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次々と新たな宇宙の姿を映し出すジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の成果
2024年02月19日 (月) | 編集 |
第2296回「なんて言われようと譲れないことは?」
息をのむような美しい色彩を放つ星雲。 これまで見た事もないような銀河の
渦巻き模様も、捉えられています。 いろんな、僕たちが知らないようなことも
次々と見つかって来て非常に…天文学の革命が今、起きているような状況に
なっています。

多くのことを学んでいます。 今、天文学者でいられることはエキサイティング
です。 撮影したのは、大気のない宇宙空間に打ち上げられた、ジェイムズ
ウェッブ宇宙望遠鏡です。 観測を始めてから、1年が経過。

その活躍は、とどまるところを知りません。 宇宙誕生間もないころの最も遠い
銀河の記録も更新。 さらに、これまで考えられてきた宇宙論に、修正を迫る
新事実も見つかりました。

とても興奮して、これを、ユニバースブレイカーと呼びました。 これを説明する
には、今までのいくつかの考えを修正する必要があるのです。

今、次々と新たな宇宙の姿を映し出す、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡。
その1年目の成果に迫ります。
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ファイル-1 宇宙の始まりに挑む!
アメリカ東部の街、ボルチモア。 ここが、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の
拠点です。 コントロールルームでは、24時間体制で、望遠鏡との交信が
行われています。  “今、オーストラリアと接続しました。 キャンベラにある
直径34メートルの巨大なアンテナが、ジェイムズウェッブを追跡中です”

ジェイムズウェッブは、地球から150万キロ離れた第2ラグランジュポイントで
観測を行っています。 太陽と地球の引力と遠心力が釣り合うため、最小限の
燃料消費で軌道を維持できます。

地球の自転に合わせて、アメリカ・オーストラリア・スペインのアンテナを切り
替えることで、いつでも望遠鏡からデータを受け取ることができます。 その
データは、画像処理の担当者に送られます。

波長ごとの画像から、カラー画像を作成します。 完成した画像の多くが、
すぐに世界中に公開されます。 研究者だけでなく、誰でも見ることができる
のです。 観測は、1年ごとの提案制。

初年度には、世界中の研究者から、1200件の提案が寄せられました。
研究者にとって、ジェイムズウェッブは、今、最も熱い望遠鏡なのです。

私たちは、自分のためだけではなく、人類のためにジェイムズウェッブを運用
しています。 アイデア次第で、この望遠鏡を利用して、誰でも新しい研究が
できます。 私たちは常に、提案を募集しています。 そのため良いアイデアを
持つ人が多ければ多いほど科学は、より進歩するはずです。

ジェイムズウェッブによって、大きく解明が進むと考えられる謎が、2つあり
ます。 1つは、宇宙に最初に誕生した星、ファーストスターから迫る、宇宙
初期の謎。 もう1つは、系外惑星を詳しく探査して迫る、生命誕生の謎です。

すでに、系外惑星の大気中から、二酸化炭素の存在が確認されています。
生命活動のカギを握る更なる物質の発見に大きな期待が寄せられています。
一方、宇宙初期の銀河の発見も相次いでいます。

今回は、宇宙の始まり、その最前線を見ていきます。 宇宙は、138億年前に
始まったと考えられています。 ビッグバンのあと、星も銀河もない暗黒時代が
訪れます。

漂っていた水素やヘリウムが集まり、第1世代の星、ファーストスターが
生まれます。 星は、銀河の中で生と死を繰り返し、ほとんどの銀河は、
第2世代以降の星で占められるようになりました。

私たちが住む、天の川銀河の星も、そして太陽も、世代交代をした星です。
私たちは、まだ、ファーストスターを目にした事がないのです。 宇宙の歴史の
中で、大きな謎に包まれている暗黒時代。

その時代を理解するカギとなるのが、最初にできた星、ファーストスターです。
ファーストスターを観測できれば、星が、どのように生まれ、今の宇宙につな
がっているのかを、理解することができるのです。

