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私たち人間 の身近にいる魚は、とってもすごい知能を持っていた?
2024年02月26日 (月) | 編集 |
第2296回「なんて言われようと譲れないことは?」
こちらは金魚のモーリス。 愛らしい金魚は、私たち人間 にとって身近にいる
魚の代表と言ってもいいでしょう。 ところで皆さん、魚は、あまり賢くない
なんて、思っていませんか?

例えば記憶力は、ほんの3秒しか、もたないとか…。 でも、それが間違って
いるとしたら? 深海から干潟、滝や小川に至るまで、地球上、水が存在する
あらゆる所に魚はいます。 しかも、人類が誕生するよりも、はるか昔から。

本当のところ、私たちは魚について、どこまで知っているのでしょうか?
世界中の科学者たちが魚の持つ、さまざまな能力について研究しています。
そこから得られたのは、どれも驚きの発見でした。 魚たちは実は、人間の
想像を、はるかに超える知能を持っていたのです。

(ラジオ) ‘日本の研究グループが、画期的な発見をしました。 金魚は音楽を
判別できるのか? 水中で、2つの曲を流して実験したところ、エサがもらえる
方の曲に、より反応するようになったということです。 金魚は、音楽を区別
する能力が、あると証明されたと言えます’

この実験は、魚が持つ知能の一部を明らかにしました。 音楽を聞き分け
られるということは、魚は仲間どうしで、音を使ったコミュニケーションをして
いるということなのでしょうか?

でも、魚には声を出すための声帯がありません。 では一体、どうやって?
南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシア。 サンゴ礁に住む魚が発する音を
長年、研究している人たちがいます。

調査に使っているのは、水中マイクロホン。 特殊な仕組みによって音波を
電気信号に変換します。 聞こえて来たのは、不思議な音。 この特徴的な
音を出しているのは、サンゴ礁に生息するスズメダイの仲間です。

はっきりと聞こえるのは、ハトが鳴く時のような音です。 クークーという、巻き
舌に近い感じですね。 スズメダイは、顎と舌を使って、この音を出している
のです。 特に、下顎と舌がポイントです。

舌を口の奥へ引くと、下顎が、つられて動き、口が閉じます。 それを素早く、
何回も繰り返すことで、クークーという音が出るのです。 この様にして声帯が
無くてもスズメダイどうしは、音を使って意図を伝えることができます。

更に研究者たちはスズメダイとは別の魚の音も捉えています。イットウダイが
浮き袋を震わせて出している音です。 顎を素早く閉じたり、浮き袋を振動
させたりして、自分の出す音を聞いてもらおうとしています。

では、魚たちは、なぜ、そんなに、おしゃべりをしたいのでしょう? 一体、何を
言おうとしているのでしょうか? このサンゴ礁近辺に生息する魚は、およそ
1300種。 研究者たちは20年かけて、そのうちの3分の1が発する音を
収集してきました。 一部は、意味を読み解くことにも成功しています。

先ほどのように、例えばスズメダイの場合、繁殖期になるとオスはメスを引き
寄せるために、求愛の音を発します。 一方、クマノミなどの魚は、侵入者が
縄張りに入ってくると音を出して、おい、ここは俺の縄張りだから出て行けと
警告するわけです。

魚は周囲に捕食者がいるとSOSを発し、広範囲に動く時も自分の位置を知る
ため、音で仲間とコミュニケーションを取ります。 知らせる・誘惑する・警告
する。 魚には音を使って仲間と、さまざまなコミュニケーションを取り合う
知能が備わっていることが分かってきたのです。

それでは、魚は自分がしたことを覚えているのでしょうか? 記憶力も知能の
大切な要素です。 金魚は記憶が3秒しかもたないという俗説は、果たして、
本当なのでしょうか? 記憶力を試すために、ある実験を行いました。

金魚のモーリスに、芸を覚えさせることはできるのか? そして、どれだけ長く
記憶していられるのか? 実験スタートです。 まずは、道具をそろえて…。
水槽の棒を入れ、モーリスが棒の動きに、ついてくるよう学習させることから
始めます。 棒の端には、ご褒美の餌が仕込まれています。

モーリスは棒についていけば、餌がもらえることは、すぐに理解できました。
でも、それを覚えていられるのでしょうか? しかも、いつまで? 金魚は、
こうした行動実験に早くから使われてきました。

昔の科学者たちは、自宅の池で、時間と場所を決めて餌を与えると、いつも
金魚が集まってくるのを見て考えました。 もっと複雑なことができるように、
訓練することは可能だろうかと。

魚は、どれくらいの範囲の空間を記憶できるのでしょうか? 金魚の記憶力を
確かめるため、いくつもの実験装置が作られました。 縞の模様が付けられた
短距離走レーンも、その一つ。

これを使って魚が一度、学習した移動距離を覚えているかどうか実験します。
学習した距離まで泳いで引き返すと、報酬が得られる仕掛けです。 訓練を
重ねると、金魚は決められた場所まで泳いで止まり、そこから引き返して
戻ってくるようになりました。

でも金魚は、どうやって決められた距離を、泳いだと分かるのでしょう?
本能によるもの? それとも、縞模様の数を目安にしているのでしょうか?
次の実験では、一つ一つの縞の幅を半分にしました。
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もし金魚が移動した距離で、自分の位置を把握しているとすれば、2倍の数の
縞を通過するはずです。 逆に、縞の数によって位置を把握しているとすれば
学習した距離の半分までしか行かないでしょう。

結果は、半分までしか行かなかったということですね。 その通り。 つまり、
金魚は縞模様の数で、空間を把握しているのです。 距離にすると、以前の
半分ですが、前と同じ距離を進んだと思って、ここで引き返してきたわけです。

すなわち、魚は見たことを正確に記憶し、それを活用して行動していると
言えます。 記憶力は、どれくらい、もつと? 1度、教えたら学習した距離は
忘れないかも。 しっかり訓練すれば、何カ月も、何年も覚えている可能性は
あります。

やはり、魚は3秒以上、覚えていられないというのは、ありえないですね。
そうでなければ、どうやって食べ物や、巣や、仲間を見つけられるのか?
記憶力が良くなければ捕食者を見分けることもできないでしょう。 科学的には
魚は、優れた記憶力を持つと考えるのが妥当です。

俗説は否定されました。 魚の記憶力は3秒よりも、はるかに長いと言えます。
わずか数日でモーリスは、棒の動きに、ついて回るようになりました。 棒を
置けば、普段なら危険だと判断して通らないような小さな輪っかや、狭い
トンネルの中も、くぐります。

棒から餌が、もらえると分かっていなければ、わざわざ危険を冒しは、しない
でしょう。 つまりモーリスは、成功と報酬を結び付けて考えられる知能を
持っているということです。

では、なぜ、これまで魚は知能が低いと思われてきたのでしょうか?
一見すると魚は哺乳類、特に人間とは全く見た目が異なります。 人間を最も
知能の高い動物と位置付ける考え方からすると、あまりにもかけ離れた魚は
その対極にあるとされてきたからです。

しかし、実は両者には大きな共通点があります。 それは、どちらも脊椎動物
だということです。 フランス国立自然史博物館には魚の進化の歩みをたどり
理解を深めることができる膨大な数の標本が並んでいます。

科学的な意味でのサカナ、すなわち魚類は、巨大なグループです。
3万3000種もの仲間がいて、脊椎動物全体の、およそ60%を占めています。
つまり地球上に生息している最も多種多様な脊椎動物こそ、魚類なのです。

魚類は大きく3つに分類されます。 まずは、硬い骨を持つ金魚などの硬骨
魚類。 そして、サメやエイのように、軟骨で出来た骨格を持つ、軟骨魚類。
もう一つは、ヤツメウナギなどの無顎(むがく)類です。

進化の系統樹で私たちヒトは、脊椎動物の中でも四足歩行する動物の枝に
入ります。 四足歩行の動物と硬骨魚類が分かれたのは、硬骨魚類が軟骨
魚類から枝分かれしたのよりも、ずっと最近のことなのです。

つまり、進化の観点からみると金魚はサメよりも、むしろヒトに近いというわけ
です。 ヒトは陸生動物、魚は水生動物です。 水から上がった陸生動物は、
より進化した存在で、水から上がらなかった水生動物は、原始的なままと考え
られてきました。

しかし4億2000万年にもわたる魚類の進化は、時間をかけて環境に適応し、
生き残るために知能を発達させていったことを示しています。 魚類は、
あらゆる環境に生息できる、実に興味深いグループです。

常に新しい発見があります。 新種が見つかるだけでなく、信じられないほど
見事な適応力も確認されているのです。 原始的どころか、むしろ進化した
動物と言えます。

モーリスの実験は続いています。 今度は、ボールをゴールに押し込めば、
新たなご褒美が、もらえることを覚えさせます。 モーリスには、魚ならではの
秘策があります。 口を上手に使うことです。

海の中にも、口を巧みに利用して暮らす魚がいます。 イラの仲間です。
生物学者は長年、イラの観察を続け、口を使っている様子を初めて映像に
捉えました。

見てください。 このイラは、掘り出した貝を口に、くわえています。 そして、
10メートル以上、泳いで選んでおいた硬いサンゴに近づきます。 その珊瑚を
使い、貝を割って食べるのです。

貝殻の破片が、いくつも落ちています。 つまり定期的に、ここへ来てサンゴで
殻を割り、食事をしているということです。 カラスやサルが木の実を器用に
割るように、ある種の魚は、道具を扱うことができるようです。

しかし陸の動物と違って、その行動を記録するのは、容易ではありません。
水中の場合に問題なのは潜水時間が限られるということです。 潜れるのは
せいぜい1時間半なので、行動を長くは追跡できません。

私は25年間、調査をして初めて、イラが、道具を使うところを目にしました。
本当に驚きの瞬間でしたね。 とにかく、その時は、すごいものを見たと思い
ました。
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魚は環境を利用して、巣を作ったり、隠れたり、はたまた、図形を描いたり
します。 このアマミホシゾラフグは、図形を描いている真っ最中。 こうする
ことで、オスはメスを引き付け、産卵のための巣を提供するのです。

生息地の砂地を巧みに利用した、すばらしい模様が出来上がりました。
さて、モーリスの方は… ゴール! マングローブが茂る水辺にもシュートの
名手がいます。 テッポウウオです。

水面から50センチ以上、離れた所いる獲物に向け、口から水を発射します。
そして、落ちてきた獲物を水中で捕らえるのです。 狙った獲物を正確に攻撃
するテッポウウオは魚の視覚と認知の能力に関する重要なヒントを、もたらし
ます。

水面より上にいる獲物をしとめるテッポウウオは、とても優れた視覚を持って
います。 科学者として、その能力が一体、どれほどのものなのか?確かめ
たいと思いました。

研究チームは、テッポウウオが、人の顔を見分けることができるかどうか?
実験することにしました。 実験は、2段階に分けます。 まずは、第1段階。
テッポウウオに、常に2つの顔の画像を見せます。

そして、どちらか一方の顔に発射した時だけ、餌を、もらえるようにします。
次に新しい顔が、たくさん交ざった中でも、自分が記憶した餌をもらえる顔を
見分けられるか調べます。

実験は成功でした。 テッポウウオは、40以上もの見知らぬ顔の中から、
事前に記憶した、餌を、もらえる顔を認識することができたのです。 そこで、
さらなる実験を行うことにしました。

最初の実験でテッポウウオに見せたのは、全て顔の正面でした。 次に、
より高度な実験として、顔を横向きにして、それでも正確に顔を認識する事が
できるかどうかテストしました。

今度もテッポウウオは、餌をもらえる顔を正確に見分け、水を発射しました。
では、この実験から、どんな結論が導かれるのでしょうか? 顔の識別は、
一見、簡単そうですが、実は違います。

これをコンピューターで行えば、たとえディープラーニングを用いても、まだ
完璧とは言えません。 ですから、この結果には驚いています。 人間の顔の
向きが変わっても、テッポウウオは、覚えていた顔を識別できたからです。

つまりテッポウウオは今、見えている物体が別の角度から、どう見えるのか?
推測できる能力を持っていると言えます。 金魚が、テッポウウオのように、
顔を見分けられるかどうか? 科学的には証明されていません。

でも、モーリスにも、きっと、まだ明かされていない秘密は、あるでしょう。
顔を識別できる魚がいるなら、自分を認識できる魚もいるのでしょうか?
自分が自分である事が分かる自己認識能力は最も高度な知能の1つです。

それを調べるには、鏡を用いた実験、ミラーテストを行います。 動物が鏡に
映った姿を、自分と認識するかどうか? それを確認するため、体の一部に
印を付けます。 もし、その印を取り除こうとすれば、鏡に映っているのは、
自分だと認識していることになります。

ミラーテストをクリアした動物は、チンパンジーやゾウなど、ほんのわずか。
ヒトの場合でも、生後18カ月以降です。 では魚は、どうなのでしょうか?
地中海に浮かぶ、コルシカ島に研究者たちが集まりました。 海の中でミラー
テストを行うのは初めてです。

魚が、よく集まる場所に鏡を複数置き、カメラで数時間、記録します。
予想以上に、多くの魚が集まってきました。 そして、私たちがカメラを置いて
離れたあと、思いもしなかった行動が見られたのです。 目の前に、鏡という
未知のものが置かれたわけです。

魚たちは鏡を見たことがないので戸惑ったり、攻撃的になったりと、さまざまな
反応を示しました。 海の中という、こちらでコントロールしきれない環境にも
かかわらず、実験は、うまくスタートしたと思います。 これを第一歩にして、
今後も研究を重ねていきます。

海での実験は、始まったばかり。 でも研究室では、ある魚を対象に何度も
ミラーテストを行ってきました。 ホンソメワケベラです。 ホンソメワケベラは、
大の掃除好きで、自分だけでなく、他の魚に付いた寄生虫まで取り除こうと
します。

ですから、体に印を付けて行うミラーテストの実験には、最適の魚と言える
でしょう。 ミラーテストでの動物の反応は、いくつかの段階に分かれます。
ホンソメワケベラの場合、初め、鏡に映った姿を敵と見なしたため、口で攻撃
するような動きが見られました。

そして次に、逆さまになって泳ぐという奇妙な行動を取り始めました。 これは
繰り返し逆さまになることで、鏡に映っている相手が、同じような行動を取るか
どうか? 確認しているのです。

こうした段階を経て、いよいよ体に印を取り付けて、それを取り除こうとする
動きを見せるかどうか? 観察することにしました。 驚いたことに、この
小さな魚はミラーテストを、見事にクリアしたのです。

これは、動物の知能を測るものとしては、トップレベルのベストです。
素晴らしい結果だと思います。 ホンソメワケベラが自己を認識している事は
分かりました。 では、他者のことも認識しているのでしょうか?
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そして、相手によって対応や行動を変えることもあるのでしょうか? 太平洋の
サンゴ礁に囲まれた海で、ホンソメワケベラの行動や知能について、さらに
研究を進めているチームがいます。

ホンソメワケベラはサンゴに覆われた大きな岩のそばなどに暮らしています。
そこに、ほかの魚たちも集まります。 自分の体に付いた寄生虫を、ホンソメ
ワケベラに食べてもらうためです。 こうした場所は、クリーニングステーション
と呼ばれています。

ホンソメワケベラにとって、ほかの魚の体に付いた寄生虫は、重要な食料源
です。 ホンソメワケベラが、クリーニングを行う相手には、優先順位があり、
おおまかに3つのグループに分かれています。

順位の一番下に位置するのは、クリーニングステーションの近くに住む常連
さんたちです。 こうした常連さんの寄生虫は、いつでも手軽に食べられるため
忙しいときには後回しにします。

順位の真ん中に位置するのは、クロハギなど、時折やって来る来訪者たち。
こうした魚は待たせると他のステーションへ行ってしまうので餌の確保のため
優先的にクリーニングします。 そして上位の一番上に来るのが捕食者です。

ホンソメワケベラは、捕食者に対しては、最優先でクリーニングを行います。
この辺りの代表的な捕食者といえば、ウツボです。 下手をすれば、ウツボの
餌食になる恐れもあります。 ですから良好な関係を保とうと協力的な態度を
取っているのです。

優れた掃除屋であるホンソメワケベラの食欲は、極めて旺盛です。 空腹に
なると、他の魚に付いた寄生虫だけでは満足できなくなります。 しかし、その
本能のままに従うと、顧客の信用を失いかねません。

ホンソメワケベラは、実は寄生虫よりも、魚の粘液を好んで食べます。
クリーニングするフリをして、相手の粘液を食べてしまう行動を、私たちは、
ズルをするという言い方で表現することもあります。

ホンソメワケベラに粘液を食べられる際、魚には痛みが走ります。 すると、
ホンソメワケベラは、相手が、またクリーニングステーションへ来てくれるよう
慌ててマッサージのサービスを施します。 つまり、この小さな魚は、非常に
戦略的に行動しているのです。

ホンソメワケベラが顧客と、やり取りする回数は1日に2000回にも上ります。
そして、相手に合わせて、行動を変化させているのです。 もし相手が、
来訪者や捕食者であれば、より協力的に振る舞う傾向があります。

あまり粘液を食べることはせず、クリーニングを丁寧に行うのです。 つまり、
よい顧客には、良いサービスを提供するということです。 ホンソメワケベラは
自分の周囲にいる魚を分析し、その時々に応じた行動を取ることができる
のです。 そうすることによって顧客を、より増やそうというわけです。

さらに、より良い条件がそろった時には、自分に有利なズルい行動も取る
ホンソメワケベラ。 その行動は、まるで抜け目のない商売人のようです。

ホンソメワケベラが、常連客の魚をクリーニングすることによって、来訪者を
おびき寄せる様子も確認されています。 そして、ひとたび、来訪者が近づくと
そっちへ行って御馳走にありつくのです。 ここまで戦略的な行動を取る魚は
自然界でも極めて、まれです。

特別な能力を持つ魚を、ほかにも、ご紹介しましょう。 サケは、聴覚・視覚・
嗅覚を生かして、自分のいる位置を認識できます。 さらに、体内に存在する
磁気センサーによって、地球の磁場を感知することもできるのです。

こうした能力のおかげで、サケは、世界各地の海で数年間、過ごしたあと、
繁殖のため、生まれ故郷へ戻ってくることができます。 しかし、養殖場で
飼われると、もう、大海原を旅することはできません。 一生、同じ水槽に閉じ
込められてしまいます。

そうした環境では、サケが苦しむというのが、多くの科学者の意見です。
それは魚にも感情があるということでしょうか? ポルトガルでは、魚が痛みを
どう感じているのか?という研究が進められています。

魚には、不快な刺激を感じると、それに対して嫌悪する反応を示したり、
闘ったりする仕組みが細胞レベルで備わっています。 もし刺激を感じず、
反応することもなければ、簡単に命を落とすことになってしまうからです。

研究者の関心は、さらに先へと進んでいます。 魚が、自分の痛みを感じ、
それに反応するなら、仲間の痛みにも、反応することができるのでしょうか?

