fc2ブログ

平和な田舎暮らしに美容・健康など自由気ままに綴っています!
素粒子と反素粒子の間に、なぜ違いが生まれたのか?
2020年08月08日 (土) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「ザ・絶妙な返事!」


一体、反素粒子は、どこへ行ってしまったのか?

それを考えるのに大きな鍵となるのが、素粒子と反素粒子の間の1つの性質
です。 それを例えてみると、このようになります。

剣道で、立ち会いの直後、2人の剣士が消えた。

このように反素粒子は、素粒子と一瞬でも出会うと、ものすごいエネルギーを
出して消えてしまうのです。 ですが、ここで不思議な事があります。

宇宙の始まりに双子のようにペアで出来た素粒子と反素粒子は、宇宙の中に
同じ数だけあったはずです。

ならば、全てが消えてなくなっても、おかしくはない。

そうなるとこの宇宙には星も銀河も、そして私たちも存在しない事になります。

では、なぜ、今、宇宙には、数え切れないほどの星があり、私たちがいるので
しょうか?

最先端研究では、なぜか、ほんの少しだけ素粒子が生き残ったと考えられて
います。 その確率は、10億個に1個くらい。

素粒子と反素粒子の数に、差が出来てしまったのです。

その差が生まれたのは、宇宙が始まった直後、ビッグバンでの事でした。

ビッグバンでは、私たち物理学者の常識を超える出来事が、起こっていたの
です。

そもそも、素粒子だけが生き残るためには、素粒子と反素粒子の数に違いが
生まれなければいけません。

基本的には、鏡に映したようにそっくりな素粒子と反素粒子ですが、世界中の
研究者が調べて行ったところ、実はそのふるまいに少しだけ違いがある事が
分かりました。 剣道で例えれば、こんな事です。

竹刀を持ったとき、角度が、ほんの少し違っていたり、足を踏み出した時、
ほんの少しズレがあるのと同じような事です。

つまり、素粒子と反素粒子は、鏡に映ったようにピッタリ同じ動きをすると考え
られていましたが、実は、少しだけ違いがある。

これは、私たち物理学者を驚かせる、大きな発見でした。

CP対称性の破れと呼ばれる現象です。

これがあったおかげで、10億個に1個くらい、反素粒子が素粒子に変わり、
この、ごく一部の素粒子だけが、生き残る事が出来たのだと考えられます。

こうして、宇宙に、ほんの少しだけ残った素粒子から、星や銀河が作られ、
今、私たちが、ここにいるのです。

このCP対称性の破れは、どのようにして起こったのか?

今も、着々と研究が進んでいます。

しかも、第1線で活躍しているのは、日本の研究者たちでした。

そもそも、CP対称性の破れが発見されたのは、1964年、アメリカの物理学者
ヴァル・フィッチとジェイムズ・クローニンによる実験でした。

この発見を受けて、素粒子・反素粒子に、なぜ、違いがあるのか?

仕組みが、どうなっているかを考え、的中させたのが、理論物理学者の2人の
日本人です。

この功績によって、2人は、2008年のノーベル物理学賞を受賞します。

2人の理論物理学者が書いたのが、こちらの論文です。

この論文がすごいのは、当時、まだ発見されていなかった素粒子がある事を
予言し、それが実際に発見された事です。

更に、この論文の考えに基づいた実験で、これまで見つかっていなかった
CP対称性の破れが確認されたのです。

実験を行った研究機関は、茨城県つくば市にあります。

その研究所が、こちら、 高エネルギー加速器研究機構 です。

素粒子と反素粒子の間に、なぜ、違いが生まれたのか?

この仕組みを世界で初めて、実験で明らかにした現場にやって来ました。

ここは、始まったばかりの宇宙で起きていた事を、実験室の中で再現すると
いう、とてつもない事が行なわれている施設です。

ビッグバンの中で起きていた事を再現するために使われているのは、巨大な
実験施設。 直径3キロものトンネルの中に、リングがあります。

ここで、ほとんど光の速さまで加速した、素粒子と反素粒子をぶつけるという
実験を行っています。

始まったばかりの宇宙で起きていた事を、再現するための鍵となるのは、
ぶつける粒子。 小さな粒々を加速して、高いエネルギーにもって行く事です。

このエネルギーが、ビッグバンの時の高温のエネルギーの代わりをします。

そしてその時に、大活躍するのが、この機械。

加速に使うのは、実は、電気の力(高周波源)です。

この機械は、電気の力を、波として生み出す事が出来るのです。

例えば、波乗りをするサーファーは、高い波に押されて、前へ前へと進んで
行きます。 素粒子と反素粒子も同じ。

電気の波に押されて、加速して、どんどんエネルギーを上げて行くのです。

最終的には、光の99.999999%まで速度を上げ、エネルギーをため込みます。

この後、どんな事が起こるのか?

ここは、ちょっとした例えで、お見せしましょう!

駄菓子屋さんにも売っている、昔懐かしい、アレ!

このベイゴマを使って、どんな実験なのかを解説してみたいと思います。

それぞれのベイゴマを、高速で走る、素粒子と反素粒子だと思ってください。

それが、このようにぶつかると、一旦、消えるのですが…ため込まれたエネル
ギーから別のモノが生まれて来ます。

これが、エネルギーに満ちたビッグバンで、起こっていた事と同じです。

今回、調べたのは、素粒子と反素粒子が衝突した後に、一瞬だけ生まれる
B中間子という粒子です。

この粒子の変化を調べたところ、反B中間子と違っている事が分かりました。

変化のしかたやタイミングに、ズレが生じていたのです。

ついに、素粒子が10億個に1個の確率で、生き残った仕組みが明らかになり
ました。 しかし、これは仕組みの、ごく一部。

全容解明には、更なる研究が必要です。