これは、私たちの歴史、宇宙の歴史、すべての起源に当てはまります。
我々は、どこから来たのか? ビッグバンから銀河の中の惑星にいる私たち
まで、どのように進化してきたかという広大な1つの歴史になっていくのです。

宇宙の始まりを見ることは、宇宙の最も遠くを見ることを意味します。 過去の
ある瞬間に放たれた光は、秒速30万キロの猛スピードで進みますが、その
間も時間は進みます。

離れた所にいる観測者が目にするのは、現在ではなく、過去の姿です。
その為、遠くを見ることができれば初期の宇宙を探求する事ができるのです。

宇宙のかなたの光を捉えるために、100億ドルをかけて開発されたジェイムズ
ウェッブ。 従来の望遠鏡と比べて観測装置にも、さまざまな工夫が凝らされて
います。ハッブル宇宙望遠鏡は主に目に見える光、可視光を捉えていました。
一方、ジェイムズウェッブは、主に赤外線を捉えて観測します。

宇宙は膨張しています。 光が進むにつれて、光自体が引きのばされます。
それを赤方偏移(せきほうへんい)と呼んでいます。 なぜなら波長の長い光は
赤くなるからです。 ジェイムズウェッブが、赤外線望遠鏡であるゆえんです。

遠い天体から放たれた光は宇宙空間の膨張によって波長が引きのばされる
という性質を持っています。 可視光で放たれた光は、100億光年以上かけて
地球に届くころには、波長が引きのばされて赤外線に変わります。

つまり遠くの天体を観測するためには赤外線を捉える事が不可欠なのです。
これまでに観測できた最遠方の銀河は、ハッブルが見つけた、GN-z11銀河
でした。 およそ134億年前、つまり宇宙の始まりから4億年後の光を捉えた
画像です。 ハッブルでは、この解像度が限界でした。

ジェイムズウェッブが目指すのは、このさらに先、誕生まもないころの宇宙
なのです。 最遠方銀河を狙っている研究チームの一人が、カリフォルニア
大学にいます。 最遠方の銀河を見つけるために、目を付けたエリア。
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それが… ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド。 かつて、ハッブル宇宙
望遠鏡が観測した領域で、視野に明るい星が少なく、遠くの銀河が見やすい
エリアです。 教授は、この中から遠くにあると思われる4つの銀河を候補に
挙げ、その距離を特定することにしました。

銀河のスペクトルの中に、ライマンブレイクと呼ばれるサインが見えますね。
これは、その場所の紫外線を吸収した、非常に特徴的なサインです。 この
ライマンブレイクが発生する場所で、銀河の距離が正確に分かるのです。

銀河の距離を特定するときに使う、ライマンブレイクとは、どのようなもので
しょうか? 銀河から光が放たれます。 この時、波長の短い紫外線の光は、
宇宙空間にある中性水素ガスによって吸収されます。 これがライマンブレイク
という現象です。

ライマンブレイクが起きる紫外線の位置は遠い銀河ほど、より赤く観測される
ため、ライマンブレイクの観測波長から、銀河の距離が特定できるのです。
こちらが、赤外線で取得した、4つの銀河のデータです。

横軸が波長で、縦軸が明るさを示しています。 この明るさが急激に変化して
いる所が、ライマンブレイクです。 ライマンブレイクの観測波長の比較です。
上の銀河ほど、より赤い、つまり、より遠い銀河であることを示しています。

一番上の銀河は135億年前、宇宙誕生から、3億年後の銀河であることが
判明しました。 こちらが、その最遠方の銀河。 ハッブルが捉えていた
GN-z11銀河から、1 億年遡ることができました。(JADES-GS z13-0)

ジェイムズウェッブは、本格稼働から、たった1年で最遠方銀河の記録を更新
したのです。 現在、知られている中で、最も遠方の銀河を見つけました。
ビッグバンから僅か3億2000万年後に生まれた、初期の銀河を発見できて
とても興奮しています。