その疑問を解き明かすため、群れを作る習性で知られるゼブラフィッシュで、
実験を行います。 準備したのは、テレビのリアリティー・ショーさながらの
設定です。

ゼブラフィッシュの水槽の両側にある画面に、仲間の魚を映します。 一方の
画面には、普通に泳いでいる魚。 もう片方では、通常の行動から急に素早く
動き、水槽の底で動かなくなる魚を見せます。

この動きの変化は、極度の不安を示しています。 人間でも恐怖を感じた時、
体の動きが変わるのと同じです。 不安を示している魚を見せ、その感情が
ゼブラフィッシュに伝染するかどうかをテストします。
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実験を始めるとゼブラフィッシュは、映像で不規則な動きをしている仲間の魚を
真似しました。 画面の中と同じように動揺して泳ぎ回り、やがて動きを止め、
水槽の底に突っ伏します。 まさに、感情が伝染しているかのようです。

水槽には、普通に泳ぐ魚と不安を示している魚、2つの画面があり、どちらを
見るのも自由です。 しかしゼブラフィッシュは、不安を示している魚のほうへ
近づいています。 これは、どういうことでしょうか?

魚に、他者の感情を想像する力があるかも調べました。 つまり、感情認識の
有無についてです。 実験で見られたのは、不安を示す魚を見たゼブラ
フィッシュが、その魚のほうへ近づき、しかも、そばにとどまる姿でした。

これは、人間でいうところの共感という感情に、つながる、ごく初期の段階と
見ることもできるでしょう。 では、魚は不安や恐怖だけでなく、喜びの感情を
抱くこともできるのでしょうか?

研究者たちが注目しているのは、魚の愛着心です。 実験を行ったのは、
一夫一婦のペアで繁殖する魚の中でも、ひときわ固い絆を見せるシクリッドの
仲間です。

シクリッドを研究対象にしたのは、オスとメスの間に、まるで鳥類に見られる
ような固い絆があるからです。 繁殖のためにパートナーを厳選し、巣作りも
丁寧で、子育ても熱心に行います。

シクリッドはカップルになると、ほとんどの場合、一緒に縄張りを守り子育てを
行います。 2匹が協力すればするほど、繁殖の成功度は高まります。
ということは逆に、2匹が離れ離れになれば、何らかの影響があるはずです。
その時の感情の変化を、どう測定すれば、よいのでしょうか?

チームは、3つの異なる状況を作り、シクリッドのメスが各状況に、どう反応
するかを調べることにしました。 状況1、ポジティブ。 水槽に黒い蓋の箱を
入れます。 蓋を開けると中には小さな虫がいて、食べられるようになって
います。 こうして、黒い蓋の箱は、ご褒美の箱と認識されます。

状況2、ネガティブ。 今度は、白い蓋の付いた箱を入れます。 しかし、蓋を
開けても、中には何も入っていません。 すると、シクリッドは、黒い蓋と白い
蓋では、箱の中身が違うことを認識するようになります。

そして状況3、曖昧。 ここがポイントです。 黒でも白でもなく、灰色の蓋の
箱を置いて、メスの行動の変化を調べます。 シクリッドは、考えるでしょう。
蓋は灰色だから、黒に近い。 黒の箱には、ご褒美があるから開けてみよう。

あるいは、灰色の蓋は、白に近い。 白の箱には、何も入っていないから、
近寄るのは、よそう。 つまり、この状況を楽観的に捉えるのか? 悲観的に
捉えるのか?その違いによって魚の感情の変化を測る事ができるはずです。

灰色の蓋を、すぐに開けに行く楽観的な性格のメスで、実験を行います。
こうしたメスが、オスから隔離された後も楽観的で、いられるのかを観察しま
した。 複数の楽観的なメスを、オスから長時間、隔離したあと、再び、3つの
箱を目の前に置きました。

それぞれに反応するまでの時間を計測すると、ある変化が見られました。
どのメスも、灰色の蓋を開けるまでの時間が、オスから離される前よりも、
大幅に長くなったのです。

つまり、シクリッドのメスは、オスといる時よりも、悲観的になったと言えます。
パートナーの不在が、決断に影響を及ぼしたようです。 これが意味するのは
パートナーがいないと、行動が消極的になる、なのか?いると、積極的になる
なのか? どちらでしょうか?

楽観的な状態とは、物事の明るい面を捉えている状態です。 その正反対に
当たるのが、パートナーが、いなくなって気分が後ろ向きになり、物事の暗い
面だけを見てしまうような、悲観的な状態です。

実験結果が示すのは、パートナーに対して、愛着心があるということです。
シクリッドにとっては、オスとメスが一緒に子育てすることが、極めて重要
だからです。

進化的に見れば、この愛着心は、パートナーどうしが、離れ離れにならない
ための仕掛けでしょう。 パートナーが、いなくなると消極的になる。 だから、
パートナーとは離れなくなります。 そうすると、子供を一緒に育てることが
可能になり、繁殖の成功度も高くなるのです。

魚の感情の変化に関する実験は大きな反響を呼びました。 私たちは感情や
愛着心が、魚にも存在することを証明できたと思います。 魚には、優れた
認知能力があり、さまざまな感情を持つことが分かったのです。

これまでのような、魚は冷淡で、鈍感な動物だという考え方は、過去のものに
なったと言えるでしょう。 もしかしたら、金魚のモーリスたちも、繊細な心の
持主なのかもしれません。 研究で明らかになった、魚の驚きの能力の数々。

しかし、これは序章にすぎません。 魚にまつわる、全ての謎を解明するには
長い道のりが残されています。 地球の海の90%は、前人未踏の領域です。
この神秘的な世界には、発見すべきことが、まだ、たくさんあります。

今こそ、水の中に生きるものたち、全てに目を向けるときです。 あらゆる
先入観を、脱ぎ捨てて…。



次々と新たな宇宙の姿を映し出すジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の成果
2024年02月19日 (月) | 編集 |
第2296回「なんて言われようと譲れないことは?」
息をのむような美しい色彩を放つ星雲。 これまで見た事もないような銀河の
渦巻き模様も、捉えられています。 いろんな、僕たちが知らないようなことも
次々と見つかって来て非常に…天文学の革命が今、起きているような状況に
なっています。

多くのことを学んでいます。 今、天文学者でいられることはエキサイティング
です。 撮影したのは、大気のない宇宙空間に打ち上げられた、ジェイムズ
ウェッブ宇宙望遠鏡です。 観測を始めてから、1年が経過。

その活躍は、とどまるところを知りません。 宇宙誕生間もないころの最も遠い
銀河の記録も更新。 さらに、これまで考えられてきた宇宙論に、修正を迫る
新事実も見つかりました。

とても興奮して、これを、ユニバースブレイカーと呼びました。 これを説明する
には、今までのいくつかの考えを修正する必要があるのです。

今、次々と新たな宇宙の姿を映し出す、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡。
その1年目の成果に迫ります。
※ ジェイムズウェッブの事を、もっと知りたいなら ↓



ファイル-1 宇宙の始まりに挑む!
アメリカ東部の街、ボルチモア。 ここが、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の
拠点です。 コントロールルームでは、24時間体制で、望遠鏡との交信が
行われています。  “今、オーストラリアと接続しました。 キャンベラにある
直径34メートルの巨大なアンテナが、ジェイムズウェッブを追跡中です”

ジェイムズウェッブは、地球から150万キロ離れた第2ラグランジュポイントで
観測を行っています。 太陽と地球の引力と遠心力が釣り合うため、最小限の
燃料消費で軌道を維持できます。

地球の自転に合わせて、アメリカ・オーストラリア・スペインのアンテナを切り
替えることで、いつでも望遠鏡からデータを受け取ることができます。 その
データは、画像処理の担当者に送られます。

波長ごとの画像から、カラー画像を作成します。 完成した画像の多くが、
すぐに世界中に公開されます。 研究者だけでなく、誰でも見ることができる
のです。 観測は、1年ごとの提案制。

初年度には、世界中の研究者から、1200件の提案が寄せられました。
研究者にとって、ジェイムズウェッブは、今、最も熱い望遠鏡なのです。

私たちは、自分のためだけではなく、人類のためにジェイムズウェッブを運用
しています。 アイデア次第で、この望遠鏡を利用して、誰でも新しい研究が
できます。 私たちは常に、提案を募集しています。 そのため良いアイデアを
持つ人が多ければ多いほど科学は、より進歩するはずです。

ジェイムズウェッブによって、大きく解明が進むと考えられる謎が、2つあり
ます。 1つは、宇宙に最初に誕生した星、ファーストスターから迫る、宇宙
初期の謎。 もう1つは、系外惑星を詳しく探査して迫る、生命誕生の謎です。

すでに、系外惑星の大気中から、二酸化炭素の存在が確認されています。
生命活動のカギを握る更なる物質の発見に大きな期待が寄せられています。
一方、宇宙初期の銀河の発見も相次いでいます。

今回は、宇宙の始まり、その最前線を見ていきます。 宇宙は、138億年前に
始まったと考えられています。 ビッグバンのあと、星も銀河もない暗黒時代が
訪れます。

漂っていた水素やヘリウムが集まり、第1世代の星、ファーストスターが
生まれます。 星は、銀河の中で生と死を繰り返し、ほとんどの銀河は、
第2世代以降の星で占められるようになりました。

私たちが住む、天の川銀河の星も、そして太陽も、世代交代をした星です。
私たちは、まだ、ファーストスターを目にした事がないのです。 宇宙の歴史の
中で、大きな謎に包まれている暗黒時代。

その時代を理解するカギとなるのが、最初にできた星、ファーストスターです。
ファーストスターを観測できれば、星が、どのように生まれ、今の宇宙につな
がっているのかを、理解することができるのです。

これは、私たちの歴史、宇宙の歴史、すべての起源に当てはまります。
我々は、どこから来たのか? ビッグバンから銀河の中の惑星にいる私たち
まで、どのように進化してきたかという広大な1つの歴史になっていくのです。

宇宙の始まりを見ることは、宇宙の最も遠くを見ることを意味します。 過去の
ある瞬間に放たれた光は、秒速30万キロの猛スピードで進みますが、その
間も時間は進みます。

離れた所にいる観測者が目にするのは、現在ではなく、過去の姿です。
その為、遠くを見ることができれば初期の宇宙を探求する事ができるのです。

宇宙のかなたの光を捉えるために、100億ドルをかけて開発されたジェイムズ
ウェッブ。 従来の望遠鏡と比べて観測装置にも、さまざまな工夫が凝らされて
います。ハッブル宇宙望遠鏡は主に目に見える光、可視光を捉えていました。
一方、ジェイムズウェッブは、主に赤外線を捉えて観測します。

宇宙は膨張しています。 光が進むにつれて、光自体が引きのばされます。
それを赤方偏移(せきほうへんい)と呼んでいます。 なぜなら波長の長い光は
赤くなるからです。 ジェイムズウェッブが、赤外線望遠鏡であるゆえんです。

遠い天体から放たれた光は宇宙空間の膨張によって波長が引きのばされる
という性質を持っています。 可視光で放たれた光は、100億光年以上かけて
地球に届くころには、波長が引きのばされて赤外線に変わります。

つまり遠くの天体を観測するためには赤外線を捉える事が不可欠なのです。
これまでに観測できた最遠方の銀河は、ハッブルが見つけた、GN-z11銀河
でした。 およそ134億年前、つまり宇宙の始まりから4億年後の光を捉えた
画像です。 ハッブルでは、この解像度が限界でした。

ジェイムズウェッブが目指すのは、このさらに先、誕生まもないころの宇宙
なのです。 最遠方銀河を狙っている研究チームの一人が、カリフォルニア
大学にいます。 最遠方の銀河を見つけるために、目を付けたエリア。
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それが… ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド。 かつて、ハッブル宇宙
望遠鏡が観測した領域で、視野に明るい星が少なく、遠くの銀河が見やすい
エリアです。 教授は、この中から遠くにあると思われる4つの銀河を候補に
挙げ、その距離を特定することにしました。

銀河のスペクトルの中に、ライマンブレイクと呼ばれるサインが見えますね。
これは、その場所の紫外線を吸収した、非常に特徴的なサインです。 この
ライマンブレイクが発生する場所で、銀河の距離が正確に分かるのです。

銀河の距離を特定するときに使う、ライマンブレイクとは、どのようなもので
しょうか? 銀河から光が放たれます。 この時、波長の短い紫外線の光は、
宇宙空間にある中性水素ガスによって吸収されます。 これがライマンブレイク
という現象です。

ライマンブレイクが起きる紫外線の位置は遠い銀河ほど、より赤く観測される
ため、ライマンブレイクの観測波長から、銀河の距離が特定できるのです。
こちらが、赤外線で取得した、4つの銀河のデータです。

横軸が波長で、縦軸が明るさを示しています。 この明るさが急激に変化して
いる所が、ライマンブレイクです。 ライマンブレイクの観測波長の比較です。
上の銀河ほど、より赤い、つまり、より遠い銀河であることを示しています。

一番上の銀河は135億年前、宇宙誕生から、3億年後の銀河であることが
判明しました。 こちらが、その最遠方の銀河。 ハッブルが捉えていた
GN-z11銀河から、1 億年遡ることができました。(JADES-GS z13-0)

ジェイムズウェッブは、本格稼働から、たった1年で最遠方銀河の記録を更新
したのです。 現在、知られている中で、最も遠方の銀河を見つけました。
ビッグバンから僅か3億2000万年後に生まれた、初期の銀河を発見できて
とても興奮しています。

さらに、その記録を塗り替えようとする研究者が日本にました。 東京大学の
宇宙線研究所の助教で、遠方銀河を観測する専門家です。助教はジェイムズ
ウェッブが世界中に公開した画像から、最遠方の銀河を探し出そうとしました。
注目したのは、ステファンの5つ子と呼ばれる、銀河が集まった画像です。

それが、この天体になっていまして、これが、僕たちが見つけた中で、一番、
昔の銀河の候補、136億年前の銀河の候補になっています。

教授たちが見つけた銀河は、135億年前の銀河でした。 今回、発見した
銀河は、さらに1億年遡る可能性があるのです。 助教は、まず、ステファンの
5つ子のデータを、解析ソフトに読み込ませました。

そして天体の明るさや位置を数値化。 その結果、およそ100個の遠方銀河の
候補が見つかりました。 しかし、ここからの作業が大変だったといいます。

こちらは、銀河の候補だと言っているものになっているのですけども、これ、
実際に画像を見てみますと、銀河の形とは全然、ほど遠いものになってます。
これ、なぜかといいますと、宇宙から降り注いでいる宇宙線によって、この
検出器が反応してしまって、その結果、現れたものになっています。

こういうもの… 機械だと、これ、昔の銀河… 銀河かもしれないということ
判断してしまうのですけれども、実際に、これ、僕たちの目で見ると、いや、
これ、全然違うよということになりますので、こういう天体を、どんどん除いて
行かないといけません。

一つ一つ自分の目で見て、機械が誤認識したデータを省いていきます。
作業を進めること2週間、ある銀河に、たどりつきました。 それはステファン
の5つ子の左下の、この辺りにありました。 136億年前の銀河の候補です。

さらに、観測を進めて距離が特定できれば、最遠方銀河の記録を更新する
ことができます。 このジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡も本当に、一言でいい
ますと、すごいです。 感動するぐらい、すごいです。

僕たち遠方銀河、昔の銀河を研究している研究者が、この10年、20年ぐらい
ずっと、ずっと、見たい、見たいと思っていたものを、どんどん、どんどん見せて
くれる。 もっと、もっと昔の137億年前の銀河の候補とかも、どんどん探して
いく。 どんどん、ステップ・バイ・ステップで、どんどん昔の宇宙に遡っていき
たいと思っています。

遠方銀河の発見を支えている装置が、近赤外線カメラ、ニアカムです。
その仕組みは、まずジェイムズウェッブの大きな鏡が集めた天体の光を反射
させて、装置に取り込みます。

それから赤外線を波長の長さによって二手に分けます。短い波長の赤外線は
右上の方向へ、長い波長の赤外線は、まっすぐ進みます。その後フィルターを
通過して、観測に必要な波長域が選別されます。

最後に、それぞれの光が2つの検出器に入り、赤外線の波長ごとのデータが
取れるのです。 この2つの検出器を用意したのが、従来のカメラと大きく
異なる点です。
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長い波長を分けて捉えることで、より遠い星からの微弱な赤外線を正確に
測れるようになりました。 そのニアカムの観測から、予期していなかった
事実も見つかりました。

ペンシルベニア州立大学の助教は、オーストラリアやヨーロッパの研究者と
遠方の宇宙を調べています。 これは、ジェイムズウェッブが撮影して最初に
公開された画像です。初めは信じられませんでした。私たちは、この望遠鏡を
何十年も待っていたのです。

助教が気になったのは、131億年から133億年前とみられる、6つの銀河の
大きさでした。 宇宙初期に、これほど大きな銀河が存在したことは、想定外
でした。 この時期なら、小さい銀河を見つけると思っていました。

2歳の子供がいると思ったら大人がいたのです。 従来の銀河の進化モデル
では、説明がつかない大きな銀河の存在。 助教たちはジェイムズウェッブの
データから、AIを使って銀河のモデルを作成。

