2020年07月17日 (金) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「おうち時間が増えてから変わったこと」
オシリス・レックスが完成したという情報は、日本のJAXAにすぐに届きました。
はやぶさ2を率いる総責任者のプロジェクトマネージャーは緊張感が高まった
といいます。 “ついにNASAが、本気になったなという風に思いました”
“これは、ますます… 何て言うか… ちゃんとやらなくてはという風に思い
ましたね…”
総責任者のプロジェクトマネージャーが驚いたのは、オシリスの太陽電池
パネルの構造でした。
“例えば、太陽電池2枚ありますけど、2次元に、こう… 自由に動く事ができる
のです”
“あれは、はやぶさ2も、やりたかったのですが、お金がなくて、できなかった
ところです”
はやぶさ2の太陽電池パネルは、向きを変えられません。
そのため、太陽を背にした位置でとどまり、小惑星を観測していました。
一方、オシリスは、太陽電池パネルを自由に動かせます。
そのおかげで、小惑星を周回して、あらゆる角度から観測できるのです。
“あれが出来ると、小惑星のあらゆる所に着陸しやすくなるという事で、私から
見ると、ああいうところは羨ましいなという風に思いました”
探査機に違いが生まれた理由は、予算の事だけではありません。
その事を指摘する研究者がいます。
パリ天文台の教授で、日本とアメリカ、両方のプロジェクトに参加しています。
“それぞれ、スタイルが全く違うのです。 それは文化的なものだと思います”
“アメリカ人は、いつも1番になる事を求めますが、日本人は、確実性を求めて
います”
違いが象徴的に表れているのが、サンプルを採取する装置です。
はやぶさ2の装置は、表面に接触すると弾丸を発射し、舞い上がった物質を
採取する仕組み。 弾丸で表面を砕くため、かたくても確実に採取できます。
一方のオシリスは、採取する量で、勝負しようとしています。
タグサムは、小さな砂粒から2.5センチほどの石まで、最大で2キロも採取でき
ます。 (オシリス→2キロ / はやぶさ2→0.1グラム)
はやぶさ2に比べると、サンプルを大量に持ち帰る事ができるのです。
“どちらのチームも、ミッションの成功を目指していますが、性格は違います”
“でも、両方とも、いいと思いますよ!”
“とてもオープンでオシリスとはやぶさ2は、お互いに刺激し合っているのです”
オシリス・レックスは、打ち上げから2年後、小惑星ベンヌに近付きました。
2018年8月、オシリスのカメラが、初めて、その姿を捉えます。
日を追うごとに、ベンヌが迫って来ました。 そして…。
2018年12月3日。 ‘我々は到着した!’ オシリスはベンヌに到着。
2年遅れの出発でしたが、ついに、はやぶさ2に追いつきました。
ベンヌは、リュウグウと同じ、そろばんの玉のようなコマ型でした。
地球から望遠鏡で観測していた姿と、おおむね一致していました。
しかし、プロジェクトチームの前に、大きな壁が立ちはだかります。
2018年12月10日、ベンヌ到着記者会見より。
“ベンヌで、1番、驚かされたのは、岩です”
“10メートル級の岩が、何百個もあったのです。 それは想定外の事でした”
予想以上に、岩石に覆われていた、ベンヌ。
着陸できそうな場所が、すぐには見つからなかったのです。
ちょうど、その頃、はやぶさ2も、同じ壁にぶつかっていました。
リュウグウも岩石が多かったため、着陸を数カ月、延期する事を迫られていた
のです。 果たして、オシリスは、壁を乗り越えられるのか?
オシリスの挑戦に迫ります!
☆宇宙博物記☆
アリゾナ大学のロビーには、オシリス・レックスにまつわる、貴重な品々が展示
されています。 その中に、ある研究者を偲ぶ、小さなプレートがありました。
冒頭には、マイケル・ドレイク博士の後を継ぐ事に身が引き締まるとあります。
そして、最後に、 KISS! という言葉。 一体、どういう事なのでしょうか?
