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最新の天の川銀河の姿から読み解く太陽大移動の奇跡の旅
2024年03月04日 (月) | 編集 |
第2296回「なんて言われようと譲れないことは?」
動き回る小さな点。 何だと思います? 実は、天の川銀河の星々です。
13億以上もの星の位置が、正確に配置されています。 さらに、一つ一つの
星の動きまで反映されています。

時間を早送りすることで、私たちの住む、天の川銀河の未来や過去の姿が
明らかになりました。 観測したのは、2013年に打ち上げられたガイア衛星。
星の位置と速度を正確に測定し、銀河の三次元マップを作りました。

データの分析から、天の川銀河の不思議な挙動が、明らかになってきました。
観測データの間違いかと思いましたよ。 更に、天の川銀河に属する私たちの
太陽にも、衝撃の事実が明らかになりました。

太陽は数十億年かけて、広大な天の川銀河の中を、外側へと旅をしていると
いうのです。 非常に危険な銀河の中心付近から少しでも早く脱出する必要
があった。 46億年の歴史の中で太陽と地球に、さまざまな試練が襲います。

銀河の中心部から、外側へ向かう太陽系が直面したのは、次々と起こる…
超新星爆発。 危機一髪で、すり抜けます。 爆発に巻き込まれなかったのは
本当に幸運でした。

太陽の壮大な旅は、私たち地球生命の進化とも密接につながっていました。
最新の天の川銀河の姿から読み解く、太陽の奇跡の旅に迫ります。
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ファイル-1 天の川銀河とガイア衛星
夜空に横たわる天の川。 その正体は、2000億以上もの恒星からなる銀河
です。 半径は5万光年。 太陽は中心から2万6000光年離れた、やや、
外れた場所にあります。

この巨大な天の川銀河の全体像をつかもうと、人類は挑戦を続けてきました。
最初に天の川を銀河として描いたのは、18世紀の天文学者のウィリアム・
ハーシェル(1738-1822)。 全天の星を円盤状にスケッチしました。

それから200年余り、望遠鏡の進化とともに天の川銀河の実態は、少しずつ
明らかになってきました。 銀河を構成する一つ一つの星。 それらは円盤の
上を、それぞれの位置を保ちながら整然と回り続ける。

まるで、止まることのないレコード盤のように。 しかし今、そんなイメージが
崩れつつあります。 そのキッカケは、2013年。 ヨーロッパ宇宙機関ESA
によって打ち上げられた、ガイア衛星です。

2台の高性能の望遠鏡を回転させながら、天の川銀河にある星々の位置を
精密に測定します。 13億以上の星の位置が、三次元空間に正確にプロット
された、天の川銀河です。 最も精度の高い銀河の地図です。

時間を早送りした時の、星の動きも計算されました。 一つ一つの星が、
さまざまな方向に動いている様子が見えます。 この地図をもとに、天の川
銀河の起源や、今後の進化の様子を知ることが、可能になったのです。

ガイアは、年周視差と呼ばれる手法で、星までの距離を測っています。 地球
とともに太陽の周りを公転しながら、一つの星を半年後に別の場所から観測
します。 2つの場所の角度と距離から星までの距離を決めることができます。

更に、何年も観測を繰り返すことで、星が空間上を、どのように動くのかも
知ることができるのです。 打ち上げから10年が経ち、今回、最新版となる
3回目のデータが公開されました。

ガイアのデータは、どのようなものなのか? 参加する研究機関の一つ、
オランダのライデン大学です。 データを取りまとめる責任者の教授です。

ガイア衛星のデータ処理は、約450人の科学者・ITスペシャリストなど、
ヨーロッパを中心に、世界で分散して行われています。 ESAが運営する
ウェブ上から、ガイアの研究アーカイブにアクセスできます。 天文学者だけ
でなく、一般市民も、誰もがアクセスできますよ。

18億もの恒星、一つ一つについて、位置や明るさをはじめ、温度・色・質量・
年齢など、膨大な情報を引き出すことができます。

ガイアより前から研究している人からすれば、ガイアによる変化は、まさに
驚くべきものです。 一方、ガイアより後に研究を始めた人には、データに
アクセスできない天文学の世界は、想像もつかないでしょう。

今日も世界各国の天文学者たちが、ガイアのデータと格闘しています。
データから天の川銀河の円盤に、異変が起きていることに気付いた研究者が
います。 バルセロナ大学の博士です。 博士がデータの中から見つけたのは
不思議な模様でした。