これまで、実際に観測された銀河と、照らし合わせていきました。 私たちの
太陽系が属する天の川銀河。 従来のシナリオでは、130億年ほどかけて
合体を繰り返し、現在のサイズになったと考えられています。

しかし宇宙初期に、現在の天の川銀河と同じ大きさまで成長していた銀河が
存在していたのです。 従来のシナリオの見直しを迫る発見でした。

とても興奮しました。これをユニバースブレイカーと呼びました。説明するには
これまでのいくつかの考えを修正する必要があるのです。

助教たちは今回の観測結果を、銀河の成り立ちのスピードを変えてしまう
ユニバースブレイカーと名付けました。 ジェイムズウェッブは、本格稼働から
1年で、早くも宇宙論に修正を迫る事実を見つけた可能性があるのです。

では、なぜ、このような早い時代に、大きな銀河が生まれたのでしょうか?
その謎に挑んでいるのが東京大学の教授です。 星や銀河が生まれる様子を
シミュレーションで解き明かそうとしています。

これ、すべてシミュレーションから作ったものです。 最初に、これ、お見せして
いるのが、宇宙の、ある広い領域の中の物質分布。 実際には物質の多くは
ダークマターですので、ダークマターの分布を表しているのですけども、
何となくイメージとしては、この中に薄いガス、水素のガスが広がっていると
思って下さい。

こちらは、教授が再現した、暗黒時代に星が生まれる様子です。 ゆらゆらと
漂っているのが、水素やヘリウムなどのガスです。 この揺らぎが大きくなると
ガスの密度が上がります。

そして、ダークマターの重力によって、そのガスが引き寄せられ集まる事で、
星や銀河が生まれます。 今回、ジェイムズウェッブが発見したような、大きな
銀河が形成されるまでには、少なくとも10億年はかかると、教授は言います。
これが、標準宇宙モデルといわれるものです。

そこから予想できる、これぐらいの時代には、これぐらいの銀河があったの
だろうという、そういう予測をすることができるわけですけども、それを大きく
超えて見つかってますので。

今回のジェイムズウェッブの観測で見ると、その始まりのころで少し、あるいは
もしかしたら大きく違う様子になっていく、ということが考えられています。

教授は、ジェイムズウェッブの観測データをもとに、シミュレーションの前提
条件を変えて計算することにしました。 発見した銀河の大きさから逆算して
宇宙初期の密度の揺らぎの大きさを5倍に修正しました。

従来の宇宙モデルと、前提条件を修正したモデル。 138億年前のビッグバン
から、時間を進めていきます。 宇宙誕生1億年後、もう違いがあることが
分かります。

修正したモデルでは、ガスが早く集まっています。 6個の大きな銀河が見つ
かった、131億年前の宇宙です。 この光り輝く点が、銀河が生まれた所を
示しています。 ジェイムズウェッブの観測結果に近い、シミュレーションの
結果を再現できました。

本当に変えるのは、宇宙が生まれた時、それよりもっと前、本当に宇宙が
生まれた時の物質の分布の具合なのです。 どれくらいの揺らぎ方をして
いたか? そこを実は、ほんの少し変えるだけなのです。

逆にいいますと、ジェイムズウェッブの観測で宇宙の始まりの頃の物質分布が
どれぐらいになっていたのか?というのは、実は結構、詳しく分かるかもしれ
ないという、期待まで持てるようになりました。

シミュレーションによって宇宙初期に物質が、どのように分布していたのか?
条件を絞り込んでいくことが可能です。 更に観測が進めば、宇宙の始まりの
様子を正確に再現できる可能性があります。 宇宙の歴史の解明に一歩ずつ
近づいているのです。
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コズミック・ヒストリー
ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の活躍を支える、近赤外線カメラ、ニアカム。
その開発の裏側には、知られざるエピソードがありました。 装置の責任者は
2001年から、チームを率いています。 ニアカムの最大の敵は熱でした。

重要なのは、低温で赤外線を観測できることです。 低温であればあるほど、
いいのです。そのため、太陽光を遮る大きなシールドを搭載。更にニアカムを
冷却装置で冷やしマイナス233度に保ちながら観測できる様に設計しました。

しかし、宇宙空間は極寒でも、地上で開発する時は室温で組み立てるしか
ありません。 その温度変化だと、すべてが少しずつ変化します。 縮み、
レンズの形が変わり、性質も変わるのです。

ですから、冷えた時にどうなるかを全て計算し、そのデータをもとに地上で
組み立てたのです。 開発は困難の連続でした。 パーツごとに耐えられる
温度が違うため、素材を変えて調整を繰り返しました。 開発を初めて10年。
ようやく、ニアカムの基本設計が完成。 ここから、地上試験が始まります。

しかし、予期せぬ事態が開発チームを襲ったのです。 この時、地上試験を
担当していた、アリゾナ大学の教授です。

ちょうど、本当に試験の時で、それで僕と装置の責任者が、ハリケーンが、
ヒューストンに到着する日に、飛行機でヒューストンに入ることになっていて。

そうしたら、もう、ハリケーンが、その日の夜にバーッと来て、それでもう、
ヒューストンの町じゅうが水浸しになって、高速とかも全部、止まってしまう
ような。 ちっちゃな空港が、そばにあるのです。 完全に、水の中に浸って
しまうような状況で…。

2017年8月。ハリケーン・ハービーが、テキサス州を襲いました。地上試験を
行っていたヒューストン周辺にも、甚大な被害をもたらしました。 それでも、
ニアカムのテストは続行されたのです。

空いた部屋にエアマットレスを敷いて、そこで仮眠を… 2人ぐらいのチームで
1人が仮眠をとって、1人がやって、もう1人が起きてきたら、もう1人が入る
みたいな、そんな感じで、やってたのが結構、大変だったですね。

雨漏りもしてきて、コンピューターの上に、ビニールシートを引いてカバー
しなきゃいけないとか。みんな、もう本当にハリケーンが来て怖いというよりも
とにかく、この試験を、じゃあ今、これ、どうやって、ちゃんと計画通りやるか
そっちの方に神経が、みんな、いってたので、あんまり試験を止めるとか、
自分の日々の生活はどうなるのだろうとか、あんまり、そこは考えてなかった
ですね。 さまざまな困難を乗り越えていった、ニアカム・チーム。

2020年、開発を始めて20年をかけて、ついにニアカムが完成したのです。
望遠鏡というのは本当に、もう、打ち上げが失敗して爆発しても、それで
おしまいだから、そういう意味での葛藤って、あるのですよね。

そういう…そういう中を抜けていく為の資質っていうのは、やっぱり楽観的で
いられるかということに、かかってくるような気がするのですよね。 どれだけ
準備しても、駄目な時は駄目だし、それを、あまり深く考えずに日々、楽しみ
ながらコツコツ続けていくという。

この20年の間には、無理かと思うこともありました。 今は望遠鏡も、うまく
機能し、データを手に入れて、本当に楽しい時間です。

では、ここからは、ジェイムズウェッブの観測開始から1年の間に届けられた
宇宙絶景の数々を、ご覧いただきましょう。(映像はコズミックフロント4Kで!)

こちらは地球から、およそ1万5000光年先の宇宙。 美しく輝くガスの雲を
まとった星、WR124です。 太陽の30倍もの質量がある星で、超新星爆発が
近づいています。 命が尽きる前の最後の輝きです。

続いては地球から、およそ1万1000光年の距離。 星が、超新星爆発をした
後の姿、カシオペヤ座A。 猛スピードで、宇宙空間に広がるガスや塵が、
詳細に見てとれます。

こちらは、おとめ座の方向にある銀河、NGC5068。 まるで、スプレーを吹き
かけたような、膨大な数の恒星が映し出されました。 内部にある星に照ら
されて、ガスの雲が赤く輝いています。

こちらは、天王星です。 周囲のリングが、これまでにない鮮明さで捉えられ
ました。 さらに、白く輝く部分が雲です。 初めてクッキリと映し出されました。
最後は、地球から20万光年ほどの小マゼラン雲にある星団です。NGC346。

ジェイムズウェッブと、ほかの宇宙望遠鏡など、6つのデータを組み合わせま
した。 さまざまな波長の光が織り成す、色鮮やかな宇宙のハーモニーです。
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ファイル-2 ファーストスターをねらえ!
ジェイムズウェッブの大きな目的の一つは、宇宙の始まりの謎を解き明かす
こと。 そのためには、ファーストスターを見つけることがカギを握っています。
東京大学の教授は、このファーストスターについても長年、研究してきました。

こちらが、教授のシミュレーションから解き明かしたファーストスター誕生の
物語です。 宇宙の暗黒時代、このころに漂うのは水素とヘリウムでした。
密度の高い所は、重力により周囲のガスが引き寄せられ、ガスのかたまりが
出来ていきます。中心の密度が高くなるにつれて温度もどんどん上昇します。

そして、1億度に達した時、核融合が始まり、上下のガスを吹き飛ばします。
ビッグバンから、およそ2億年が経過したころ、ファーストスターの誕生です。
明るさは太陽の100万倍。 ファーストスターは、青白く輝く巨大な星だった
のです。

ファーストスターは、定義上、宇宙の始まりのころにあった物質だけで出来て
ますので、それは、すなわち水素とヘリウムだけで出来ているはずなのです。
ですので分光観測というのを、もしすることができて、その星の表面の組成、
どういうもので出来ているのかというのを、詳しく知ることができれば、例えば
水素とヘリウムしかないと、ということが分かると、これはファーストスターで
あるということが言えます。

分光観測とは、望遠鏡による観測手法の一つです。 太陽光を観測してみま
しょう。 望遠鏡の先端に巨大なプリズムを置くと、点に見えていた1つ1つの
星の光が、細い帯状の虹になります。太陽の光をプリズムに通したものです。
よく見ると、虹の中に何本も黒い線があります。

これは太陽の中にある元素が、特定の色の光を吸収した痕跡です。 こうした
黒い線は、吸収線と呼ばれます。 吸収線が現れる位置は、元素の種類に
よって決まっています。 吸収線の位置を調べれば、その星が、どんな元素を
含んでいるかが分かります。

実はジェイムズウェッブにもこの分光観測ができる装置が搭載されています。
それが、ニアスペック。 宇宙初期の天体の組成を調べられるのです。 

実は、これまで133億年以上先の遠方銀河で、詳細な分光データが取れた
ことはありません。 ファーストスターがある遠方の銀河でも、ニアスペックは
分光観測できるのか?

そのニアスペックで観測を行ったのは、最遠方銀河を特定した、教授の研究
チームした。 チームは、ジェイムズウェッブやハッブルで見つけた銀河など
250の天体を対象に観測を行いました。そして、ある天体から詳細なデータを
取得することができたのです。

それは、ハッブルが捉えていた134億年前の遠方銀河、GN-z11でした。
これは、ニアスペック分光器で測定した、GN-z11銀河のデータです。
これらの線は、炭素や窒素・酸素・マグネシウムがあることを示しています。

こちらが、ニアスペックで取得したデータ。横軸が波長で、縦軸が明るさです。
窒素や酸素・水素・炭素などの反応が見られました。 これほど遠方の銀河
から、初めて詳細な分光データが取れたのです。

このデータは、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡が見る事のできる範囲を
超えています。 データが非常に良いので、このまま観測を続ければ、
ファーストスターを見つけられると確信しています。

ジェイムズウェッブのプロジェクトチームは、この結果に大きな手応えを感じて
いました。 しかし観測データから、もう1つ明らかになったことがありました。
これらは、第2世代の星の元素を表しています。 もっと遠くを見なくては
ならないのです。

水素とヘリウム以外の元素が見つかったため、この銀河はファーストスターの
次の世代、第2世代以降の銀河だと判明しました。 ジェイムズウェッブは、
これからニアスペックを使って、さらに初期の宇宙を探っていきます。

しかし、質量が大きいファーストスターは寿命が短く、数百万年ほどで超新星
爆発を起こしたと考えられています。 そのため現在まで残っている可能性は
低く、遠い昔に放たれた、かすかな光を探すしかありません。

ファーストスターを見つけるのは難しいです。 ジェイムズウェッブでは比較的
狭い範囲しか調査できませんし、望遠鏡を向けた場所にファーストスターは
ないかもしれません。 ファーストスターを見つけるためには、広い範囲を
非常に深く探さなければならないのです。

この広い星空から、ファーストスターのかすかな光を探し出す、途方もない
ミッション。 ジェイムズウェッブの次なる一手は…。
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コズミック・チャレンジ
ジェイムズウェッブの打ち上げから、およそ7カ月後。 衝撃的なニュースが
発表されました。 1年ほど前、予想以上に大きな衝突がありました。 5年に
一度はあると予想をしていましたが、打ち上げから半年で起きました。

鏡に衝突したのは、砂粒よりも小さい天体と考えられています。 しかし、
ジェイムズウェッブは、毎秒30キロものスピードで移動しているため、正面
衝突すると、大きな衝撃を受けるのです。

原因究明と復旧に活躍したのが、赤外線観測装置ニアカムです。 実は、
ニアカムには、自らの機体を見ることができる、人間の目のような役割がある
のです。

ジェイムズウェッブは、18枚の鏡で集めた光を調整して、天体の画像を作成
します。 ニアカムで確認したところ、天体が衝突したのは右下の鏡だという
ことが分かりました。

その結果、衝撃によって鏡が、200ナノメートルほど、ゆがんでしまったの
です。 そこでニアカムで見ながら、鏡の位置を調整することになりました。
鏡を調整して、反射の仕方を変えました。

衝突した鏡と、ほかの鏡との位置関係を調整することで、ほとんどの影響を
取り除くことができたのです。 これ以上、衝突しなければ大丈夫です。 でも
あまりに早く起きたので、私たちは怖くなりました。 計画を変更するか、検討
しました。 エンジニアチームを中心に衝突についての対策が議論されました。

“2年目の観測計画が送られてきましたが、回避ゾーンが、どう影響するか
分かりましたか?”  “はい、あとは観測計画の最終決定を待っている段階
です”   “事前に計画日程チームに知らせるのはどうでしょうか?”
“可能性はありますが見込みはどうでしょうか?実際は、我々は、期間を変え
ないので…”

対策チームが考えたのは、事前に小天体の情報をキャッチして回避ゾーンを
設定すること。 小天体が来る方向には鏡を向けないようにして、正面衝突を
防ぐことにしたのです。

私は、ジェイムズウェッブに携わって、26年になります。 このミッションに恋を
しているので、ジェイムズウェッブに長生きしてもらうため、最善を尽くしたいと
思います。
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ファイル-3 未知なる領域へ
果てしなく遠くにあるファーストスター。 この広大な宇宙の中から見つけ出す
のは、至難の業です。  そんな中、ファーストスター発見に向けて注目を
集めている現象があります。

こういう所ですね。 これ例えば、レンズで、のびたみたいに、ここに質量が…
中心があって、そうすると、もう周りのものが全部、こういう風にストレッチされ
のびているのです。 これ全部、重力レンズの効果なのですけど。

重力レンズとは、遠くの銀河の光が巨大な重力によって、レンズのように曲げ
られる現象です。 しかし、この現象の特徴は、ただ光を曲げるだけではあり
ません。

銀河の周りに細かい点が見えるのですけど、これは、この銀河の周りにある
星団で。 普通だったら見えないような細かい構造が、重力効果によって
後ろにあるものを、より細かく、そして明るく拡大されて見えてきて…。

実は重力レンズは、遠くの銀河の光を拡大して見せてくれる、虫眼鏡のような
効果があるのです。 ジェイムズウェッブの観測から、カナダの研究チームが
論文を発表しました。 重力レンズの効果で新しい星団を発見したのです。

南半球の、とびうお座の方向にある銀河団(SMACS0723)。 拡大すると、
不思議な形の銀河があります。 スパークラー銀河。 スパークラーとは、
線香花火という意味です。

このオレンジ色の丸1つ1つが星の集合体だということが分かってきました。
これらの天体を赤外線で、さらに詳しく調べます。 すると、12個のうち5個が
非常に古い恒星の波長と一致。 球状星団だということが分かりました。

球状星団とは、10万から100万個の恒星が、お互いの重力によって、丸く
集まっている天体です。 しかも球状星団は、とても古い時代に形成された
ものです。 そのため、この球状星団の中にファーストスターが含まれている
可能性があるというのです。

重力レンズ効果と、ジェイムズウェッブの能力を組み合わせた観測に、大きな
注目が集まっています。 さらに現在、NASAは、次の宇宙望遠鏡の開発も
進めています。

2027年に打ち上げを目指しているナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡
です。 この望遠鏡の最大の魅力は視野の広さ。 ジェイムズウェッブの視野の
100倍にも及ぶといいます。

闇雲に宇宙を探すよりも、ローマン望遠鏡の広い視野で観測することで、
より多くのファーストスターの候補が見つけられます。 見つけた候補を、
ジェイムズウェッブで観測すれば、ファーストスターだと特定できるのです。

将来的には、ローマン望遠鏡とウェッブ望遠鏡のデータを組み合わせることで
ファーストスターが見つかるかもしれません。 ジェイムズウェッブが本格稼働
して1年。 2年目の観測にも、大きな期待が寄せられています。

世界中から1600を超える観測が提案され、そのうち250件が選ばれました。
あのユニバースブレイカーを見つけた、助教のチームの提案も採択。 6つの
大きな銀河をニアスペックで、分光観測することになりました。

これによって、銀河の質量が特定できると、宇宙初期の歴史が変わってくる
可能性があるのです。 一方、最遠方銀河の候補を見つけていた東京大学の
助教も提案を出していました。

採択されたのは、南米・チリの望遠鏡で見つかった遠方の銀河の観測です。
134億年より前で、とても明るい銀河とみられていますが、まだ距離や性質は
ハッキリ分かっていません。 (XMM3-3085)

