2020年10月22日 (木) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「肌身離さず持っているもの」
いまだ多くの謎に包まれた宇宙。
神秘的な世界は、いつも目の前に広がっています。
だから、宇宙は、誰にでも平等!
謎と神秘の追求に、特別な資格なんて要りません!
世界には、科学者とは異なる道で、宇宙を極めようとする人々がいます。
スターゲイザーと呼ばれる、星の探求者たちです。
“夜空で、突然、何が起こるかも分からないですし、もしかしたら最後かも
知れないっていうチャンスを逃さないように…”
スターゲイザーは、飽くなき情熱と好奇心で、宇宙を見つめ続けています。
“彼ほど、ほんのかすかな天体から、細かな特徴を見極める事ができる人を
他に知りません”
彼らを突き動かすものとは、一体、何なのでしょうか?
今夜は、スターゲイザーと一緒に、夜空を見上げてみましょう!
18世紀。 天文学者のウィリアム・ハーシェル(1738-1822)は、数々の巨大
望遠鏡を建設。 多くの業績を残しました。
以来、天文学の偉大な発見には、高性能な巨大望遠鏡が不可欠でした。
しかし今、技術が発達し、私たちでも手に入る一般的な望遠鏡でも、驚くほど
遠くの宇宙を見る事が出来るようになりました。
アメリカで最も歴史のある天文クラブの観測会です。(ボストン望遠鏡愛好会)
スターゲイザーたちが愛用しているのは、なんと、日本製の望遠鏡。
しかも、皆、同じメーカーです。 (カタハシ)
“この望遠鏡は、とても視野が広いのです”
“しかも、隅に映った星が、ゆがみなく、完全な丸に見えます”
“天体写真を撮る時は、必ず、この望遠鏡を使います”
“天体が、とても美しく見える。それだけではなく品質も耐久性も優れている”
“もう、言う事は何もないよ…”
スターゲイザーが信頼を寄せる日本の望遠鏡とは、どのようなものなのか?
愛用者の1人、日本人の男性は天文ファン歴50年という根っからの宇宙好き
です。
“冥王星を撮ってみたりとか、あるいは… 私、自分の名前が付いた小惑星が
あるのですが、それを撮影した時は嬉しかったですね…”
Q: これで撮影されたのですか? “はい。 そこに写真があります”
“あそこの矢印の間に、点々、点々っていうのは、あれ、小惑星マサルと言う
のです…” (小惑星27791=Masaru/1993DD1)
小惑星を撮影したのは、この望遠鏡です。
“他のメーカーが、例えば、割とスタイリッシュな方向に走っても、あくまでも、
天体望遠鏡の原点みたいなものを追究しているところがって…”
“もう、50年以上、星を見てる天文ファンとしては、いつかは、何か、タカハシの
望遠鏡を使いたいなというような望遠鏡なのです…”
スターゲイザーが憧れるという、タカハシの望遠鏡。
愛される秘密は、どこにあるのでしょうか?
