2020年09月06日 (日) | 編集 |
第2117回「あなたの一番古い記憶はなんですか?」
史上最大の大量絶滅を乗り越えたのは、どんな生き物だったのでしょうか?
中国・浙江省にある、煤山(メイシャン) ジオパークです。
第3の絶滅が起きたペルム紀と、次の三畳紀の境界を示す地層を見る事が
できます。
訪ねたのは、フランス国立自然史博物館の古生物学者です。
中国地質大学の教授は、言う。
‘生き物の化石が確認できるのは、ここまでです’
‘ここより上には、姿が見当たりません’
この線を境に化石が減少し、その種類も変化していました。
‘これが大量絶滅の境界です’
1980年代、この煤山ジオパークで、大きな発見がありました。
第3の大量絶滅を生き残った生物の化石が、見つかったのです。
その正体は、原始的な脊椎動物… コノドントです。
カンブリア紀に誕生し、ウナギのような体を持っていたと考えられています。
発見された化石は、歯の部分。 僅か1ミリほどの大きさです。
そのためジオパークには、コノドントの歯のモニュメントが飾られています。
コノドントの化石は、地球の歴史を研究する上で、重要なものとなっているの
です。 大量絶滅を乗り越えた、コノドントをはじめとする生き物たち。
でも、どのようにして、第3の大量絶滅を乗り越える事ができたのでしょうか?
フランス国立自然史博物館の古生物学者たちの研究グループは、その謎の
解明に挑んでいます。
この日、向かったのは、煤山ジオパーク近くの森です。
ペルム紀と三畳紀の境界は、山肌を斜めに横断していました。
早速、それぞれの地層を調べます。 すると、気になる化石を見つけました。
“これは、カイムシじゃないかな?”
カイムシ(貝形虫)は、ミジンコのような姿をした、甲殻類です。
大きさは、1ミリほど。 体は、殻で覆われています。
“カイムシは、驚くべき生き物です”
“なぜなら、史上最大の大量絶滅を生き延びているからです”
古生物学者たちは、大量絶滅前後の地層から、カイムシの化石を採取し、
詳しく調べる事にしました。
分析の結果、第3の大量絶滅を生き延びた生き物たちの、驚くべき戦略が
分かって来ました。
古生物学者が注目したのは、カイムシの大きさの変化です。
こちらは、大量絶滅前のカイムシ。 大きさは、450マイクロメートルです。
一方、大量絶滅後は、250マイクロメートルの大きさしかありませんでした。
カイムシは、小さくなっていたのです。
“大量絶滅後の環境は、とても過酷なものでした”
“そこで、カイムシは体を小さくし、エネルギーを節約する戦略をとったと考えて
います”
“可能な限り代謝を減らしたり、卵を小さくしたりする事で、危機を乗り越えた
のです”
生き物たちは、体を小さくし、エネルギーを節約する究極のサバイバル戦略で
大量絶滅を生き延びたのです。
実は、私たち哺乳類の祖先も、同じような理由によって、生き延びたと考え
られています。 ペルム紀に大繁栄した、体長2メートルのゴルゴノプス。
こうした大型動物は、食べ物が少ない厳しい環境を、生き延びる事ができま
せんでした。 一方、ディイクトドンの大きさは、僅か50センチほど。
食べ物が激減しても、小さな体のおかげで、生き延びる事ができたと考えられ
ています。
大量絶滅を乗り越えた生き物たちは、やがて、空白となった場所へと進出し、
仲間を増やして行きました。
生き物は、幾度となく絶滅の危機に瀕しながらも、姿形を変えて生き抜き、
繁栄を遂げて行ったのです。 生き物に備わった生命力。
それは、どんな困難をも乗り越える、たぐいまれなる力なのです。
第1の大量絶滅が起こった、オルドビス紀。
生き物たちは、地球規模の気候変動に翻弄されました。
しかし、移動能力を駆使した生き物たちが危機を乗り越える事ができました。
この時、鍵となった… 移動能力。
現在の生き物にとっても、大切な生きる術となっています。
更に、魚たちが多様な進化を果たし、大繁栄を遂げたデボン紀。
海の酸素が不足する大異変によって、第2の大量絶滅が起こりました。
しかし、陸上へ進出した生き物を先頭に、乗り越える事ができたのです。
この時、生き物に備わった足。
やがて足は、物をつかむなど、高度な進化を遂げて行きます。
そして、私たち人類に備わった手は、道具を作り出し、やがて文明を生み出す
礎となったのです。
史上最大、第3の大量絶滅が起きた… ペルム紀。
生き物たちを襲った、地球規模の寒冷化。
更に、巨大噴火によって、96%もの種が絶滅しました。
しかし生き物たちは体を小さくする等して、エネルギーを節約するサバイバル
戦略をとり、逆境を乗り越えたのです。
スミソニアン国立自然史博物館の館長は、言う。
“大量絶滅を生き残った者には、次の時代に爆発的な進化が約束されるの
です” 地球を繰り返し襲った、大量絶滅。
それは、生命が進化する原動力となっていました。
そして、大量絶滅を乗り越えるための術は、連綿と続く進化の中で伝えられ、
私たち人類に受け継がれました。
絶滅と進化の果てに、私たちに備わった力。
それは、さまざまな環境を生き抜くための、かけがえのない力になっている
のです。
史上最大の大量絶滅を乗り越えたのは、どんな生き物だったのでしょうか?