ガイアのデータを調べているとき、星の位置と速度を見てみたら、変な模様が
現れたのです。 浮かび上がった謎の渦巻き模様。 ガイアで近くにある
100万個の星の動きを観測。

円盤に対して上下方向の速度に注目して、グラフ上にプロットした結果、
渦巻きが現れたといいます。 この謎のグラフを、円盤状の星の動きに変換
してみると、大きく波打ちながら回転したり、小さく波打ちながら回転する星の
集団が存在していました。

最初は、しまった、どこでミスしたのだろう。 データに間違いがあったのかな
と思いました。 でも同僚たちと、なぜ、この渦巻きが現れているのか話し
合っていくうちに、突然、これが真実だと気付いたのです。

博士は、この渦巻き模様は、ある特殊な状況を想定した時、現れることを突き
止めました。 銀河の円盤に、かつて何かがぶつかり、その衝撃が円盤の星を
一斉に動かしたと想定したのです。一体、いつ何がぶつかったのでしょうか?

その答えは、シミュレーションから明らかになりました。 まず、衝撃を受けた
星々が、円盤の水平面より低い位置に、固まりで現れたと想定しました。
そこから、時間を進めていきます。

星の固まりは、円盤の回転とともに移動していきます。 グラフの外側を回る
星ほど、重力が弱くなるため、移動が遅れていきます。 時間を進めていくと、
渦巻模様が現れました。

時間が経つにつれ、渦巻きの形は巻かれて行きます。 つまり、渦巻きの巻き
具合から、いつ、衝撃が起きたのか時期を明らかにできるのです。
その出来事は、およそ3億年から9億年前に起きたと分かりました。

その頃、銀河にぶつかったものの正体も見えてきました。 その時、何が起き
たのか明らかにする研究と出会いました。天の川銀河の外側を回る、いて座
矮小銀河の軌道研究です。
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天の川銀河は現在、周囲を、いくつかの小さな銀河に取り囲まれています。
そのうち最も近い位置にあるのが、いて座矮小銀河です。 直径は1万光年、
質量は、天の川銀河の僅か1000分の1ほど。

天の川銀河の周囲を旋回してきた事が分かっています。 いて座矮小銀河が
ちょうど、その時期に、私たちの銀河の近くにあったことが分かりました。
いて座矮小銀河は、天の川銀河を周回し、ちょうど、その時期、円盤に最も
近づいて、星々に大きな衝撃を起こしたと考えられます。時期もピッタリです。

数億年前、いて座矮小銀の接近で発生した衝撃波が、今も星々を波のように
揺らしていたのです。 そして、その振動には、太陽も巻き込まれているはず
だといいます。

太陽が影響を受けている可能性は高いです。 なぜなら太陽は、いて座矮小
銀河との接近と衝撃が起きる、はるか前に誕生しています。 そして、この時の
衝撃の余波が別の場所でも発見されている事から銀河全体に影響を与えた
ことが分かっています。

天の川銀河の星々と太陽は、今も、いて座矮小銀河による影響を受けている
のです。 さらに遡ると、この、いて座矮小銀河は天の川銀河の星の誕生にも
深く関わっていることが見えてきました。

スペインの南部、中世の町グラナダです。ガイアデータをもとに天の川銀河の
歴史を調べている、グラナダ大学の博士です。

最初に、ガイアのデータベースへと飛ぶと、そこには銀河の星を研究するなら
誰もが夢見るような、膨大な量の情報が含まれていました。 博士がガイア
衛星のデータから調べたのは、天の川銀河の星の年齢分布でした。

天の川銀河の歴史という大きな謎を紐解くには、一歩ずつ、答えを探していく
必要があります。 我々が、まず明らかにしたかったのは、いつ、どのくらいの
星が誕生したのかです。

ガイアでは、星の位置や動きのほかに、色と明るさも観測しています。 星は
色と明るさでタイプが分類され、それぞれ寿命が異なります。 青く明るい星は
寿命が短く、赤い星の中でも小さく暗い星が、最も寿命が長くなります。

星の色と明るさから、どの年齢に相当するかを計算できるのです。 博士は、
ガイア衛星が観測した膨大な恒星について年齢を導きグラフを作成しました。
表れたのは、予想外の結果でした。 博士のグラフです。