埼玉県寄居(よりい)町。 タカハシの望遠鏡は、ここで生み出されています。
昭和7年創業の高橋製作所。 45人の従業員が、1つ1つ手作業で製造して
います。 今回、その秘密に迫るため、製造現場に入りました。
最初に見せてもらったのは、溶かした金属を型に流し込む鋳物(いもの)です。
木枠の中に砂を詰め込み、型を取ります。
硬く踏み固めた後、部品の原型にあたる金型を、そっと抜き取ります。
キレイに型抜きできた砂を、上下に組み合わせれば、鋳型(いがた)の完成。
そこに、600度の高温で溶かした、アルミを流し込みます。
火から上げた瞬間から、アルミは、どんどん固まって行きます。
部品の質を保つには、一定のペースで均一に注ぐ、熟練の腕が必要です。
およそ30分後、まだ熱の冷めきらない出来たての部品が、砂の中から現れ
ました。
“たまに引っ張り出す時に、あっ… 失敗した… て、あるけど、うまく行った
時は、ホッとする…。 今日は、本当にうまく行った… 失敗しなかった…”
鋳物は、つなぎ目がない一塊の金属のため、頑丈で耐久性に優れています。
レンズをはめる枠や、望遠鏡を支える台、赤道儀の外枠など、主要な部品が
鋳物で作られています。
こちらの筒状の金属は、望遠鏡のボディー … 鏡筒(きょうとう)です。
単に、レンズをはめる筒というだけでは、ありません。
性能を左右する工夫が、ここにも込められています。
これは、絞りというリングを、鏡筒に打ち込む作業。
絞りは、鏡筒の中で光が反射するのを抑える役割があり、望遠鏡のサイズに
応じて、複数枚、入っています。
それぞれが決められた間隔になるよう、手作業で、寸分の狂いもなく、調整
して行きます。 更に、内側の壁面を黒く塗り、反射を極限まで抑えます。
まるで、伝統工芸品のようです。
そして、タカハシの性能を生み出す中枢、それが、天体の光を集めて、正確な
像を結ぶ… 対物レンズです。
レンズを手掛けるのは、この道40年のベテラン職人の男性です。
これは、タカハシの人気機種に使われている、3枚のレンズ。
対物レンズは、これらが組み合わされて出来ています。
組み立て前にも、一工夫が加えられます。
レンズの側面で光が乱反射するのを抑えるため、墨を使って黒く塗るのです。
“あんまり… 濃く塗るのが、いいとも限らないので…”
“そうすると、墨が、ポロポロと剥がれ落ちてしまうのです…”
“ですから、薄い墨を、ぐるぐる、ぐるぐる、何回も重ねながらやって行く方が、
キレイに塗れる…”
“外側から見るのではなくて、内面から通して見られるものなので…”
“だから、こっち側から、黒くなってないとダメ…”
塗り終わったら、表面の汚れを丹念に拭き取り、金属製の枠に、はめ込んで
行きます。
更に枠とレンズの間に、厚さ0.1ミリのナイロンを挟み、レンズが正確に中心に
来るよう調整します。
“スカスカ抜けるので、これでOKですね…”
3枚が組み合わされ、完成した、この人気機種の対物レンズ。
ベテラン職人、いわく、究極のレンズだといいます。
“星から来た光を、そのまま、収差(しゅうさ)を全然、いじらずに、そのまま目に
投影する、あるいは、写真に投影すると…”
収差(しゅうさ) とは、像のボケや、ゆがみの事。
一般的な屈折望遠鏡では2枚のレンズを接着した対物レンズが使われますが
光の焦点が、完全に一点に定まらない球面収差を生じます。
一方、タカハシは、レンズが3枚。 しかも、間に隙間があります。
レンズの間の距離で、焦点を調整するとともに、3枚目のレンズで球面収差を
補正しているのです。
球面収差以外にも、レンズには、さまざまな収差がありますが、タカハシの
望遠鏡は、緻密なレンズ設計で、美しい像を生み出しているのです。
ここからが、最終段階です。
対物レンズを鏡筒にはめ、実際に、のぞいてチェックします。
こちらの、コリメーターという装置から出る光を見ながら、調整します。
調整前は、ぼんやりと、にじんだ光が見えます。
レンズの周りにある3カ所のネジで、光に対してレンズが平行になるようにし
ます。 光がキレイに1つの点になれば、調整は完了です。
最後に、僅かな汚れがないか、入念にチェックされます。
多くの職人の手を経て、ようやく、1本の望遠鏡が完成します。
こうして出来たタカハシの望遠鏡は、世界中のスターゲイザーに届けられる
のです。
アメリカで最も歴史のある天文クラブ。
日暮れとともに、早速、観測が始まりました。
“よし!天体を捉えた。 撮影を始めよう…”
日本の職人技が生んだ逸品が、今日も、はるかかなたの宇宙へ向けられて
います。
いまだ多くの謎に包まれた宇宙。
神秘的な世界は、いつも目の前に広がっています。
だから、宇宙は、誰にでも平等!
