2020年09月21日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「去年の今頃は何をしていましたか?」
写っていたのは、ガンマ線バーストが発生した直後に、宇宙空間のガスが
光る現象でした。
“ハッキリと覚えています”
“その光の点を見た時、私たちは、やった!と言いました”
“何十年も追い求めて来たガンマ線バーストの痕跡が、初めて検出されたの
です”
“これによって、ガンマ線バーストが、宇宙のどこで起きたのか突き止める
事ができます”
准教授が捉えた、その場所を、ハッブル宇宙望遠鏡で詳しく見てみると…
そこは、はるか81億光年かなたの銀河。
ガンマ線バーストは、遠くの銀河が発生源だったのです。
しかし、これは、大変な事を意味していました。
地球から、はるか遠くにあるのに、明るく見えるという事は、実際は桁違いの
明るさです。
ガンマ線バーストは怪物級のエネルギーを出している爆発現象だったのです。
何とかして、宇宙のかなたにいる怪物の正体を、解き明かしたい。
1994年、あるプロジェクトが動き出しました。
その舞台は、大西洋に浮かぶ、スペイン・カナリア諸島のラパルマ島。
標高2200メートルに、2台並んだ奇抜な望遠鏡があります。
その名もマジック望遠鏡。 12カ国の研究者が参加する国際プロジェクトです。
イタリア国立核物理学研究所の博士は、言う。
“これが、マジック望遠鏡です。 2台あるうちの最初に造られたものです”
“大変、大きな望遠鏡で、鏡の直径は、17メールあります”
なんと、17メートルの鏡、そのものが望遠鏡!
およそ1000枚の鏡を組み合わせています。
これを、1枚の巨大な鏡として機能させるために…。
1000枚を、全て、1つずつ角度を調整し、巨大な1枚の鏡を造ります。
実は、この望遠鏡、直接、天体を見るわけではありません。
“普通の望遠鏡と違って、この望遠鏡は、地球の大気を使って、天体から来る
ガンマ線を観測するのです”
宇宙から来るガンマ線が、地球の大気に入ると、不思議な事が起こります。
ガンマ線は、高いエネルギーを持っているため、大気に衝突すると、次々と
電子に変わるのです。
この時に電子が、 チェレンコフ光 という、かすかな青い光を放ちます。
マジック望遠鏡は、このチェレンコフ光を、巨大な鏡で捉える事で、ガンマ線の
観測を行うのです。
従来、ガンマ線バーストは、観測衛星で、宇宙からやって来るガンマ線を直接
観測するのが主流でした。
一方、マジック望遠鏡は、地上から大気を捉えて、間接的に観測を行います。
まさに、使えるものは、何でも使うという作戦です。
チェレンコフ光で、ガンマ線バーストを捉えたい!
そう考えたのが、東京大学宇宙線研究所の教授です。
まだ、誰も成功した事のない挑戦でした。
“遠方にあるガンマ線バーストを測定しようなんていう事は、大方の研究者は
考えなかったのです”
“それを我々は、何でも見てみたい物理学者なので、それらが見えるであろう
という事で造ったわけで、最初は懸けです”
しかし、クリアしなくてはならないハードルがありました。
それは、ガンマ線バーストが、神出鬼没だという事でした。
僅かな時間で消えてしまうガンマ線バーストを、どうしたら捉えられるか?
突き詰めたのは、望遠鏡を軽量化し、高速で天体に向ける事でした。
“見て頂くと分かると思いますが、全体の大枠… 構造が卵形をしているのが
分かると思います”
“これは、なるべく軽量で、かつ、強度を持たせるために卵形のシルエットの
ような枠を造って、その間にワイヤーが何本も見えると思いますが、この望遠
鏡の構造も、そのようにして計量で、かつ、強度を持たせるような構造にして
おります”
この望遠鏡の重量を、ハワイにある、すばる望遠鏡と比較してみます。
口径8.2メートルの、すばる望遠鏡は、555トン。
一方、口径17メートルもあるマジック望遠鏡は、70トン。
いかに軽いかが分かります。 その結果、こんな身軽な動きを可能にしました。
どんな方向にも、30秒以内に望遠鏡を向けて、観測を始める事ができます。
大型望遠鏡としては、驚異的な速さです。マジック望遠鏡は、2004年に完成。
しかし観測を始めたもののガンマ線バーストを捉える事はできませんでした。
“多くの方は、途中で、みんな諦めましたね…”
“ガンマ線バースト、最初の4~5年観測して、これは、つかまるものではない”
教授たちは、望遠鏡を2台に増やし、感度を上げるなど、性能アップを図り、
観測を続けました。
“私は、諦めようとは思わなかったです。 どんどん、いいもの…”
“装置を改良して行こうと。 良くして行こうと…”
“そうすると、いつか見えるだろうと思っていました”
そして、観測開始から15年が経った… 2019年1月14日。
その日は、突然、やって来ました! 午後8時57分25秒。
観測室に、ガンマ線バーストの発生を知らせる警報が鳴り響きます。
マジック望遠鏡は、怪物を捉える事ができたのでしょうか?