ジェイムズウェッブで分光観測をすれば、最も明るい最遠方の銀河だと特定
される可能性があるのです。

こういうのを皆さんに伝えることで、宇宙って、こんなにいろいろ面白いのだと
いうことを分かってもらって、そのワクワクするような気持というのを皆さんに
与えることなのかなと思っています。 そういう皆さんの知的好奇心を頑張って
刺激するような研究が、続けられるのがいいのかなと思っています。

天文学者になるには、すばらしい時代です。 これまで見ることができなかった
遠方の銀河を発見し、多くのことを学んでいます。 今、天文学者でいられる
ことは、本当にエキサイティングで楽しいことだと思います。

宇宙の深淵を理解することは私たちが、どのような存在であるかを理解する
のに役立ちます。 私たちの誕生から何十億年も前に、どのような種類の星が
生まれてきたのか、地球が誕生する前に起こった宇宙の偉大な叙事詩です。
これは、最後のフロンティアなのです。

人類が手にした最も遠くが見える望遠鏡ジェイムズウェッブ。 観測は2年目に
入りました。 一体、これから、どんな発見があるのでしょうか? 未知の領域
への挑戦は、まだまだ続きます。



大空を舞う鳥たちの驚きに満ちた不思議な能力と鳥の言葉とは?
2024年02月12日 (月) | 編集 |
第2296回「なんて言われようと譲れないことは?」
大空を舞う鳥たち。近年、鳥類の研究者は、多くの新技術を発見しています。
鳥は、想像以上に驚きに満ちた生き物だったのです。 しかし、残念な事実も
明らかになりました。

北アメリカでは、過去50年の間に鳥の数が、30億以上も減っているのです。
鳥たちの真の姿に迫ります。 まずは、鳥類の起源へと、さかのぼりましょう。
彼らの先祖についても、興味深い発見がなされています。

ドイツ南部・バイエルン州・アイヒシュテット近郊にある石切り場です。 ここの
石灰岩は、1億5000万年前、恐竜や初期の哺乳類が、繁栄していた時代の
ものです。 ここでは、長年、化石の発掘が行われています。

近年、特に興味深い発見がありました。 その化石は、かつて発掘された、
ある生き物に似ていました。 それは、始祖鳥(しそちょう)の名で知られる
アーケオプテリクスです。

その始祖鳥と同様に、鳥のような特徴を持った恐竜が、新たに発見された
のです。 翼には爪がありました。 木を登るのに使ったのでしょう。
翼を広げてグライダーのように滑空し、捕食者から逃れていたと思われます。

現代の鳥のように、羽ばたいて自由自在に飛ぶことは、まだ、できなかったの
です。 そのためには、さらに進化する必要がありました。 やがて、空気の
流れを受けて、押し上げるように働く力、揚力を生む翼に進化します。
これによって鳥は、初めて大空を自由に舞うようになったのです。

ドイツ・ヘッセン州のメッセル。 保存状態のよい化石が見つかることで有名
です。 およそ、4800万年前には、この場所は、暖かく湿った亜熱帯の森
でした。 ここでは状態の良い鳥の化石も見つかり、現在、ゼンケンベルク
自然史博物館が保管して研究を行っています。

この小さな鳥には、長いくちばしがあり、現代のタイヨウチョウに似ています。
胃の内容物から花粉が見つかり、花の蜜を吸っていたことが分かりました。
花の蜜を吸う鳥の化石としては、最古のものです。

また、別の小さな鳥も発見されています。 昆虫を食べていたようです。
翼の細長い形状から、素早く飛び回ることができたと考えられます。
4800万年前には現代の鳥の様な翼が出来あがっていたという事になります。

鳥類の翼の進化を最も感じさせる、最速の生物がいます。 ハヤブサです。
ハヤブサの最高時速は、390 キロメートル。 まるで、羽毛のある ジェット
戦闘機です。

ハヤブサの翼は細長く、後方に傾いていて、本当にジェット機のようです。
方向転換が素早くできるので、獲物となる他の鳥を空中で捕らえるのも
得意です。 このハヤブサと、よく似た進化を遂げた鳥がいます。 しばしば、
ハヤブサの獲物となる鳥、ハトです。

狩るハヤブサと、狩られるハトの生存競争は、両者を、より力強く、より速く
飛ぶよう促しました。 飛行能力の進化は、獲物を捕らえることだけでなく、
獲物にならないことが目的でもあるのです。 羽ばたいて飛ぶのは疲れます。

その点、カコウは、エネルギーを節約するのが得意です。 ヨーロッパと
アフリカを往復する渡り鳥であり、繁殖はヨーロッパで行います。 その時、
卵を他の鳥の巣に産み、ヒナの子育ても、その鳥に任せてしまうのです。

近年の研究で、カッコウは、渡りをする際にサハラ砂漠を通っていることが
分かりました。 暑く不毛な砂漠の上を、ノンストップで飛ぶ過酷な旅を、
どう乗り切っているのでしょうか?

英国鳥類学協会のチームが、イギリスのウスターシャーで、その謎を解こうと
しています。 まず、カッコウを捕まえて発信機をつけます。 近くにオスの
カッコウがいると思われる場所に来ました。

数日前に、ここで鳴き声がしたのです。 オスはメスの気を引くために鳴き
ます。 メスの返事も聞こえるかも知れません。 ここはカッコウが、よく、その
巣に卵を産みつける鳥、ヨシキリの繁殖地。

カッコウがいる事が期待できます。 捕まえるのに、ちょうど良さそうな場所に
網を設置しました。そして、おとりとしてメスのカッコウのレプリカを置きました。
夜明け前。 まだ月が出ている時間にチームは網を仕掛けた場所へと戻って
きました。 鳴き声が出る装置のスイッチを入れます。 あとは待つだけです。

夜が明けました。 1羽のカッコウが網に掛かりました。 車に運んで発信機を
つけます。 このカッコウは、8月にアフリカのコンゴ周辺へ向かうはずです。
どのような旅路を、たどるのか? 発信機が明らかにしてくれるでしょう。

英国鳥類学協会は、以前からカッコウに発信機をつけて、渡りの時期と
ルートを研究してきました。 中には、アフリカとヨーロッパを7回往復した
個体も確認されています。

発信機にはセンサーがあり、周囲の気温も記録します。 そして気温から
カッコウが飛んでいる、高度も推定できるのです。 その結果、標高5000
メートル付近を飛んでいることが分かりました。

気温が低く、風速の速い場所です。 飛行機と同様に強い追い風に乗る事で
時間とエネルギーを節約できます。 体の小さなカッコウが、広大なサハラ
砂漠を越えられる裏には、そんな秘密があったのです。

しかし、体の重い鳥にとっては、はるか高くまで上昇するのは困難です。
そこで体重が15キロにもなるアンデスコンドルは、別の方法を使うようになり
ました。 自分のエネルギーではなく、地球のエネルギーを利用するのです。
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空気が暖められて生じる上昇気流に乗って舞い上がります。 時には1秒で
およそ6メートルも急上昇し、何時間も空中に、とどまります。 山の岩肌が
熱を帯びると、暖められた空気が上昇気流となります。 それが、この大きな
鳥の体重も支えるのです。

こうしてコンドルは、アンデス山脈を中心に、広大な範囲を飛び回ります。
1日に300キロメートル、移動することも可能です。 コンドルが羽ばたくのは
飛行時間のうち、わずか1%ほどです。

それ以外は、気流を利用しています。 それを可能にしているのは、暖かい
上昇気流を作り出す、アンデスの山々です。 より広い範囲を移動する大型の
鳥は、集団で隊列を整えて羽ばたきます。

実は、これには大きな利点があるのです。 ハイイロガンの群れを見てみま
しょう。羽ばたくたびに翼の先端が目には見えない空気の渦を生じさせます。
後に続く仲間は、前のガンが残した空気の渦に乗ります。

それにより後方のガンは、羽ばたくのに使うエネルギーを20%以上、節約
できるのです。 鳥たちは空を飛びながら、巧みにコミュニケーションを取って
います。 このムクドリも、そうです。

冬の日暮れ時、何千羽ものムクドリが集まり、見事なパフォーマンスを披露
します。 ねぐらへ向かう大群が一斉に旋回するのです。 圧巻の光景です。
群れに対し、旋回しようというメッセージを発するのは、端のほうにいる、
ほんの数羽だけです。

そのメッセージは、秒速40メートルもの速さで、群れの皆に伝達されます。
400羽の群れが、そろって向きを変えるのにかかる時間は、0.5秒ほどです。
これほど素早く方向転換を続けながら、ムクドリ同士は、なぜ、ぶつからない
のでしょうか? 鳥たちのコミュニケーションについて、更に探ってみましょう。

オーストリアにある、マックス・プランク生物知能研究所。 鳥類の研究施設と
しては世界最大級で、この分野をリードする存在です。研究所のエンジニアが
生態調査に使う小型マイクを製作しています。 マイクの重さは1グラム未満。

これならば、小さな鳥にも装着でき、個々の鳴き声を収録できます。 この
小型マイクを使って、鳥たちが群れの中で、どうコミュニケーションを取って
いるか調べるのです。

このキンカチョウたちの背中にはマイクがつけられています。実験を行うため
人工的に風を発生させる、風洞という装置の中に入れます。 キンカチョウ
たちが、風洞の中を飛び続けるよう、止まり木は外し、棒を振ります。

そして、個々の鳥の鳴き声と、群れの動きを記録します。 実験から分かった
ことは、興味深いものでした。 キンカチョウは、鳴き声によって自分の位置を
仲間に知らせ、互いに、ぶつからないように、していたのです。

翼がぶつかれば、致命的なケガを負う可能性があるからです。 鳥たちの
コミュニケーションは私たちが思うより、はるかに高度なようです。 クジャクの
コミュニケーションは、どうでしょうか?

オスは全身を使ってメスに、そして競争相手のオスに存在をアピールします。
何より特徴的なのは長い飾り羽です。 目玉のような模様が、きらめきます。
さらにオスは尾羽を震わせて、極めて低い音を出します。 この音は人間には
あまり聞こえませんが、クジャクには聞こえています。

視覚と聴覚、2つを駆使するのが、クジャクの求愛のコミュニケーションなの
です。 鳥の世界では鮮やかな色が、重要なコミュニケーションの手段となり
ます。 その顔の彩りから、海の道化師とも呼ばれる、ニシツノメドリ。

北アメリカや西ヨーロッパの沿岸部に生息しています。 カラフルなくちばしは
求愛のアピールに使われます。 しかし夏の終わり、繁殖期が終わると、
色鮮やかな部分は、脱皮するように取れてしまいます。

大西洋のニシツノメドリは、1年の3分の2を海で過ごし、繁殖の時期だけ
陸に上がります。 繁殖期を迎えたカップルは、互いのくちばしを打ちつけ
合います。 この行動は、ビリングと呼ばれます。 これによってカップルは、
強い絆を保ちます。 絆を確かめ合ったカップルは、さっそく子育ての準備へ。

以前に作った巣穴を、また使うこともあれば、新しく掘ることもあります。
ニシツノメドリは、オスとメスで、外見に大きな違いはありません。 しかし、
鳥の中には同じ種でも、異なる姿をしているものもいます。

再び、マックス・プランク生物知能研究所へ。 ここでは、エリマキシギという
多様な色の羽を持った鳥の研究が行われています。 メスは小柄で目を引く
特徴はありません。 面白いのはオスです。

まるで、エリマキのような長い羽毛が生えています。 しかも、個体によって
色や形が、かなり異なります。 この外見の多様性は、実は、彼らの繁殖の
戦略と関わっているのです。

エリマキシギには、超遺伝子と呼ばれる特殊な遺伝子が、全部で3種類あり
ます。 そのうち、どれを持つかによって、オスは外見も求愛行動の仕方も
異なるのです。 1つ目は、体が大きくて黒っぽい色のタイプ。 縄張りを
積極的に守り、闘争心が強く、縄張り型と呼ばれます。

2つ目はエリマキの色が白っぽいタイプ。 縄張りを持たず争う事もしません。
衛星型と呼ばれ、縄張り型に子分のように付き従います。 縄張り型は、
衛星型を引き連れて歩き、その見事な羽をアピールします。 なるべく多くの
メスを引き寄せたいのです。 そして、縄張りを守ろうと他のオスと闘います。
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しかし、そんな争いには興味のなさそうなものもいます。 第3のタイプは
非常に数の少ない、ニセメス型です。 彼らは、なんと、メスとそっくりな姿を
しているのです。 まるで変装しているかのように。

時には、縄張り型や衛星型であるオスが、ニセメス型をメスだと思い込み、
交尾しようとすることさえあります。 しかし、このメスにそっくりの姿が、
ニセメス型にとって、有利に働くこともあるのです。

オス同士の争いに巻き込まれることなく自由に動けることです。 縄張り型が
交尾や縄張り争いに、かまけている間に、ニセメス型はメスを探します。
そして実際、ニセメス型を好ましく思うメスもいるのです。

見た目の華やかさだけが、繁殖に有利なわけではないようです。 鳥類の
繁殖行動には他にも驚きの発見がありました。 ここドイツのバイエルン州の
森では、アオガラの研究が行われています。

アオガラに発信機を取り付け、巣箱に出入りするたびに、その動きが分かる
ようにしました。 この森にいる繁殖期のペアは、およそ100組。 その行動を
24時間、1年を通して調査したのです。

すると、アオガラたちが産卵を開始する時期、1週間ほどの間、奇妙な行動が
確認されました。 これまでアオガラのつがいは、絆が深いと思われていま
したが、実は、そうでもなかったのです。

朝、早起きしたメスが隣の巣箱へ入って行きます。 そして別のオスと交尾を
するのです。 アオガラは、両親そろって子育てをします。 なのでメスが他の
オスと交尾をすると、パートナーであるオスは、自分の子供ではないヒナの
世話をすることになりかねません。

しかし、パートナー意外と交尾をするのは、実はオスも同じでした。 研究者は
本来のパートナー以外との間に生まれた、アオガラのヒナの割合を調べて
います。 すべてのヒナの血液サンプルを採取し、親子関係を調べました。

そもそもアオガラは、一体、何のために、このような行動を取るのでしょうか?
オスの場合は、自分の子孫を増やすためと説明できます。 しかし、メスは
交尾の相手を増やしたからといって、卵の数が増えるわけではありません。

可能性として考えられるのは、パートナーが、いなくなった場合の備えです。
万が一の時に、一緒に子育てをする別のオスを、確保しているのかもしれま
せん。 追跡調査の技術が進むにつれて、こうしたケースは、アオガラに
限らないことが分かってきました。

オスもメスも、複数の相手と交尾する鳥のほうが、実は、ずっと多いのです。
鳥類についての研究では、人間が鳥に与える影響の大きさも明らかになって
います。 ドイツ北部・北海に浮かぶ、ヘルゴラント島。

1991年、この島でカツオドリの繁殖が、初めて確認されました。 それから、
およそ30年が経った、2022年の繁殖期。 崖の上には、なんと、1500組の
カツオドリのつがいがいました。 原因は、近年の海水温の上昇です。

もっと南にいたニシンやサバなどの魚が、暑さを避けて北のヘルゴラント島の
方に、移動しているのです。 カツオドリは好物である、これらの魚を追って
ヘルゴラント島へ、やって来たのです。

一方で以前から、この島にいたフルマカモメとミツユビカモメは、数が激減して
います。 彼らの好む小魚が、温暖化のために姿を消したからです。 さらに、
カモメたちが巣を作る岩肌は、日中の温度が50度以上にも達するようになり
ました。 子育てをするには、過酷な環境になっているのです。

鳥たちは気候変動によって、さまざまな影響を被っています。 農業の在り方も
鳥たちに影響を及ぼしています。 ヒバリの美しい、さえずりは、北半球の広い
範囲で、古くから親しまれてきました。

この小さな鳥は、草原や農地に巣を作ってヒナを育てます。 しかし、農業は
大規模化し、作物が密集して植えられ、トラクターも通るようになりました。
トラクターが通った跡に作った巣は、捕食者に見つかりやすくなります。

巣が、作りにくくなっているのです。 また、農薬や殺虫剤によって、ヒバリが
食料とする昆虫が激減しています。 ヨーロッパでは、1980年以降、ヒバリの
数が、7000万羽近く減少したともいわれています。

環境破壊や地球温暖化は、世界中で鳥たちを脅かしています。 アメリカでは
1970年代以降、野生の鳥の生息数が30億も減少し、かつての3分の2
ほどになりました。 数を減らしているのは一部の鳥たちだけではありません。

身近な鳥たちにも危機が迫っています。 原因の一つは、音です。 鳥たちは
さえずりによって縄張りを守り、異性を引き寄せます。 風の音などに負けずに
鳴き声を届けるため、鳥たちは音の大きさや長さ、音程、鳴く時間帯を工夫
します。 しかし、人間が都市化を進めたことで、騒がしい場所が増えました。

車などの騒音によって、幼い鳥は、さえずり方の学習を妨げられています。
多くの種において、ヒナが鳴き方を覚える期間は、数カ月ほど。 この時期を
騒音で邪魔されれば、異性を引き寄せられず、繁殖に失敗しかねません。

騒音は鳥に慢性的なストレスを与え、免疫力を低下させ、寿命を縮める原因
にもなります。 音だけでなく光も鳥の邪魔をします。 夜間に渡りを行う鳥が
光に引き寄せられ、建物にぶつかって死んでしまうことが、よくあるのです。

渡り鳥は都市化の影響を特に大きく受けています。 アメリカ・ニューヨーク州
にあるコーネル大学の鳥類学研究所です。 ここの脊椎動物植物館は、鳥の
標本を大量に所蔵しています。

この中に、夜間の移動中に命を落とした鳥が、多く含まれているのを研究者
たちは発見しました。 今、そうした鳥の命を救う方法が、検討されています。
アメリカだけでなく、世界中の鳥たちに関わる問題です。
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これは、気象観測用のレーダーです。 アメリカ全土で、155カ所に設置され、
主に雨の予報に使われています。 コーネル大学の研究者たちは、この
レーダーを使って、鳥の動きを探知することを考えました。

空気中を移動する質量の密度を検出する機能を利用します。 アメリカ全土の
鳥の群れの移動を追跡し、その種までは特定できないものの、地図上に表示
することができます。