さらに、その記録を塗り替えようとする研究者が日本にました。 東京大学の
宇宙線研究所の助教で、遠方銀河を観測する専門家です。助教はジェイムズ
ウェッブが世界中に公開した画像から、最遠方の銀河を探し出そうとしました。
注目したのは、ステファンの5つ子と呼ばれる、銀河が集まった画像です。

それが、この天体になっていまして、これが、僕たちが見つけた中で、一番、
昔の銀河の候補、136億年前の銀河の候補になっています。

教授たちが見つけた銀河は、135億年前の銀河でした。 今回、発見した
銀河は、さらに1億年遡る可能性があるのです。 助教は、まず、ステファンの
5つ子のデータを、解析ソフトに読み込ませました。

そして天体の明るさや位置を数値化。 その結果、およそ100個の遠方銀河の
候補が見つかりました。 しかし、ここからの作業が大変だったといいます。

こちらは、銀河の候補だと言っているものになっているのですけども、これ、
実際に画像を見てみますと、銀河の形とは全然、ほど遠いものになってます。
これ、なぜかといいますと、宇宙から降り注いでいる宇宙線によって、この
検出器が反応してしまって、その結果、現れたものになっています。

こういうもの… 機械だと、これ、昔の銀河… 銀河かもしれないということ
判断してしまうのですけれども、実際に、これ、僕たちの目で見ると、いや、
これ、全然違うよということになりますので、こういう天体を、どんどん除いて
行かないといけません。

一つ一つ自分の目で見て、機械が誤認識したデータを省いていきます。
作業を進めること2週間、ある銀河に、たどりつきました。 それはステファン
の5つ子の左下の、この辺りにありました。 136億年前の銀河の候補です。

さらに、観測を進めて距離が特定できれば、最遠方銀河の記録を更新する
ことができます。 このジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡も本当に、一言でいい
ますと、すごいです。 感動するぐらい、すごいです。

僕たち遠方銀河、昔の銀河を研究している研究者が、この10年、20年ぐらい
ずっと、ずっと、見たい、見たいと思っていたものを、どんどん、どんどん見せて
くれる。 もっと、もっと昔の137億年前の銀河の候補とかも、どんどん探して
いく。 どんどん、ステップ・バイ・ステップで、どんどん昔の宇宙に遡っていき
たいと思っています。

遠方銀河の発見を支えている装置が、近赤外線カメラ、ニアカムです。
その仕組みは、まずジェイムズウェッブの大きな鏡が集めた天体の光を反射
させて、装置に取り込みます。

それから赤外線を波長の長さによって二手に分けます。短い波長の赤外線は
右上の方向へ、長い波長の赤外線は、まっすぐ進みます。その後フィルターを
通過して、観測に必要な波長域が選別されます。

最後に、それぞれの光が2つの検出器に入り、赤外線の波長ごとのデータが
取れるのです。 この2つの検出器を用意したのが、従来のカメラと大きく
異なる点です。
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長い波長を分けて捉えることで、より遠い星からの微弱な赤外線を正確に
測れるようになりました。 そのニアカムの観測から、予期していなかった
事実も見つかりました。

ペンシルベニア州立大学の助教は、オーストラリアやヨーロッパの研究者と
遠方の宇宙を調べています。 これは、ジェイムズウェッブが撮影して最初に
公開された画像です。初めは信じられませんでした。私たちは、この望遠鏡を
何十年も待っていたのです。

助教が気になったのは、131億年から133億年前とみられる、6つの銀河の
大きさでした。 宇宙初期に、これほど大きな銀河が存在したことは、想定外
でした。 この時期なら、小さい銀河を見つけると思っていました。

2歳の子供がいると思ったら大人がいたのです。 従来の銀河の進化モデル
では、説明がつかない大きな銀河の存在。 助教たちはジェイムズウェッブの
データから、AIを使って銀河のモデルを作成。