中国・浙江省にある、煤山(メイシャン) ジオパークです。
第3の絶滅が起きたペルム紀と、次の三畳紀の境界を示す地層を見る事が
できます。
訪ねたのは、フランス国立自然史博物館の古生物学者です。
中国地質大学の教授は、言う。
‘生き物の化石が確認できるのは、ここまでです’
‘ここより上には、姿が見当たりません’
この線を境に化石が減少し、その種類も変化していました。
‘これが大量絶滅の境界です’
1980年代、この煤山ジオパークで、大きな発見がありました。
第3の大量絶滅を生き残った生物の化石が、見つかったのです。
その正体は、原始的な脊椎動物… コノドントです。
カンブリア紀に誕生し、ウナギのような体を持っていたと考えられています。
発見された化石は、歯の部分。 僅か1ミリほどの大きさです。
そのためジオパークには、コノドントの歯のモニュメントが飾られています。
コノドントの化石は、地球の歴史を研究する上で、重要なものとなっているの
です。 大量絶滅を乗り越えた、コノドントをはじめとする生き物たち。
でも、どのようにして、第3の大量絶滅を乗り越える事ができたのでしょうか?
フランス国立自然史博物館の古生物学者たちの研究グループは、その謎の
解明に挑んでいます。
この日、向かったのは、煤山ジオパーク近くの森です。
ペルム紀と三畳紀の境界は、山肌を斜めに横断していました。
早速、それぞれの地層を調べます。 すると、気になる化石を見つけました。
“これは、カイムシじゃないかな?”
カイムシ(貝形虫)は、ミジンコのような姿をした、甲殻類です。
大きさは、1ミリほど。 体は、殻で覆われています。
“カイムシは、驚くべき生き物です”
“なぜなら、史上最大の大量絶滅を生き延びているからです”
古生物学者たちは、大量絶滅前後の地層から、カイムシの化石を採取し、
詳しく調べる事にしました。
分析の結果、第3の大量絶滅を生き延びた生き物たちの、驚くべき戦略が
分かって来ました。
古生物学者が注目したのは、カイムシの大きさの変化です。
こちらは、大量絶滅前のカイムシ。 大きさは、450マイクロメートルです。
一方、大量絶滅後は、250マイクロメートルの大きさしかありませんでした。
カイムシは、小さくなっていたのです。
“大量絶滅後の環境は、とても過酷なものでした”
“そこで、カイムシは体を小さくし、エネルギーを節約する戦略をとったと考えて
います”
“可能な限り代謝を減らしたり、卵を小さくしたりする事で、危機を乗り越えた
のです”
生き物たちは、体を小さくし、エネルギーを節約する究極のサバイバル戦略で
大量絶滅を生き延びたのです。
実は、私たち哺乳類の祖先も、同じような理由によって、生き延びたと考え
られています。 ペルム紀に大繁栄した、体長2メートルのゴルゴノプス。
こうした大型動物は、食べ物が少ない厳しい環境を、生き延びる事ができま
せんでした。 一方、ディイクトドンの大きさは、僅か50センチほど。
食べ物が激減しても、小さな体のおかげで、生き延びる事ができたと考えられ
ています。
大量絶滅を乗り越えた生き物たちは、やがて、空白となった場所へと進出し、
仲間を増やして行きました。
生き物は、幾度となく絶滅の危機に瀕しながらも、姿形を変えて生き抜き、
繁栄を遂げて行ったのです。 生き物に備わった生命力。
それは、どんな困難をも乗り越える、たぐいまれなる力なのです。
第1の大量絶滅が起こった、オルドビス紀。
生き物たちは、地球規模の気候変動に翻弄されました。
しかし、移動能力を駆使した生き物たちが危機を乗り越える事ができました。
この時、鍵となった… 移動能力。
現在の生き物にとっても、大切な生きる術となっています。
更に、魚たちが多様な進化を果たし、大繁栄を遂げたデボン紀。
海の酸素が不足する大異変によって、第2の大量絶滅が起こりました。
しかし、陸上へ進出した生き物を先頭に、乗り越える事ができたのです。
この時、生き物に備わった足。
やがて足は、物をつかむなど、高度な進化を遂げて行きます。
そして、私たち人類に備わった手は、道具を作り出し、やがて文明を生み出す
礎となったのです。
史上最大、第3の大量絶滅が起きた… ペルム紀。
生き物たちを襲った、地球規模の寒冷化。
更に、巨大噴火によって、96%もの種が絶滅しました。
しかし生き物たちは体を小さくする等して、エネルギーを節約するサバイバル
戦略をとり、逆境を乗り越えたのです。
スミソニアン国立自然史博物館の館長は、言う。
“大量絶滅を生き残った者には、次の時代に爆発的な進化が約束されるの
です” 地球を繰り返し襲った、大量絶滅。
それは、生命が進化する原動力となっていました。
そして、大量絶滅を乗り越えるための術は、連綿と続く進化の中で伝えられ、
私たち人類に受け継がれました。
絶滅と進化の果てに、私たちに備わった力。
それは、さまざまな環境を生き抜くための、かけがえのない力になっている
のです。
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