緑の点がレーダーで、色が付いている部分が、渡り鳥の分布を表します。
画面を横切る赤い線は、日が沈む地点を表しています。 そして、暗くなった
地域に明るい色が表示され始めます。

これは、何百万羽もの移動する鳥たちです。 バード・キャストと呼ばれる
このシステムで、夜間の鳥の移動を予測できる様になりました。 レーダーが
これまで集めてきた気象のデータと、過去20年分の鳥の移動のデータを
あわせると、どのような気象の時に、鳥が移動するか予測できるのです。

研究者は、この情報を使って、鳥を過剰な光による害から、守ろうと考えて
います。 夜、渡り鳥の群れが、いつどこに現れるか予測できれば、その鳥が
通過する場所の人々に、明かりを消すよう呼び掛けることができます。

照明のスイッチを切るだけで、何百万羽もの鳥が、窓ガラスに衝突するのを
防げるのです。 大西洋に浮かぶスペイン領・カナリア諸島の一つ、
テネリフェ島です。

ここで、オウムやインコの知性と協調性についての研究が行われています。
オウムやインコの知能は、類人猿やイルカに匹敵するといわれています。
指示を実行するように訓練することもできます。

インコの一種であるヨウムに、丸いチップを人間に渡せば、エサをもらえる事を
教えました。 ここで、片方のヨウムの穴だけ塞いでしまったら、どうなるで
しょうか? チップを与えられますが、エサと交換することはできなくなります。

隣の、もう1羽のヨウムの方は、穴は開いていますが、チップがありません。
すると、穴を塞がれたヨウムは、隣のヨウムにチップを渡しました。 このように
他者の利益のために行動することは、これまで、人間と類人猿にしか見られ
ませんでした。 大発見です。 他者を助けるというのは、複雑な行為です。

まず、相手が助けを必要としていることを、認識できなければなりません。
では、人間に渡すための穴を両方塞ぐと、どうなるでしょうか? なんとチップを
持っているヨウムは、それを隣のヨウムに譲るのをやめました。

無駄だと分かっているのです。 このような知能の高い鳥であれば、急速な
地球環境の変化にも適応して、繁栄を続けるかも知れません。

ホンセイインコは、南アジアやアフリカの鳥でしたが、今では、ヨーロッパの
新しい住人になりました。 そしてロンドンでは、インコの数が増えたことが
ハヤブサの数に影響を与えています。 ここはロンドン南部にある教会です。

この塔には、ハヤブサが巣を作っており、最近、4羽のヒナが巣立って行った
ばかりです。 繁殖期が終わったのを見計らい、研究者はハヤブサの巣から
彼らが何を食べていたのかを調べています。

たくさん散らばっている灰色と白の羽は、ハトのものです。 ハトはハヤブサの
定番の獲物です。 しかし最近、ハヤブサの献立にインコが加わりました。
成長の早いハヤブサのヒナのエサとして、インコは格好の獲物のようです。

インコはハヤブサの食料として、どれほど割合を増やしているのでしょうか?
それを解く手がかりになるのがインコの、くちばしです。 大きなオレンジ色の
くちばしは、とても硬く、消化されずに残るからです。

ホンセイインコが、どのようにしてロンドンにやって来たのかは、分かっていま
せん。 おそらく、ペットだったものが逃げ出したのでしょう。 最初に繁殖が
確認されたのは、1969年ですが、90年代半ばに急増。

2000年までに、その数は20倍となり、現在、イギリス全体で、およそ
8600組の、つがいが暮らしています。 教会のハヤブサの巣に残っていた
インコのくちばしを集めたところ、なんと91個もありました。

ロンドンに数多く生息するようになったインコは、繁殖期のハヤブサの獲物
としても、ハトに次ぐ、重要な主食となっているようです。 ハヤブサは、
1950年代の後半に激減しました。 原因は、DDTという殺虫剤の普及です。

農作物に散布して昆虫を殺す化学物質で、その毒は、食物連鎖によって
鳥たちにも影響を与えました。 生まれる卵の殻が薄くなり、親鳥が抱く際に
割れてしまうようになったのです。

1980年代に、ようやくDDTが禁止され、ハヤブサの数は世界中で回復して
いきました。 イギリスでは、およそ1700組のつがいが確認され、DDT普及
前の2倍以上となりました。

もともとの生息地である沿岸部が、飽和状態となった結果、都市の環境にも
適応するようになったのです。 人間が問題に対処すれば、鳥は、すぐに
数を回復できます。

この先、インコがロンドンで増えるにつれて、その近くでハヤブサも、また、
増えていくと考えられます。 変化する世界に、見事に適応していくインコと
ハヤブサは、すべての生き物にとっての希望となり得ます。

鳥類について、さまざまな新事実が発見されています。 同時に人間の活動が
彼らに大きな影響を及ぼしていることも分かりました。 人間との共存に適応
している種もありますが、そうではない種も多いのです。

私たちは自然との関わり方を見つめ直さなければなりません。 未来の人々も
鳥たちの声や、美しさを楽しめるように。
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今回は、鳥たちの言葉を学ぶ、鳥語講座のお時間です。 明日から、すぐに
使える便利な表現満載で、お届けします。 では、始めて行きましょう!

ちょっと、待った! いや~、鳥に言葉なんて無いでしょう?

それが、あるのですよ!  最新の研究から、これまで、ただ鳴いているだけ
だと思われて来た鳥の声に、なんと、私たち人間の言葉と同じように単語や、
文章まである事が分かって来たのです。

え~? 本当ですか? こんなにカワイイ鳥たちに、そんな能力があるなんて
ちょっと信じられませんけど~?  更に今回は、研究の最前線にも密着!

鳥の子供たちが言葉を学ぶ学校がある事や、森の動物たちが鳥の言葉を、
ちゃっかり利用している事も分かって来たのです。 では、早速、鳥語講座、
レッスン開始です!
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第1章 楽しく学ぼう!鳥語講座基礎編
冬の長野県・軽井沢です。森に入ると早速、鳥たちの声が聞こえて来ました。
ほら、小鳥の群れが移動して行きますよ。 こちらは、シジュウカラ。
胸のネクタイ模様が特徴の、スズメほどの大きさの小鳥です。

近くに他の鳥の姿も。 ヤマガラです。 鮮やかなオレンジ色がキレイですね。
こちらは、コガラ。 黒い帽子をかぶったような模様が特徴です。 これらは、
カラ類と呼ばれる、日本各地の森に暮らす野鳥たち。

秋から冬の間、こうして複数の種が集まり、混群(こんぐん)という大きな群れを
作る事があります。 カラ類の混群は、いろいろな種の群れが集まったもの。
それぞれ同じ種だけの群れを持ちながら、生息域の重なる場所で混群となり
行動を共にするのです。

メンバーは、シジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、ヒガラなどのカラ類を中心に、
生息域が近いゴジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなども加わり、30羽以上の
大きな群れになる事もあります。

最近この混群の鳥たちが言葉を使って綿密なコミュニケーションを取っている
事が分かって来たのです。

確かに、観察していると… 常に、色んな声を出しています。 でも、ただ鳴いて
いるだけにしか見えませんよね? そこで、この方の出番です!

京都大学白眉センターの博士。 15年以上、鳥の声に耳を傾け続け、その
言葉の意味を次々に解明して来ました。 その研究の成果は中学校の国語の
教科書にまで掲載されるほど。 世界も大注目の鳥語博士なのです!

“本当に色んな声を鳥たちは持っている。 その1つ1つに意味がちゃんとある。
それを研究して解き明かして行く事で、鳥の言葉が分かるようになる”

Q: 私たちにも分かりますか?   A: はい、分かります。

①鳥語講座の基礎単語編
まずは、混群で最もよく耳にする言葉から、学んで行きましょう!

“今、こっちに来たのがコガラという鳥で、 ディーディーディーと鳴きました”

* レッスン-1 *  コガラの言葉、ディーディーディー
どういう意味なのか? 使い方を、見てみましょう。  ディーディーディー。

コガラが移動して行きます。 すると、シジュウカラも。 そして、ヤマガラも。
コガラのディーディーディーを聞いて、その後を追いかけて行きます。
コガラがやって来たのは、松の木。 松ぼっくりの中のタネを食べています。

他の鳥たちも、コガラを追って松の木に。 皆、タネを食べ始めました。
コガラのディーディーディーを合図に、皆、同じ場所で食事を開始。
つまり、この、ディーディーディーの意味は?

“集まれという意味で、エサを見つけた時に、仲間のコガラ・シジュウカラ・ヤマ
ガラなどを呼ぶ時の声です”  そう、ディーディーディーの意味は、集まれ!
混群では、こうして誰かが食べ物を見つけると、皆で、知らせ合うのです。
コガラのディーディーディー。 では、練習してみましょう!

はい! …え? ちょっと待った! いや、ディーディーディーが集まれという
意味なのは分かりましたよ。 でも、なんで混群の鳥たちは、わざわざ他の
鳥たちと群れるのですか?

実は冬は、色んな種が集まった方が、何かと便利なのですよ! どういう事?
冬は、森の食べ物が少なくなる季節。 鳥たちが食べ物を探すのは、簡単では
ありません。 でも混群だと、高い木の上で暮らすものや地面近くで暮らすもの
など、異なる場所で食べ物を探す鳥たちが一緒になります。

そうした、得意分野が違う鳥たちと、食べ物の場所を教え合えば、効率的に
見つけられるのです。 それに、木々の葉が落ちる冬は、天敵からも見つかり
やすくなります。

そんな時、色んな場所に別の種の仲間がいれば、天敵にも早く気付く事が
出来ます。 混群は、厳しい冬を生き抜くための小鳥たちの作戦なのですよ!
混群の中での情報交換に欠かせないのが言葉なのですが、実は、鳥たちに
共通の言葉があるわけではありません。

例えば、集まれという言葉、シジュウカラでは… ヂヂヂヂ で、集まれという
意味になります。 ヤマガラだと、ニーニーニー。 ゴシュウカラだと、フィフィフィ。
種が違うもの同士、お互いの鳴き声の意味を理解し合う事で、混群の中で
会話が成り立っているのですよ!

人間で例えるなら色んな国の人が集まり、それぞれの言葉で話すけれど、皆
お互いの言葉を理解している、そんな状況なのです。 なるほど! 混群の鳥
たちはバイリンガルどころか、鳥だけにトリリンガル以上て、事なのですな!

②鳥語講座の基礎単語編
さあ、続いての基礎単語です。こちらも、小鳥たちの混群の必須表現を、ぜひ
マスターして下さい。

* レッスン-2 *  シジュウカラの言葉、ヒーヒーヒー
どういう意味なのか? 使い方を、見てみましょう。  ヒーヒーヒー。

木の周りに鳥たちが集まっています。そこへ、シジュウカラの声が響きました。
すると鳥たちが何やら慌ただしく飛び回っています。 もう1度、見てみましょう。
よく見ると、ヒーヒーヒーを聞いた鳥たちが、木立の裏に逃げ込んでいます。
この、ヒーヒーヒーの意味は、 カタが来た!

天敵のタカの襲来を伝える言葉だったのです。 このヒーヒーヒーには、絶大な
力があります。 群れの誰かが、この言葉を発すると… 周りの仲間たちも、
即座に同じ意味を持つ声で反応します。

こうして、群れ全体で鳴き交わし、互いにタカの存在を知らせ合うのです。
タカの仲間は、森の小鳥たちにとって、最も怖い天敵!

その為この声を聞いた鳥達は大慌て! 地面にいたものは近くの藪の中へ!
木の幹にいるものは動きを止め、上空を確認! 皆が安全を確保するのです。
更に、博士の研究から、このタカが来た!という言葉には、種を超えた共通点
がある事が分かって来ました。 3種の鳥たちの声を、聞き比べてみましょう。

シジュウカラのヒーヒーヒー!  コガラのヒヒヒヒ!  ヤマガラのスィスィスィ!
実は、皆、似た周波数帯の声を使っているのです。

“タカなどに聞き取りにくい、7キロヘルツくらいの周波数帯で鳴くのです。
けれども、小鳥たちには、お互いに聞こえる”

言葉を使うだけではなく、緊急事態には敵に聞こえないよう工夫するなんて、
鳥の鳴き声に、こんな秘密があったとは驚きです!
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③鳥語講座の文章編
続いては、少しレベルが上がって、文章編です。実は、鳥の言葉には、単語を
組み合わせる文章もあります。

文章を操る事は、人間以外には見つかっていない高度な能力だといいます。
一体、どんな文章なのか? 博士と、実験で見て行きましょう!

用意したのは、モズ(鳥)のはく製。 モズは、小鳥を襲う事もある危険な相手
です。 はく製を群れの近くに置いて、小鳥たちの反応を見ます。

すぐに、けたたましい声を上げて、シジュウカラが、やって来ました。
ピーツピ ヂヂヂヂ。  この鳴き声こそ、文章なのです。 警戒しろ!という
意味のピーツピと、集まれ!という意味のヂヂヂヂ。

2つの単語が組み合わさっています。 これで、警戒しながら、集まれ!という
意味を伝えているのです。 シジュウカラが鳴き声を上げた直後。

キョロキョロと警戒しながら、別のシジュウカラがやって来ました。 更に、ヤマ
ガラやコガラなど、混群の仲間も集まって来ました。

そして、モズに接近! 羽を素早く動かす事で俊敏さを見せつけ、追っても
捕まらないぞ!と、アピールしているのです。

混群の総力を結集し、モズに威嚇を繰り返します。 こうした行動は、単語では
なく、文章で伝えないと出来ません。

集まれと言うだけだと、天敵に気が付かず、襲われてしまうかも知れません。
逆に、警戒しろ!だけだと、団結するために集まる事は出来ません。

文章を使い、警戒と協力を同時に促す事で、1羽では、かなわない敵にも、
立ち向かう事が出来るというわけです。 鳥たちの泣き声に、こんなに色んな
意味があったとは鳥を見る目が変わってしまいそうですね!

次は、鉄の結束を誇っていた混群に、争い勃発? 最新研究から見えてきた
言葉の意外な使い方と、種を超えたつながり。 鳥語講座応用編です!

ぼく、シジュウカラの子供。 巣立ったばかりで、今、言葉を勉強中なんだ。
ここからは、ぼくと一緒に学んで行こうね!

④鳥語講座の子供編
それぞれの言葉を持ちながら、互いに理解し合う、カラ類の混群。

今回、そのコミュニケーションの起源に迫る、大きな発見がありました。
調査を行ったのは、初夏。 この時期、巣立った子供たちは、1カ月ほど親鳥と
過ごし、生きる術を学んで行きます。

博士は、この季節に合わせ、ある実験を行う事にしました。置いたのは天敵の
ヘビのはく製です。 すぐに、シジュウカラの子供が、やって来ました。
立木の上から、ヘビを見ています。 親鳥も、やって来ました。

突然、親鳥が鳴き始めました。 このジャージャーは、シジュウカラのヘビだ!
という言葉です。 不思議な事に、親鳥は、天敵のヘビから逃げようともせず、
しきりに鳴き続けます。

一方の子供たちも、親鳥の声を聞きながら、熱心にヘビを観察しています。
そして… ジャージャー! 子供たちも、ヘビだ!という言葉を発し始めました。
こうして、親から子へと、言葉が伝わって行くのだと、博士は言います。

実験を続けて行くと、更に興味深い事が起きました。 博士にとっても、予想
外の出来事です。 シジュウカラの親子が言葉を学んでいるところに、突然、
ゴジュウカラの子供が現れたのです。 こちらには、ヒガラの子供も。
近くにいた混群の子供たちが、続々と集まって来たのです。

博士によると、シジュウカラの言葉を学ぶために、やって来たのだといいます。
更に、集まった子供たちは、思わぬ事を始めました。  デュデュデュ。
この、デュデュデュは、ヒガラの言葉で、ヘビだ!という意味です。
その声を聞いて、シジュウカラの子供も応えます。  ジャージャー。

これは、母国語の違う子供たちが、ヘビを見ながら、お互いの言葉を言い合う
事で、相手の言葉を理解するようなものです。 こうした行動は、言葉を学ぶ
のに効果的。いわば、学校だと博士は言います。

“幼い頃に、日本人であっても英語に触れていれば、バイリンガルになれる。
鳥においても、言葉を学習するのに適した時期というのがあって、ちょうど、
その時期に言語学校みたないものを作って、その中で、お互いの言葉を学習
している事が分かった。 大きな発見だったと考えています”

動物が、種を超えて言葉を教え合う様子が観察されたのは、これが初めてだ
といいます。 鳥たちの言葉の解明に、また一歩、近付きました。
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第2章 聞いてビックリ! 鳥語講座応用編
再び、冬の長野県・軽井沢の森です。 博士は、鳥たちの言葉を更に研究する
ため、一時的にエサ台を設置しました。 (研究のため許可を得て行っています)
近くから、じっくり観察すると、言葉の意外な使い方が見えて来るといいます。

早速、ディーディーディーと、コガラの声が聞こえて来ました。 集まれ!と呼び
かけて、食べ物がある事を仲間に教えているのです。

シジュウカラが来ました。 あらら… 体の小さなコガラが追い払われてしまい
ましたよ? せっかく教えてあげたのに、コガラは、おあずけです。

そこに、ヤマガラも、やって来ました。 あ、今度はシジュウカラが追い払われ
てしまいました。 でも、シジュウカラは、簡単には諦めません。

体格が似ている両者、なかなか譲りません。 そんな争いの中、最後にやって
来たのが、1回り大きなゴジュウカラです。

後から来たのに… くちばしでアタック! 先にいた仲間を蹴散らして行きます。
我が物顔で独り占めです。 混群の鳥たちを大きさ順に並べるとこうなります。
1番大きいのが、ゴジュウカラ。 小さなコガラは、立場がとっても弱いのです。

そのためコガラは、自分より強い仲間がいる時は、なかなか食べ物にありつく
事が出来ません。 脇に落ちた、おこぼれをつつくのが、精一杯なんて時も。

いやいや、ちょっと待った! せっかく1番乗りしたのに、これでは小柄なコガラ
がかわいそう!  でも、大丈夫なのです!