これまで、実際に観測された銀河と、照らし合わせていきました。 私たちの
太陽系が属する天の川銀河。 従来のシナリオでは、130億年ほどかけて
合体を繰り返し、現在のサイズになったと考えられています。

しかし宇宙初期に、現在の天の川銀河と同じ大きさまで成長していた銀河が
存在していたのです。 従来のシナリオの見直しを迫る発見でした。

とても興奮しました。これをユニバースブレイカーと呼びました。説明するには
これまでのいくつかの考えを修正する必要があるのです。

助教たちは今回の観測結果を、銀河の成り立ちのスピードを変えてしまう
ユニバースブレイカーと名付けました。 ジェイムズウェッブは、本格稼働から
1年で、早くも宇宙論に修正を迫る事実を見つけた可能性があるのです。

では、なぜ、このような早い時代に、大きな銀河が生まれたのでしょうか?
その謎に挑んでいるのが東京大学の教授です。 星や銀河が生まれる様子を
シミュレーションで解き明かそうとしています。

これ、すべてシミュレーションから作ったものです。 最初に、これ、お見せして
いるのが、宇宙の、ある広い領域の中の物質分布。 実際には物質の多くは
ダークマターですので、ダークマターの分布を表しているのですけども、
何となくイメージとしては、この中に薄いガス、水素のガスが広がっていると
思って下さい。

こちらは、教授が再現した、暗黒時代に星が生まれる様子です。 ゆらゆらと
漂っているのが、水素やヘリウムなどのガスです。 この揺らぎが大きくなると
ガスの密度が上がります。

そして、ダークマターの重力によって、そのガスが引き寄せられ集まる事で、
星や銀河が生まれます。 今回、ジェイムズウェッブが発見したような、大きな
銀河が形成されるまでには、少なくとも10億年はかかると、教授は言います。
これが、標準宇宙モデルといわれるものです。

そこから予想できる、これぐらいの時代には、これぐらいの銀河があったの
だろうという、そういう予測をすることができるわけですけども、それを大きく
超えて見つかってますので。

今回のジェイムズウェッブの観測で見ると、その始まりのころで少し、あるいは
もしかしたら大きく違う様子になっていく、ということが考えられています。

教授は、ジェイムズウェッブの観測データをもとに、シミュレーションの前提
条件を変えて計算することにしました。 発見した銀河の大きさから逆算して
宇宙初期の密度の揺らぎの大きさを5倍に修正しました。

従来の宇宙モデルと、前提条件を修正したモデル。 138億年前のビッグバン
から、時間を進めていきます。 宇宙誕生1億年後、もう違いがあることが
分かります。

修正したモデルでは、ガスが早く集まっています。 6個の大きな銀河が見つ
かった、131億年前の宇宙です。 この光り輝く点が、銀河が生まれた所を
示しています。 ジェイムズウェッブの観測結果に近い、シミュレーションの
結果を再現できました。

本当に変えるのは、宇宙が生まれた時、それよりもっと前、本当に宇宙が
生まれた時の物質の分布の具合なのです。 どれくらいの揺らぎ方をして
いたか? そこを実は、ほんの少し変えるだけなのです。

逆にいいますと、ジェイムズウェッブの観測で宇宙の始まりの頃の物質分布が
どれぐらいになっていたのか?というのは、実は結構、詳しく分かるかもしれ
ないという、期待まで持てるようになりました。

シミュレーションによって宇宙初期に物質が、どのように分布していたのか?
条件を絞り込んでいくことが可能です。 更に観測が進めば、宇宙の始まりの
様子を正確に再現できる可能性があります。 宇宙の歴史の解明に一歩ずつ
近づいているのです。
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コズミック・ヒストリー
ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の活躍を支える、近赤外線カメラ、ニアカム。
その開発の裏側には、知られざるエピソードがありました。 装置の責任者は
2001年から、チームを率いています。 ニアカムの最大の敵は熱でした。

