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広い視野と高い解像度が捉えた宇宙に広がる銀河とは?
2020年10月31日 (土) | 編集 |
第2121回「去年の今頃は何をしていましたか?」
夜空に瞬く無数の星々。 この宇宙には、まだ多くの謎が残されています。

そのつ1が、暗黒物質 ダークマター。

目には見えないけれど、質量を持つという、謎の物質です。

その量は、星など、目に見える物質の5倍以上!

しかし、ダークマターの正体は、いまだ、分かっていません。

“これも、ノーベル賞級の未解決問題で、ダークマターが何なのかというのは
物理学者、みんな、知りたいです”

今、研究者たちは新たな観測機器を開発し、その正体に挑もうとしています。

日本のすばる望遠鏡では、天文学者自らが、世界最大のデジタルカメラを
設計しました。

“これは、もう、すばるに搭載できるギリギリの大きさまで欲張って、作って
あります”

世界最高峰の性能を持つカメラが捉えたのは、数十億光年かなたの宇宙。

そこから浮かび上がったのは、誰も見た事のない、巨大なダークマターの
分布です。 ダークマターへの挑戦は、世界中で進められています。

“24本のレンズを並べた、この素晴らしい望遠鏡で、ダークマターの正体を
突き止めます”

世界に1つの手作り望遠鏡が、ダークマターの謎を浮かび上がらせました。

天文学者の創意工夫と情熱によって捉えられ始めた暗黒物質ダークマター。

その最新の姿に迫ります。

すばる望遠鏡に搭載された、巨大カメラ HSC。

その広い視野と高い解像度が捉えた宇宙にはまるで宝石箱のように銀河が
広がっています。 ここから、ダークマターを、どうやって捉えるのでしょうか?

暗黒物質ダークマター。 分かっているのは、光を発しないため見えない事。

そして、重力を持つ事。

このダークマターの強い重力が、他の天体に影響を及ぼす現象があります。

これは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、笑うネコ。

笑った口元のように、弧を描いているのは、実は銀河です。

こちらは銀河団、 Abell 370 。  弧を描いていますが、これも銀河です。

こうした、銀河が、ゆがんで見える現象は、重力レンズと呼ばれます。

この重力レンズが、ダークマター探しの鍵になると、いいます。

重力レンズを引き起こしているのは、ダークマターなどが持つ強い重力です。

強い重力が光を曲げる事で、銀河が、ゆがんで見えるのです。

つまり、重力レンズを見つければ、ダークマターを捉えた事になるのです。

しかし、重力レンズを見つけるのは、簡単ではありません。

HSCの画像から、重力レンズを探し出す。

この課題に、国立天文台の博士と共に取り組んでいるのが、東京大学カブリ
数物連携宇宙研究機構の研究チームです。

“重力レンズ効果というのは、もちろん見えない物質も、ダークマターも含めて
全て見る事が出来る方法ですので…”

“銀河の形状を1個1個、詳しく調べて、その銀河の形状のゆがみから、ダーク
マターの地図を作るという…”

見えないダークマターを、地図に描き出そうとする挑戦。

それを可能にしたのが、8億7000万画素の画像です。

高解像度の画像には、数十億光年離れた銀河の形まで、捉えられていたの
です。

研究チームの名古屋大学の助教は、言う。

‘ちっちゃい銀河まで、使い尽くす。 この画像を見て分かるように、大体、
1つの銀河の大きさが、もう数ピクセルぐらい…’

‘それくらい小さくて、暗い銀河まで使ってあげて、大体、1000万個ぐらい
全部で銀河があります’

3年をかけて画像を解析。 1000万個以上の銀河のカタログが完成しました。

このカタログを使えば、見つけにくい重力レンズも、見つけられるといいます。

研究チームの東京大学の助教は、言う。

“もともとの形状とか向きはバラバラですけども、同じ重力レンズ効果によって
こっちの縦の方向に、ちょっと、こういう風に…”

“全て、こう縦向きに、ゆがんていると…銀河の形状を全て平均すると、ここの
領域の銀河は全て縦方向に、ゆがんでいる…”

銀河の形を全て平均して、重力レンズを探すとは?

そのユニークな手法を、実際の画像で見てみましょう!

宇宙の、ある領域を4つに分けます。

それぞれの領域で、1000個の銀河を、カタログから選び出します。

次に、1つ1つの銀河のゆがみを、赤い線のように割り出します。

すると… 形の平均から、ゆがみが浮かび上がります。

これを、残りの領域でも行うと… 中心に、銀河からの光を曲げる強い重力、
ダークマターがある事が分かるのです。

更に、HSCには、もう1つ、仕掛けがあります。

プロジェクトのリーダーで、国立天文台の日本人の博士は、言う。

“暗黒物質の塊を、僕ら、例えば、探したりしても、その暗黒物質の塊までの
距離って、なかなか求められないのです”

“どうやって推定しているかというと… 暗黒物質の塊に落ち込んできている
銀河の色を見て、そこまでの距離を推定しているのです…”

ダークマターまでの距離は、どのように測るのでしょうか?

同じ場所を、波長が異なる5つのフィルターで観測。

それを合成すると… 鮮やかな色が付きます。

遠く離れた銀河ほど、赤くなる性質があるため、この色から、距離が分かる
のです。 2014年から始まったプロジェクト。

いよいよ、ダークマターの姿を捉えようとしています。

プロジェクトが調べたのは、みずがめ座の一角、目立った星がない領域です。