実はコガラも、ただ黙っているわけではないのです。 ある言葉を使った驚きの
裏ワザがあるのです。 では、みなさんも、ご一緒に!

⑤鳥語講座・言葉の裏ワザ編
ピンクの足輪が付いた、こちらのコガラに、ご注目!

エサ場は相変わらず、強い鳥たちに占拠されています。 一向に譲ってくれる
様子は、ありません。 その時です! ピンクのコガラが、ヒヒヒヒと叫びました。
これ、タカが来た!という意味なのです。  えぇ? 緊急事態発生ですか?

この声を聞くと、みんな、一目散に逃げ出します。  こりゃ、大変だ!
あら…? こんな時に、1羽、降りて来ましたよ?  あれ? ピンクのコガラ?
タカが来たのに、大丈夫なの?  そう、思いますよね?

でも、上空にタカなんて、いないのです。 どういう事? 実は、これが言葉の
裏ワザ! さっきのヒヒヒヒは、ピンクのコガラがついたウソだったのです。
タカが来た!と叫び、仲間をダマして、まんまと食べ物を取り戻したのです。

コガラのように小さい種は、大きな仲間に力では、かないません。 そこで、
ピンクのコガラの様に知恵を絞り、言葉で騙す行動を取るものもいるのです。
でも、このウソも、万能ではないのですよ! 見ていて下さい。  ヒヒヒヒ!

あれ? 声を聞いても、ちっとも、どいてくれない?  うん? 今度は?
あぁー、追い払われた。 これではウソの意味がありませんねぇ~。
そう、やり過ぎると信用を失いウソがバレてしまうのです。 何だか人間と同じ。

博士の詳細な観察で、こうした言葉を巧みに使った鳥たちの駆け引きまで、
見えて来たのです。 いや~、鳥がウソをつくとは意外でした。

鳥語講座は以上で終了です。 鳥の会話が一通り分かるようになりましたね!
これで皆さんも、鳥語マスターの仲間入りですよ! 博士の研究は、更に、
次の段階へ進んでいます。 ところ変わって、北海道の帯広です。

ここで博士は、鳥たちと、ある意外な動物とのつながりに注目しています。
“あそこにリスがいるのですが、こっちでシジュウカラがヒーヒーヒーと鳴いて、
今、警戒してます”  その動物とは、エゾリスです。

驚いた事に、リスが、鳥たちの言葉を理解していると、いうのです。
確かに、観察すると、混群のすぐ近くで、エゾリスは暮らしています。

その時です。 ヒーヒーヒー! シジュウカラのタカが来た!という言葉でリスが
逃げ出しました。 博士によると、タカの仲間は、リスにっとも恐ろしい天敵。
そのためリスは、自分より視力が良く、敵に早く気が付く鳥たちの言葉を、
生きるために学習しているのだといいます。

“動物は無意識に鳴き声を出しているだけ、騒いでいるだけくらいに思われて
いたけれど、詳細に観察して行くと、鳴き声を使って集まれ!と協力を促したり
他の鳥をダマすためにウソをつく事まである”

“それを、色んな動物が理解して、生きる上で役立てている。 彼らには、
ひょっとしたら人間と同じような意図や意識があって、豊かな思考の中で
言葉を発しているのではないかと思います”

明らかになって来た、鳥たちの言葉の秘密。 彼らの言葉に、よ~く、耳を
傾ければ、その豊かな心にも、出会えるのかも知れません。



最新の観測から見えてきた孤独な宇宙の旅人はぐれ惑星の素顔とは?
2024年02月05日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「ブログのネタを思い付くのはどんな瞬間ですか?」
2022年11月に起きた皆既月食です。 月に隠れようとしているのは天王星。
今回は、太陽系の惑星とは異なる不思議な惑星のお話しです。 普通、惑星
といえば、天王星のように恒星の周りを回っています。

しかし、今回ご紹介する惑星は… なんと恒星とは関係なく、宇宙をひたすら
さすらっているというのです。 名付けて、自由浮遊惑星。 太陽のような恒星
から、はぐれていることから、はぐれ惑星とも呼ばれています。 しかも大量に
あることが判明し、科学者たちの間で大きな関心を呼んでいます。

研究を続けていくと、太陽系というのが一般的な惑星なのか?それともすごく
特別な惑星系なのか?ということが分かりますよね。 はぐれ惑星は、遠い
宇宙の話しではないことも分かってきました。

私たちが住む地球も、ひょっとすると… 将来、地球は、はぐれ惑星になる
可能性があります。 太陽系から切り離され、独りぼっちで寂しく過ごすことに
なるでしょうね。 最新の観測から見えてきた、はぐれ惑星の素顔。 そして、
私たちの惑星、地球の未来の姿に迫ります。
※ はぐれ惑星の事を、もっと知りたいなら ↓



ファイル-1 はぐれ惑星 発見物語
はぐれ惑星を最初に発見したのは、日本人でした。 大阪大学の教授です。
20年にわたり、太陽系の外にある惑星、系外惑星を研究してきました。

太陽系の外で、ほかの惑星があって、それが生命が存在するのか? それが
どんなものなのかというのは、究極的には知りたいことというのがモチベー
ションです。 生命誕生の謎まで、最終的には知りたいと。

しかし、系外惑星を探すのは容易ではありません。 惑星は自ら光を放たない
ため、多くは恒星のように肉眼で見ることはできません。 そこで教授たちは、
重力マイクロレンズ法という方法を用いて、系外惑星を見つけてきました。

重力マイクロレンズ法は、アインシュタインが相対性理論から編み出した観測
方法です。 重力レンズとは、宇宙空間に銀河など大きな質量の天体があると
空間が歪み、レンズのように光を曲げる現象。 この重力レンズを利用して
検出します。

これは、重力レンズと全く同じように光が曲がるように設定して作ったプラス
チックのレンズです。 これを、レンズ天体に見立てて、ちょっと見てみます。

レンズが厚くなっている部分が、重力が大きい場所です。 星に見立てた点の
手前を、レンズが通過すると… 点が2つに分かれたり、輪のように見えたり
します。 重力レンズは、実際に観測されています。

細長い天体は、重力レンズで引きのばされた銀河です。丸い輪は手前にある
銀河によって引きのばされました。 重力マイクロレンズ法も、この現象を応用
して惑星を探します。

我々が使っているマイクロレンズというのは、このレンズ天体が銀河のような
大きなものではなくて星のような小さくて軽いもの。 こういう場合に、これほど
大きく画像は曲がらないのですが、僅かに観測されるというものが、マイクロ
レンズ小さいという意味で、マイクロレンズと呼ばれています。

教授が探している系外惑星は、銀河より、はるかに質量が小さな天体です。
地球と恒星の間を惑星が横切ると、僅かに光が曲がり、重力レンズ効果は
起こります。

ただし、効果は小さいため、恒星の形は歪むことなく僅かに光が増える程度
です。 微妙な光の変化を捉え、はるか遠くの惑星を検出するのが重力マイ
クロレンズ法です。 ただし、この微妙な光の変化を捉えることは、容易では
ありません。

もともと1936年にアインシュタインが、このマイクロレンズの現象を予言して、
サイエンスに論文を出しています。 ただ彼は、この時は、このような星と星が
ちょうど重なり合うという現象は非常にまれな現象で、100万個の星を見て、
1個観測できる程度なので…。

実際に観測は無理だろうという風に言っていました。 このような意味のない
論文を出してくれてありがとうという風に、エディターに手紙を出していたほど
でした。

アインシュタインの時代では現実的ではなかった重力マイクロレンズ法による
観測。それが今、技術の進歩によって可能になりました。 2005年、教授達は
重力マイクロレンズ法で観測する望遠鏡を建設しました。
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望遠鏡の工学系を工夫して…視野を広くした。 それに、観測をするCCDが
大きくなった。 我々の場合、10枚並べて大きなカメラを作って、同時に
たくさんの星を観測できるようにしました。 大体、数千万個の星を、毎晩、
観測しています。

観測したデータが、こちらです。一つ一つが星や銀河。ここから、明るくなった
天体を探していきます。

我々がやっているのは、最初に画像を撮って、そのあとに、また画像を撮って
それらを差し引くということをしています。 差っ引いてやると明るさの変わって
いないものというのは、きれいに消えてしまいます。 で、明るくなったものは
白く、暗くなったものは黒い点として、観測されます。

白い点が明るくなった天体です。 教授たちは、惑星が横切ったものなのか
どうか、一つ一つ分析します。 系外惑星を発見した時のデータです。 横軸が
時間の経過、縦軸が明るさを表します。

質量が大きな天体ほど長時間、明るくなります。 中央の大きな山は、およそ
40日にわたって明るくなっています。 質量の大きな天体、つまり恒星が通過
したことを示しています。 系外惑星のデータは、こちら。

右側に、1日だけ明るくなったことを示す小さな山。 恒星の周りを回っている
惑星が、通過した時のものです。 恒星の大きな山と、惑星の小さな山が、
セットで観測される、それが、通常の系外惑星のデータです。

ところが、ある日、教授は、奇妙な明るさの変化を示す天体を見つけました。
2006年と、2007年に、観測されたデータを分析していた時でした。

これが主星(恒星)による長い増光現象です。 その40日手前に増光期間が
1日という、非常に短いイベントが発見されていました。 これは明らかに、
主星の近くにある惑星だということが分かります。

一方、今回の発見の、こちらのイベントというのは周りに、そのような主星に
よる長い増光現象がなく、このような増光期間が1日程度の、非常に短い
イベント単独で観測されたので、我々は重力マイクロレンズを使って、主星の
周りを回っていない、浮遊惑星の候補というのを、初めて発見しました。

通常、系外惑星は、恒星の周りを回っているため、恒星の大きな山と、惑星の
小さな山が、同時に観測されます。 この時、見つけたデータは、惑星である
ことを示す小さな山。 明るくなったのは、僅か1日です。

教授たちは、恒星の周りを回らない惑星、はぐれ惑星を、世界で初めて観測
したと結論付けたのです。 質量は、木星の3倍から15倍程度。 秒速200
キロ以上の猛スピードで移動していることも突き止めました。

更に、天の川銀河には同じような質量のはぐれ惑星が、およそ2000億あると
導き出しました。 従来、天の川銀河に、あると考えられてきた惑星の数は、
およそ1000億。 その2倍もの数の、はぐれ惑星がある事が分かったのです。

どれぐらいの数の惑星が主星の周りを回っていて、どれぐらいが、はぐれて
いるのか? で、どれぐらいの惑星に、生命が存在しているのかですね。
そしたら、我々みたいな人間が、この宇宙に、どれぐらいいるかというのが
想像がつくということです。

今までの常識を覆す存在となった、はぐれ惑星。 一体、どうして生まれた
のでしょうか? この後、その謎に迫ります。
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コズミック・ヒストリー
次々と見つかっている太陽系の外にある惑星、系外惑星。 実は系外惑星が
発見されたのは、つい最近のことなのだそうです。 ハーバード大学の元天文
学部長です。

私が天体物理学を研究し始めた1985年ごろ、太陽系以外で地球のような
惑星があるとは、ほとんどの人が思っていませんでした。 我々の太陽系は、
極めてまれで、特別な存在だと思われていたのです。

自分たちが宇宙の中心であり、特別な存在だと考える伝統があったのです。
ところが、ほかの恒星にも、周回する惑星が見つかったのです。 あれには
驚きました。

系外惑星の存在が初めて確認されたのは、1995年のことでした。 発見した
場所はペガサス座の近くにある太陽と同じぐらいの質量の恒星、ペガスス座
51番星。 そこに木星の半分ほどの質量の惑星を、ミシェル・マイヨールさんと
ディディエ・ケローさんが発見しました。

観測には、ドップラー分光法という、恒星の僅かな揺れを捉える方法が用い
られました。 中央にあるのが、惑星を従えている恒星です。 実は恒星は、
惑星の重力の影響で僅かに揺れ動いています。

ちなみに太陽も木星の影響で毎秒13メートル、地球の影響で毎秒10センチ
揺れ動いています。 2人は、ペガサス座51番星の光を分析し、揺れ動いて
いることを発見。 目には見えない惑星の存在を、突き止めたのです。

この発見は、惑星は太陽系だけにある、特別なものなのか?という問いに、
明確な答えを、もたらしました。 現在、発見されている系外惑星の数は、
5000以上。 惑星は宇宙に広く存在するものだと考えられるようになりました。
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ファイル-2 はぐれ惑星・誕生の秘密
これまでの常識を覆す惑星、はぐれ惑星。 一体、どのようにして生まれた
のでしょうか? ポーランドの首都・ワルシャワ。 はぐれ惑星誕生の謎に
迫っている研究者がいます。 ワルシャワ大学の男性は、重力マイクロレンズ
法を使って、はぐれ惑星を観測しています。

ワルシャワ大学は、ポーランド更にはヨーロッパの中でも最高の研究機関の
一つです。 私たちは、天文学のさまざまな分野に取り組んでいます。
その一つが、重力マイクロレンズ法による、はぐれ惑星の観測です。

一体、はぐれ惑星は、どのような過程を経て出来たのか? 男性は、ある
仮説を想定しています。 はぐれ惑星は、ほかの惑星と同じように恒星が誕生
するときに出来る、円盤状に広がる塵や、ガスの集まりの中で誕生します。

そこでは岩や塵が衝突と合体を繰り返し、大きくなり、惑星が形成されていき
ます。 惑星となった後も、しばらくは不安定な状態が続きます。 ある時、
巨大な惑星が最近。 小さな惑星は、巨大な惑星の重力に、はじき飛ばされ、
はぐれ惑星になるというものです。

はじき飛ばすような現象は、大きな惑星との相互作用で起こります。 つまり、
木星規模の大きな惑星と、地球規模の小さな惑星の2つが、あるとすると、
木星型の惑星は小さな惑星を、いとも簡単に押し出してしまいます。 いわば、
相撲の力士のような存在です。

男性は地球規模の小さなはぐれ惑星を探すことにしました。 チリの天文台で
天の川銀河にある、数億個の恒星の明るさの変化を観測。 そこで、一つの
星に注目しました。

この図は、ある天体の23年間の明るさの変化を示しています。 この恒星は
ずっと観測され続けてきましたが、基本的に何も変化はありませんでした。
ところが、ある夜、この星が急に明るくなったのです。

何の前触れもなく突然明るくなり、そして、すぐに暗くなった恒星。 分析して
みると、星の前を別の天体が通過した時に起きる重力マイクロレンズ現象が
起きていました。 さらに調べると、今までにない特徴が判明しました。

星が明るくなった時間は… 僅か41分でした。 この事から、通過した天体は
質量が、かなり小さいことが推測されます。 地球か、それ以下の質量の惑星
だと考えられます。

2020年、男性は地球規模の、はぐれ惑星の存在を発表。 このはぐれ惑星は
大きな惑星に、はじき飛ばされたという仮説に、ピッタリと当てはまりました。

今回、発見された、はぐれ惑星は、理論と一致しています。 数十年も前から
誰も検証することのできなかった仮説を、観測によって証明したのです。

まさに、はじき飛ばされようとしている惑星も観測されました。 発見の舞台は
アメリカ東部・メリーランド州のボルティモア。 ジョンズ・ホプキンス大学にある
宇宙望遠鏡科学研究所です。

研究員の男性です。 ここでは、NASAが所有する偉大な望遠鏡の運用を
行っています。 もっとも有名なのは、ハッブル宇宙望遠鏡です。 30年以上
にわたり観測を続けてきた、ハッブル宇宙望遠鏡。 観測回数は、150万回を
超え、多くの研究に生かされています。

男性は、すでに撮影されたハッブル宇宙望遠鏡の画像から、ある恒星に注目
しました。 南半球の星座、南十字座の近く、HD 106906 です。 地球から、
337光年離れ、2つの星が、お互いの重力で引きつけ合っている連星です。
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これはイメージ図ですが、真ん中に星が2つ見えますよね。 周りには、同心
円状のリングがあります。 岩石や塵が集まっている円盤です。 我々が関心を
持っているのは、その外側を大きく公転している惑星です。

この惑星と連星の距離は975億キロ。 太陽と冥王星の距離の16倍も離れて
います。 一体なぜ、これほど恒星から遠く離れた場所にあるのか? 男性は
この惑星の軌道を導き出そうと考えました。 ハッブル宇宙望遠鏡の13年間
分のデータを入手し、惑星の動きを調べました。

これが、注目の系外惑星です。 2016年に、ハッブルが撮影したものです。
何の処理もしていない生の画像です。 13年間は、我々にとっては長い時間
ですが、惑星にとっては一瞬にすぎません。

13年間で動いたのは1ピクセルなので、肉眼で確認するのは、たぶん無理
でしょう。 それほど高い精度が求められました。 恐らく、ここから、ここくらい。
指が、ちょっと揺れたぐらいの距離です。

ハッブルをもってしても、13年で、僅か1ピクセルしか動いてない惑星。
男性は、ほかの望遠鏡も使って、惑星の軌道を計算することにしました。

ハッブルの画像だけでは、十分な測定精度が得られませんでした。 そこで
ハッブルとガイア宇宙望遠鏡のデータを、組み合わせる事を思いつきました。
ガイアは、10億以上の恒星の位置や動きを、正確に観測しているからです。

ヨーロッパ宇宙機関が2013年に打ち上げた、ガイア宇宙望遠鏡。 360度、
すべての方向を繰り返し撮影します。 定期的に撮影することで、20億もの
恒星の位置や移動速度などを正確に記録します。

男性は、惑星と背後の星の動きをガイア宇宙望遠鏡のデータと照らし合わせ
立体的な位置を把握。 惑星の13年間の位置の変化を割り出し、軌道を
シミュレーションしました。 右上が注目の惑星。

中央の影になっている部分に連星があります。 シミュレーションでは、数十
パターンもの公転軌道が導き出されました。軌道の形は違うものの、いずれも
とてつもなく長距離を移動するものでした。

軌道は、いずれも非常に長く、1周するのに平均1万8000年ほど、かかる
ことが分かりました。 この軌道を、13年という短い期間で導き出せたことは
大変すばらしく、我々に、大きな興奮と驚きをもたらしました。

太陽系で一番遠くを回る惑星は海王星。 1周するのに、およそ165年かかり
ます。 注目の惑星は、その100倍以上の時間をかけて公転していました。
一体、なぜ、これほどの距離の軌道を、描くようになったのでしょうか?