謎と神秘の追求に、特別な資格なんて要りません!
世界には、科学者とは異なる道で、宇宙を極めようとする人々がいます。
スターゲイザーと呼ばれる、星の探求者たちです。
“夜空で、突然、何が起こるかも分からないですし、もしかしたら最後かも
知れないっていうチャンスを逃さないように…”
スターゲイザーは、飽くなき情熱と好奇心で、宇宙を見つめ続けています。
“彼ほど、ほんのかすかな天体から、細かな特徴を見極める事ができる人を
他に知りません”
彼らを突き動かすものとは、一体、何なのでしょうか?
今夜は、スターゲイザーと一緒に、夜空を見上げてみましょう!
18世紀。 天文学者のウィリアム・ハーシェル(1738-1822)は、数々の巨大
望遠鏡を建設。 多くの業績を残しました。
以来、天文学の偉大な発見には、高性能な巨大望遠鏡が不可欠でした。
しかし今、技術が発達し、私たちでも手に入る一般的な望遠鏡でも、驚くほど
遠くの宇宙を見る事が出来るようになりました。
アメリカで最も歴史のある天文クラブの観測会です。(ボストン望遠鏡愛好会)
スターゲイザーたちが愛用しているのは、なんと、日本製の望遠鏡。
しかも、皆、同じメーカーです。 (カタハシ)
“この望遠鏡は、とても視野が広いのです”
“しかも、隅に映った星が、ゆがみなく、完全な丸に見えます”
“天体写真を撮る時は、必ず、この望遠鏡を使います”
“天体が、とても美しく見える。それだけではなく品質も耐久性も優れている”
“もう、言う事は何もないよ…”
スターゲイザーが信頼を寄せる日本の望遠鏡とは、どのようなものなのか?
愛用者の1人、日本人の男性は天文ファン歴50年という根っからの宇宙好き
です。
“冥王星を撮ってみたりとか、あるいは… 私、自分の名前が付いた小惑星が
あるのですが、それを撮影した時は嬉しかったですね…”
Q: これで撮影されたのですか? “はい。 そこに写真があります”
“あそこの矢印の間に、点々、点々っていうのは、あれ、小惑星マサルと言う
のです…” (小惑星27791=Masaru/1993DD1)
小惑星を撮影したのは、この望遠鏡です。
“他のメーカーが、例えば、割とスタイリッシュな方向に走っても、あくまでも、
天体望遠鏡の原点みたいなものを追究しているところがって…”
“もう、50年以上、星を見てる天文ファンとしては、いつかは、何か、タカハシの
望遠鏡を使いたいなというような望遠鏡なのです…”
スターゲイザーが憧れるという、タカハシの望遠鏡。
愛される秘密は、どこにあるのでしょうか?