横軸は、銀河が誕生した130億年前から現在までの時間。 縦軸は、時間
当たりに生まれた星の数、星生成率です。 銀河が誕生した130億年前に
多くの星が生まれ、少しずつ数が減少していきます。

そして、その先に、星が大量に生まれるピーク、いわば、ベビーブームが3回
訪れていたのです。 ピークが3回も現れるとは、全く予想外でした。

すべてを再確認しましたが、やはり結果は同じでした。 これは実際に起きた
出来事です。 60億年前に、突然、星の爆発的な誕生が見られ、そして、また
数が減って行きます。

更に、20億年前と10億年前にも、急激に星が誕生していました。 想定外の
3つのピーク。 この時期、天の川銀河に何があったのでしょうか?

銀河で星が大量に生まれる現象をスターバーストと呼びます。スターバースト
現象が最も激しく起こるのは銀河と別の銀河が接触した時です。 銀河同士の
持つ星間ガスが混ざり合って濃くなることで、星が次々と生まれるのです。

現在も天の川銀河が接触しているのは、いて座矮小銀河です。天の川銀河と
いて座矮小銀河。 これまで、どのように接触してきたのでしょうか?

その痕跡は、天の川銀河の周囲を取り巻く星やガスの帯、ストリームとして、
宇宙空間に残されています。 ストリームから、いて座矮小銀河の軌跡を
描いてみると最初に天の川銀河と接触した60億年前、星が大量に生まれて
います。

星の誕生は、20億年ほどかけて銀河全体に及び、そのころに太陽も生まれ
ました。 その後、ゆっくり天の川銀河を旋回し再び接触したのが20億年前。
さらに、もう一度、接触したのが10億年前。

銀河同士が接触した時期と、星が爆発的に誕生した時期とは、ピッタリと
重なりました。 過去数十億年、いて座矮小銀河は、天の川銀河の進化に
最も影響を与えた陰の主人公といえます。

いて座矮小銀河によって、天の川銀河に大量に発生した恒星。 そして、
46億年前に誕生した私達の太陽も、そんな恒星の中の1つである可能性が
出てきました。

いて座矮小銀河との接触がなければ、そもそも、太陽は誕生する予定が
なかった可能性があります。 もちろん、100%断言はできませんが…。
個人的には、そうであると思っています。

今こうして、ここで話しをしているのも我々の銀河と、いて座矮小銀河の接触
という、60億年前の出来事のおかげなのだと。

いて座矮小銀河との接触によって、天の川銀河は、激しく揺らぎながら多くの
星を誕生させてきました。 私たちの太陽も、そんな星の一つであることが
見えてきました。

最新のデータから、少しずつ解読が進む天の川銀河と太陽の歴史。 さらに、
この先、予想もしなかったストーリーが、浮かび上がってきます。
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ファイル-2 太陽移動説と旅立ち
ガイア衛星が解き明かす、天の川銀河の歴史。 その中で太陽は一体どんな
半生を送ってきたのでしょうか?国立天文台の教授は、銀河や星の化学組成
を専門としています。 教授は、特に太陽に注目して研究を重ねてきました。

ガイア衛星によって、個々の星の年齢というものが、正確に測れるようになり
ました。 その中で太陽というのは、年齢は46億歳ですので、中年層的な
位置付けになるかと思っています。

私は、その化学組成を分析・解読する事を研究の要にしている訳ですけども
その中で太陽というのは無数といえるほどの星の中で極めて標準的で、言い
換えれば、平凡な星だと考えられているわけです。

広大な銀河の中で、中年の平凡な星である太陽。 しかし太陽には、ほかの
星と違う大きな謎があるといいます。

実は、太陽の金属量と年齢、この2つの観点からすると、太陽というのは
特別な星であるということが見えてきます。 太陽の金属量というのは太陽の
年齢を考えると、非常に謎めいているということがいえるわけです。

太陽の金属量の謎とは、どんな謎でしょうか? 星の金属量を調べるためには
光の波長を分析します。 光のスペクトルから、星の内部に含まれる物質と
その量を、測ることができます。

水素とヘリウム以外の物質の量が星に含まれる金属量になります。金属量を
決めるのに重要となるのが、星の生まれた環境です。 星は、死ぬ間際の
超新星爆発で、外部で作られた金属を宇宙空間に放出します。