写っていたのは、ガンマ線バーストが発生した直後に、宇宙空間のガスが
光る現象でした。
“ハッキリと覚えています”
“その光の点を見た時、私たちは、やった!と言いました”
“何十年も追い求めて来たガンマ線バーストの痕跡が、初めて検出されたの
です”
“これによって、ガンマ線バーストが、宇宙のどこで起きたのか突き止める
事ができます”
准教授が捉えた、その場所を、ハッブル宇宙望遠鏡で詳しく見てみると…
そこは、はるか81億光年かなたの銀河。
ガンマ線バーストは、遠くの銀河が発生源だったのです。
しかし、これは、大変な事を意味していました。
地球から、はるか遠くにあるのに、明るく見えるという事は、実際は桁違いの
明るさです。
ガンマ線バーストは怪物級のエネルギーを出している爆発現象だったのです。
何とかして、宇宙のかなたにいる怪物の正体を、解き明かしたい。
1994年、あるプロジェクトが動き出しました。
その舞台は、大西洋に浮かぶ、スペイン・カナリア諸島のラパルマ島。
標高2200メートルに、2台並んだ奇抜な望遠鏡があります。
その名もマジック望遠鏡。 12カ国の研究者が参加する国際プロジェクトです。
イタリア国立核物理学研究所の博士は、言う。
“これが、マジック望遠鏡です。 2台あるうちの最初に造られたものです”
“大変、大きな望遠鏡で、鏡の直径は、17メールあります”
なんと、17メートルの鏡、そのものが望遠鏡!
およそ1000枚の鏡を組み合わせています。
これを、1枚の巨大な鏡として機能させるために…。
1000枚を、全て、1つずつ角度を調整し、巨大な1枚の鏡を造ります。
実は、この望遠鏡、直接、天体を見るわけではありません。
“普通の望遠鏡と違って、この望遠鏡は、地球の大気を使って、天体から来る
ガンマ線を観測するのです”
宇宙から来るガンマ線が、地球の大気に入ると、不思議な事が起こります。
ガンマ線は、高いエネルギーを持っているため、大気に衝突すると、次々と
電子に変わるのです。
この時に電子が、 チェレンコフ光 という、かすかな青い光を放ちます。
マジック望遠鏡は、このチェレンコフ光を、巨大な鏡で捉える事で、ガンマ線の
観測を行うのです。
従来、ガンマ線バーストは、観測衛星で、宇宙からやって来るガンマ線を直接
観測するのが主流でした。
一方、マジック望遠鏡は、地上から大気を捉えて、間接的に観測を行います。
まさに、使えるものは、何でも使うという作戦です。
チェレンコフ光で、ガンマ線バーストを捉えたい!
そう考えたのが、東京大学宇宙線研究所の教授です。
まだ、誰も成功した事のない挑戦でした。
“遠方にあるガンマ線バーストを測定しようなんていう事は、大方の研究者は
考えなかったのです”
“それを我々は、何でも見てみたい物理学者なので、それらが見えるであろう
という事で造ったわけで、最初は懸けです”
しかし、クリアしなくてはならないハードルがありました。
それは、ガンマ線バーストが、神出鬼没だという事でした。
僅かな時間で消えてしまうガンマ線バーストを、どうしたら捉えられるか?
突き詰めたのは、望遠鏡を軽量化し、高速で天体に向ける事でした。
“見て頂くと分かると思いますが、全体の大枠… 構造が卵形をしているのが
分かると思います”
“これは、なるべく軽量で、かつ、強度を持たせるために卵形のシルエットの
ような枠を造って、その間にワイヤーが何本も見えると思いますが、この望遠
鏡の構造も、そのようにして計量で、かつ、強度を持たせるような構造にして
おります”
この望遠鏡の重量を、ハワイにある、すばる望遠鏡と比較してみます。
口径8.2メートルの、すばる望遠鏡は、555トン。
一方、口径17メートルもあるマジック望遠鏡は、70トン。
いかに軽いかが分かります。 その結果、こんな身軽な動きを可能にしました。
どんな方向にも、30秒以内に望遠鏡を向けて、観測を始める事ができます。
大型望遠鏡としては、驚異的な速さです。マジック望遠鏡は、2004年に完成。
しかし観測を始めたもののガンマ線バーストを捉える事はできませんでした。
“多くの方は、途中で、みんな諦めましたね…”
“ガンマ線バースト、最初の4~5年観測して、これは、つかまるものではない”
教授たちは、望遠鏡を2台に増やし、感度を上げるなど、性能アップを図り、
観測を続けました。
“私は、諦めようとは思わなかったです。 どんどん、いいもの…”
“装置を改良して行こうと。 良くして行こうと…”
“そうすると、いつか見えるだろうと思っていました”
そして、観測開始から15年が経った… 2019年1月14日。
その日は、突然、やって来ました! 午後8時57分25秒。
観測室に、ガンマ線バーストの発生を知らせる警報が鳴り響きます。
マジック望遠鏡は、怪物を捉える事ができたのでしょうか?
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