重要なのは、低温で赤外線を観測できることです。 低温であればあるほど、
いいのです。そのため、太陽光を遮る大きなシールドを搭載。更にニアカムを
冷却装置で冷やしマイナス233度に保ちながら観測できる様に設計しました。

しかし、宇宙空間は極寒でも、地上で開発する時は室温で組み立てるしか
ありません。 その温度変化だと、すべてが少しずつ変化します。 縮み、
レンズの形が変わり、性質も変わるのです。

ですから、冷えた時にどうなるかを全て計算し、そのデータをもとに地上で
組み立てたのです。 開発は困難の連続でした。 パーツごとに耐えられる
温度が違うため、素材を変えて調整を繰り返しました。 開発を初めて10年。
ようやく、ニアカムの基本設計が完成。 ここから、地上試験が始まります。

しかし、予期せぬ事態が開発チームを襲ったのです。 この時、地上試験を
担当していた、アリゾナ大学の教授です。

ちょうど、本当に試験の時で、それで僕と装置の責任者が、ハリケーンが、
ヒューストンに到着する日に、飛行機でヒューストンに入ることになっていて。

そうしたら、もう、ハリケーンが、その日の夜にバーッと来て、それでもう、
ヒューストンの町じゅうが水浸しになって、高速とかも全部、止まってしまう
ような。 ちっちゃな空港が、そばにあるのです。 完全に、水の中に浸って
しまうような状況で…。

2017年8月。ハリケーン・ハービーが、テキサス州を襲いました。地上試験を
行っていたヒューストン周辺にも、甚大な被害をもたらしました。 それでも、
ニアカムのテストは続行されたのです。

空いた部屋にエアマットレスを敷いて、そこで仮眠を… 2人ぐらいのチームで
1人が仮眠をとって、1人がやって、もう1人が起きてきたら、もう1人が入る
みたいな、そんな感じで、やってたのが結構、大変だったですね。

雨漏りもしてきて、コンピューターの上に、ビニールシートを引いてカバー
しなきゃいけないとか。みんな、もう本当にハリケーンが来て怖いというよりも
とにかく、この試験を、じゃあ今、これ、どうやって、ちゃんと計画通りやるか
そっちの方に神経が、みんな、いってたので、あんまり試験を止めるとか、
自分の日々の生活はどうなるのだろうとか、あんまり、そこは考えてなかった
ですね。 さまざまな困難を乗り越えていった、ニアカム・チーム。

2020年、開発を始めて20年をかけて、ついにニアカムが完成したのです。
望遠鏡というのは本当に、もう、打ち上げが失敗して爆発しても、それで
おしまいだから、そういう意味での葛藤って、あるのですよね。

そういう…そういう中を抜けていく為の資質っていうのは、やっぱり楽観的で
いられるかということに、かかってくるような気がするのですよね。 どれだけ
準備しても、駄目な時は駄目だし、それを、あまり深く考えずに日々、楽しみ
ながらコツコツ続けていくという。

この20年の間には、無理かと思うこともありました。 今は望遠鏡も、うまく
機能し、データを手に入れて、本当に楽しい時間です。

では、ここからは、ジェイムズウェッブの観測開始から1年の間に届けられた
宇宙絶景の数々を、ご覧いただきましょう。(映像はコズミックフロント4Kで!)

