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リュウグウに穴を開けサンプルを採る史上初のミッション!
2020年07月14日 (火) | 編集 |
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はやぶさ2の大冒険、後半戦です!

その目玉は、小惑星に穴を開け、そこからサンプルを採るという、史上初の
ミッション!

この重責を任されたのが、プロジェクト・エンジニアで、チームいちのムード
メーカーです。 彼がJAXAに入ったのは、2009年。

配属されたのは、初代はやぶさのリーダーのもとでした。

初代のリーダーから、小惑星に穴を掘るミッションをやってみないかと、誘われ
たのです。

“とにかく、面白い事をやらないといけない”

“人がやらない事を、やらなきゃいけないというのは、よく教わりました”

“プレッシャーは、ものすごいありましたね”

“開発が間に合わなかったら、打ち上げ全体が遅れる話しになるので…”

“もう、責任も感じてますし… はい”

小惑星に穴を開けるのに協力を依頼したのが福島県の爆薬メーカーでした。

その方法です。 発射装置を切り離し、上空で爆破。

高速で弾丸を撃ち込んで、穴を開けるのです。 これが、発射装置インパクタ。

円すいのステンレスの容器の中に、5キログラムの爆薬が装填されます。

爆発すると、エネルギーが銅板の真ん中に集まり、銅板が引きちぎられて、
飛んで行きます。 それを弾丸として、ぶつけるのです。

開発でプロジェクト・エンジニアを悩ませたのは、銅板が、なかなか丸い玉に
ならない事でした。 いびつな形では、衝突のパワーも弱くなってしまいます。

試行錯誤を繰り返し、開発を急ぎました。 開発を始めて3年(2013年10月)。

実物大のインパクタを使って、試験を行います。

100メートル先のターゲットを狙います。 弾丸の速度は、時速7200キロ。

打ち出された銅板は、見事、丸い弾丸となり、ターゲットに命中しました。

こうして、インパクタが完成しました。

2019年4月5日、リュウグウ爆破。 インパクタを、実際に使う日が訪れました。

管制室は、緊張感に包まれます。

探査機を、最も危険にさらすミッションでもあるからです。

インパクタは爆発すると、粉々に砕け、四方八方に飛び散ります。

もし、その破片にぶつかると、致命傷を負います。

プロジェクト・エンジニアは、言う。

“ある意味、自ら、危険を作り出してるような運用なのです”

“だから探査機に、何かあってしまう可能性が、どうしても高い”

“特別に、緊張感が違いますね。はい”

ただ1つの安全地帯は、リュウグウの裏。

そこに逃げて、破片を回避する作戦です。

インパクタが宇宙で狙いを定めていられる限界は、40分。

一方、はやぶさ2が、避難に要する時間は、最大37分。

余裕は、僅か3分しかありません。

“探査機が逃げ損なってしまうと、これは本当に危ないというような状態”

“なので、もう切り離した後は、何があっても逃げなければいけない”

いよいよ、爆破ミッションが始まります。

“じゃあ、SCI分離、送信お願いします”  ‘4・3・2・1・0’

インパクタが切り離されました。 これは実際の映像です。

爆破タイマーがスタート。 40分後には爆発します。

はやぶさ2は、ジェットを噴いて、全速力で避難します。

実は、この避難も、非常に危険だといいます。

“例えば、1番長くて、20秒ぐらいの噴射があるのですが、はやぶさというのは
太陽電池とかもバタバタバタバタするのです”

“それが、制御とカップリングしてしまうと、下手したら、ひっくり返るみたいな
話しがあり得るのです”

間もなく、爆破時刻です。 ‘5・4・3・2・1・0’  恐らく、今、爆発したはずです。

管制室では、はやぶさ2からの電波が途切れないか、見守ります。

‘3分経過しました。 テレメトリ健在です。 受信レベル正常です’

‘回避、成功ですね! おめでとう!’   はやぶさ2は、無事でした!

ところが、プロジェクト・エンジニアは…。

“分かんない… 分かんないけど… 握手していいのか分かんない…”

“最初は、探査機が無事だったら成功だよって思っていたのですが、やっぱり
SCIがちゃんと動いてくれたのかというのが、すごい気になってですね”

“みんなが、うまくやって、うわ~ってなっているのですが、1人、何か、まだ
その証拠がないので、あ~… 大丈夫かな… 大丈夫なのかなって…”

“ずっと不安だったのです”

数時間後、ある知らせが飛び込んで来ました。

カメラの画像が届いたというのです。

実は、はやぶさ2は、避難の途中で小型カメラ(DCAM3)を分離。

リュウグウの裏側からは見えない爆破の瞬間の撮影にも挑んでいたのです。

こちらは、爆破2秒後の画像。

岩石が、地表数十メートルの高さまで、噴き出しています。

小惑星に穴を開けた、決定的な証拠です。

“まず、1回、見た時は、まだ半信半疑で… ウソでしょ?とか思って…”

“よく見ると、確かに上がっていて… あぁ~、これはよかったな!という”

これは、爆破前に真上から撮影した画像です。

爆破後には、表面が吹き飛び、直径10メートル以上の大きなクレーターが
出来ています。

中は黒く、地下の物質が、むき出しになっている事が分かります。

ところが、無情にも、穴の中に2つの巨大な岩が残っていました。

“実は、本当の野心は、このクレーターのど真ん中に降りたい、みたいなのは
あったのですが、これ、ちょっと行けないのではないかなという風には思い
ましたね…”

どうしたら、地下の物質を採れるのか?

リュウグウを模した実験が、繰り返されていました。

白い砂は、地下の物質。 黒い砂は、表面の物質を表します。