その放出された金属を含むガスから、新たに若い星が誕生します。 つまり、
宇宙のどの場所でも、後から生まれた若い星ほど内部の金属量が多くなり
ます。

ところが46億歳の年齢を持つ太陽は近くの若い星に劣らないほど金属量が
多いというのです。 なぜ、太陽は金属量が多いのか? 長年、大きな謎と
されてきました。

太陽の金属量に謎があるというものが最初に提案されたのは、1996年の
ヴィーレンさんの論文によるものだと思っています。 つまり、現在の場所では
本来ならば、通常の枠組みの中では太陽の金属量は、若い星よりも、必ず
少なくなるはずなのです。 それが、少なくなってないという…。

それは、どういうことなのか? という視点からヴィーレンさんは太陽移動説を
唱えたわけです。

金属量の謎を解く、太陽移動説。 一体、どんな説でしょうか? これは、
ガイア衛星が捉えた、天の川銀河の金属量を示した図です。 中心部が赤く
なっています。 星の密度が高く次々に超新星爆発が起こるため、金属量が
多くなっているのです。

太陽が、周囲の星より金属量が多いのは、銀河の中心部から移動してきた
ためではないか? これが、太陽移動説です。

ドイツ南部の都市ハイデルベルク。 太陽移動説を唱えた博士は、85歳に
なった今も、研究活動を続けています。 博士は、1996年の論文の中で、
太陽移動説を提唱しました。

今日の天の川銀河では金属量が内側から外側に向かって減少しているのが
知られています。 観測された金属量をもとに、博士が作成したグラフです。
縦軸は、太陽をゼロとした金属量です。 横軸は、銀河中心からの距離。
1キロパーセクは、およそ3260光年。 銀河の半径は15キロパーセクです。

太陽は8キロパーセクの位置にあります。46億年前に誕生した星の金属量の
平均は、青い線で示されます。 現在の値をもとに、本来、太陽があるべき
場所を求めると、より中心部に近い、この位置であるというのです。

その時の太陽の化学組成を調べると、今の太陽の距離から2キロパーセクは
内側にあることが分かります。 博士は、なぜ、太陽移動説を発想したのか?
それは、1970年代の研究に遡るといいます。
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長い間、天文学者は太陽系の惑星が決まった軌道を描くように銀河の星々も
円盤上を滑らかな軌道で均等に動いている、乱れるとしても、ごく僅かだと
いう考えを持っていました。

しかし、天の川銀河の星たちは、誕生した場所の軌道から次第に外れていく
のではないかと、博士は考えました。 1977年、博士は、天の川銀河の星は
拡散するという論文を発表します。

星は、最初のうちは、円軌道を保って回っています。 しかし軌道上で重力を
乱す空間に遭遇することで、もとの円軌道を、ズレていくというのです。

この星の拡散は、太陽だけでなく、すべての星に共通するプロセスです。
そのため、天の川銀河の中で、星が交ざり合ってしまうのです。

星が拡散する中で、太陽は、中心部から現在の位置まで移動をしてきた。
博士によって示された太陽の大移動。 しかし、どの様な旅をしてきたのかは
当時、全く未知数だったといいます。

どうやら太陽は我々の知らないステージを乗り越えてきました。 そして孤独に
銀河系を、さすらってきたのです。

博士が示した、太陽の移動と星の拡散。 国立天文台の教授は、最新の
データをもとに、太陽移動説を証明しようと研究を開始しました。

太陽双子星といわれる星があります。 それは、どういう星かというと見た目
には太陽と、うり二つの星なのです。 見た目には何の違いもありません。
それは、太陽の… 金属量も同じなのです。

つまり、どういうことかというと、2つの星の化学組成が同じであれば、同じ
環境で生まれたことを意味します。 その化学組成が、太陽と全く同じである
星というものを、私は13個、見つけることができました。

太陽と同じ環境で誕生した星を抽出し、より精緻に太陽の生まれた場所を
はじき出したのです。 教授の導き出した太陽の生まれた場所は、銀河中心
から4キロパーセク、およそ1万3000光年離れた場所です。

博士が出した距離よりも、更に内側です。 しかし、あまりにも中心に近いため
問題が浮上しました。

実は、驚いたことでありまして、銀河の中心というのは、星がいっぱいあって
なかなか外に出ることは難しい話しなのです。 実は、我々、ポテンシャルと
呼んでいますけれども、銀河の中心はポテンシャルが、ぐっと深いので、その
ポテンシャルを出て行く… 重力場というのですが、重力場を出て行くと
いうのは、なかなか難しいはずだと、思っていたのですけれども…。