こちらは地球から、およそ1万5000光年先の宇宙。 美しく輝くガスの雲を
まとった星、WR124です。 太陽の30倍もの質量がある星で、超新星爆発が
近づいています。 命が尽きる前の最後の輝きです。

続いては地球から、およそ1万1000光年の距離。 星が、超新星爆発をした
後の姿、カシオペヤ座A。 猛スピードで、宇宙空間に広がるガスや塵が、
詳細に見てとれます。

こちらは、おとめ座の方向にある銀河、NGC5068。 まるで、スプレーを吹き
かけたような、膨大な数の恒星が映し出されました。 内部にある星に照ら
されて、ガスの雲が赤く輝いています。

こちらは、天王星です。 周囲のリングが、これまでにない鮮明さで捉えられ
ました。 さらに、白く輝く部分が雲です。 初めてクッキリと映し出されました。
最後は、地球から20万光年ほどの小マゼラン雲にある星団です。NGC346。

ジェイムズウェッブと、ほかの宇宙望遠鏡など、6つのデータを組み合わせま
した。 さまざまな波長の光が織り成す、色鮮やかな宇宙のハーモニーです。
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ファイル-2 ファーストスターをねらえ!
ジェイムズウェッブの大きな目的の一つは、宇宙の始まりの謎を解き明かす
こと。 そのためには、ファーストスターを見つけることがカギを握っています。
東京大学の教授は、このファーストスターについても長年、研究してきました。

こちらが、教授のシミュレーションから解き明かしたファーストスター誕生の
物語です。 宇宙の暗黒時代、このころに漂うのは水素とヘリウムでした。
密度の高い所は、重力により周囲のガスが引き寄せられ、ガスのかたまりが
出来ていきます。中心の密度が高くなるにつれて温度もどんどん上昇します。

そして、1億度に達した時、核融合が始まり、上下のガスを吹き飛ばします。
ビッグバンから、およそ2億年が経過したころ、ファーストスターの誕生です。
明るさは太陽の100万倍。 ファーストスターは、青白く輝く巨大な星だった
のです。

ファーストスターは、定義上、宇宙の始まりのころにあった物質だけで出来て
ますので、それは、すなわち水素とヘリウムだけで出来ているはずなのです。
ですので分光観測というのを、もしすることができて、その星の表面の組成、
どういうもので出来ているのかというのを、詳しく知ることができれば、例えば
水素とヘリウムしかないと、ということが分かると、これはファーストスターで
あるということが言えます。

分光観測とは、望遠鏡による観測手法の一つです。 太陽光を観測してみま
しょう。 望遠鏡の先端に巨大なプリズムを置くと、点に見えていた1つ1つの
星の光が、細い帯状の虹になります。太陽の光をプリズムに通したものです。
よく見ると、虹の中に何本も黒い線があります。

これは太陽の中にある元素が、特定の色の光を吸収した痕跡です。 こうした
黒い線は、吸収線と呼ばれます。 吸収線が現れる位置は、元素の種類に
よって決まっています。 吸収線の位置を調べれば、その星が、どんな元素を
含んでいるかが分かります。

実はジェイムズウェッブにもこの分光観測ができる装置が搭載されています。
それが、ニアスペック。 宇宙初期の天体の組成を調べられるのです。 

実は、これまで133億年以上先の遠方銀河で、詳細な分光データが取れた
ことはありません。 ファーストスターがある遠方の銀河でも、ニアスペックは
分光観測できるのか?

そのニアスペックで観測を行ったのは、最遠方銀河を特定した、教授の研究
チームした。 チームは、ジェイムズウェッブやハッブルで見つけた銀河など
250の天体を対象に観測を行いました。そして、ある天体から詳細なデータを
取得することができたのです。

それは、ハッブルが捉えていた134億年前の遠方銀河、GN-z11でした。
これは、ニアスペック分光器で測定した、GN-z11銀河のデータです。
これらの線は、炭素や窒素・酸素・マグネシウムがあることを示しています。

こちらが、ニアスペックで取得したデータ。横軸が波長で、縦軸が明るさです。
窒素や酸素・水素・炭素などの反応が見られました。 これほど遠方の銀河
から、初めて詳細な分光データが取れたのです。

このデータは、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡が見る事のできる範囲を
超えています。 データが非常に良いので、このまま観測を続ければ、
ファーストスターを見つけられると確信しています。

