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平和な田舎暮らしに美容・健康など自由気ままに綴っています!
七夕やお月見など現在も月や星に思いをはせて暮らす私たち
2020年10月17日 (土) | 編集 |
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ここは、東京の神津島。 今も、江戸時代と同じような星空が見られる。

恋愛成就の御利益で知られる、東京大神宮。

恋のおみくじや、お守りなど、女性を中心に人気を集めています。

特に七夕の日には、良い縁を求めて、全国から大勢の参拝者が訪れます。

まずは、短冊に願い事を託しましょう!

そして、星のお守りに願いを込めましょう。

七夕とは、天の川に隔てられた織姫と彦星が7月7日の夜、年に1度だけ会う
という伝説です。 夏の夜空に広がる大三角形。

織姫は、こと座のベガ。 彦星は、わし座のアルタイルです。

笹の葉に短冊を結び付けて、願い事をするようになったのは、江戸時代。
(豊歳 五節句遊 七夕/歌川国貞)

七夕の前日、7月6日から物干し台などに笹や竹を立て、色彩豊かな飾り物を
結び付けたといいます。 (市中繁栄七夕祭/歌川広重)

寿老人(じゅろうじん)が祭られているのが、鷲(おおとり)神社です。

りゅうこつ座の一等星、カノープスの化身、寿老人は七福神の1つで、長寿の
御利益で知られる神様です。

七福神とは、福をもたらすとして信仰される、七つの神様の総称です。
(宝船七福神/歌川国芳・歌川国貞・溪斎英泉)

参拝すると七つの災難から逃れて、七つの幸福が授かるといわれています。

冬の1月から2月にかけて、南の地平線スレスレに現れるカノープス。

ビルの多い都心からは、ほとんど見る事ができません。

滅多に見られない星なので、見る事が出来たら長生きするという言い伝えが
あるのです。 星を祭る、お寺もあります。

500年以上の歴史がある、葛飾北斎、篤信のお寺としても有名な柳嶋妙見山
法性寺(ほっしょうじ)です。 柳島の妙見さまと慕われて来ました。

御本尊として、妙見大菩薩が安置されています。

妙見大菩薩は、北極星や北斗七星を祭る仏様で、後輪の丸は、北斗七星の
七つの星を表しています。 常に、北の空に現れる北極星と、北斗七星。

旅人の道しるべとなる事から、人生の道を導くとして、あがめられて来ました。

星の信仰は、時代を超えて、今に引き継がれているのです。

‘わが恋は 空なる星の 数なれや 人に知られで 年の経ぬれば’

空にある星の数が、どれほどあるか? 人には分からないように、私の恋の
尽きせぬ思いも、あの人には気付いてもらえない。

日本人は、昔から、月の情緒を大切にして来ました。

特に美しいといわれる、秋の月。

空が澄み渡り、クッキリとした姿をのぞかせます。

江戸時代に開園した、向島百花園。 今も伝統的な、お月見会が開かれます。

もともと、お月見は、平安時代の貴族が、月を眺めながら歌を詠み、雅楽を
演奏する宮廷行事の1つでした。その風習が庶民に伝わったのは江戸時代。

月に見立てた、だんごや旬の野菜や果物をお供えし、秋の収穫を祈願する
行事へと変化して行きました。

一方、江戸時代には想像もつかなかった場所で行われるお月見もあります。

日本で1番高い建物、東京スカイツリーです。 地上450メートルのお月見会。

美しい夜景に、プロジェクションマッピング等、幻想的な雰囲気を楽しめます。

昔から伝わるお月見は、形を変えながらも現代に引き継がれているのです。

満月の明るさは、人々の暮らしにも、大きな影響を与えました。
(両国橋秋月/歌川芳虎)

芝居小屋が集まる浅草です。 (猿わか町よるの景/歌川広重)

人々の月影の多さが、夜の街の賑わいを教えてくれます。

旧暦の7月26日。 日付が変わった、真夜中に出て来る月を拝む、二十六夜
待ちという行事が、江戸で人気を博していました。

有明月(ありあけづき)と呼ばれる細い月が出ると、その光の中に仏様が現れ
拝むと幸運が得られると、いわれていました。

全国各地で行われた行事ですが、海から昇る月がよく見える高輪から品川に
かけての人出が、特に多かったといいます。
(高輪廿六夜/歌川豊国(3代)・歌川広重(2代))

高輪の海岸に並ぶ、握り寿司・天ぷら・蕎麦などの屋台。
(高輪廿六夜待遊興之図/歌川広重)

月を待つ事を口実に、夜中まで、堂々と宴会を楽しんでいたのです。

時が流れ、東京は、その姿を大きく変えました。

しかし、今も夜空を見上げ、月や星に、思いをはせて暮らす人々がいます。

東京の島、伊豆諸島です。 その南に位置する、青ヶ島。

黒潮と断崖絶壁に囲まれ、浜辺や入り江は、ありません。

僅かな高波でも、船は着岸できなくなります。 島民は、およそ170人。

日本で、最も人口の少ない村です。

死ぬまでに見るべき絶景にも選ばれた、不思議な景観。

世界的にも珍しい、2重カルデラです。

島の中心部は、火山活動によって出来た、くぼ地、カルデラの中にあり、
中央には、もう1つの火山があります。

ひんぎゃ と呼ばれる蒸気が、今も噴き出す、活火山の島です。

街灯も少ない青ヶ島。 夜になると、一面が星に覆われます。

島で育った人にとって、星は、どのような存在なのでしょうか?

“もちろん… 星と共に生きるで、本当にね。 電気もない時代だから、私の
子供の頃は。 本当に夜は、星を見ながら育ったようなもの”

“星を見て思い出すというのは、やっぱり、子供の頃に、先祖が、じいちゃん
ばあちゃん、みんな星になると言われて育ったから”

“輝いている時って何か、話しかけてくれているのかなと思うような時もある”

“雰囲気的にね…”

‘君にのみ 逢はまくほしの 夕されば 空に満ちぬる わが心かな’

七夕の夜、天の川に隔てられた向こうにいるあなたに会いたくてたまらない!

‘なにごとも かはりはてぬる 世の中に 契りたがはぬ 星合の空’

世の中、いくら変わっても、星と星が出会う約束だけは、変わる事無く守られ
ている。 僕は、満天の星に包まれた東京を、絶対に忘れない…。

星の輝きで満たされていた、江戸の夜。

見上げると、星があるのが当たり前だった時代に、その星が見えなくなると
想像した人がいたでしょうか? 今も、夜空の向こうで輝く星々。

人々のささやかな願いが、託されています。