埼玉県寄居(よりい)町。 タカハシの望遠鏡は、ここで生み出されています。
昭和7年創業の高橋製作所。 45人の従業員が、1つ1つ手作業で製造して
います。 今回、その秘密に迫るため、製造現場に入りました。
最初に見せてもらったのは、溶かした金属を型に流し込む鋳物(いもの)です。
木枠の中に砂を詰め込み、型を取ります。
硬く踏み固めた後、部品の原型にあたる金型を、そっと抜き取ります。
キレイに型抜きできた砂を、上下に組み合わせれば、鋳型(いがた)の完成。
そこに、600度の高温で溶かした、アルミを流し込みます。
火から上げた瞬間から、アルミは、どんどん固まって行きます。
部品の質を保つには、一定のペースで均一に注ぐ、熟練の腕が必要です。
およそ30分後、まだ熱の冷めきらない出来たての部品が、砂の中から現れ
ました。
“たまに引っ張り出す時に、あっ… 失敗した… て、あるけど、うまく行った
時は、ホッとする…。 今日は、本当にうまく行った… 失敗しなかった…”
鋳物は、つなぎ目がない一塊の金属のため、頑丈で耐久性に優れています。
レンズをはめる枠や、望遠鏡を支える台、赤道儀の外枠など、主要な部品が
鋳物で作られています。
こちらの筒状の金属は、望遠鏡のボディー … 鏡筒(きょうとう)です。
単に、レンズをはめる筒というだけでは、ありません。
性能を左右する工夫が、ここにも込められています。
これは、絞りというリングを、鏡筒に打ち込む作業。
絞りは、鏡筒の中で光が反射するのを抑える役割があり、望遠鏡のサイズに
応じて、複数枚、入っています。
それぞれが決められた間隔になるよう、手作業で、寸分の狂いもなく、調整
して行きます。 更に、内側の壁面を黒く塗り、反射を極限まで抑えます。
まるで、伝統工芸品のようです。
そして、タカハシの性能を生み出す中枢、それが、天体の光を集めて、正確な
像を結ぶ… 対物レンズです。
レンズを手掛けるのは、この道40年のベテラン職人の男性です。
これは、タカハシの人気機種に使われている、3枚のレンズ。
対物レンズは、これらが組み合わされて出来ています。
組み立て前にも、一工夫が加えられます。
レンズの側面で光が乱反射するのを抑えるため、墨を使って黒く塗るのです。
“あんまり… 濃く塗るのが、いいとも限らないので…”
“そうすると、墨が、ポロポロと剥がれ落ちてしまうのです…”
“ですから、薄い墨を、ぐるぐる、ぐるぐる、何回も重ねながらやって行く方が、
キレイに塗れる…”
“外側から見るのではなくて、内面から通して見られるものなので…”
“だから、こっち側から、黒くなってないとダメ…”
塗り終わったら、表面の汚れを丹念に拭き取り、金属製の枠に、はめ込んで
行きます。
更に枠とレンズの間に、厚さ0.1ミリのナイロンを挟み、レンズが正確に中心に
来るよう調整します。
“スカスカ抜けるので、これでOKですね…”
3枚が組み合わされ、完成した、この人気機種の対物レンズ。
ベテラン職人、いわく、究極のレンズだといいます。
“星から来た光を、そのまま、収差(しゅうさ)を全然、いじらずに、そのまま目に
投影する、あるいは、写真に投影すると…”
収差(しゅうさ) とは、像のボケや、ゆがみの事。
一般的な屈折望遠鏡では2枚のレンズを接着した対物レンズが使われますが
光の焦点が、完全に一点に定まらない球面収差を生じます。
一方、タカハシは、レンズが3枚。 しかも、間に隙間があります。
レンズの間の距離で、焦点を調整するとともに、3枚目のレンズで球面収差を
補正しているのです。
球面収差以外にも、レンズには、さまざまな収差がありますが、タカハシの
望遠鏡は、緻密なレンズ設計で、美しい像を生み出しているのです。
ここからが、最終段階です。
対物レンズを鏡筒にはめ、実際に、のぞいてチェックします。
こちらの、コリメーターという装置から出る光を見ながら、調整します。
調整前は、ぼんやりと、にじんだ光が見えます。
レンズの周りにある3カ所のネジで、光に対してレンズが平行になるようにし
ます。 光がキレイに1つの点になれば、調整は完了です。
最後に、僅かな汚れがないか、入念にチェックされます。
多くの職人の手を経て、ようやく、1本の望遠鏡が完成します。
こうして出来たタカハシの望遠鏡は、世界中のスターゲイザーに届けられる
のです。
アメリカで最も歴史のある天文クラブ。
日暮れとともに、早速、観測が始まりました。
“よし!天体を捉えた。 撮影を始めよう…”
日本の職人技が生んだ逸品が、今日も、はるかかなたの宇宙へ向けられて
います。
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