果たして、天の川銀河の中心部の強い重力を抜け出して、太陽が現在の
位置まで来ることはできるのか?教授は国立天文台の研究仲間の准教授に
協力を依頼しました。

准教授の専門は、スーパーコンピューターを駆使した天の川銀河の構造分析
です。 准教授にとって、天の川銀河の中心部は最も関心が高い領域でした。
ガイアの観測データから、銀河の中で星が密集している部分を、光らせた図
です。 太陽周辺の領域では、観測される星が多いため明るく光っています。

同じくらい星が密集し、光っているのが銀河の中心部。そこにバーと呼ばれる
棒状構造が浮かび上がりました。

今回、ガイアのデータが出てきて銀河系の中の中心の所に本当に、ちゃんと
棒状構造があるってものが、マップとして得られてきているというのが、すごく
衝撃的で。  さらに、観測によってバーの回転速度がわかりました。
そのことから、重大な事実が明らかになったのです。

銀河中心部にある、ラグランジュ半径と呼ばれる、巨大バリアの存在です。
バーの回転とともに、星を強い重力で捉えているエリアです。 ラグランジュ
半径は、中心部からの距離、6.5キロパーセクに相当します。
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一方、教授が導いた太陽の誕生場所は、中心部から4キロパーセク。
星は、バーの回転とともに、6.5キロパーセクの位置までは移動できますが
ラグランジュ半径を越えるのは困難だといいます。

太陽系というのは、現在のバーのラグランジュ半径… ポイントよりも内側で
出来たということが考えられる。 そういうのを、どうやって持ってくるのかと
いうのは、すごく難しい。

銀河中心部の強力なラグランジュ半径を、太陽は、どのように抜け出す事が
できたのか?そのために必要だったものが銀河を構成する、もう一つの要素
渦状の腕の形に星が集まった、渦状腕(かじょうわん)です。

天の川銀河を形づくる、何本もの腕。 スパイラルアームとも呼ばれる、この
渦状腕は、これまで常に同じ形のまま動くものと考えられてきました。 しかし
准教授は、最新のシミュレーションとデータから、渦状腕を新しい姿で捉え
直しています。

新たな観測データをもとに、2022年に作成された、天の川銀河のシミュレー
ション映像です。 国立天文台のスーパーコンピューターを駆使して、数千
万個の星の運動を視覚化した、最新の天の川銀河の姿です。

中心部で回転するバーと連動して、渦状腕が複雑に生まれたり、消えたり
しながら、形を変えていくのが分かります。 渦状腕は10億年ほどのスパンで
誕生と消失を繰り返すものであることが分かってきました。

どんどんと、渦巻き構造… 巻き込まれていってしまう。 でも、巻き込まれて
いって、消えていくのだけども、また、そのあと別のスパイラルアームという
ものが出てきて、新たなスパイラルアームが存在して、そいつも、また、巻き
込まれながら消えて行って、消えて行って、また、新しいものが出てくるという
ような、そういうことが起きているのだというふうに思っています。

この、誕生しては消えていく渦状腕がラグランジュ半径の外側へ太陽を連れ
出したと、准教授は考えています。 シミュレーションによると、ラグランジュ
半径の外側、白いエリアに、緑色の星が捉えられています。

赤い渦状腕が形成され、緑色の恒星を引っ張っています。 やがて渦状腕が
恒星を外側に引っ張り、ラグランジュ半径の外へ飛び出して行きます。

渦状腕からのトルクが働いているのです。 トルクというのは、中心向きでは
なくて回転方向に働く力。そういうのが働くとスピードが上がって、より外側に
飛び出して行くということです。

多くの星はバーの重力圏内である中心部に、とどまり続けます。 しかし、その
中で太陽は渦状腕からの力を受けて、銀河の外側へと飛び出したのです。

およそ20億年前、ラグランジュ半径の外側へと、旅立つ道を進んだ太陽。
この旅立ちがなければ、今の私たちの環境は、なかったかもしれません。

実は、生命の誕生と太陽の移動というのは、非常に密接な関係があります。
太陽系が銀河の中心近くで生まれるという事は、非常に重要な意味を持って
おりまして、それは、どういうことかというと、数十億年前に太陽系の金属量を
持っていたのは、銀河中心近くだけです。

