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金星探査は歩みを止める事なく進められた
2020年08月28日 (金) | 編集 |
第2118回「FC2ブログを始めてどれくらい経ちますか?」
ソビエトは、金星探査の歩みを止める事なく、更に進めました。

ケルディッシュの右腕といわれたミハイル・マロフ博士は、言う。

“何かが明らかになれば、また新たな謎が出て来ます”

“その謎を解きたい。 だから我々は、探査を続けたのです”

大型ロケットが開発された事で、着陸カプセルも大きくする事が出来ました。

そして、新たな着陸機が作られます。

これまでの丸い形から、キノコのような形に変わりました。

重さは700キログラムほど。 中でも目を引くのは、この傘のようなもの。

一体、何でしょう?

設計士のアレクサンドル・ロージンは、言う。

“この傘は、パラシュートの代わりになります”

“途中でパラシュートを捨て、これを使って着陸するのです”

金星は、地球のおよそ100倍の気圧で、大気は、あまりにも濃密です。

パラシュートで降下すると時間がかかり過ぎ、装置が熱で破壊されてしまいます。

そこで考えたのは、途中でパラシュートを切り離し、落下させる方法。

傘の部分にかかる抵抗で、軟着陸できると考えたのです。

新たな着陸機が目指したのは… 金星表面の写真を撮る事でした。

カメラの開発に関わった、ユーリ・ゲクチンさんです。

“最大の問題は、500度の高温の中で撮影する事でした”

“カメラを熱から守る必要があったのです”

開発されたカメラは、不思議な形をしていました。

“これは、地球で実験に使ったカメラです”

“金星には行きませんでしたが、全く同じものです”

“画像を記録する装置は、この箱の中にあります”

“先端には、高温に強い素材の鏡をつけました”

“この鏡が、上下に20度、左右に180度、動きます”

“パノラマ画像を、記録装置に送る事ができるのです”

カメラは、傘の下の部分に設置しました。

画像を記録する装置は、外の熱から守るため内部に置き、冷却剤で冷やしま
した。 先端にある鏡が縦横に動き、パノラマ画像を装置に送る仕組みです。

1975年10月。 カメラを載せたベネラ9号の着陸機が、金星に降り立ちました。

500度の温度の中、着陸機が耐えられるのは、90分ほど。

撮影は、時間との闘いでした。 果たして…。

確かに、金星の表面が写っていました!

ゴツゴツとした岩が広がる、荒涼とした風景。

人類が初めて見る、金星表面の姿でした。

“驚きしかありませんでした。 幸せ… 喜び… 言葉で伝えるのが難しいです”

“自分が作ったものが、自分ではたどり着けない所へ、降り立ったのだと感じ
ました”

1982年はベネラ13号と14号が金星に着陸。 カラー写真の撮影に成功します。

しかし、この写真が、新たな謎を生み出します。

9号の白黒写真では、ゴロゴロとした岩だったのに対し、カラー写真では、
平らで、層のようになっていたのです。

金星の地質を解析した、アレクサンドル・バジレフスキーさんは、悩みます。

“それまでのデータで、金星の地質は、火山性の玄武岩に近い事が分かって
いました”

“でも、14号の画像からは、玄武岩である事が確認できなかったのです”

“玄武岩は、マグマが丸く固まったものなのに、なぜ、平らな層の形をしている
のか? 理解できませんでした”

なぜ、金星の玄武岩は、平らな層の形をしていたのか?

その謎を解く手がかりとなったのは、1983年に打ち上げたベネラ15号と16号。

金星の地図を作る事に挑みました。

探査機は、金星の上空を通過しながら、表面をレーダーで観測。

リボンのような、細長い地図を作ります。

金星は自転しているので、同じ軌道を通っても少しずつ角度を変えて、表面の
画像を得る事ができます。

そして、8カ月かけて、金星の北半球の地図を完成させたのです。

アレクサンドル・ザハロフさんは、地図作りに関わった1人です。

“画像が出て来た時の気持ちは、言い表す事ができません”

“特別な気持ちで、誰も見た事のない世界を、自分が発見した気分でした!”

その画像に、平らな玄武岩の謎を解く鍵がありました。

衝突によって生まれた、クレーターです。

金星の地質を解析した、アレクサンドル・バジレフスキーさんは、言う。

“金星には、クレーターが多い事が分かりました”

“つまり、直径1キロメートルほどの大きな物体が、金星にたくさん落ちていた
という事です。 その時、爆発が起きます”

“大きな破片は、すぐに落下しますが、細かい破片は、風に流されます”

金星の上空には、秒速100メートルの風が吹いています。

細かい破片は、数百キロメートルにわたって散らばり、表面に薄い層となって
堆積します。

それが、500度の高温でジワジワと固まり、金星独特の風景を作り出していた
のです。 金星の謎が、また1つ、解かれました。