オシリス・レックス天文観測担当者は、言う。
“私たちは、小惑星に着陸する事を、キスすると言っています。 優しくね!”
“もう1つは、 Keep It Simple Stupid の、省略です”
Keep It Simple Stupid とは、誰にでも分かりやすく簡単にしようという意味。
オシリスの計画は、複雑だからこそ、シンプルに考えろ!という教えです。
KISSという言葉には、2つの意味が込められていたのですね!
この言葉を、よく口にしていたのが、マイケル・J・ドレイク博士。(1946-2011)
オシリス計画の発案者です。 インタビューが残されていました。
“サンプルを採取するには、とても、ゆっくりとアプローチする必要があります”
“私は、それを、 キスする と例えました。 前歯が折れないように優しくね”
優しく、そして、シンプルに。
ドレイク博士が唱えたKISSの教えは、オシリス・レックスに生かされています。
ドレイク博士の思いを受け継いだのは、現在のプロジェクト・リーダーです。
2011年、40歳の時に、ドレイク博士から、リーダーに抜てきされました。
“私が適任なのか不安に思う人は、たくさんいました”
“まだ、未熟なのでは?と…”
“ですが、ドレイク博士は確信し、私を信じてくれました”
“彼のためにも、リーダーを引き受け、やり遂げようと思ったのです”
しかしその時、ドレイク博士は、病に侵されていました。 ガンでした。
同じ年(2011年5月26日)、NASAは、オシリス計画を正式に決定。
その喜びの輪の中に、ドレイク博士の姿はありませんでした。
“残念ながら彼は2011年9月に亡くなりました”
“計画決定の4カ月後の事です。 でも、私は、自信が持てました”
“なぜなら、彼に、今度は君の番だと、言われていたからです”
計画の決定を見届けて亡くなった、ドレイク博士。
プロジェクト・チームは、その思いを受け継いでいます。
ドレイク博士を偲ぶプレートは、オシリスと共に、ベンヌに向かいました。
KISS! この言葉は、今もチームの心の中に生き続けています。
オシリス・レックスが完成したという情報は、日本のJAXAにすぐに届きました。
はやぶさ2を率いる総責任者のプロジェクトマネージャーは緊張感が高まった
といいます。 “ついにNASAが、本気になったなという風に思いました”
“これは、ますます… 何て言うか… ちゃんとやらなくてはという風に思い
ましたね…”
総責任者のプロジェクトマネージャーが驚いたのは、オシリスの太陽電池
パネルの構造でした。
“例えば、太陽電池2枚ありますけど、2次元に、こう… 自由に動く事ができる
のです”
“あれは、はやぶさ2も、やりたかったのですが、お金がなくて、できなかった
ところです”
はやぶさ2の太陽電池パネルは、向きを変えられません。
そのため、太陽を背にした位置でとどまり、小惑星を観測していました。
一方、オシリスは、太陽電池パネルを自由に動かせます。
そのおかげで、小惑星を周回して、あらゆる角度から観測できるのです。
“あれが出来ると、小惑星のあらゆる所に着陸しやすくなるという事で、私から
見ると、ああいうところは羨ましいなという風に思いました”
探査機に違いが生まれた理由は、予算の事だけではありません。
その事を指摘する研究者がいます。
パリ天文台の教授で、日本とアメリカ、両方のプロジェクトに参加しています。
“それぞれ、スタイルが全く違うのです。 それは文化的なものだと思います”
“アメリカ人は、いつも1番になる事を求めますが、日本人は、確実性を求めて
います”
違いが象徴的に表れているのが、サンプルを採取する装置です。
はやぶさ2の装置は、表面に接触すると弾丸を発射し、舞い上がった物質を
採取する仕組み。 弾丸で表面を砕くため、かたくても確実に採取できます。
一方のオシリスは、採取する量で、勝負しようとしています。
タグサムは、小さな砂粒から2.5センチほどの石まで、最大で2キロも採取でき
ます。 (オシリス→2キロ / はやぶさ2→0.1グラム)
はやぶさ2に比べると、サンプルを大量に持ち帰る事ができるのです。
“どちらのチームも、ミッションの成功を目指していますが、性格は違います”
“でも、両方とも、いいと思いますよ!”