一方で、太陽系が生まれるための条件として考えられているのは、十分な
金属量です。 太陽系が生まれるためには、それは銀河中心付近になくては
いけなかったということが一つです。

太陽系が持つ豊かな惑星系。 鉄や岩石等の金属が集まって出来ています。
銀河中心部に、豊かな金属量があったからこそ、地球が誕生し生命が生まれ
ました。一方で、銀河の中心にとどまる事は生命にとって危険を意味しました。

銀河の中心近くでは、星の個数は、非常に密度が高いのです。 たくさんの
重い星がある確率が非常に高くなります。 重い星が、たくさんある、つまり、
超新星爆発が、近傍で起きる可能性が、非常に高いことを意味します。

この超新星爆発というのは、生命の誕生・進化を阻止します。 ですので、
太陽系というのは、非常に危険な銀河の中心付近から少しでも早く脱出する
必要があったわけです。

かろうじて、危険な銀河の中心部を抜け出すことができた太陽。 しかし、
太陽の旅は、この後も、生命に、さらなる試練を与えることになります。
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ファイル-3 太陽 はるかなる旅路
20億年前、渦状腕に引っ張られて、中心部を抜け出した太陽。 銀河の外側
への太陽の旅は、私たちの地球にも激変を引き起こしました。 太陽が銀河を
移動していく中で渦状腕と遭遇するたびに太陽系には大きな影響があったと
教授は考えています。

渦状腕の中には、たくさんの… 質量の重い星が、たくさんあります。 そして
やがてそれは超新星になります。 その結果、渦状腕の中では超新星爆発が
頻発が起こります。超新星爆発が起きると、その超新星爆発の際に宇宙線が
大量に発生します。

渦状腕と遭遇するたびに、大量の宇宙線が太陽系にそそがれ、地球にも
降り注いだというのです。

宇宙線というものは、大気の中に雲の増加を促すことになります。その結果、
地球の寒冷化、ひいては、地球の全球凍結という現象が起きることが期待
されます。

全球凍結。 厳しい寒冷化によって地球全体が氷に覆われ、真っ白な氷惑星
となる現象です。 22億年前と7億年前、6.5億年前の3回、起こったことが
地層から確認されています。 なぜ、全球凍結が起こるのか?

そのメカニズムには、諸説があります。 教授は、この全球凍結が渦状腕と
太陽との遭遇によって引き起こされたと考えています。

全球凍結というものの因果関係というのが、ほとんどが、地球内部に要因を
求めるものです。 それが主流であったわけですけれども、今回は、その地球
内部ではなくて、外部に、その要因を求める。 つまり、これは地球の外の
銀河の中で起きた現象であるということです。

シミュレーションをもとに、太陽の移動と、全球凍結との関係を見てみます。
オレンジの線は、銀河の中心部からの太陽の移動距離です。 行きつ戻りつ
しながら太陽は、銀河円盤の外側へ進んできました。

このルートをもとに、太陽周辺の星間物質の濃さを示したグラフです。 この
数値が高い時は、渦状腕の内部を通っています。 太陽が渦状腕の内部を
まさに通過している時に、全球凍結が起こっていました。

全球凍結イベントは生物の大量絶滅、そして飛躍的な進化と密接に関わって
います。 大気の酸素濃度の変化です。 22億年前の全球凍結後、大気中の
酸素濃度が、急激に増加。 その結果、私たち人類につながる真核生物が
誕生しました。

また、6.5億年前の凍結後、エディアカラ生物群と呼ばれる大型生物が大量
発生しています。 全球凍結は、生命の危機であるとともに、進化を促す
キッカケでもありました。

まさに、渦状腕との遭遇によって、地球は試練を与えられて…しかし、その…
ご褒美ではありませんけど、その結果として、生命の飛躍的な進化を与え
られたと言っても、いいかもしれません。

巨大な銀河の渦の中を、生命を育みながら、旅してきた太陽。 この先どんな
旅をするのでしょうか? そのカギは、やはり、ガイア衛星の観測から見えて
きました。

アメリカのボルチモアにある、宇宙望遠鏡科学研究所。 博士らのグループが
ガイアデータの中で注目したのは、宇宙空間に漂う星間ガスでした。

星間ガスの雲は私たちの周りにある、すべての星の光に影響を及ぼしている
煙のようなものと考えることができます。 ガイア衛星は、ガスが星の光に
与える影響を、精密に測定できるため、星間ガスの3Dマップを実際に作成
することができました。

