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小惑星衝突を見据え、地球防衛に特化した新たなミッションが進む
2020年09月16日 (水) | 編集 |
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突然ですが、あなたは、地球防衛という言葉を聞いた事がありますか?

実はこの言葉、NASAが行なっているプログラムの名称 Planetary Defense。

宇宙の脅威から、惑星・地球を守る技術です。

宇宙の脅威といえば、星の爆発によって放たれる強力な放射線や、寿命を
終えつつある太陽に地球がのみ込まれる等、様々なケースが考えられます。

でも、地球防衛が想定する脅威は、地球目がけてやって来る小惑星です。

2013年2月15日。 ビルほどの大きさの小惑星が、ロシアに落下。

1000人を超す人が、負傷しました。

あと少し大きければ、死者が出ても、おかしくなかったといいます。

こうした危険を事前に知るため、NASAは毎晩、監視活動を行っています。

ターゲットは、地球に近い軌道を持つ、危険な小惑星。

専用望遠鏡が、20年にわたって観測を続けた結果、これまでに2万個が見つ
かっています。

そして、2018年6月。 地球防衛の活動中に、大事件が起こりました。

ベテラン観測者の目が捉えたのは、猛烈なスピードで動く、かすかな点。

すぐにNASAが計算を行い、地球に衝突する確率が、はじき出されました。

その値は、38%。 3時間半後には、別の望遠鏡も追加観測に成功。

予想衝突地点が絞り込まれます。 その破片を求め大捜索が行われました。

私たちは、いつ来るとも知れない宇宙の脅威に、どの様に立ち向かおうとして
いるのでしょうか? 今回は、地球防衛の最前線に迫ります。

今、地球防衛に、全く新しい角度から迫る試みが進行しています。

アメリカ版はやぶさ とも呼ばれるNASAの探査機オシリスレックスです。

2018年12月。 オシリスレックスは、地球から1億2000万キロ離れた小惑星
ベンヌに到着しました。

小惑星のサンプルを持ち帰り、太陽系の成り立ちや、生命の起源に迫る
このミッション。 一体、地球防衛と、どんな関係があるのでしょうか?

太陽系探査が切り開く、末来の地球防衛に迫ります。

危険な小惑星の監視で活躍するレモン山天文台のふもとアリゾナ州のツーソン
です。 ここに、太陽系探査の最前線を走る研究所があります。

アリゾナ大学の月惑星研究所。 オシリスレックス・ミッションの拠点です。

探査チームの1人が、地球に届いたばかりの画像を特別に見せてくれました。

“これは、数時間前に初めて届いた高画質画像です”

“カメラが正常に動いているので、ホッとしています”

“これまで見えなかった、クレーターや岩が見えて来たので、みんな興奮して
います”

探査機の名前オシリスレックスには、5つのミッションのねらいが込められて
います。

オシリスレックス(OSIRIS-REx)
Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security
Regolith Explorer

Origins, のOは、太陽系の起源。

Spectral Interpretation, Resource Identification,
SI と RIは、それぞれ、色と組成。

Regolith Explorer の REx は、表面の探査。

そしてSは、Security セキュリティーの S。 つまり地球防衛を意味しています。

オシリスレックスと地球防衛。 一体、どんなつながりがあるのでしょうか?

そのキッカケとなる計算をした数学者が、イタリアにいました。

20年前から地球防衛に携わってきた、ピサ大学の教授です。

小惑星が地球に衝突する確率を、NASAと共同で計算してきたエキスパート
です。

“オシリスレックスの目的地ベンヌは、特別な小惑星です”

“私たちの計算によれば、22世紀に、地球に衝突する可能性があるのです”

ベンヌは、地球軌道を横切りながら、430日余りかけて太陽を巡っています。

まずは、2054年9月に、地球に大接近!

この時は衝突しないものの、更に100年余り経った時、地球に衝突する
可能性があるというのです。 ベンヌの直径は、500メートル。

運悪く東京に落下したら、関東全域に甚大な被害が予想されます。

ベンヌの軌道を、可能な限り、長期にわたって計算しようと試みた教授は、
ある困難に直面しました。

“小惑星の軌道を、長期間にわたって計算しようとすると、太陽や惑星からの
重力以外の力も、考慮に入れる必要が出て来ます”

“力は弱くても、長い時間かけると、十分、大きな変化につながるからです”

ベンヌは、本当に地球に衝突するのか?

その鍵を握るのが… ヤルコフスキー効果です。 高速で自転する小惑星。

太陽光で暖められた面が陰に入ると、熱は赤外線となって放射されます。

この赤外線の放射によって、小惑星に僅かな力が加わります。

この力で少しずつ軌道が変化して行くというのが、ヤルコフスキー効果です。

ベンヌを追う事で、ヤルコフスキー効果を調べ、軌道計算技術を向上させる
事が、オシリスレックスの重要な任務の1つなのです。

“もし、2180年に、ベンヌが衝突すると判明したら、どうすべきか?”

“答えは、もう分かっています。 人工的に軌道を変化させればいいのです”

そんな日を見据え、NASAは、地球防衛に特化した、新たなミッションを進めて
います。 アメリカのジョンズホプキンス大学応用物理学研究所です。

DARTミッション主任科学者は、言う。

“DART(ダート)ミッションは、史上初めてとなる地球防衛技術のデモンストレー
ションです”

“地球に衝突しそうな小惑星の軌道を変える技術を習得するのが目的です”