ジェイムズウェッブのプロジェクトチームは、この結果に大きな手応えを感じて
いました。 しかし観測データから、もう1つ明らかになったことがありました。
これらは、第2世代の星の元素を表しています。 もっと遠くを見なくては
ならないのです。

水素とヘリウム以外の元素が見つかったため、この銀河はファーストスターの
次の世代、第2世代以降の銀河だと判明しました。 ジェイムズウェッブは、
これからニアスペックを使って、さらに初期の宇宙を探っていきます。

しかし、質量が大きいファーストスターは寿命が短く、数百万年ほどで超新星
爆発を起こしたと考えられています。 そのため現在まで残っている可能性は
低く、遠い昔に放たれた、かすかな光を探すしかありません。

ファーストスターを見つけるのは難しいです。 ジェイムズウェッブでは比較的
狭い範囲しか調査できませんし、望遠鏡を向けた場所にファーストスターは
ないかもしれません。 ファーストスターを見つけるためには、広い範囲を
非常に深く探さなければならないのです。

この広い星空から、ファーストスターのかすかな光を探し出す、途方もない
ミッション。 ジェイムズウェッブの次なる一手は…。
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コズミック・チャレンジ
ジェイムズウェッブの打ち上げから、およそ7カ月後。 衝撃的なニュースが
発表されました。 1年ほど前、予想以上に大きな衝突がありました。 5年に
一度はあると予想をしていましたが、打ち上げから半年で起きました。

鏡に衝突したのは、砂粒よりも小さい天体と考えられています。 しかし、
ジェイムズウェッブは、毎秒30キロものスピードで移動しているため、正面
衝突すると、大きな衝撃を受けるのです。

原因究明と復旧に活躍したのが、赤外線観測装置ニアカムです。 実は、
ニアカムには、自らの機体を見ることができる、人間の目のような役割がある
のです。

ジェイムズウェッブは、18枚の鏡で集めた光を調整して、天体の画像を作成
します。 ニアカムで確認したところ、天体が衝突したのは右下の鏡だという
ことが分かりました。

その結果、衝撃によって鏡が、200ナノメートルほど、ゆがんでしまったの
です。 そこでニアカムで見ながら、鏡の位置を調整することになりました。
鏡を調整して、反射の仕方を変えました。

衝突した鏡と、ほかの鏡との位置関係を調整することで、ほとんどの影響を
取り除くことができたのです。 これ以上、衝突しなければ大丈夫です。 でも
あまりに早く起きたので、私たちは怖くなりました。 計画を変更するか、検討
しました。 エンジニアチームを中心に衝突についての対策が議論されました。

“2年目の観測計画が送られてきましたが、回避ゾーンが、どう影響するか
分かりましたか?”  “はい、あとは観測計画の最終決定を待っている段階
です”   “事前に計画日程チームに知らせるのはどうでしょうか?”
“可能性はありますが見込みはどうでしょうか?実際は、我々は、期間を変え
ないので…”

対策チームが考えたのは、事前に小天体の情報をキャッチして回避ゾーンを
設定すること。 小天体が来る方向には鏡を向けないようにして、正面衝突を
防ぐことにしたのです。

私は、ジェイムズウェッブに携わって、26年になります。 このミッションに恋を
しているので、ジェイムズウェッブに長生きしてもらうため、最善を尽くしたいと
思います。
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ファイル-3 未知なる領域へ
果てしなく遠くにあるファーストスター。 この広大な宇宙の中から見つけ出す
のは、至難の業です。  そんな中、ファーストスター発見に向けて注目を
集めている現象があります。

こういう所ですね。 これ例えば、レンズで、のびたみたいに、ここに質量が…
中心があって、そうすると、もう周りのものが全部、こういう風にストレッチされ
のびているのです。 これ全部、重力レンズの効果なのですけど。

