2020年06月05日 (金) | 編集 |
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六分儀は、主に、航海で使われて来た道具です。
太陽などの天体と、水平線の角度を測り、自分たちの位置を割り出します。
“宇宙でも同じように、地球と星を指標にして、位置を把握できるのです”
飛行士は、毎日、宇宙で六分儀をのぞき込み、地平線と決められた天体との
角度を測ります。 慣性計測ユニットの位置と、誤差があれば修正します。
こうして、宇宙で自分の位置を正確に知り、目的地に向かう事ができるように
なったのです。
宇宙船の開発が進む一方でロケットの開発は大きな壁にぶつかっていました。
これまで、アメリカの有人飛行で最大のロケットは、タイタンⅡ。
タイタンⅡは、全高31.4メートル、積載量3.6トンでした。
しかしアポロ計画のロケット、サターンVは全高110.6メートル、積載量は30倍
以上の120トンを目指していました。
地球と月を往復するには、莫大な燃料や生命維持装置が必要。
それらを打ち上げるために、最強のロケットエンジンの開発が進められていました。
F1エンジンです。
F1エンジンのプロジェクトマネージャーだった、ソニー・モレアさんです。
モレアさんたちは、テストを繰り返しましたが、そのたびにF1エンジンは、爆発
していました。 なぜ、爆発してしまうのか?
調査の結果、燃焼が不安定になる事が、原因だと分かって来ました。
“燃えているロウソクを、思い浮かべてください”
“風がなくても、炎は、左右に揺れますよね? これが不安定燃焼です”
“空気中の酸素濃度が高い方に、炎が揺れるのです”
“通常、この揺れは、毎秒5~6回ですが、F1エンジンでは、毎秒2000回も
起こるのです”
巨大なエンジンノズルの内部で、炎は激しく波打ち、エンジンを破壊していた
のです。 打開策が見つからないまま、いたずらに時は過ぎて行きました。
そこで技術者たちは、原点に立ち戻ります。
F1エンジンの開発責任者は、ドイツから亡命していた、ヴェルナー・フォン・ブラウン
でした。 (1912-1977)
フォン・ブラウンは、第2次世界大戦中に、ナチス・ドイツでV2というミサイルを
開発していました。
V2は、ロンドンなどで数千人もの犠牲者を出した、恐るべき兵器です。
同時にV2は、世界初の宇宙ロケットでもありました。
第2次世界大戦後、アメリカもソビエトも、V2を参考にして、ロケットを開発して
いました。 V2は、宇宙ロケットの原点。
そこで技術者たちは、V2の構造を、改めて確認します。
V2では、燃焼が不安定になるものの、なぜ、エンジンが壊れないのか?
ある違いに気が付きます。 燃料の供給方法でした。
V2では、燃料を供給するインジェクターが、複数あったのです。
一方F1エンジンでは、インジェクターが1つの巨大な板の様になっていました。
そこでモレアさんたちは、1枚の巨大な板を複数の区画に分けてV2と同じ様に
してみました。 インジェクターに取り付けたのは、間仕切り板。
駄目でもともと。 彼らは、実験を行いました。
開発に残された時間が少ない為、エンジン内部に、ある仕掛けも施しました。
“中に爆弾を仕込んで、わざと不安定燃焼を起こしたのです”
“エンジンを起動させた直後に、爆発させました”
爆発によって、ノズルの中で燃焼が乱れました。
しかし、1秒も経たずに、不安定な燃焼は収まります。
“その後、テストを何度しても、エンジンが壊れる事はありませんでした”
技術者たちの知恵と努力で、準備が整いました。
アポロ8号の打ち上げが迫ったある日、技術者と宇宙飛行士による最終的な
確認作業が行なわれました。
その時、モレアさんは、船長のフランク・ボーマンに、訪ねられたと言います。
“君たちのエンジンで、安全にミッションが遂行できるのか?と聞かれました”
“私たちは、問題の全てを解決していました”
“でも、どうしても、安全だ!とは、答えられませんでした”
“すると、ボーマンは、こう言ったのです”
“君たちが、全力を尽くした事は分かっている。 僕らは準備が出来ている。
心配するなよ。 とね…”
そして、アポロ8号は、打ち上げられました。
しかしそれは、一歩間違えば命を失う、ピンチの連続でした。
人類初の月への旅で、何が起きていたのか? 迫ります。