“とてもオープンでオシリスとはやぶさ2は、お互いに刺激し合っているのです”
オシリス・レックスは、打ち上げから2年後、小惑星ベンヌに近付きました。
2018年8月、オシリスのカメラが、初めて、その姿を捉えます。
日を追うごとに、ベンヌが迫って来ました。 そして…。
2018年12月3日。 ‘我々は到着した!’ オシリスはベンヌに到着。
2年遅れの出発でしたが、ついに、はやぶさ2に追いつきました。
ベンヌは、リュウグウと同じ、そろばんの玉のようなコマ型でした。
地球から望遠鏡で観測していた姿と、おおむね一致していました。
しかし、プロジェクトチームの前に、大きな壁が立ちはだかります。
2018年12月10日、ベンヌ到着記者会見より。
“ベンヌで、1番、驚かされたのは、岩です”
“10メートル級の岩が、何百個もあったのです。 それは想定外の事でした”
予想以上に、岩石に覆われていた、ベンヌ。
着陸できそうな場所が、すぐには見つからなかったのです。
ちょうど、その頃、はやぶさ2も、同じ壁にぶつかっていました。
リュウグウも岩石が多かったため、着陸を数カ月、延期する事を迫られていた
のです。 果たして、オシリスは、壁を乗り越えられるのか?
オシリスの挑戦に迫ります!
☆宇宙博物記☆
アリゾナ大学のロビーには、オシリス・レックスにまつわる、貴重な品々が展示
されています。 その中に、ある研究者を偲ぶ、小さなプレートがありました。
冒頭には、マイケル・ドレイク博士の後を継ぐ事に身が引き締まるとあります。
そして、最後に、 KISS! という言葉。 一体、どういう事なのでしょうか?
オシリス・レックス天文観測担当者は、言う。
“私たちは、小惑星に着陸する事を、キスすると言っています。 優しくね!”
“もう1つは、 Keep It Simple Stupid の、省略です”
Keep It Simple Stupid とは、誰にでも分かりやすく簡単にしようという意味。
オシリスの計画は、複雑だからこそ、シンプルに考えろ!という教えです。
KISSという言葉には、2つの意味が込められていたのですね!
この言葉を、よく口にしていたのが、マイケル・J・ドレイク博士。(1946-2011)
オシリス計画の発案者です。 インタビューが残されていました。
“サンプルを採取するには、とても、ゆっくりとアプローチする必要があります”
“私は、それを、 キスする と例えました。 前歯が折れないように優しくね”
優しく、そして、シンプルに。
ドレイク博士が唱えたKISSの教えは、オシリス・レックスに生かされています。
ドレイク博士の思いを受け継いだのは、現在のプロジェクト・リーダーです。
2011年、40歳の時に、ドレイク博士から、リーダーに抜てきされました。
“私が適任なのか不安に思う人は、たくさんいました”
“まだ、未熟なのでは?と…”
“ですが、ドレイク博士は確信し、私を信じてくれました”
“彼のためにも、リーダーを引き受け、やり遂げようと思ったのです”
しかしその時、ドレイク博士は、病に侵されていました。 ガンでした。
同じ年(2011年5月26日)、NASAは、オシリス計画を正式に決定。
その喜びの輪の中に、ドレイク博士の姿はありませんでした。
“残念ながら彼は2011年9月に亡くなりました”
“計画決定の4カ月後の事です。 でも、私は、自信が持てました”
“なぜなら、彼に、今度は君の番だと、言われていたからです”
計画の決定を見届けて亡くなった、ドレイク博士。
プロジェクト・チームは、その思いを受け継いでいます。
ドレイク博士を偲ぶプレートは、オシリスと共に、ベンヌに向かいました。
KISS! この言葉は、今もチームの心の中に生き続けています。
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