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直径、僅か20キロのパルサーの驚くべきパワーとは?
2020年07月08日 (水) | 編集 |
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直径、僅か20キロのパルサーが、驚くべきパワーを持っている事が分かって
来ました。

アリゾナ州立大学の教授は、高解像度を誇るハッブル宇宙望遠鏡を使って、
かにパルサーを観測しました。

“それまでの観測や解析から、かに星雲の中心で、何か激しい動きがあると
考えられました。 しかし、決定的な証拠がありません”

“そこで、ハッブル宇宙望遠鏡で観測しました”

ハッブル宇宙望遠鏡は地上から600キロメートル上空の宇宙で天体を鮮明に
捉えます。

教授たちのグループは、かに星雲の中心部分を、2カ月間、10回にわたって、
撮影しました。 ハッブルが捉えた、かに星雲の中心部分。

矢印の先の白い点が、かにパルサーです。

撮影した10枚の画像をつなげると… 動画になります。

確かに、かに星雲の中心では、何かが激しく動いていました。

“回転するパルサーのエネルギーが周囲の粒子に影響を与え続けています”

“水の中に、石を投げ入れたようなものです。 すると、波紋が出来るでしょ?”

“パルサーが回転し続けているので、波紋も出続けます”

リングの直径は、なんと1光年。地球から太陽までの距離の6万倍もあります。

たった2カ月の間に、これほど激しい動きが見られるとは、教授も想像して
いなかったといいます。

小さなパルサーの強力なパワーが1光年もの距離まで広がっていたのです。

南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレス。

経済危機を乗り越え、2018年には、14歳から18歳までを対象にした、ユース
オリンピックが開かれました。

ここにもジョスリン・ベル・バーネルさんの志を引き継ぎ、パルサーを研究する
女性天文学者がいます。

ブエノスアイレスの市内にある、天文学・宇宙物理学研究所。

研究所の半数が、女性です。 天文学者のグロリア博士です。

専門は、ベル・バーネルさんと同じ、電波天文学です。

グロリアさんの自宅です。 夫は、精神科の医師。

グロリアさんは、生い立ちや境遇も、ベル・バーネルさんと似ています。

3人の子供を育てながら、研究者として働き続けて来ました。

グロリアさんは、国境近くの小さな村で、生まれ育ちました。

子供の頃から物理が好きで、宇宙に興味があったといいます。

“私は、彼のサポートがあったから、研究を続ける事ができました”

“天文台に観測に行く時等、家を留守にする事がありますが、彼が子供たちの
面倒を見てくれました”

とはいえ、天文台に子供を連れて行き、観測する日もありました。

夫は、言う。  “私たちは、お互いに、仕事をする事が好きなのです”

“常に働く事で、人生を謳歌して来ました”

“彼女に仕事を辞めてほしいなんて、思った事もありません”

夫の理解や協力があっても、女性として、そしてアルゼンチン人として海外で
仕事をする事は、つらい事もありました。

“ある時、天文台のコンピューターに、不具合が出ました”

“エンジニアに、何度も連絡しましたが、来てくれません”

“そこへ、オーストラリア人の同僚が来ました”

“彼は、私は白人で背も高いから、代わりに頼んでみるって言ってくれました”

“すると、すぐにエンジニアが来ました。 色々、難しいですね…”

つらい事があっても天文学が大好きだから辞められなかったと、グロリアさんは
言います。 グロリアさんは、大きなプロジェクトのリーダーを任されました。

かにパルサーが、星雲全体に与える影響を調べるのです。

“私たちは、世界で最も人気のある望遠鏡を駆使して、かに星雲を観測する
計画を立てました”

可視光線は、ハッブル宇宙望遠鏡。 ガスの微妙な構造を捉えます。

X線は、チャンドラ観測衛星。 パルサーからは、X線が放たれています。

赤外線を捉えるのは、スピッツァー宇宙望遠鏡。

星雲の温度の様子が分かります。

紫外線は XMM-Newton 。 パルサーの周辺の様子が見えて来るはずです。

そして、電波で観測するのは、27基の巨大なパラボラアンテナが並ぶ、
アメリカ国立電波天文台 VLA グロリアさんの専門分野です。

豪華なラインアップですが、実現するのは、簡単な事ではありません。

“望遠鏡を使うためには、申請して、認められなければなりません”

“大体、半年前には、誰が使うか決められます”

“この日に使いたいから、お願いね!なんていう事は、無理なのです”

グロリアさんはたちには、さらに高い要望がありました。

それぞれ、できるだけ近い日に、撮影する事です。

なぜなら、かに星雲は、爆発の勢いで今も刻々と広がり続けているからです。

残念ながら、赤外線のスピッツァーだけは、スケジュールが合わず、2年前に
撮影された画像を使う事になりました。

しかし、それ以外の4つの望遠鏡は、同じ時期の画像が揃いました。

まずは、X線で捉えた画像。 リングの中心に、パルサーがあります。

パルサーの上下から、ジェットと呼ばれる、高速のガスの流れが噴き出して
います。 紫外線で捉えた画像。

パルサーによって生み出された、強い磁場と回転の影響で、電子などが光の
速度に近いスピードで飛び出し、周囲を光らせています。

パルサー風と、呼ばれる現象です。

ハッブルの特殊なフィルターを使用して撮影された画像です。

網状に広がるのは、爆発した恒星の一部です。 赤外線で捉えた画像です。

星雲の中のチリが、熱を放射している事が分かります。 そして電波のVLA。

27基のパラボラをつなぎ合わせると、巨大な電波望遠鏡に匹敵する解像度を
得る事ができます。

“これは、高い温度を捉えたものではなく、電波です”

“光の速さで飛ぶ電子が磁力線によって放射され、このような形になりました”

“驚いたのは、周囲の泡のような構造です”

“これは、パルサー風によって作られた事が分かりました”