六分儀は、主に、航海で使われて来た道具です。
太陽などの天体と、水平線の角度を測り、自分たちの位置を割り出します。
“宇宙でも同じように、地球と星を指標にして、位置を把握できるのです”
飛行士は、毎日、宇宙で六分儀をのぞき込み、地平線と決められた天体との
角度を測ります。 慣性計測ユニットの位置と、誤差があれば修正します。
こうして、宇宙で自分の位置を正確に知り、目的地に向かう事ができるように
なったのです。
宇宙船の開発が進む一方でロケットの開発は大きな壁にぶつかっていました。
これまで、アメリカの有人飛行で最大のロケットは、タイタンⅡ。
タイタンⅡは、全高31.4メートル、積載量3.6トンでした。
しかしアポロ計画のロケット、サターンVは全高110.6メートル、積載量は30倍
以上の120トンを目指していました。
地球と月を往復するには、莫大な燃料や生命維持装置が必要。
それらを打ち上げるために、最強のロケットエンジンの開発が進められていました。
F1エンジンです。
F1エンジンのプロジェクトマネージャーだった、ソニー・モレアさんです。
モレアさんたちは、テストを繰り返しましたが、そのたびにF1エンジンは、爆発
していました。 なぜ、爆発してしまうのか?
調査の結果、燃焼が不安定になる事が、原因だと分かって来ました。
“燃えているロウソクを、思い浮かべてください”
“風がなくても、炎は、左右に揺れますよね? これが不安定燃焼です”
“空気中の酸素濃度が高い方に、炎が揺れるのです”
“通常、この揺れは、毎秒5~6回ですが、F1エンジンでは、毎秒2000回も
起こるのです”
巨大なエンジンノズルの内部で、炎は激しく波打ち、エンジンを破壊していた
のです。 打開策が見つからないまま、いたずらに時は過ぎて行きました。
そこで技術者たちは、原点に立ち戻ります。
F1エンジンの開発責任者は、ドイツから亡命していた、ヴェルナー・フォン・ブラウン
でした。 (1912-1977)
フォン・ブラウンは、第2次世界大戦中に、ナチス・ドイツでV2というミサイルを
開発していました。
V2は、ロンドンなどで数千人もの犠牲者を出した、恐るべき兵器です。
同時にV2は、世界初の宇宙ロケットでもありました。
第2次世界大戦後、アメリカもソビエトも、V2を参考にして、ロケットを開発して
いました。 V2は、宇宙ロケットの原点。
そこで技術者たちは、V2の構造を、改めて確認します。
V2では、燃焼が不安定になるものの、なぜ、エンジンが壊れないのか?
ある違いに気が付きます。 燃料の供給方法でした。
V2では、燃料を供給するインジェクターが、複数あったのです。
一方F1エンジンでは、インジェクターが1つの巨大な板の様になっていました。
そこでモレアさんたちは、1枚の巨大な板を複数の区画に分けてV2と同じ様に
してみました。 インジェクターに取り付けたのは、間仕切り板。
駄目でもともと。 彼らは、実験を行いました。
開発に残された時間が少ない為、エンジン内部に、ある仕掛けも施しました。
“中に爆弾を仕込んで、わざと不安定燃焼を起こしたのです”
“エンジンを起動させた直後に、爆発させました”
爆発によって、ノズルの中で燃焼が乱れました。
しかし、1秒も経たずに、不安定な燃焼は収まります。
“その後、テストを何度しても、エンジンが壊れる事はありませんでした”
技術者たちの知恵と努力で、準備が整いました。
アポロ8号の打ち上げが迫ったある日、技術者と宇宙飛行士による最終的な
確認作業が行なわれました。
その時、モレアさんは、船長のフランク・ボーマンに、訪ねられたと言います。
“君たちのエンジンで、安全にミッションが遂行できるのか?と聞かれました”
“私たちは、問題の全てを解決していました”
“でも、どうしても、安全だ!とは、答えられませんでした”
“すると、ボーマンは、こう言ったのです”
“君たちが、全力を尽くした事は分かっている。 僕らは準備が出来ている。
心配するなよ。 とね…”
そして、アポロ8号は、打ち上げられました。
しかしそれは、一歩間違えば命を失う、ピンチの連続でした。
人類初の月への旅で、何が起きていたのか? 迫ります。
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