です。

巨大な恒星が寿命を終えた時、ニュートリノなどの素粒子が、宇宙線となって
四方へ放出されます。

そうした宇宙線が、地球の大気と衝突し、そこでも、さまざまな粒子をつくり
出して、私たちの周りへ注いでいるのです。

この、宇宙から降り注ぐ粒子を使って、2017年、新しい研究が進められ、
画期的な成果を出しました。

その成果が発表されたのは、科学雑誌ネイチャー。 (2017年12月)

研究の中核を担ったのは、日本人研究者たちでした。

彼らは、エジプトにあるクフ王の大ピラミッドに、未知の巨大空間を発見したの
です。

エジプト・ギザにある三大ピラミッドは、誰でも知っている有名な世界遺産。

中でも、クフ王の大ピラミッドは、世界最大の規模を誇ります。

研究チームは、その内部に、全長30メートルもの巨大な空間を見つけたと
いうのです。 驚くのは、その方法!

宇宙線がつくる素粒子の1つ、ミューオンを利用し、ピラミッドの内部を、いわば
透視したのです。

一体、宇宙から降り注ぐ粒子が、どうやってピラミッドを透視できるというので
しょうか?

調査を行ったは、名古屋大学。 そして、高エネルギー加速器研究機構です。

調査は2年以上に及びました。その研究成果を示すのは、こちらの画像です。

この不思議な画像に、今、世界が注目しているのです。

素粒子研究者は、言う。

“彼らは、素晴らしい仕事をしたと思います。 その成果を誇りに思うべきです”

宇宙からの素粒子を使うという驚きの調査。途中、いくつもの壁がありました。

“真っ黒だよ… こりゃダメだ…”

苦闘の末に、たどりついた世紀の発見!

宇宙線のつくる素粒子が教えてくれた、世界遺産の驚くべきミステリーを
お伝えします。

私たちの周りに、無数に存在しながら、見えないもの。

それが宇宙線、つまり、高エネルギーで飛び交う、小さな粒子である。

その粒子を捉える科学技術の進歩が、思いがけない力を生み出した。

巨大な物体の奥深くを、見せてくれるという。

宇宙線として地球へやって来る粒子を、いかにして捉えるか?

その現場として、日本が世界に誇る巨大施設が、岐阜県にあります。

地下1000メートル。 巨大な水槽が迎えてくれました。

スーパーカミオカンデです。

不純物を徹底的に取り除いた純水と、世界最高感度の光センサー。

この2つで捉えるのは、宇宙線をつくる素粒子の1つ、ニュートリノです。

ニュートリノは、極めて小さく、捉える事が難しいため、幽霊粒子とも呼ばれて
います。 ごくまれに、水分子中の電子と衝突し、僅かな光を発します。

この光を観測して、初めて、ニュートリノが、やって来たと分かるのです。

5000トンの水をたたえる巨大水槽と、おびただしい数の光センサーで、ニュー
トリノを捉える。 まさに、ビッグサイエンスです。

しかし、私たちの周りを飛び交う粒子の中には、意外に手軽な装置で、その
存在を知る事が出来るものもあります。 訪ねたのは、名古屋大学です。

ここで見せてくれるのは、ミューオンという素粒子。

霧箱と呼ばれる箱は、中が蒸気で満たされています。

飛んできた素粒子が、その蒸気に含まれる原子とぶつかると白い霧のような
飛跡を残します。 素粒子の種類によって、飛跡の形は変わります。

こちら、ほぼ真っ直ぐな線になっている飛跡、これがミューオンの飛跡です。

エネルギーの高いミューオンは、直線を描く素粒子なのです。

名古屋大学の特任助教は、言う。

“建物を通り抜けて来られるぐらい、高いエネルギーをもったものは、宇宙線の
中でも、ほとんどがミューオンになります”

“なので、真っ直ぐとした飛跡として見えます”

素粒子物理学などで研究されているミューオン。

実は、アメリカで、およそ50年前、全くの異分野の研究で用いられた事があり
ます。 物理学者のルイス・ウォルター・アルヴァレス(1911-1988) さん。

素粒子物理学が専門で、1968年にノーベル物理学賞を授与されました。

彼の名前を最も有名にしたのが、あの研究。

約6550万年前、直径10キロの小天体が、地球にやって来て…。

現在のユカタン半島辺りに落下。

その時の衝突が恐竜を絶滅させたと、アルヴァレスさんは提唱したのです。

その主張は、激しい論争を経て、現在は、定説と認められるようになりました。

そのアルヴァレスさんが、1966年に挑んだのが、素粒子ミューオンを利用した
奇想天外なプロジェクトでした。

そのプロジェクトに、メンバーの1人として参加した研究者を訪ねました。

当時、カリフォルニア大学の院生だった彼は、あるプロジェクトが参加メンバーを
募集していると聞いて、すぐに応募したといいます。