重力レンズとは、遠くの銀河の光が巨大な重力によって、レンズのように曲げ
られる現象です。 しかし、この現象の特徴は、ただ光を曲げるだけではあり
ません。

銀河の周りに細かい点が見えるのですけど、これは、この銀河の周りにある
星団で。 普通だったら見えないような細かい構造が、重力効果によって
後ろにあるものを、より細かく、そして明るく拡大されて見えてきて…。

実は重力レンズは、遠くの銀河の光を拡大して見せてくれる、虫眼鏡のような
効果があるのです。 ジェイムズウェッブの観測から、カナダの研究チームが
論文を発表しました。 重力レンズの効果で新しい星団を発見したのです。

南半球の、とびうお座の方向にある銀河団(SMACS0723)。 拡大すると、
不思議な形の銀河があります。 スパークラー銀河。 スパークラーとは、
線香花火という意味です。

このオレンジ色の丸1つ1つが星の集合体だということが分かってきました。
これらの天体を赤外線で、さらに詳しく調べます。 すると、12個のうち5個が
非常に古い恒星の波長と一致。 球状星団だということが分かりました。

球状星団とは、10万から100万個の恒星が、お互いの重力によって、丸く
集まっている天体です。 しかも球状星団は、とても古い時代に形成された
ものです。 そのため、この球状星団の中にファーストスターが含まれている
可能性があるというのです。

重力レンズ効果と、ジェイムズウェッブの能力を組み合わせた観測に、大きな
注目が集まっています。 さらに現在、NASAは、次の宇宙望遠鏡の開発も
進めています。

2027年に打ち上げを目指しているナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡
です。 この望遠鏡の最大の魅力は視野の広さ。 ジェイムズウェッブの視野の
100倍にも及ぶといいます。

闇雲に宇宙を探すよりも、ローマン望遠鏡の広い視野で観測することで、
より多くのファーストスターの候補が見つけられます。 見つけた候補を、
ジェイムズウェッブで観測すれば、ファーストスターだと特定できるのです。

将来的には、ローマン望遠鏡とウェッブ望遠鏡のデータを組み合わせることで
ファーストスターが見つかるかもしれません。 ジェイムズウェッブが本格稼働
して1年。 2年目の観測にも、大きな期待が寄せられています。

世界中から1600を超える観測が提案され、そのうち250件が選ばれました。
あのユニバースブレイカーを見つけた、助教のチームの提案も採択。 6つの
大きな銀河をニアスペックで、分光観測することになりました。

これによって、銀河の質量が特定できると、宇宙初期の歴史が変わってくる
可能性があるのです。 一方、最遠方銀河の候補を見つけていた東京大学の
助教も提案を出していました。

採択されたのは、南米・チリの望遠鏡で見つかった遠方の銀河の観測です。
134億年より前で、とても明るい銀河とみられていますが、まだ距離や性質は
ハッキリ分かっていません。 (XMM3-3085)

ジェイムズウェッブで分光観測をすれば、最も明るい最遠方の銀河だと特定
される可能性があるのです。

こういうのを皆さんに伝えることで、宇宙って、こんなにいろいろ面白いのだと
いうことを分かってもらって、そのワクワクするような気持というのを皆さんに
与えることなのかなと思っています。 そういう皆さんの知的好奇心を頑張って
刺激するような研究が、続けられるのがいいのかなと思っています。

天文学者になるには、すばらしい時代です。 これまで見ることができなかった
遠方の銀河を発見し、多くのことを学んでいます。 今、天文学者でいられる
ことは、本当にエキサイティングで楽しいことだと思います。

宇宙の深淵を理解することは私たちが、どのような存在であるかを理解する
のに役立ちます。 私たちの誕生から何十億年も前に、どのような種類の星が
生まれてきたのか、地球が誕生する前に起こった宇宙の偉大な叙事詩です。
これは、最後のフロンティアなのです。

人類が手にした最も遠くが見える望遠鏡ジェイムズウェッブ。 観測は2年目に
入りました。 一体、これから、どんな発見があるのでしょうか? 未知の領域
への挑戦は、まだまだ続きます。