星間ガスの塊を立体的に視覚化することで見えてきたのが、泡状の構造物、
通称ローカルバブルです。 博士によるバブルのCGです。 大きさは、およそ
1000光年に相当します。

泡の表面に光るのは、生まれたばかりの若い星々です。 そして私たちの
太陽はバブルの中心に位置していることが分かりました。 太陽は、どうやって
バブルの中心に、やって来たのか?
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すべての始まりは、遡ること1400万年前。 現在のバブルの中心で連鎖的な
超新星爆発が起こりました。 爆発の衝撃波によって濃度の高い星間ガスの
泡が、急速に巨大化していきます。

1400万年前から、強力な超新星爆発が相次いで起こったと、私たちは考えて
います。 これらの超新星爆発は衝撃波を引き起こし、この波がガスの表面を
外側に広げました。 そして、密度の高い星間ガスの巨大な泡構造が、形成
されました。

太陽の移動ルートです。 超新星爆発直後、太陽は、離れた場所にいました。
そして今から500万年前に、膨らんできたバブルに入り込み、現在の位置に
たどりつきました。 太陽が爆発時に、もっと近くにいたら、巻き込まれていた
ことになります。

私たちのすぐ近くで爆発しなかったのは、非常に幸運だったということです。
なぜなら、もしバブルの膨張の原動力となった超新星が、太陽の近くで爆発
したら、大量絶滅を引き起こし、生命は地球から姿を消してしまったかも知れ
ないからです。

太陽がバブルに突入したのは、およそ500万年前だといいます。 その時、
何が起こったのでしょうか?

太陽がバブルの表面を横切るとき、高密度の星間ガスを通過することになり
ます。 高密度の雲が太陽圏と呼ばれる宇宙放射線を防ぐエリアに、影響を
与えたはずです。

太陽からは、大量のプラズマ粒子が、太陽風として放出されています。
この粒子の固まりが届く範囲を、太陽圏と呼びます。 太陽系の惑星は、この
太陽圏によって外から来る宇宙放射線から守られています。 しかし高密度の
星間ガスは、この太陽圏を押し返してしまうというのです。

太陽圏が、地球を守れなくなるほど小さくなると、地球は多くの宇宙放射線に
さらされることになります。

およそ500万年前、太陽系は、大量の宇宙放射線にさらされた可能性が高い
というのです。 500万年前といえば、人類の祖先が誕生し、しばらく経った頃
です。

人類の進化の過程に、この時の宇宙放射線が、どんな影響を与えたかに
ついては、まだまだ議論の余地があります。 しかし、間違いなく言えることは
宇宙放射線が地球規模の寒冷化を引き起こし、環境にも影響を及ぼしたこと
です。

バブルに突入した際に、太陽系が浴びた放射線。 地球の環境、そして、
すでに地上にいた私たちの祖先に、どんな影響を与えたのか? 今後の
解明が期待されています。

そして現在、太陽はローカルバブルの中心にいて、旅を続けています。 次に
バブルを抜け出すのは、およそ700~800万年先だといいます。

私たちは今、間違いなく、天の川銀河で最も安全なルートの一つを旅している
といえるでしょう。 2本の渦状腕の間にいて、バブルの中心にもいるわけ
ですから。 銀河の非常に穏やかな環境にいるといえます。

銀河中心部からの移動の果てに私たちの太陽系は、つかの間、バブルに
包まれた安全な場所を旅しています。

バブル突入後の500万年間で人類は進化し、こうして太陽の旅を知ることが
できる文明を築きました。

自然の摂理が… まさに銀河の力学が、それが地球の… 太陽の移動を
可能にし、かつ、その太陽系の中で地球の生命を可能にした。 地球が存在
する。太陽系が存在する。 銀河系という非常に大きな枠組みの中で、この
地球を、ふかんし、検証・考えなくてはいけない。 そういう時代が現在、
到来していると思っています。

46億年前、惑星の材料が豊富な銀河中心部で生まれ、外側へ飛び出した
太陽。 その旅は、一貫して危険と隣り合わせでした。 渦状腕との遭遇。
そのたびに襲いかかる超新星爆発。

旅の道筋が、私たち生命の絶滅と進化に、大きな影響を与えていました。
私たち地球生命は、この先も、太陽の旅とともに生きていきます。