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海の楽園を襲った第1の大量絶滅の悲劇とは?
2020年09月03日 (木) | 編集 |
第2117回「あなたの一番古い記憶はなんですか?」
第1の大量絶滅から遡ること1億年前。 物語はカンブリア紀から始まります。

この時代、海には多様な命があふれていました。

こちらは、刀が生えているかのような姿をした軟体動物、ウィワクシア。

5つの目を持つ独特な姿のオパビニア。

そして、カンブリア紀最大級の生き物が、こちら、アノマロカリスです。

体長は、およそ1メートル。 この頃、生物に備わったのが、目です。

現在の昆虫などが持つ、複眼(ふくがん)と同じような機能を持っていたと考え
られています。

大きな目を持ち、優れた視力で獲物を捕らえるアノマロカリスは、この時代の
王者となったのです。 多様な生き物が、一斉に出現したカンブリア紀。

その急激な生物種の増加から… カンブリア大爆発とも呼ばれています。

地球の歴史の中で初めて、豊かな生態系が築かれたのです。

この生き物たちが、更なる多様化を遂げる次の時代、オルドビス紀に、第1の
大量絶滅が起こります。

およそ4億8000万年前、オルドビス紀前半の頃の地球です。

陸地は、南半球に偏っていました。

そして、陸地の周辺には、広大な浅瀬が広がっていたと考えられています。

この浅瀬を舞台に、生き物たちは繁栄を遂げて行ったといいます。

スミソニアン国立自然史博物館の館長は、言う。

“この時代を代表する生き物といえば、三葉虫(さんようちゅう)です”

“ダンゴムシと同じ、節足動物です”

“海底を動き回り、小さな生き物などを食べていたようです”

“浅瀬には、サンゴの仲間やウミユリも、よく見られました”

“ウミユリは、一見、花のように見えますが、実は、動物です”

生物の多様化が進んだ、オルドビス紀。

中でも優位に立ったのは、移動能力を備えた生き物たちです。

原始的な脊椎動物も現れました。 私たちの遠い祖先にあたります。

しかしこの時代、生態系の頂点に君臨していたのはタコやイカの祖先でした。

“イカの仲間は、とても攻撃的です”

“海を泳いでいてイカに食べられるなんて、考えただけて、イカんですよね!”

オルドビス紀の海は、生き物たちにとって、まさに楽園となっていたのです。

しかし、オルドビス紀の後半、異変が起こります。 地球が氷河期に突入。

南極を中心に、巨大な氷に覆われて行きました。 (4億5千万年前)

大陸に広がった、分厚い氷床。

この氷が、海の生態系に大きな影響を与えたのです。

“氷が成長するにつれて、海の水は減って行きます”

“浅瀬がなくなり、生き物たちの生息に適した場所が失われました”

“こうして、大量絶滅が起こったのです”

ところが、異変は、氷河期だけではありませんでした。

その後、急激な温暖化が起こったのです。

氷がとけ、海水面が上昇を始めます。

更に、海水の温度も、急激に上がって行きました。

生き物たちは、極端な変化に、なす術がありませんでした。

氷河期と温暖化という、激しい環境の変化が、第1の大量絶滅を引き起こした
のです。 こうして85%もの種が、絶滅したと考えられています。

しかし、この大量絶滅を生き延びた者がいます。

フランス国立自然史博物館の学芸員は、言う。

“オルドビス紀の末期、浅瀬の減少や、気候の急激な変化が起こりました”

“生き残るためには、暮らしやすい場所へ移動するしかありませんでした”

“このチョッカクガイは、優れた移動能力を持っていたため、生き残る事が
できたのです”

こちらが、大量絶滅を生き残った… チョッカクガイです。

貝という名前が付いていますが、タコやイカの仲間です。

最大の特徴は、まっすぐ伸びた円すい形の殻。

内部は、壁で仕切られています。

中の空気の量を調節し、浮力を自由自在にコントロールする事ができました。

チョッカクガイは、巧みな泳ぎで移動し、生き残る事ができたのです。

一方で、長距離の移動ができなくても、大量絶滅を生き延びた者もいます。

ウミユリです。

“海底にくっついて暮らしているのに、生き残ったのがウミユリです”

“大人は長距離を移動できませんが、子供の時に秘密があります”

“ウミユリは、海中に卵を放出し、生まれた子供は、小さなプランクトンとして
漂います。 そのため、海流に乗って、数週間も移動する事ができます”

“そして、子供たちの中には、たまたま生息に適した場所にたどり着く者が
いました。 こうして、一部の者が、生き残る事ができたのです”

第1の大量絶滅を切り抜けるために、必要不可欠だった移動能力。

当時、最も優れていたのは、魚類です。

こちらは、体の表面を鎧のように硬くした、甲冑魚(かっちゅうぎょ)と呼ばれる
仲間です。 小さなエサを探し、海を泳ぎまわっていたと、考えられています。

この時代に登場した甲冑魚の仲間は、やがて、大繁栄を遂げて行きます。

魚類の子孫は、その後、進化を繰り返し、陸上動物へとつながって行きます。

次々に生まれ、枝分かれして行く、命のつながり。

いつしか、恐竜へと進化し、地球上を歩き回り…。

更に、空を飛び回る鳥へと、進化を遂げました。

別の枝からは、ヘビなどの、は虫類も現れます。 そして、哺乳類が登場。

人類も、命のリレーの果てに誕生しました。

私たちは、壮大な進化のたまものなのです。

第1の大量絶滅を乗り越えた魚たち。 その後、更なる進化を遂げて行きます。

しかし、そんな彼らを、第2の大量絶滅が待ち受けていました。