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望遠鏡よりも直接、観測した方が詳しく分かる驚異の目とは?
2020年10月20日 (火) | 編集 |
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果てしなく広がる大平原。

野生動物たちの楽園、アフリカ・ボツワナ共和国です。

ここに、特別な才能に恵まれた、スターゲイザーがいます。

彼はアメリカ出身で、2013年に、ボツワナに移住しました。

職業は、サイエンス・ライター。 惑星や銀河についての本を、数多く執筆。

アメリカの科学雑誌に、連載も持っています。

昼夜を問わず、空を見つめ、記録し続ける、生っ粋のスターゲイザー。

そんな彼には、ある特別な特別な能力が備わっているといいます。

“ええ。 確かに視力はいいです。 若い頃から目には自信があったのです”

彼の視力は、驚異的です。

望遠鏡で写真を撮影するよりも、直接、目で観測した方が、天体の様子が
詳しく分かるというのです。

“地球の大気のために、惑星は、常に、揺れて見えます”

“でも、時折、安定する時があるのです。 その僅かな瞬間を狙います”

“ずっと長い時間、見続けて、くっきりと鮮やかに見える、1秒にも満たない
瞬間を待って、この目で観測します。 とても鮮明です”

目で観測するとは、どんな方法なのでしょうか?

こだわりは、見たものを全て、手書きでスケッチする事だといいます。

“自分が見えるものを、できるだけ、とにかく肉眼で見るというのが、子供の
頃からの夢です”

“アフリカのように夜が暗い場所で、星空が、かつて、どの様な姿だったのか”

“出来る限り、見て、記録に残したいのです。 時代遅れだと分かっています”

“でも、それで、全くかまいません”

“自分の目で観測する事が、私の強みである事はよく知っていますし、何より
大好きなのです。 とても楽しいですしね!”

目で観測するという、彼の独特の観測方法。

若い頃から磨き続けて来た、テクニックです。

学生時代、友人たちと通い詰めていた、ハーバード大学天文台です。

彼とは、大学時代からの友人の博士です。

当時の驚きのエピソードを、話してくれました。

“これが望遠鏡です。 彼と私は、よく、これで惑星を観測しました”

ある日、スターゲイザーの彼の目が、どれだけ見えているのか、テストをして
みる事になりました。 まず、3つの抽象的な模様を描いた紙を用意しました。

“1キロメートル離れた、サイエンスセンターの天文台の壁に、用意した紙を
貼りました”

“そして、ここから望遠鏡を通して、どんな模様が見えるか? 彼に描いて
もらいました”

望遠鏡を通すと、ハッキリ見えると思いますよね?

ところが、のぞいてみると… どうですか?

かろうじて、3つの丸が見える程度でしょうか。

では、彼の目には、どう見えていたのかというと…。

3つの模様の特徴が、見事に捉えられています。

他の友人も、同じテストに挑みましたが、誰も模様を描けなかったそうです。

“これ以来、彼は、惑星など天体の特徴を、自分のノートに描く事に、とても
熱中するようになりました”

“熱心に取り組んだ彼は、経験を積み、優れた観測者になっていました”

“そして、他の人には見えない、あるいは、見るのに苦労するほど小さな惑星
表面の模様まで、忍耐強く捉えるようになったのです”

1977年、大学の望遠鏡で土星を観測していると、環に不思議な模様を見つけ
ます。

ボツワナに移住したスターゲイザーは、言う。

“それは、放射状に伸びた模様で、まるで… 車輪のスポークのようでした”

“そういう模様が、環に、浮かび上がって見えました”

彼が描いた、その不思議な模様のスケッチです。

スポークと呼んでいました。

“惑星の研究者に見せたら、目の錯覚だと言われてしまいました”

“私は、ただ、そうですね… と言って、引き下がりました”