理由は、ほかの大きな惑星に押し出されたからだと、男性は考えています。
身近なものを使って解説してもらいました。 急だったので事務室やカバンに
あるものを、かき集めてきたよ。

中央のコンタクトケースが、2つの恒星。 耳栓が、注目の惑星です。 
黒いイヤホンケースが、惑星に影響を与えたと考えられる天体です。
問題の惑星は、恐らく、連星の近くの軌道で誕生しました。

ところが、そのあと、ほかの惑星などの影響で、重力のキックを受けます。
そしてまた、ほかの天体が近づいてきます。 近づくたびに、どんどん押し出さ
れていきます。 

軌道のシミュレーション映像です。 黄色が、注目の惑星。 赤が、質量の
大きな天体の軌道です。 ほかの天体の重力で徐々に外に、はじき飛ばされ
およそ1500万年で、現在の軌道になると計算されました。

この惑星は、いずれ連星の重力圏から完全に、はじき飛ばされます。 はぐれ
惑星になるでしょう。

男性は、この注目の惑星は数万年後に、はぐれ惑星になると考えています。
一方で、惑星に、はじき飛ばされなくても、はぐれ惑星は誕生すると提唱する
天文学者が日本にいます。
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兵庫県立大学の西はりま天文台。 こちらが、なゆた望遠鏡です。 設置され
ている、なゆた望遠鏡は口径2メートルの望遠鏡です。 名前の由来となった
なゆた とは、数字の単位。 一般的には、10の60乗を意味します。
(十、百、千、万、億、兆、京、垓 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 那由他)

なゆた望遠鏡で観測を行っている、埼玉大学の准教授です。 准教授は、
星が大量に発生する領域、星形成領域の観測を行っています。

宇宙空間って、よく真空って呼ばれる…言われることが多いのですが、全然、
真空ではなくて私たちの、この地球上と比べると、ガスとかの密度が薄いの
ですが、それでも希薄にガスが存在しています。

そのガスとか塵とかが、どんどん、こう多く集まってきた所が、星形成領域に
なります。 そこに褐色矮星とか惑星質量天体のような、軽い軽い子たちが
生まれていないかな?っていうのを探っています。

星形成領域は、肉眼でも見ることができます。 オリオン座の腰の辺り、3つ
並ぶ星の下に、ぼんやりとした光があります。 地球から1300光年先にある
オリオン大星雲です。 高密度のガスと塵が集まっています。

赤く見えるのは、生まれたばかりの星たち。 ここでは恒星が次々と生まれて
います。 准教授は恒星だけではなく、惑星も生まれるのではないかと考えて
います。 准教授が観測したのは、カメレオン座にある星形成領域。 そこで、
不思議な天体を発見しました。 こちらが、その天体。

准教授は、OTS44 と名付けました。 質量をはかってみると、恒星ではなく、
惑星ほどの質量しかない事が分かりました。しかし当初、准教授は、それほど
重要な発見とは考えていませんでした。

こういうのが、あるんじゃないかって、こう、予測されていたのですが、もっと
軽い星っていうのは、あまり想定されていなかったので、だからと言って軽い
から何だろうというぐらいに、その延長線上に見つかってきたのかなっていう
ぐらいに、私は、その時、考えていました。

准教授が論文で発表すると、世界中の天文学者が、この惑星に興味を示し
ました。 世界中のみんなが、どんどん追観測、追実験をできるっていうのが
天文学の素晴らしい点だと思うのですね。

私の最初に発見したカメレオン座の惑星質量天体っていうのも、アメリカや
ヨーロッパの方々がチリの望遠鏡を使って、どんどん観測を進めていって
下さって、そうして、たくさんのことが分かってきました。

その後、OTS44 の周りには、生まれたての恒星がまとうような、ガスや塵で
出来た円盤があることが分かりました。 円盤の中心にあるのが、OTS44。
周囲には、大きな質量の恒星は存在しません。 つまり、生まれながらの
はぐれ惑星だというのです。

赤外線を使うと非常に見つかりやすいのですね。 こういう惑星質量天体って
いうのは。 その利点を生かして赤外線衛星を使って、アメリカを中心に
いくつも見つかり始めています。 例えば、この天体、この赤丸で示したような
ものも、そのうちの一つです。

准教授の発見以降、世界中の研究者たちの観測によって次々と星形成領域
で、はぐれ惑星と思われる天体が見つかっています。 その数、1000以上。
准教授は、はじき出されるだけでなく、生まれながらの、はぐれ惑星も、
少なからず存在しているのではないかと考えています。

はぐれ惑星誕生の仕組みとして示された2つの説。 いずれにしても、はぐれ
惑星は、決して、まれな天体ではないことが分かりました。 明らかになりつつ
ある、はぐれ惑星の秘密。 実は、地球とも無関係ではないことが、分かって
きました。
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ファイル-3 はぐれ惑星から見えた地球の未来
私たちが住む地球。 将来、地球も、はぐれ惑星になるかもしれないという
研究者が現れました。 30人以上ものノーベル賞受賞者を輩出したカリフォル
ニア工科大学。 系外惑星について研究している男性です。

この10年で、5000個もの系外惑星が発見されています。 私は、そのうち
200個ほどを見つけました。 系外惑星探しに没頭していた男性。 次第に、
はぐれ惑星に興味が湧いてきたといいます。

惑星の詳細を明らかにすることで、宇宙の全体像を知ることができると考えて
います。 はぐれ惑星は、私たちの太陽系の惑星とは、かなり違います。
私が目指すのは、さまざまな惑星誕生の仕組みを一つの理論にまとめ上げ、
それによって宇宙が、この先、どのように進化していくかを解明することです。

惑星の進化についての謎を解くために、男性は、太陽系の惑星が、今後、
どのような変化を遂げるのか? シミュレーションすることにしました。

この風船が、現在の太陽だとします。 直径は地球の109倍。  誕生から
今までの、およそ40億年と合わせると、100億年は、この状態です。ところが
60億年後、太陽の燃料となる水素が枯渇し、核融合を起こせなくなります。
すると、太陽は膨張を始めます。

膨張した太陽は、ガスを放出しながら、水星・金星などの惑星を次々と、のみ
込みます。 その後、太陽は収縮し、白色矮星になると考えられています。
白色矮星は、自らが放出したガスを照らし、惑星状星雲になります。

惑星状星雲は、その美しさから宇宙の宝石とも呼ばれています。 色とりどりに
照らされたガス。その中心には恒星が燃え尽きた白色矮星が確認できます。
太陽が白色矮星になると、質量は現在の2分の1になると考えられています。

すると、惑星を引き留める重力が小さくなるため、生き残った惑星は、現在の
2倍離れた軌道で公転します。 男性は、この後、惑星の軌道がどのように
なるのか? シミュレーションしました。

計算したのは木星・土星・天王星・海王星。 更に太陽系には5万年に1回、
別の恒星が近づくと考えられています。 その恒星の動きも含め計算しました。

こちらは木星のシミュレーション結果です。 コンピューターで2週間もかけて
計算しました。 4つの惑星の公転軌道と別の恒星の影響を同時に計算する
ので、とてつもない情報量でした。 注目すべき点の一つは公転軌道の形の
変化です。 つまり軌道が、どれほど楕円に近くなるかということです。

縦軸にある数値の0は、公転軌道が完全な円を描くことを示しています。
数値が1に近づくにつれ、長い楕円形となり、1を超えると惑星が太陽の
重力を振り切り、外へ飛び出してしまうことを表しています。

太陽が白色矮星になったところからシミュレーションを始めると、最初は0に
近いことが分かります。しかしその後、どのケースでも楕円の軌道となります。
この時、別の恒星がやって来ると木星と土星は共鳴し押し出されていきます。

まずは、海王星を、はじき出し、太陽系に大混乱を引き起こします。 そして、
土星も、はじき飛ばします。 男性が、10通りの条件でシミュレーションした
結果です。 赤のグラフは、木星の軌道です。 10通り中、9通りで、木星は
太陽系を飛び出す結果となりました。

これらの惑星は、はぐれ惑星となり、銀河をさすらうことになるでしょう。太陽が
白色矮星になり、重力による結び付きが弱くなってしまった惑星たち。ほかの
天体が近くを通ると重力バランスが崩れ軌道を外れてしまう結果となりました。

遠い未来、太陽系の惑星も、はぐれ惑星になる可能性があるのです。 男性と
共同で研究を行ってる教授です。 Q:地球が、はぐれ惑星になる可能性は?
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もちろん、可能性は間違いなくあります。 地球が太陽の膨張に耐えることが
できれば…ですけどね。 もし、生き延びたとしても、太陽系から切り離され、
独りぼっちで寂しく過ごすことになるでしょうね。

もし、現在の地球が、はぐれ惑星になったら… 暗黒の宇宙を突き進む地球。
一体、どのような環境になるのでしょうか? ハーバード大学元天文学部長に
伺いました。

もし地球が現在の位置から、はじき飛ばされたら、表面の水は凍結してしまい
ますが内部は放射熱により、あたためられるでしょう。内部の岩石の隙間には
液体の水が存在するかもしれません。

生命がいるとしたら、単細胞生物のバクテリアです。 かつて、地球の大気に
酸素を作り出したシアノバクテリアなどです。 地球は、今の軌道を外れると
たちまち氷の惑星となります。

しかし内部は、放射性物質の崩壊熱などによって液体の水が存在。そこには
細菌などが生き残る可能性があります。 ということは、今、宇宙空間をさす
らっている、はぐれ惑星に、生命がいても、おかしくありません。

私は、いくつかの、はぐれ惑星には液体の水があり、バクテリアやそのほかの
単細胞生物が存在している可能性があると思います。 地球外生命の存在
まで示された、はぐれ惑星。

その研究が飛躍的に進むと期待されているプロジェクトが動き出しています。
アメリカのオハイオ州。 オハイオ大学の男性は、はぐれ惑星の新たな観測
プロジェクトに深く関わっています。

ここは、1965年に造られた歴史ある天文台です。 学生時代、お世話になった
大切な天文台ですが、私は今、最先端の望遠鏡を使って系外惑星を探し出す
チームで働いています。

男性が計画に加わっているのは、2026年に打ち上げが予定されている、
ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡です。 日本を含む国際協力で
進められている、赤外線望遠鏡です。

さまざまな発見をもたらしたハッブル宇宙望遠鏡との違いとは… ナンシー・
グレース・ローマン宇宙望遠鏡では、広い視野で撮影するために大きな鏡が
配置されています。 この四角に囲まれた部分が、ハッブルの視野です。

ローマン宇宙望遠鏡の視野は、その100倍もあります。 ハッブルと同じ
解像度で、はるかに広い視野を見ることができるのです。 広い視野にこだ
わったのは、重力マイクロレンズ法で、効率よく観測するためです。 実際に
観測が始まれば、多くの、はぐれ惑星を発見できると期待されています。

今、はぐれ惑星については分からないことが数多くありますが、近い将来、
いろいろなことが発見されていくでしょう。 私は、何よりもワクワクしています。

新たな観測によってはぐれ惑星の素顔が明らかになった時、地球そのものを
知ることになるといいます。

研究を続けていくと、太陽系というのが、一般的な惑星なのか? それとも、
すごく特別な惑星系なのか? ということが分かりますよね。 そうすると、
その先には我々の…我々みたいな人類というのは宇宙で、すごく特殊なのか
それとも、割と、実は、ありふれているものなのか?ということまで分かって
いくと思います。

人類は、太陽系の惑星を知るため、多くの観測を行ってきました。 次第に
明らかになってきた惑星の素顔。 予想もつかない発見がありました。 そして
宇宙をさすらう、はぐれ惑星との新たな出会い。 それは地球を含め、惑星
そのものを深く知るキッカケになるでしょう。



私たちの身近にありながら知らない事だらけの雷の全貌に迫る!
2024年01月29日 (月) | 編集 |
FC2 トラックバックテーマ:「ブログのネタを思い付くのはどんな瞬間ですか?」
地球のあちこちで、きらめく閃光。 その正体は、雷です。 地球上では1日に
350万回も発生。 私たちも日頃、よく出くわす、ありふれた現象です。 しかし
雷には多くの謎があります。 実は、どうして雷が起きるのか、よく分かって
いないのです。 一体、雲の中では、どんなことが起きているのか?

今回、番組では雷の意外な姿を捉えました。 空に向かって上って行く雷。
怪しく光る雷雲。その直後、上空に現れる不思議な発光現象も撮影しました。
また雷は、地球に生命をもたらした、可能性があることも分かってきました。

研究では、雷が地球の生命誕生に欠かせない物質を供給した可能性がある
ことが分かりました。 今回、番組では、世界中の専門家とともに雷の解明に
乗り出しました。 身近でありながら、謎多き雷。 その全貌に迫ります。
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ファイル-1 ストームチェイサーの挑戦
広大な平原が広がるアメリカ南部。 そこは、世界的に有名な雷発生地帯の
1つです。 ここで、雷を追いかけ続けている人がいます。 彼は、嵐や竜巻・
雷などの写真や映像で生計を立てる、プロのストームチェイサーです。

これは30年前、地元ヒューストンで初めて撮影したものです。 ここでは雷が
たくさん発生します。 それで私は、雷を撮影するようになりました。彼が撮影
した数々の雷。 その高精細な映像には、多くの科学者が注目しています。

嵐や雷は、世界で最も美しいものとして数えられます。 同じものは2つとなく
私はその美しさを、きっちりと捉えたいのです。 彼とコンビを組んで雷を追い
かけている、写真家です。 写真家の特技は気象予測図から、ベストの観測
ポイントを見つけること。 最も得意とする撮影は…。

雲の上に現れた不思議な光。 TLE(Transient Luminous Events)と呼ばれる
発光現象です。 ごくまれに、雷と同時に起こります。 TLEは、宇宙から観測
できるほど巨大で、その形状によって、さまざまな呼び方があります。

花火のように空を赤く彩るのは、スプライト。 そして、青い光のブルースター
ターとブルージェット。 ほかにもヘイローやエルブスなど、さまざまな種類が
あります。 最大のものは、ギガンティックジェットと呼ばれ、高度100キロにも
達します。

しかしTLEが、なぜ発生するのか? なぜ、さまざまな形をしているのかは、
分かっていません。 この謎を解明することは、雷の全貌に迫る手がかりと
なるかもしれません。

2021年の夏、2人は協力して、ある撮影に挑戦しました。 TLEと落雷。
同じ雲で起きる2つの現象を同時に撮影しようというのです。 私は、その頃
雷とスプライトの同時撮影に関する論文を読みあさっていました。 しかし誰も
2つの現象を、同時に撮影したことはないようでした。

雷とスプライトが同時に映っている決定的な映像はなかったのです。 そこで
彼に、試してみないか?と持ちかけました。 きっと、とても楽しいよって。

同時撮影を2人で行う理由の1つは、雷とTLEの大きさの違いです。 落雷の
稲妻は、およそ2キロ。 一方、TLEは数十キロ。 1つのカメラで撮影すると
稲妻は非常に小さくなり、詳細まで観察できないのです。

そこで2人は、二手に分かれて撮影。 稲妻の撮影が得意なストームチェイ
サーは、雷雲に近い位置。 TLEの撮影が得意な写真家は遠くから雲の上を
狙います。

お互いのカメラの時刻を正確に合わせ、電話で連絡を取りながら撮影します。
そのあと、2つの映像を並べて確認します。 TLEについては、ほとんど
分かっていません。 だから、挑戦するのです!