プロの天文学者から否定された、土星の不思議な模様。

しかし3年後、転機は、思いがけない形で、やって来ました。

なんと探査機ボイジャーが、彼の目が正しかった事を証明してくれたのです。

ボイジャーは、土星に接近した時、環の画像を撮りました。

彼が見ていた通り、環の上に、黒い模様がハッキリと写っています。

この発見は、早速、アメリカの有名天文雑誌に掲載されました。

“それまで、プロの天文学者の間では、彼の観測は、いわば無視された状態
にありました”

“そんな中、我々の雑誌では、このように、彼のスケッチを取り上げました”

“観測の成果が、ようやく日の目を見たのです”

“優れた目を持つ人は、普通の人には見えないものが見える”

“彼の目は、ピカイチです!”

“アメリカ、あるいは世界でも、彼は一流の観測者と見なされるようになりました”

一躍、研究者の間で知られるようになった彼。

この事がキッカケとなり、思いがけない依頼を受ける事になるとは、知るよしも
ありませんでした。 卒業後、科学雑誌の出版社に就職した彼。

ある日、1本の電話が、かかって来ます。

ブラッドフォード・スミス博士。 当時、惑星研究をリードしていた科学者です。

彼の目の能力に疑問を抱いていたスミス博士は、ある事を持ちかけました。

ボツワナに移住したスターゲイザーは、言う。

“土星のスポークを見たのと同じ望遠鏡を使って、天王星の自転周期を目で
測定しないか?と持ちかけて来ました”

“いわば、私の目が、本当にカメラより優れているのか?という科学者からの
挑戦でした”

太陽系第7惑星の天王星は地球から遠く、当時はまだ自転周期がハッキリと
分かっていませんでした。

スミス博士は、チリの天文台で、当時、最新のCCDカメラを使って観測。

彼は、もちろん、自分の目だけで観測。

どちらが正確な周期を割り出せるか? 勝負が始まりました。

しかし、観測は困難を極めました。

どんなに目を凝らしても、天王星の表面には、自転の基準になる特徴が何も
見えなかったのです。 それが、1年ほど続いた、ある日。

突然、明るく輝く、雲のような2つの点が見えたのです。

“私は、雲のような特徴が、徐々に消えて行くまでの2カ月間、それを見つめ
続けました。 消えると、2度と見えませんでした”

“この観測をキッカケに、今度は、その雲の情報を使って、惑星が、どう自転
しているかを計算しました”

彼が計算した自転周期は… 16.2時間。

一方、チリの天文台で観測していたスミス博士の出した周期は… 24.0時間。

判定を下したのは、またもや、ボイジャーでした。

その結果は… 17.2時間!  見事、彼の勝利です!

“ボイジャーは、私を、まるで現代に生きる、19世紀の観測者のような気分に
してくれました”

“昔の多くの偉大な観測者は、実際の惑星が、どんな姿であるかを知る前に
亡くなっています”

“こうした謎が解き明かされるのを見られるのは、私が宇宙時代に生きている
からです。 私は、19世紀と同じやり方で観測をしている。 それが全てです”

“私は、それが嬉しかった…”

ボツワナに暮らす彼。 今、新たなテーマに挑んでいます。

アフリカ(先住民族)の星に関する伝承を、記録し続けているのです。

“今、頭上にある星は、どうです? あの明るい星です”

“何か名前はあるのですか?”

‘それは、星の集まりというところだ’

“天の川銀河の事を訪ねたら、面白い話しが聞けました”

“私たちが天の川と呼んでいる星の帯は、女性たちの集まりだというのです”

“そして外側の星は、男性だと… こんな話しは初めてです”

アフリカの人々と星との関わりを、後世に伝えようと活動しています。

星を見続ける魅力は、どんなところにあるのでしょうか?

“私の心に、平穏がもたらされます”

“自分が何か大きなものの一部だと、感じさせてくれる”

“目の前にある謎について、ゆっくり考えるための、1番いい方法なのです”

ボツワナの空の下で、スターゲイザーの男性の奇跡の目が、今日も宇宙の
謎を見つめています。