いよいよ決行の日。 この日、オクラホマ州上空に、大きな嵐が接近。 TLE
発生の可能性が高まっていました。 ストームチェイサーは雷雲の下、
写真家は、35キロ離れた位置で、カメラを構えました。
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“そろそろ時間だ、始まるぞ”  “光った!強いぞ!” 予想通り激しくなる雷。
“だめだ、ちょっと光っただけだ”   そして…  “強いぞ! やった!”
早速、スプライトの撮影に成功。 ところが…。

“ちゃんと雨の中にいるんだけど。 稲妻は確認できなかった。 撮れたのは
光った雲だけだよ”  スプライトは撮れたものの、稲妻が落ちたのは、カメラ
アングルの外。 捉えることができませんでした。

“カメラを、もう1台。 もっと絞ってセットしてくるよ”  “分かった。 もし、何か
あったら叫んで知らせるよ”  その瞬間… “すごい!” カメラの前に強烈な
稲妻が。  “おぉ、すごい!”  そして同時にスプライト。 撮影成功です。

2人が撮影した映像です。 ほとんど同時に出現したように見えますが、スロー
で再生してみると…稲妻が見えた瞬間、まだスプライトは出ていません。
そのおよそ0.03秒後、スプライトが姿を現しました。 スプライトは雷が落ちた
ほんの少し後に起きていたのです。

すべて彼のおかげです。 なぜなら私は、この嵐では、もう無理だと思っていた
のです。 でも彼は、いや、あと30分待ってくれと言ったのです。 そのあと、
わぁ~!っていう感じで、目の前に強烈な稲妻が落ちてきたのです。

本当に最高でした。 私は、スプライトの位置を予測し、彼は稲妻が、どこに
来るかを予測しました。 そうやって、お互いに調整して、ピッタリの位置が
特定できたわけです。

撮影された映像は、アメリカ海洋大気庁で解析されることになりました。
暴風雨研究所の物理学者です。 物理学者らは、ライトニング・マッピング・
アレイという特殊な観測装置でアメリカ国内で起こる雷を常に観測しています。

この装置は、雷が発する電波を観測し、カメラでは撮影できない雲の中でも
詳細な動きを知る事ができるといいます。2人が撮影した日時の観測データを
解析してもらいます。 すると、雷の驚くべき全貌が見えてきました。

観測装置のデータを見ると、メガフラッシュが起きていたことが分かりました。
長さ100キロを超える巨大な雷メガフラッシュです。 雷が発した電波の位置を
3Dで可視化しました。 雷の軌跡が、黄色い点で表示されます。

最初に雷が発生したのは、高さ12キロ。 そこから、一気に横に広がります。
そして、地面に落下。 ストームチェイサーが撮影した稲妻です。 さらに雷は
横に広がります。 一方で、電波の空白域が現れました。

この上空にスプライトが発生し、雲の中のエネルギーが使われたためと、
考えられています。 その後も雷は広がり続け、長さ100キロを超えるまで、
のびていました。 2人が協力して撮影した、雲の上と下の雷の姿。 それは、
巨大な一つの雷、メガフラッシュの一部であることが分かりました。

どのような雷がスプライトを発生させるのか? なぜ、スプライトが発生する
ものと、しないものがあるのか? まだ、不明なことが、たくさんあります。
スプライトが発生するタイミングを知るために、映像は非常に重要で、今後、
もっと詳しく分析することが大切だと思います。

雷は、地上・雲の中、そして、はるか上空まで、ひとつながりになっている。
2人のカメラマンと研究者が、教えてくれました。
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コズミック・チャレンジ
神出鬼没で、さまざまな姿を見せるTLE。中でも巨大な光の柱、ギガンティック
ジェットは、これまでほとんど観測された事がなく幻のTLEといわれています。
2022年の夏。 ギガンティックジェットを、高精細な映像で捉えようと、日本と
アメリカの専門家たちが挑戦しました。

日本チームの舞台は、富士山の頂上。 雲の上から遠くを見通せるため、
巨大なギガンティックジェットを狙うには最適な場所です。 リーダーの准教授
です。 こちらが、モノクロの高感度カメラになります。 10年ぐらい、もう、
この形で… 10年以上かな… やってます。

准教授たちは、2014年に、ここで、ギガンティックジェットの撮影に成功して
います。 発生したのは岩手県の上空。 高さ90キロほどになる巨大なもの
でした。 今回は研究チームにNHKが協力。 最新の機材を使い撮影を試み
ました。 最初にカメラが捉えたのは、雲の隙間から見えた雷の姿。

横や縦、複雑に駆け巡っています。 地上からは見る事のできない知られざる
雷の姿です。 こちらは、研究チームの映像。 TLEの一種、スプライトです。
さまざまな姿を捉えることに成功しましたが、目的のギガンティックジェットは、
なかなか姿を見せてくれません。

一方、アメリカで挑戦していた2人。 すごいものが撮れたと連絡が入りました。
ストームチェイサーから送られてきたのは、こちらの映像。 雷雲の上空に
放たれる、巨大な青い閃光。 TLEの一種、ブルージェットです。 その高さは
およそ50キロにもなります。

ブルージェットを、完璧なアングルで撮影したのは、ストームチェイサー自身、
初めてだといいます。 そして、写真家が送ってきたのは…。 幻のギガン
ティックジェットです。 赤く光る巨大な閃光。

しかも、2本同時に立ち上っています。 4K動画で撮影されたギガンティック
ジェット。 写真家は、世界的にも貴重な映像を捉えることに成功していたの
です。

信じられない光景でした。 想像できないくらい美しかった。 本当に驚きです。
やっと捉えることができたのですから。 今後も、彼と、多くのギガンティック
ジェットの撮影に挑みます。 私たちにとって、これは聖なる杯。 つまり究極の
雷なのです。
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ファイル-2 最大のナゾ! 雷は、どうやって起きるのか?
アメリカのニューハンプシャー大学。 雷を20年以上にわたり研究している
科学者がいます。 教授は雷の発生条件を知るため、自ら観測装置を開発。
時に、飛行機で雷雲に飛び込むなど、精力的に研究を行ってきました。 しかし
雷の根本的な謎は、いまだ解決できていないといいます。

雷は非常に大きな火花です。 空気中で火花を起こすには、1メートル当たり
300万ボルトの電場が必要です。 つまり、このくらいの距離に300万ボルトが
ないと、火花は発生しないのです。
(電場(電界):電気が存在し、電圧がかかっている空間)

しかし、何十年も多くの研究者が雷雲の観測を行ってきましたが、雷の切欠と
なるような電場は、一度も見つかっていません。 その10分の1ほどの大きさ
ですら、見つかっていないのです。

従来の説によると雷は、雲の中で氷の粒などが、ぶつかり合い、その時に
起こる静電気がたまり、発生するといわれています。 しかし雲の中には雷を
起こすほどの電気量は、見つかっていないというのです。

何がキッカケで雷が起こるのか? 科学者たちは、さまざまな仮説を立て、
研究を続けています。 一つの仮説は、こうです。 星が爆発してできる高エネ
ルギー粒子、宇宙線が時々、地球の大気圏に突入してくることがあります。

その宇宙線が雷雲に飛び込み、雲の中の電場を増強しているのではないか
というものです。 この仮説は、宇宙線仮説と呼ばれています。 星の爆発
などで宇宙線が発生。 長い距離を経て、地球に降り注ぎます。

その際、雷雲にある大気中の分子に宇宙線が、ぶつかると…。 分子にある
電子を、はじき飛ばします。 宇宙線に、はじかれた電子は光の速度近くまで
加速されるため、大きなエネルギーを持つようになります。

電子は、さらに衝突を繰り返し、飛び交う電子が劇的に増加。 そこが電気の
通り道となり稲妻が発生します。 最初の宇宙線の衝突が雷の引き金になる
というのです。

宇宙線仮説を検証している准教授です。 准教授は、雷雲から放出される
電磁波の一種、ガンマ線を観測しています。 ガンマ線は通常の環境では、
ほとんど検出されることはありません。

ところが、宇宙線が大気の分子に衝突して電子が、はじき出される際、時折、
ガンマ線が発生するといいます。 このガンマ線を観測することで、宇宙線と
雷発生の関係を突き止めようというのです。

2021年、准教授たちは、大規模な調査に乗り出しました。 これが雷雲プロ
ジェクトで活躍する予定のコガモ検出器です。 特別に開発した小型ガンマ線
観測装置、コガモ(Compact Gamma-ray Monitor)です。

コガモは、ガンマ線を出す雲が上空を通過すれば自動で検出、データを記録
します。 今回の観測では、多くのコガモを広範囲に設置。 ガンマ線を出す
雲の動きや大きさを詳細に捉えようというのです。

これまでの装置はポツ、ポツ、ポツと置かれていただけなので。 今回、ついに
大量に配布することで、そういった面で2次元的に情報が取れるようになって
より、どの雲の、どの瞬間の、どういう構造でガンマ線が生じているのか?

そういう現象が複数見えてくれば、これは雷のキッカケに、こういう現象が
関係しているのですよという、明らかな証拠になるのではないかなと期待して
います。
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観測場所に選んだのは、石川県金沢市を中心としたエリア。 実は冬の北陸
地方では、頻繁に雷が発生しています。 冬に起こる雷は冬季雷(とうきらい)
と呼ばれ、それを生み出す雷雲は、特徴的な姿をしています。

夏の雷雲は、高さ十数キロにまで成長し、地上から雲の底までは2キロほど
離れています。 一方、冬の雷雲は夏より低く地上から雲までは数百メートル
しかありません。 低く垂れこむ冬の雷雲は、准教授たちの観測に好都合だと
いいます。

一番寒い厳冬期だと、雲の底の部分、雲底が100メートルとか、それぐらい
まで来ることがあって。 そうすると私たちが今、知りたいと思っている雲から
やって来るガンマ線と呼ばれる光をですね。

普通は空気で吸収されて地上まで届かないのですけど、地上でも観測できる
という、そういう有利な点があって、そこが一番の魅力です。

観測には金沢市周辺の多くの市民が協力。 准教授たちの呼び掛けに応じ、
軒先にコガモを設置し、電源を提供しました。 最終的には、一般家庭・学校・
企業や店舗など、56カ所にコガモが設置されました。

観測開始から、およそ1カ月。 准教授がやって来たのは、金沢市内にある
神社です。 この神社に配置したコガモが、ガンマ線を検出したとのこと。

“動いてます。 おぉ~… ちゃんと動いてますね。 取れてますね。 データも
ちゃんと。 このコガモ、12月30日の朝の4時ぐらいに、これが何か検出して
いるというのが自動で、これ、送られて来てて…”

同じ時刻の全てのコガモのデータを検証したところ…5つの地点でガンマ線が
検出されていました。 こちらが、そのデータ。 グラフの山の部分がガンマ線を
検出していたことを表しています。

比べてみるとガンマ線を検出し始めた時間がズレています。 設置した場所と
雲のデータを重ねてみると、雲が移動するとともに、ガンマ線を検出していた
ことが分かります。 雷雲は、ガンマ線を放出しながら移動していたのです。

そして、コガモが捉えたガンマ線のピークは、ほぼ同じタイミングで途絶えま
した。 その瞬間の様子が、こちら。 ガンマ線が途絶えた瞬間、まさに、その
上空で雷が発生していたのです。 ガンマ線のグラフと重ねてみると…。

タイミングはピッタリ。 准教授は、宇宙線が雷の引き金になった可能性が
高いと、結論付けました。 こうした研究は、アメリカの教授も注目しています。
彼の研究は、雷雲でガンマ線が、どのように生まれるかだけでなく、雷発生の
メカニズムなどを紐解く、貴重な情報となるはずです。

少しずつ見えてきた雷発生のキッカケ。 それでは、研究者たちが考える雷の
全貌を、ご覧いただきます。 宇宙のかなたで放たれた、高エネルギーの
宇宙線。 光と、ほぼ同じ速度で、地球へと向かいます。 見えてきたのは、
雷雲です。 宇宙線が、雲の中にある分子と衝突。

すると、分子にある電子が、はじき飛ばされました。 衝突は、次々と発生。
電子なだれを引き起こします。 そして… 雷が発生。 1つの稲妻が地上へ。
雲と地面がつながった瞬間、1億ボルトにもなるといわれる大電撃が、ほと
ばしります。 すると、雲の中の電気バランスが大きく変化。

影響は、雷雲の数十キロ上にまで及びます。 巨大な発光現象、TLEです。
光の柱は、高度100キロにも到達。 ギガンティックジェットになりました。
雷の発生からTLEまでの時間は、ほんの僅か。 かなたの宇宙線と地球の
雲がもたらした、はかなくも激しい、光の競演でした。
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コズミック・チャレンジ2
冬の石川県金沢市です。 ここで起こる雷は、時に、意外な一面を見せてくれ
ます。 空を横切るように走る雷。 地上から雲に向かって伸びる雷。 上向きに
伸びるのは、雲が低い、冬の北陸地方ならではの特徴です。

冬の雷のさまざまな姿を撮影したのは、4Kハイスピードカメラ。 1秒間を、
1000コマ以上で撮影しました。 撮影した中でも特にすごかったのが、こちら。
一度に、十数本が同時に立ち上る雷です。 (映像はコズミック・フロントで!)

一冬で何回も、こうした雷を撮影することに成功しました。 一体この時、何が
起こっていたのでしょうか? 分析を、お願いしたのは岐阜大学の教授です。
教授が注目したのは、2021年12月21日に撮影された、同時に立ち上る雷
です。

これは間違いなく、スーパーボルトと呼べます。 エネルギー的には、100倍
ですね。 スーパーボルトとは、通常の100倍から1000倍のエネルギーを持つ
超巨大な雷のこと。

教授の解析によると、この時のピーク電流値は、26万8000アンペア。
通常とは桁違いの大電流の雷だったことが判明しました。 教授は、この時、
カミナリが発した電波を、詳細に捉えていました。

最初に雷が起きたのは海岸上空。 その後、海上に大きな落雷が発生。
それをキッカケに雷は一気に拡散。 カメラの前では同時に立ち上る複数の
稲妻が発生しました。 その後、雷は内陸部にまで到達。

発生から終息までの時間は、僅か… 0.4秒です。 まさに一瞬で金沢周辺の
上空を、大電流のスーパーボルトが駆け巡ったというのです。

こういうスーパーボルトというのが、立体的に、全面的に観測できたのは、
今回が初めてと思いますけども。 さまざまな姿を見せる冬の北陸地方の雷。
カメラは、強烈な巨大雷、スーパーボルトを捉えていました。
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ファイル-3 雷がもたらした生命誕生の可能性
巨大なエネルギーで、時に、大きな被害をもたらす雷。 その一方で、地球の
生命誕生に、大きな影響を与えた可能性があることが分かってきました。
その証拠ともいえるものが、アメリカのシカゴ郊外の住宅街で見つかりました。

こちらの一般家庭です。 2016年1月、裏庭に大きな落雷があったといい
ます。 裏庭に出てみると、この辺りの雪が溶けて大きな丸い穴がありました。
そして、園芸用の手袋をはめてシャベルで掘ってみると、すごく奇妙なものが
出てきたのです。

当時の写真です。 そこには、焼け焦げた、石のようなものがありました。
これは一体、何なのか? 夫妻は、近所の大学に調査を依頼しました。
やって来たのは、ウィートン大学の地質学部のチーム。 謎の物体は、大学に
持ち帰り、詳しく調べることになりました。

その物体は、今も大学に保管されています。 これです。 岩石の一種で、
フルグライトと呼ばれています。 雷が落ちた時に、土がガラス質に変化した
ものです。 木の根っこのように枝分かれした巨大な岩石、フルグライトです。

上から見ると中は空洞。 その一部は、まるでガラスが溶けたような質感をして
います。 フルグライトは、雷が地面に落ちることで出来ます。 雷の強力な
エネルギーは土や砂を超高温で溶かし、やがて冷えて固まると、まるで稲妻
のように枝分かれした、奇妙な岩石が作り出されます。

これほど大きいものは、博物館でも見たことがありません。 当時、このフルグ
ライトを分析した地質学部の男性です。 この分析で雷が地球の生命誕生に
関わった可能性を見い出しました。 証拠は、フルグライトに含まれる小さな
球状の物質です。

最初、それが何なのか分かりませんでした。  そこで、他の研究者に協力を
得て調べたところ、シュライバーサイトという鉄とリンが結合して出来る特殊な
鉱物だと分かりました。 とても珍しいもので地表には存在しないものでした。
さらに、これは生命の起源に関わる可能性があることも分かりました。

フルグライトに含まれていた、シュライバーサイトという特殊な鉱物。 そこには
大量のリンが含まれていました。 リンは生命を形づくるのに欠かせない元素
の一つ。 RNAやDNA、細胞膜を作る材料となります。 地球の生命誕生には
リンが必要だったと考えられています。

これまで生命の起源に必要なリンは隕石によって、もたらされたと考えられて
きました。 しかし現在、生命が誕生したとされる38億年前頃には、すでに
地球に、やって来る隕石は減少していたと考えられています。

そこで私たちは太古の地球で落雷によって、どれだけのリンが供給される
かを予測しました。 男性たちは、当時の環境から38億年前の雷の発生数を
シミュレーションしました。
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結果は… 年間10億~50億回。 現在の、およそ10倍にもなる 数字です。
更に、雷によって作り出されるリンの量を計算。 毎年、およそ10トンのリンが
もたらされた可能性があると、結論付けました。

この結果から、雷がもたらしたリンの総量は隕石と同じか、それ以上だと考え
られます。 私は興奮しました。 これは、生命に必要なリンの新たな供給源
として期待できるからです。

雷が作り出したリンは生命誕生に特に適していると指摘する研究者がいます。
サウスフロリダ大学の教授です。フルグライトです。砂の中から出てきました。
教授の専門は、地質学や宇宙生命学。 長年にわたり、フルグライトを研究
してきました。 世界中から集めた、フルグライトの標本を見せてもらいました。

これは、カリフォルニア州で採取したものです。 中のガラスは透き通っていて
緑色をしています。 中心から外れていくにつれて、色が薄くなっていますね。
フルグライトには、さまざまな色があるといいます。

雷に当たるとガラスが、どれほど深い色になるかを、お見せしましょう。これは
ミシガン州の青いフルグライトです。 この青い色は物理的な特性から生じて
います。 男性は、2009年に、ある論文を発表しました。それは雷が作り出す
フルグライトに含まれるリンは、水に溶けやすい特徴があるというものでした。

フルグライトに含まれるリンは、水や有機物と反応して現代の生命に見られる
ような分子を形成することができます。 それはRNAや核酸・細胞膜などです。
フルグライトのリンの性質は、ほかのリンと比べ、非常に珍しいものかもしれ
ません。 これは生命の歴史を紐解く上で非常に重要な事だと考えられます。

雷と生命誕生の物語。 およそ46億年前の地球です。 表面は赤く煮えたぎり
隕石が激しく降り注いでいました。 これらの隕石は地球に新たな鉱物を運び
今の複雑な環境を作る基礎を築きました。

しかし、地球に生命が誕生するのは、まだ先のことになります。 それから、
8億年後。 降り注いでいた隕石は減りました。 そのかわりに激しさを増して
いたのが… 雷です。 激しい落雷は、地球に変化をもたらしました。

強烈なエネルギーは地面を溶かし、フルグライトを生み出します。 中には、
大量のリンが含まれていました。 フルグライトが風雨にさらされると、リンが
流れ出します。 リンは、生命の根幹となる重要な元素の一つです。

やがて生命体が誕生。より複雑な生物へと進化します。生命は海から陸へ。
そして地球は、命あふれる惑星へと姿を変えて行ったのです。 私たちの
身近にありながら、謎を秘めた雷。

多くの偶然や人々の努力により、少しずつ、その片鱗が浮かび上がってきま
した。 その全貌が明らかになった時、雷の見え方が変わるかもしれません。

雷は時に、人を傷つけることもあります。 ですが、そのメカニズムを理解でき
れば、人々を雷被害から守ることができるかもしれません。 雷は森林火災を
引き起こす一方、生命の起源に恩恵を与えた可能性もあります。

もし、雷がなかったら、そこは、私たちが住みたい世界ではなかったかもしれ
ませんね。